ジェイ・ソーティ 自衛隊異世界任務記録   作:えぴっくにごつ

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Part8:「良い子の相手の仕方」

「――報告しろ」

 

 須導は共通軽装甲車より降りつつ。周囲四周へ10.9mm拳銃を走らせ、併せて視線を流して回し。

 見える範囲の敵影が無力化された事実を確認し。同時に指揮下の各員に状況報告を寄越すよう訴える。

 

「クリアッ」

「あぁッ、キレイんなったンじゃねェのッ?」

 

 それに。須導の反対側をクリアした加納に、車上でターレットの汎用機関銃を回しながら周囲を流す薩摩から。

 それぞれ同じく無力化を確認しての、報告の声が寄越され来る。

 

「了――加納、その子たちを」

「えぇ……ッ!」

 

 周囲の無力化が確認され、ならば次に続く優先事項にと。

 須導は、庇うように留めた共通軽装甲車の向こう傍で。寄り添い合い、しかし驚きや恐怖よりも前に呆けてしまっている子供達を見つけ。

 加納にその保護を指示する。

 

「君たちっ!」

 

 加納は運転席より降り、そしてすぐ傍で抱き合う子供たちに。少し急く色で近寄り、そしてその前に屈んで視線を合わせる。

 

「大丈夫かいっ?怪我はっ……!……あっ」

 

 まずともかくは子供達の身体、容体を確認しようとした加納だったが。子供たちの身に手を伸ばそうとした所で、しかし気づく。

 子供たちは抱き合い、そして子供ながらに少し鋭い眼で加納を見上げて来る。

 警戒の色。

 危害を加えて来た野盗を排除してみせた存在とはいえ。子供たちからすれば自衛隊もまた、得体の知れぬ油断ならない相手。

 

「あぁ、ええと――ダイジョブ。ワタシタチはタスケ、ワルいはシナイ……っ」

 

 そのことに気付いた加納は、戸惑いつつも説明にてその警戒を解くべく。自らが危害を加える存在では無い事を伝えようとするが。

 生憎、加納はこの異世界の地の言語の習得に苦戦しており、まだたどたどしい所がある身。

 

「ダイジョブ……ええと……っ」

 

 なんとか習得できている言葉から、子供たちを安心させる文脈を組み立てようとするが。

 しかし思うように行かず、台詞を詰まらせてしまう。

 

 幸か不幸か、加納はその可憐な外見が助けてか。その彼女が戸惑う様子が逆に子供たちに、「害は無さそう」という所だけは伝えたが。

 しかしコミュニケーションがそれ以上繋がらず。子供たちは引き続き、「変なお姉ちゃん」を見る目で加納を見上げている。

 

「ぁぅ……薩摩っ……手を貸してくれ……!」

 

 やり取りを繋ぐ糸口が見れず。そしてそんな子供たちの目に、いたたまれなくなった加納は。

 振り向き、共通軽装甲車の上で引き続き警戒に着いて居た薩摩に。助けを求める声を掛けた。

 

「ったく、ガワだけ王子様よぉッ――しゃぁねぇッ」

 

 それに薩摩は、隠さぬ溜息交じりの悪態で答え。ターレットを這い出て車上から飛び降りて、加納を肩代わりするように子供たちの前に割って入る。

 

〈あァ、坊主、ちびっ子ズ。チト無理言うが心配すんな、俺等は悪モンじゃぁねぇ〉

 

 そして、大分習得の進んでいる異世界の言語で。砕けた流暢な言葉を紡ぎ、子供たちに言葉を紡ぎ始める。

 

〈おっかねぇ思いさせたな、ちょいとおいちゃんズの話を聞いてくれっか?〉

 

 前に述べた通り。習得の進んだ流暢な異世界言語は、しかしそのまま薩摩の癖の悪いキャラまで反映してしまったが。

 しかし砕けた伝わりやすい言葉に。併せての身振り手振りを交えての訴え方をする薩摩の姿には。

 「人相は悪いが、たぶん悪人では無いニーチャン」感が、図ってかたまたまかは知らないが演出できていた。

 薩摩は普段の態度に口こそ悪いが、こういう所がまた上手かった。

 

〈……おじちゃんたち、どういう人なの……?助けてくれたの……?〉

 

 次に、薩摩のそれが功を奏してか、子供たちの警戒に少しの緩和が見え。

 そして内の男の子のほうが、こちらの「話を聞いて欲しい」というお願いへ、その肯定を兼ねてのように。

 こちらの身分に行動理由を尋ねる言葉を、おそるおそる向けて来た。

 

〈おれ等はニホンのジエイタイ――あァー、遠くの国から来た軍みたいなモンだ〉

 

 それにまず、薩摩は自分等の身分を噛み砕いて一応説明。

 

〈ちびっ子ズが酷い連中に襲われてんのを見つけて、チトお節介でレスキューに首突っ込んだってワケだ〉

 

 そして助けである旨を肯定。加えて二人を安心させるように、男の子の方の肩をポフポフと撫で叩いてやって見せた。

 ついでに加納に目配せをして促し。加納は同調するように。その可憐な顔にしかしぎこちない笑顔を浮かべで頷いて見せる。

 

 そんな薩摩に加納、それぞれの言葉に姿様子から。

 子供たちは、現れた自衛隊が敵では無いとひとまず信じてくれたようであった。

 

〈ちびっ子ズはあの村に住んでんだろ?何があった?〉

〈う、うんっ!村が……っ!〉

 

 そこからさらに尋ねて話を進め。

 同時に、ちょうど駆け着けて衛生班の衛生科隊員によっての。子供たちの怪我、容態の確認が並行して始められながら。

 薩摩等は二人に、そして向こうで煙を見える集落に何があったのかを聞き始めた。

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