ジェイ・ソーティー 自衛隊異世界任務記録 指令は「冒険」、派遣先は幻想的なファンタジー世界! 作:えぴっくにごつ
戦場は、正しくはエリオン王国側の残党戦力の防御は瓦解しつつあった。
防御陣の各部隊は戦う意志を喪失し、そこを襲撃して来た帝国軍部隊に喰われ討たる姿が散見されてる状況。
「ゲオン騎士長!このままでは……!」
「っ!分かっている……お前たちは残る他部隊を援護しながら砦まで引け!俺が殿を務める!」
その中で防御陣に留まり、まだ指揮官を中心になんとか戦意に状態を保っている一部隊があったが。
しかしその一隊のみでは、全体の瓦解崩壊を止める影響までは到底無く。ゲオンと呼ばれた部隊指揮官である中堅の騎士長は、己が殿を買って出て部下に後退を命じる。
だが
「ですがっ……騎士長!」
指揮官を残して後退する事に、戸惑い声を上げかけた部下の一人が。しかし次にはその言葉も切り、警告の声を発する。
「!」
ゲオンも振り向き、すぐにそれを見る。
彼らのすぐ目の前に現れ見えていたのは、帝国軍の中型の陸竜騎兵だ。
その後退すら認めはしないと言うように。崖場を防御陣としていたゲオンたちの前にいつの間にか現れ、そしてその悍ましい顎を開き見せている。
そして陸竜その背に跨り操る騎手の口元には、獲物を甚振らんと企む加虐的な笑みの造りが見えた。
「っ!」
考えるよりも前に、ゲオンは部下たちを庇い前に立っていた。
そしてしかし、そんな勇敢な行動すらを嘲るように。
次にはそのゲオンを喰らい砕き餌食とせんと、陸竜はその顎をかっ開いた――
――だが、そこへ。
何か異質な唸るような音と、土を踏み鳴らすような音が割り入り聞こえたのは瞬間。
そして、
――ドギャガッ!と。
何か別の物体が場に飛び込む勢いで出現。そして真横から陸竜の体に思いっきり衝突。
次には陸竜は騎手共々拉げ、そして奇妙な悲鳴を上げて面白いように吹っ飛び。ゲオンたちの前から消えて、向こうの地面に叩きつけられてまた拉げる様を見せた。
「!?」
驚愕に目を剥いたのは、ゲオン始めその場に騎士に兵たち。
そして彼らの前に、陸竜騎兵に代わって現れ鎮座していたのは。何か緑色を基調とし、車輪を持つがしかし荷車や馬車とは程遠い物体。
それこそ、共通軽装甲車のものであった。
「――一旦展開しろッ」
現れた共通軽装甲車は、詳細には普通科小隊 第1小銃分隊の1号車。
その助手席が叩く勢いで開かれ、降りて現れたのは長身で尖る容姿の隊員。第1分隊分隊長の伊国一等陸曹の姿だ。
今先程に、伊国等は走り進む先にエリエンの部隊の窮地を認め。そのことから伊国は何の迷いもなく突入介入を指示。
そして共通軽装甲車にて突っ込み割り入り、今に見せた通り陸竜騎兵を跳ね吹っ飛ばして見せたのであった。
「見えたものから構わず撃てッ」
まず降車し適当な位置に着いた伊国に続き。さらに即座に続いて共通軽装甲車からは二名の隊員が降車し、その周りに展開配置。
そして今の指示を受けるが早いかの様相で唸り始めていた、ターレット上の隊員によるMINIMI軽機の射撃の元。
展開配置した各員も、各個に射撃っ行動を開始。
それらの餌食となったのは、向こうより迫り押して来ていた帝国軍団の部隊に兵だ。
まず先鋒を担っていた陸竜騎兵が、MINIMI軽機の機関銃銃火を諸に向けて弾け飛び。
ほぼ同時に次には敵隊形の兵たちが、隊員等の各個射撃に狙われ次に次にと撃たれ沈んでいく。
《武蔵10へ、こちら常陸11。そちらの右側方に出る》
その伊国等が戦闘行動を展開する、通信が入る。それは機動戦闘車班からのもの。
そして次には知らせた動きを光景で表し示すように、その通り伊国等から右側方の向こうに。16MCVが数名の随伴隊員を伴い進出して来て現れ、そして戦闘行動を開始。
その16MCVが主砲を使うまでもないと、代わりに撃ち向けた同軸機関銃の射撃が。また向こうの帝国軍団の陸竜騎兵部隊を襲い、攫えるように弾き沈め。
狼狽しながらも弓に魔法を放ち返そうと、向こうの帝国兵たちも慌てての動きを見せかけたが。
しかしそれは認められること無く、16MCVに随伴する隊員等の射撃攻撃にまた沈んだ。
その帝国軍団に対する応戦行動は、その場の一ヵ所のみに留まらず。伊国等の展開した場より両翼を広く見れば。
普通科小隊の各隊や一部本部の各隊各班、それに車輛が。同じくの形で各方から進出して現れ展開、帝国軍団部隊を相手に戦闘行動を開始する姿が見えた。
そして間もなく見え始めたのは、帝国軍団の側での困惑狼狽の様子だ。
この戦いを最早容易い勝ち戦と、一方的な狩りと思っており。事実ここまではそうあってきた帝国兵たちにとって。
自衛隊 第101前進観測隊の登場と、その未知の火力の脅威は。驚愕し、そして混乱狼狽に陥るには十分過ぎるものであった。
「装填ッ――まずの配置展開は滞りなしだな」
伊国にあっては敵を数体沈めての弾切れから、装填行動に入る旨を他隊員に伝え。新しい弾倉を取り出しながらも、各方向にその他各隊の戦闘行動の開始を見て零す。
「な、なぁ……アンタ……!」
そんな所へ、背後から伊国に声が掛けられる。
振り向けば背後には、ゲオン始めエリエン王国の騎士に兵たちの集まり立った姿があり。
そしてその全員の顔には驚愕、それに警戒に興奮、それらがない交ぜになった色が見えた。
「すみません、突然で驚かせたでしょう。我々は日本国の自衛隊です」
「ジエイ……タイ……?一体……っ!」
伊国はそんなゲオンたちに、まずは詫びる言葉と併せて自身の正体名称を名乗る。
しかし知らぬその名に、また困惑の声を零した掛けたゲオンだったが。
その直後。背後の向こうに見えていた帝国軍団の、大型投射器を乗せた大型騎獣がしかし突然爆炎に打たれ包まれ。
ゲオンのそれすらをも阻む。
明かせば今のは、別方の普通科隊員が84mm無反動砲 カールグスタフを用いて叩き込んだ多目的榴弾が成したそれ。
「詳しくは後程とさせて頂きたいのですが、一つだけ。我々はあなた方の味方であり、加勢のために来た者です」
無反動砲弾の直撃により、大型騎獣が鈍い動きで崩れ沈む向こうの光景を背景に。
しかし構わぬように伊国は、また驚いているゲオンたちにそう明かし伝える言葉を紡ぎ。
同時に小銃に弾倉を叩き込んで再装填を完了させる。
《――甲斐20より各隊、迫撃砲の配置完了。これより開始する、繰り返すこれより開始》
そんな所へまた急かしい展開で割り居る通信。それは前進観測隊の火力隊 迫撃砲班からの知らせ・
「ッ。皆さん、これよりさらに我々の攻撃が来ます、念のため隠れて備えて」
それを聞き知った伊国は、また少し急く色でゲオンたちに伝え促し。
ゲオンたちは詳細も分からぬまま、しかし「何らか」が来ることを察して崖場に隠れる。
《――行ったぞ、備えろッ》
次には、通信に警告が上がり。
そして――ヒュゥゥゥウッ、という不気味に空気を切るような音が響き聞こえた直後。
向こうの大地で――いくつもの爆炎炸裂が発生。
そしてその各所に配置していたいくつもの帝国軍団の部隊に兵が。それに巻き込まれ巻き上げられ、砕け散って消し飛んだ。
さらにそれは、一度切りに留まらない。
第二弾、第三弾と続け、一定間隔で空気を切る音が上空から響き届き。
そしてまるで楽器で音楽でも奏でるかのように、向こうの景色の各所次々に爆炎が巻き上がり、帝国軍団を餌食として巻き上げる。
明かせばそれこそ、後方に配置した火力隊 迫撃砲班のL16 81mm迫撃砲群が成すものであった。
「少なくとも、押し留まったか?」
そんな迫撃砲の砲撃着弾の様子光景を見ながら、まず帝国側の攻撃の手は止められたであろうこと推察を言葉に零す伊国。
「これは……すげえや……っ!」
そんな伊国の背後、先に促されたように身を隠しつつもゲオンたちは。
その光景に、恐るべき帝国軍団がしかし打ち倒れ巻き上がっていく光景に。驚愕と、昂ぶりを覚えての震える声を漏らしながら、食い入るように見入っていた。