ジェイ・ソーティー 自衛隊異世界任務記録 指令は「冒険」、派遣先は幻想的なファンタジー世界! 作:えぴっくにごつ
支度を整え終えたエレーナは、同じく己の服を纏い支度を整えたレヒュツと、そしてダークエルフの美少年に竜人の美女を連れ。
部屋を後にして建物のロビーへと出た。
「大尉、相変わらずの重役出勤で」
「はは。君は相変わらず手厳しいね、ゲオルギー中尉」
そこで待っていたのは、一人の屈強な男。
その顔はエレーナがレヒュツを見つけた際に一緒に居た男のものであり。そしてその体に纏うは、サイズこそ彼用に誂えられているが、エレーナのものと色調にデザインの類似する「軍服」。
そのゲオルギーと呼ばれた彼はエレーナを迎えるや否や、彼女が遅れて到着したことに皮肉を痛烈に向け。
しかしエレーナはと言えば悪びれていない色で返す。
「レヒュツ将軍」
「!」
そのゲオルギーは次にはレヒュツの姿を認め、居住まいを少し正して呼びかける。
「得体の知れぬ物事の数々で、疑問など多々抱かれていることでしょう。それにお答えする意味でも、これより「我々」をご覧頂きたく思います」
そして人を食ったようなエレーナのそれと異なり、ゲオルギーは厳正さを絵に描いたよう態度口調でそんな旨をレヒュツに紡ぐ。
その最同時にチラと一度、エレーナにやや鋭い視線を向けるゲオルギー。
それに伺えるは、「どうせこの女は碌に説明していないだろう」と見抜いて責めるような色。対するエレーナはそれを向けられ、悪戯がバレた子供のように視線を反らしている。
言葉面では敬意を取り繕いながらも、ゲオルギーにはエレーナの本性を熟知し、呆れている様子が嫌と言う程伺えた。
「アンタは……その、『違う』のか?」
他にも気になる事は膨大にあったが。その二人のやり取りを見てレヒュツは、濁しつつも言葉に出るままにまず思ったことを。エレーナとゲオルギーが『関係』にあるのかを訪ねてしまう。
「今の将軍のお立場はお労しく思います、その上で確かに否定させて頂きます。私と中尉は職務上の上官と部下に過ぎません。そして幸い拒める立場にあり、その上でまっぴらゴメンだと表明しております」
「つれないねぇ」
そんなレヒュツの質問に、ゲオルギーは隠すことも臆する様子も無く。ズバリと否定の言葉を述べて見せる。
それに対してエレーナは気分を害する様子は無く、何かやれやれとニヒルな色で肩を竦めて見せるのみであった。
「……」
そのやり取りと説明から、レヒュツはまだ得体の知れぬその二人が。しかし何らかの組織構図からの関係であることを察し理解。
「話が逸れ過ぎてもよくありません、大尉」
「分かっているさ。将軍、少しもったいぶってしまったが、これより約束通り「我々」をお見せしよう」
そして次には切り替えるように。ゲオルギーは促し、それを受けてエレーナはまた含みのある言葉でレヒュツに紡ぎながら。
二人は順に、レヒュツを導くように建物の玄関に向けて歩み向かった。
時刻は夕刻。太陽は間もなく大地の向こうに沈もうとしており、周囲の景色は夜に移り変わる際の薄暗さで彩られている。
「……!?……な……!」
その夜空の元。建物施設の外の敷地、その広大な庭に案内されて立ったレヒュツは。
そこに広がっていた光景に。庭の各所に並ぶ「もの」を目の当たりにして、驚愕に目を見開いていた。
その広大な庭空間に、雑だが整列て存在していたのは――異質な物体の数々。
大小の何か荷車に馬車と思しき、しかし引く馬も陸竜の類も見えないそれが数々。
別にはまた、大きくそして奇怪な形の、車輪をいくつも持つ鉄の箱車。
さらには、やはり鉄と思しき巨体に異様な足回りを持ち、破城槌か何かも知れぬ代物を備える「何か」も見える。
その多くは何か鈍重な唸りを響かせ上げ。
だがその周りをそれが当たり前と言うように、エレーナやゲオルギーと似通った服装、「軍服」を纏う何人もの人間が行き交い、あるいは取り付き何かの作業に急かしく動いている。
雑だが、しかしある程度整え止められているそれらは――明かせば、車輛に装甲車輛、そして戦車の数々だ。
「私のT-90は?」
「点検調整は完了していると聞いていますが、どうせご自分でも見られるでしょう?」
「もちろん、戦車兵の習慣だからな」
そんな光景に驚くレヒュツをよそに、エレーナとゲオルギーは何かの己の「役割」の言葉を交わしている。
「あの『剣牙虎の傭兵団』とか言った連中は結局どうなった?」
「ジエイタイに攻略され敗れたようです、やはり少しの武器を与え、付け焼刃で教えるだけでは程度は知れていたかと」
「まぁだろうな。して、帝国の次の要望は?」
「南西の前線の軍団、『勇獅子軍団』というそうですが。それが侵攻した王国の残党に手を焼いていると」
「それを手助けしろと言うか――そうだな、フェーメフ少尉の小隊を増強して向かってもらうか」
そして続け、いくつかの何らかの都合事情を交わし合う二人。
「……!」
そんな二人の側で驚愕に飲まれていたレヒュツだったが、しかし彼の耳は次にはさらに異質な音を次には聞く。
そして空の向こう、建物の影より姿をグワと現したのは。轟音を響かせ、そして翼と思しきものを「回転」させる異様な羽ばたきで飛ぶ異様な飛行体。
「おや?ハインドまで来るとは聞いていなかったが?」
「セルゲイ大佐が寄越されました、目付が必要と思われたのでしょう」
「はは、あのおじ様も心配性だ」
その存在にまた驚いたレヒュツの側、二人は変わらぬ様子でまた何か彼らの事情と思しき言葉を交わす。
「ふふ、将軍?君も武人であれば見て察せるかい?これは強力な兵器の数々、そして私たちはこれを操る「軍人」……いや、正しくは元か」
そしてしかし次には、明かすに丁度良いタイミングと見計らったか。
エレーナはそんな数々の車輛兵器を背景にするように立ち、レヒュツに向けて言葉を紡ぎ始める。
「私たちのかつては――「ロシア軍」と言った。今は、その祖国「ロシア」より零れ落ちた亡国の軍隊だがね」
次にはエレーナは。それまでの人を食ったような態度から変え、妖しい笑みにしかし少しの憂いを含ませる表情で、己たちのその正体を明かす。
「ろし……あ……?」
見せられ、そして今も目の前に広がる異様な姿光景の数々に驚きながらも。レヒュツは明かされたその名称を口にする。
「この世界とは別の異世界にある国です、我々は故あってそこから逃れ辿り着いたその一軍団。突拍子もない話ですが、将軍も心当たりはあるのでは?」
「!……リュシテの王都の空に現れた、あの……」
補足して説明し、そして併せての尋ねるゲオルギーからの言葉に。レヒュツはまた目を見開き、そして忌々しくも恐ろしい存在を、その記憶を呼び起こして目を見開く。
「ヤツ等は「イェヤポーニェ」、またはヤツ等の呼び方で「ニホン」という国のその民族。その背後には巨大なアメリカ、イギリス、オーストラリアなど各国が噛んでいるようだが」
「それらは我々ロシアにとっての敵でした。いえ、今もですな」
次にはエレーナは、そのレヒュツにとって憎き存在の名を明かして伝え。さらにいくつかの名称を紡ぎ。
ゲオルギーがまたそれ等との関係を明かして補足する。
「経緯はもっと複雑だが、我々は故あって祖国を追われた。そこにはそのヤツ等にも大きな一因がある――分かるかい将軍?我々の「敵」は共通だ」
そしてまた次には、エレーナは微かな憂いを見せていた顔を不敵な物へと変え、レヒュツに紡ぎ訴える。
「アンタたちも……これだけの、アレ等と同じ力を……?」
「驕りは禁物だ将軍、力だけではヤツ等は一筋縄ではいかないだろう。まずぶつかるだろうイェヤポーニェのブシ、サムライ――ヤツ等を世界を知らぬ幼子と侮り、我が祖国はかつて辛酸を舐めた」
エレーナたちのその正体を察し理解し、そして「期待」を抱いて。微かに震える声で紡ぎ尋ね掛けたレヒュツに、しかしエレーナは一度忠告の言葉で返す。
「最も、祖国の愚かな指導者たちがそれを理解していたかは怪しいがね」
その次には一瞬、自嘲するようにエレーナは何かそんな言葉を紡ぐ。
「どうだい、将軍?産まれし世界に立場は違えど、ヤツ等に抱く憎悪は同じ」
しかしすぐにエレーナは、その表情を不敵な笑みへと戻す。
そんなエレーナの横にゲオルギーが居住まいを正して立ち。その両脇にはダークエルフの少年や、竜人の美女がまた立つ。
まるで新たな仲間を待ち受け迎えるように。
「私のものとなり、共に来る気はあるか?――」
そしてエレーナはそんな一言と共に、その手をレヒュツに向けて差し出した。
「っ……!」
レヒュツは一度俯き、唾を飲み込みその手を強く握る。それは憎しみを晴らすために全てを受け入れ覚悟した明かし。
次にはレヒュツはエレーナを目の前に傅き、その手をまるで姫君の手を取るように取った。
なんというか私は主人公、味方側を淡々とシンプルな姿に。
敵側を芝居掛かった厨二チックな姿に描きがちです。