貞操観念が逆転したキヴォトスでの生き方 作:オレ
この話からオリ主視点になります。
この世界に転生してきて、十数年が経った頃。何気なく、ふと思ったのだ。
なんか変だな、と。
そこから、そのなんかを探すのに、多分数分かけて、気がついた。
周りをみても女性しか居ない。いや、男性が全く居ないという訳では無い。チラホラと見かけるが、それでもごく少数だ。
圧倒的と言っていい程に、女性が多い。気づくのが遅いって? うるせぇ。転生でテンション上がってたんだよ。周りのことに気ぃ配れるかってんだ。
まあだから、気になって母親に聞いてみた。なんでこんなにも男が居ないのかと。そして、その比率はどの程度なのかとも。
母親は
「あー、考えたことも無かったわね。そういうものだと思ってたし。ただ、そうねぇ。確か、男性が1に対して女性が40? とか、その位だったと思うわよ。ただ、未だに減っていっているらしいから、今はよく分からないわね」
と、俺に聞かせてくれた。俺の知っている限りでは、男女の比率はおおよそ1対1だったはずだ。それが、なんだ。圧倒的に女性の方が多い。
これはつまりあれか。あれなのか? 世の男児が夢見る、貞操逆転世界というやつなのか?
生きてるだけで女性の方から寄ってくる、あの世界という訳か!?
「うおっしゃァァァァァァ!!!!!」
「どうしたの急に!? ユウナ! トウカが壊れたわよ!」
「お兄ちゃんがどうしたって!?」
「やっべ。待て! 大丈夫! まだ壊れてない! 落ち着け!」
くそ、興奮して我を忘れて叫んでしまった。家族からの心配そうな目が痛い……。
とりあえずなんとか誤魔化して、自分の部屋へと戻ってはきたが。まだ興奮は収まらない。いやだって、夢にまで見たあの世界だぞ? 興奮するなって方が無理だ。
「へへっ、じゃあ後はグーダラ過ごしてれば玉の輿にでも乗れるかな〜。男女比1対40だろ? よゆーよゆー……」
そこまで口にして、ふと思った。
1対40ってそこそこ見るくね? と。
学校のクラスが大体40人だとして、その中に一人は男子が混ざっているわけだ。つまり、学年や学校全体でみたら、まあ数十人はいるワケで。だったら、他の女の子もその中で良い男の方へ向かうわけだ。
……え、キツくね?
なんせ、俺は前世でも女性経験が全く無かった。そのため、何をどうすればモテる、等も分かっていない。そんな奴に、世の女性達は寄ってきてくれるだろうか?
否、断じて否だ。
どうする? 俺はぶっちゃけ今後働きたくない。だって辛いから。だから、できれば玉の輿に乗りたい。だって楽だから。だが、今のままではその可能性も限りなく低い……。
くそ、こうなったら仕方ない。
思い立ったが吉日。俺は先程戻ってきたばかりのドアを開け、妹の部屋に向かった。
「少し良いか妹よ!」
「うわっ! ちょ、急にドア開けないでよ!」
「あ、すまん」
確かに、ノックもせずにドアを開けるのは人間として良くなかった。これは女性にモテるか以前の問題だ。反省しよう。
「悪かった、入り直す」
「え? あ、うん」
一度部屋から出て、扉を閉めてから、ノックを数回。
「入っていいか?」
「はぁ……。どうぞ」
今度はしっかり了承の意を聞いてから中に入る。先程までベッドに居た妹は、椅子に座り直しており、呆れた様な顔でこちらを見ていた。
「で、何の用?」
「ああ、実は一つ聞きたいことがあってな」
「うん? 何かあった?」
「そうだな、何かあったかと聞かれれば、まああった。だが、そんなものは些細なことだ」
「はぁ、で何が聞きたいの?」
「俺が聞きたいのは、ズバリ」
「どんな男がタイプだ?」
「はぁ?」
俺がそう問いかければ、本気で何を言ってるんだという目に変わってしまった。そんな目で見ないで欲しい。お兄ちゃん泣いちゃう。
「なんで急にそんなことを?」
「いや何。ぶっちゃけ俺も女の子にモテたくてな」
「は? 何? 好きな女子でも出来た?」
「いや、そういう訳でもないが。で、どうなんだ?」
「急に言われてもなぁ。う〜ん、やっぱり優しい人が良いよね。あとは、怒鳴らない人とか?」
「そんなもんか?」
「そんなもんって、じゃあそうだな。こっちのことを気にかけてくれて、危ない時は守ってくれる人、とか?」
「ふむ、なるほど」
守ってくれる人か。確かに、一緒にいて安心感があるというのは大事か。それでいて優しければ、ふむ、確かに。俺が女の子だったら惚れるな。よし。
「ま、そんな男の人居ないと思うけどね。そんなの物語の中とかでしか」
「助かった、ユウナ。俺もなるべく頑張ってみることにする!」
「え? いや、お兄ちゃん本気?」
「そうと決まれば早速準備だ。また明日、ユウナ。あんま夜更かしするなよ」
「う、うん。おやすみ……」
いざという時に守れる……。つまり、ある程度の腕っ節は必要だ。筋トレ等のトレーニングは必須だろう。それに加えこの世界、少なくとも俺が住んでいるところは銃撃戦の発生が珍しくない。そんな所で人を守るということは、銃器の扱いも学ばなくてはならないだろう。
それに、俺の目的はあくまで玉の輿だ。つまり、良いとこのお嬢様とかとお付き合いさせて頂きたい。そのためには、学力もそれなりに必要だ。
くそ、やる事が山積みだな。だが、やってみせる。今後あの苦労しないためなら、今努力することも苦ではない!
「うおおお! 俺はやるぞー!!!」
「お兄ちゃんうるさい!」
「……ごめんなさい」
ってのが、大体3年前だったかな。現在、俺高校1年生。これから入学式ってところ。
あれからマジで大変だった。急に筋トレ器具とかを親に強請ったから、マジでイカレたんじゃないかと心配されたし、なにより、銃器の扱いがマジでむずい。
そりゃ、勉強とか筋トレとかは、しんどいけど多少の知識はあったから、効率良く行うことができた。だが、銃なんて前世含め一回も使ったことなんて無かった訳だから、そりゃあもう大変だった。
そんな甲斐あってか、俺が知ってる中で一番のお嬢様校に入学することができた。トリニティ総合学園ってとこ。
いやー、まーじで大変でしたよ。何が大変かって、妹と母さんを落ち着かせることがよ。俺がいざ家から出て寮で暮らすぞってなった時
「寮生活!? 聞いてないんだけど!?」
「私も初耳よ!? どうなるか分からないんだし、家から通える所にしなさい!」
ってな感じで、ガチで止められてた。まあ、こうなるって分かってたから黙ってたんだし。母さんや妹には悪いが、俺は友達を部屋に呼んで夜通しパーティとかしたいタイプの男子なんだ。家だったら家族の迷惑気にして出来ないし、どうか許してくれ。
てなワケで、今日から寮生活&学園生活が始まるってワケよ。中学の知り合いとかいるかなぁ。俺がここ行くっていうのは、まあ親しいやつには言ってるけど、そいつらがどこ行くとかは聞いてなかったし。
中学では彼女も出来なかったしモテすらしなかったが、高校ではやってやる! 夢の玉の輿を目指して!!
───そう決意して、早一週間。俺は机に突っ伏して絶望していた。何故かって?
一週間経ってもモテるどころか友達すらできてないからだよ!!
言わせんなよこんな事、恥ずかしい……(泣)
いやおかしい! だって俺ちゃんと接してるぞ!? 話しかけられたら笑顔で対応してるし、困っている子がいたら積極的に助ける様にしている。頼み事とかも大体聞いてるし、どうして!!!!
いややほんとになんでよ。俺結構頑張ってるよ? なのになんか、話しかけたら目ぇ逸らされるし、教科書忘れた時、机くっ付けて見せてもらうことになったけど、そのうち教科書だけ渡されて机離されたり。え俺嫌われてる? ま、まさかそんなワケ。
……まずい、こわい。ワンチャンマジで嫌われてるんじゃないのか俺。ちょっと不安になってきた。
「くそ、こうなったら」
マジで不安なので、このクラスの中だったら一番話す人である、聖園さんに話を聞いてみたいと思う。まあ、話すっていってもあっちが話しかけてくれるからなんだけど……。
「聖園さん、ちょっといいか?」
「うん? え、く、紅内くん!? ど、どうしたの?」
「いや、ちょっと気になってることがあって。今時間大丈夫?」
「う、うん! 大丈夫だけど」
「助かる。じゃあ、着いてきてくれ」
「う、うん。うわ〜、あっちから話しかけられちゃった。これ夢じゃないよね? うぅ、緊張する……」
そう言い、聖園さんの前を歩く。……少し顔が赤いな、聖園さん。体調が悪いのか? だったら付き合わせるのも悪いよな。
「あーっと、大丈夫か? 少し顔色が気になって」
「え!? いや! 全然大丈夫だよ! ほんと気にしないで!」
「そうか? ならいいんだけど……」
そうは言われても、やはり心配なものは心配だ。あまり歩かせるものでもないか。人も居ないし、この辺りで良いだろう。歩を止めて、後ろを歩いていた聖園さんに向き直る。
「それで、話なんだけど」
「う、うん」
くそっ、これ人に聞くの緊張するな。頼むから間違っててほしい。
「その、俺って。みんなからあんまり好かれてない感じ、なのか?」
「……え?」
「いや、答えづらいものなのは分かってる。けどその、気になって。何か悪いところがあるなら直したいと思って」
俺がそう問いかけると、聖園さんはぽかんとした表情を浮かべながら
「えっと、ほんとにそれだけ?」
「あ、ああ」
それだけってなんだそれだけって! こちとらガチで悩んでるんだぞ! 人に嫌われるってキツイんだからな!!
「ふふっ、あははは!」
「笑うことないだろ……」
くそ、なんか恥ずかしくなってきた……。てかなんでそんな笑ってんだ? そんなことにも気づかないなんてお前ほんとバカだなってこと???
「いやー、面白くてさ。紅内くんを嫌ってる? ナイナイ」
「え、あ、そうなのか?」
「うん、100%ないよ」
「? どうして言い切れるんだ?」
「え、えーっと、それは……。ひ、秘密かな! でも、嫌われてるってことは絶対ないから、安心して!」
「そ、そうか? まあ、それなら良かった」
そこまで言うってことはマジなのか……。いやー! 良かった! マジで安心した! 100%って言ってた理由は気になるけど、とりあえず安心!
「けど、紅内くんそういうの気にするんだね。今まで会った男の人って、あっちが気をつかって当然、みたいな感じしてたから、ちょっと意外かも」
「ん、そうか? まあ、俺は女の子には好かれたいからな。なるべく気をつけてるんだ」
「え!? そ、そうなの!?」
「ああ。……あっ! しまった。これ秘密にしといてくれ! 頼む!」
「う、うん。別にいいけど……」
危ねぇ〜。好かれたいから普段からああいうことしてるなんて知られたら、結構キツイぜ……。くそ、安心して気が緩んでたな。
「あ、じゃあそうだ。秘密にする代わりにさ、私の事、名前で呼んでくれない?」
「ん、ああ。そのくらいならいいぞ」
「やった! 私の下の名前はね」
「いや、知ってる。ミカだろ? 聖園ミカ。流石にクラスメイトの名前くらい分かる」
「え、わ、えっと。し、知ってたんだ……」
「ん? ああ。じゃ、よろしくな、ミカ」
「う、うん。よろしく」
「……やっぱり顔色が良くないな。保健室に行った方がいいんじゃないか?」
「そう、かもね。ちょっと行ってこようかな」
「一人で行けるか?」
「えーっと。うん、大丈夫。ありがとうね」
「そうか。じゃ、気をつけて」
そう言って、保健室へと向かう聖園さん、じゃなくて、ミカを見送る。
いやーマジで嫌われてなくて良かった。最後に気が緩んでミスしたけど、まあ大丈夫だろ! 多分!
(よし! 明日からも玉の輿狙って頑張るぞ!!)
そんな決意を抱いて、チャイムが鳴ったことに焦りを感じながら、教室へと戻っていった。
・紅内トウカ(くれない とうか)
オリ主。健全といえば健全な男子高校生。モテたい。
・聖園ミカ(みその みか)
最初のメインはこの人。なぜなら私が好きだから。可愛い。この後保健室で多分悶える。名前覚えてもらえてるとは思ってなかった。
実は感想とか待ってます。あと、オリ主の見た目って要ります?要るならてけとーに描くんですけども