貞操観念が逆転したキヴォトスでの生き方 作:オレ
初投稿です
「───以上が、『連邦捜査部シャーレ』の説明になります。ご理解頂けましたか?」
「うん、大体分かったよ。けどこう、中々に自由な部活だね?」
これから私が顧問をするらしい部活の説明を受けたが、どうしてもそんな感想しか浮かんでこない。
気がついたら見知らぬ土地に居て、そこで先生をしてくれと言われて素直に状況を飲み込める人間はそう多くないと思う。少なくとも、私はそうだった。
まあ、すぐどうにかなる様な状況じゃないし、目の前の子供が困っているなら助けるのが大人だ、と言い聞かせてここまで来たけど、これから中々大変そうである。
「ええ。『捜査部』と謳ってはいますが、彼女、連邦生徒会長はそれについて触れることはありませんでした。つまり、何でも先生がやりたいことをやって良い。ということになりますね」
「あはは、なんというか、あんまり良くは思われなさそうだけど。とりあえず頑張ってみるよ」
「それと、その。捜査部の名の通り、部活、な訳でして。連邦生徒会長が失踪する前、部長として任命した生徒が居るのですが……」
「居るのですが?」
「もうすぐ到着するとは思います。しかし、ですね。その生徒が少し、いやかなり特殊と言いますか」
「うん?」
「そのですね、その生徒は───」
そう、彼女が言おうとした直後。
───バンッ!
と大きな音を立てて、部屋の扉が開かれた。
「へーい。先生が到着したって聞いてはるばるやって来たぜ〜」
そこに立っていたのは、蘇芳色の髪をした少女。彼女はこちらの姿を認めれば、「おっ」と一声あげ、こちらへ近付いてきた。
「あんたが先生?」
「う、うん、そうだよ。よろしくね」
「おお〜、大人だ。よろしくな、先生」
「はぁ。トウカ、自己紹介も無しなのは先生に失礼ですよ」
「おっと、そりゃ確かに。これは大変失礼致しました。改めて、『紅内トウカ』です。連邦生徒会会長補佐、兼現会長代理補佐、兼連邦捜査部シャーレ部長です。肩書き多いと思いました? はは、俺も自分で言ってて思いました」
「ああ、この子が例の」
「ええ、それでその、特殊、と言った理由なのですが……」
「うん。今のところ、ただの可愛い女の子にしか見えないけど?」
私がそう言った瞬間、リンは「やっぱり……」と言いながら額を抑えてしまった。そんな様子を不思議に思っていれば、トウカがケラケラと笑いながら話しかけてくる。
「あっははは! まあそうなるよな!」
「え、うん。えっと、リンはどうしちゃったの? 私何か変なこと言っちゃった?」
「ああ、そりゃ多分、俺が男だからっすね」
「あ、そうなんだ」
「そうなんです」
へぇ〜。トウカって男の子だったんだ。そっかぁ。
……
「えまって今なんて?????」
「いやだから、俺男なんすよ」
にこやかな笑みを崩さないまま、トウカは突然の様に言う。
え? 男? ほんとに? あの??
「ほんとに?」
「ほんとほんと」
いや、確かに言われてみれば私たち女より肩幅は少し広いし、体つきはちょっとがっしりしてるなって思ったけど……。あ、そう言われたら男の子に見えてきた。
ちょっと待って!? つまり私今男の人と喋ってるってこと!? えちょっと待って意識したら急に緊張してきたんだけど!?
「いやなんで男の人がこんな所に!? 普通滅多に学校とか通わないでしょ!?」
「あー、まあそうですね。親にも止められましたね。でも、ちゃんと理由はあるんですよ?」
「そ、そうなの? 因みに聞いてもいい?」
「ええ。まあ単純ですけどね。家に居ても暇ってだけです」
「????」
えそんな理由? ほんとに? いや冷静に考えてそんな訳なくない!? でもここでしつこく聞くのもどうなんだろう? 分かんない! 男の人と話したことなんてないから分かんないよぉ!!
「先生、気持ちは痛いほどに分かりますが、少し落ち着いてください」
「あっ。り、リンちゃん……!」
私が目に見えて動揺していると、それを見かねてか、リンちゃんが背中に手を添えながら声をかけてくれた。
よ、良かった。って、そうだよ! 理由なんて本人に聞かないでも、リンちゃんに聞けば……!
「リンちゃんはやめてください。それと、希望を壊すようで申し訳ありませんが、一応言っておきます。彼の言ったことは全て本当です。男性なのも、ここに来た理由が暇だから、という理由なのも含め、全てが」
「え、ま、まじ?」
「はい。残念ながら」
「残念ながらって何よ。ショックだわ〜。俺悲し〜」
えぇ……? 男の人ってそんな簡単に外に出てきて良いものなの? なんというかこう、家の中で大事にされてるイメージなんだけど。
「ま、そんな訳で。一応シャーレの部長としてやらせてもらうんで、そこんとこ、どうぞよろしく! あ、俺のことはトウカって呼んでください。苗字で呼ばれるとあんま分かんなくて」
「え!? あ、ああうん。よろしく、トウカ」
そう言って差し出された手を、おずおずと握れば、その瞬間にグッと力を込めて握り返された。
う、うわぁ。私今男の人の手握っちゃってるよ……。それに、あっちから言ってもらったとはいえ、下の名前で。うぅ、距離近くない? 嬉しいけど、緊張するというか……。
「じゃ、挨拶も済んだってことで、部屋の前の荷物入れちゃって良いですか?」
「? 何か持ってきたの? 別にいいけど、一人で大丈夫?」
「大丈夫っすよ。持ってきたのは、まあ生活用品とか、その他諸々っすね」
「え? なんで?」
「ん? リンから聞いてないすか? 俺、今日からここ住むんすよ」
「あ、そうなんだ。えーっと、家は?」
「この前銃撃戦に巻き込まれちゃって。爆弾でポーン! ですよ」
「えぇ……」
ケラケラと笑う彼だが、家が爆破されるのが普通というような態度に驚きを隠せない。このビルへ来る時も思ったのだが、この都市、本当に大丈夫だろうか。
「あー、ってことは、あれも聞いてないすか?」
「あれ?」
「先生の住居、まだ用意できてないんすよ。だから、用意が済むまで、先生もここで寝泊まりすることになります」
「あ、そうなんだ」
「いやー、申し訳ないです。こちらの不手際で。もちろん、男を警戒する気持ちも分かりますし、断ってもらって大丈夫です」
「いやいや、私は全然大丈夫だよ」
となると、私も生活用品等は今の内に買っておいた方がいいのかな。同居人であるトウカには借りれないよね。男の子だし、使うものも違うだろうし
……ん? 同居人?
「えっと、トウカ。君もここに住むんだよね?」
「そっすね」
「私も、一時的にだけどここに住むんだよね?」
「まぁ〜そういうことになります。さっきも言いましたけど、嫌だったら全然」
「い、や。そういう訳じゃないんだけど……」
つまり? 私の住居が用意できるまでは、ここでトウカと二人で過ごすってこと?
……あ、あはは
「リンちゃーん!! これどういう状況!?!? 説明してー!!!!」
「リンなら仕事があるって言って戻りましたよ?」
「終わったー!?!?!?」
多分私の心臓が持たないから!!!! リンちゃーん!!!!!!
今回は先生視点でしたが、次回からオリ主視点で先生が来る少し前くらいからやっていきやす。この世界男女比とかそこら辺も次回以降に。
ノリで書いているので、拙い部分等も目立つと思いますが、ご愛嬌ということで。