ジェイ・ソーティー 自衛隊異世界任務記録 指令は「冒険」、派遣先は幻想的なファンタジー世界!   作:えぴっくにごつ

38 / 38
Part37:「零れ落ちた亡国の軍団」

 支度を整え終えたエレーナは、同じく己の服を纏い支度を整えたレヒュツと、そしてダークエルフの美少年に竜人の美女を連れ。

 部屋を後にして建物のロビーへと出た。

 

「大尉、相変わらずの重役出勤で」

「はは。君は相変わらず手厳しいね、ゲオルギー中尉」

 

 そこで待っていたのは、一人の屈強な男。

 その顔はエレーナがレヒュツを見つけた際に一緒に居た男のものであり。そしてその体に纏うは、サイズこそ彼用に誂えられているが、エレーナのものと色調にデザインの類似する「軍服」。

 そのゲオルギーと呼ばれた彼はエレーナを迎えるや否や、彼女が遅れて到着したことに皮肉を痛烈に向け。

 しかしエレーナはと言えば悪びれていない色で返す。

 

「レヒュツ将軍」

「!」

 

 そのゲオルギーは次にはレヒュツの姿を認め、居住まいを少し正して呼びかける。

 

「得体の知れぬ物事の数々で、疑問など多々抱かれていることでしょう。それにお答えする意味でも、これより「我々」をご覧頂きたく思います」

 

 そして人を食ったようなエレーナのそれと異なり、ゲオルギーは厳正さを絵に描いたよう態度口調でそんな旨をレヒュツに紡ぐ。

 

 その最同時にチラと一度、エレーナにやや鋭い視線を向けるゲオルギー。

 それに伺えるは、「どうせこの女は碌に説明していないだろう」と見抜いて責めるような色。対するエレーナはそれを向けられ、悪戯がバレた子供のように視線を反らしている。

 言葉面では敬意を取り繕いながらも、ゲオルギーにはエレーナの本性を熟知し、呆れている様子が嫌と言う程伺えた。

 

「アンタは……その、『違う』のか?」

 

 他にも気になる事は膨大にあったが。その二人のやり取りを見てレヒュツは、濁しつつも言葉に出るままにまず思ったことを。エレーナとゲオルギーが『関係』にあるのかを訪ねてしまう。

 

「今の将軍のお立場はお労しく思います、その上で確かに否定させて頂きます。私と中尉は職務上の上官と部下に過ぎません。そして幸い拒める立場にあり、その上でまっぴらゴメンだと表明しております」

「つれないねぇ」

 

 そんなレヒュツの質問に、ゲオルギーは隠すことも臆する様子も無く。ズバリと否定の言葉を述べて見せる。

 それに対してエレーナは気分を害する様子は無く、何かやれやれとニヒルな色で肩を竦めて見せるのみであった。

 

「……」

 

 そのやり取りと説明から、レヒュツはまだ得体の知れぬその二人が。しかし何らかの組織構図からの関係であることを察し理解。

 

「話が逸れ過ぎてもよくありません、大尉」

「分かっているさ。将軍、少しもったいぶってしまったが、これより約束通り「我々」をお見せしよう」

 

 そして次には切り替えるように。ゲオルギーは促し、それを受けてエレーナはまた含みのある言葉でレヒュツに紡ぎながら。

 二人は順に、レヒュツを導くように建物の玄関に向けて歩み向かった。

 

 

 時刻は夕刻。太陽は間もなく大地の向こうに沈もうとしており、周囲の景色は夜に移り変わる際の薄暗さで彩られている。

 

「……!?……な……!」

 

 その夜空の元。建物施設の外の敷地、その広大な庭に案内されて立ったレヒュツは。

 そこに広がっていた光景に。庭の各所に並ぶ「もの」を目の当たりにして、驚愕に目を見開いていた。

 

 その広大な庭空間に、雑だが整列て存在していたのは――異質な物体の数々。

 

 大小の何か荷車に馬車と思しき、しかし引く馬も陸竜の類も見えないそれが数々。

 別にはまた、大きくそして奇怪な形の、車輪をいくつも持つ鉄の箱車。

 さらには、やはり鉄と思しき巨体に異様な足回りを持ち、破城槌か何かも知れぬ代物を備える「何か」も見える。

 その多くは何か鈍重な唸りを響かせ上げ。

 だがその周りをそれが当たり前と言うように、エレーナやゲオルギーと似通った服装、「軍服」を纏う何人もの人間が行き交い、あるいは取り付き何かの作業に急かしく動いている。

 

 雑だが、しかしある程度整え止められているそれらは――明かせば、車輛に装甲車輛、そして戦車の数々だ。

 

「私のT-90は?」

「点検調整は完了していると聞いていますが、どうせご自分でも見られるでしょう?」

「もちろん、戦車兵の習慣だからな」

 

 そんな光景に驚くレヒュツをよそに、エレーナとゲオルギーは何かの己の「役割」の言葉を交わしている。

 

「あの『剣牙虎の傭兵団』とか言った連中は結局どうなった?」

「ジエイタイに攻略され敗れたようです、やはり少しの武器を与え、付け焼刃で教えるだけでは程度は知れていたかと」

「まぁだろうな。して、帝国の次の要望は?」

「南西の前線の軍団、『勇獅子軍団』というそうですが。それが侵攻した王国の残党に手を焼いていると」

「それを手助けしろと言うか――そうだな、フェーメフ少尉の小隊を増強して向かってもらうか」

 

 そして続け、いくつかの何らかの都合事情を交わし合う二人。

 

「……!」

 

 そんな二人の側で驚愕に飲まれていたレヒュツだったが、しかし彼の耳は次にはさらに異質な音を次には聞く。

 そして空の向こう、建物の影より姿をグワと現したのは。轟音を響かせ、そして翼と思しきものを「回転」させる異様な羽ばたきで飛ぶ異様な飛行体。

 

「おや?ハインドまで来るとは聞いていなかったが?」

「セルゲイ大佐が寄越されました、目付が必要と思われたのでしょう」

「はは、あのおじ様も心配性だ」

 

 その存在にまた驚いたレヒュツの側、二人は変わらぬ様子でまた何か彼らの事情と思しき言葉を交わす。

 

「ふふ、将軍?君も武人であれば見て察せるかい?これは強力な兵器の数々、そして私たちはこれを操る「軍人」……いや、正しくは元か」

 

 そしてしかし次には、明かすに丁度良いタイミングと見計らったか。

 エレーナはそんな数々の車輛兵器を背景にするように立ち、レヒュツに向けて言葉を紡ぎ始める。

 

「私たちのかつては――「ロシア軍」と言った。今は、その祖国「ロシア」より零れ落ちた亡国の軍隊だがね」

 

 次にはエレーナは。それまでの人を食ったような態度から変え、妖しい笑みにしかし少しの憂いを含ませる表情で、己たちのその正体を明かす。

 

「ろし……あ……?」

 

 見せられ、そして今も目の前に広がる異様な姿光景の数々に驚きながらも。レヒュツは明かされたその名称を口にする。

 

「この世界とは別の異世界にある国です、我々は故あってそこから逃れ辿り着いたその一軍団。突拍子もない話ですが、将軍も心当たりはあるのでは?」

「!……リュシテの王都の空に現れた、あの……」

 

 補足して説明し、そして併せての尋ねるゲオルギーからの言葉に。レヒュツはまた目を見開き、そして忌々しくも恐ろしい存在を、その記憶を呼び起こして目を見開く。

 

「ヤツ等は「イェヤポーニェ」、またはヤツ等の呼び方で「ニホン」という国のその民族。その背後には巨大なアメリカ、イギリス、オーストラリアなど各国が噛んでいるようだが」

「それらは我々ロシアにとっての敵でした。いえ、今もですな」

 

 次にはエレーナは、そのレヒュツにとって憎き存在の名を明かして伝え。さらにいくつかの名称を紡ぎ。

 ゲオルギーがまたそれ等との関係を明かして補足する。

 

「経緯はもっと複雑だが、我々は故あって祖国を追われた。そこにはそのヤツ等にも大きな一因がある――分かるかい将軍?我々の「敵」は共通だ」

 

 そしてまた次には、エレーナは微かな憂いを見せていた顔を不敵な物へと変え、レヒュツに紡ぎ訴える。

 

「アンタたちも……これだけの、アレ等と同じ力を……?」

「驕りは禁物だ将軍、力だけではヤツ等は一筋縄ではいかないだろう。まずぶつかるだろうイェヤポーニェのブシ、サムライ――ヤツ等を世界を知らぬ幼子と侮り、我が祖国はかつて辛酸を舐めた」

 

 エレーナたちのその正体を察し理解し、そして「期待」を抱いて。微かに震える声で紡ぎ尋ね掛けたレヒュツに、しかしエレーナは一度忠告の言葉で返す。

 

「最も、祖国の愚かな指導者たちがそれを理解していたかは怪しいがね」

 

 その次には一瞬、自嘲するようにエレーナは何かそんな言葉を紡ぐ。

 

「どうだい、将軍?産まれし世界に立場は違えど、ヤツ等に抱く憎悪は同じ」

 

 しかしすぐにエレーナは、その表情を不敵な笑みへと戻す。

 そんなエレーナの横にゲオルギーが居住まいを正して立ち。その両脇にはダークエルフの少年や、竜人の美女がまた立つ。

 まるで新たな仲間を待ち受け迎えるように。

 

「私のものとなり、共に来る気はあるか?――」

 

 そしてエレーナはそんな一言と共に、その手をレヒュツに向けて差し出した。

 

「っ……!」

 

 レヒュツは一度俯き、唾を飲み込みその手を強く握る。それは憎しみを晴らすために全てを受け入れ覚悟した明かし。

 次にはレヒュツはエレーナを目の前に傅き、その手をまるで姫君の手を取るように取った。




なんというか私は主人公、味方側を淡々とシンプルな姿に。
敵側を芝居掛かった厨二チックな姿に描きがちです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

TS若返り傭兵は旅をする(作者:Aa_おにぎり)(オリジナルSF/日常)

嘗ての伝説的な男傭兵が女になっちゃった!おまけに若返っているんだが?!▼TS若返りした元傭兵が運び屋をしながら色々と街を巡って旅をするお話。▼※なろうでも出してます。


総合評価:6480/評価:8.63/完結:472話/更新日時:2026年08月14日(金) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>