貞操観念が逆転したキヴォトスでの生き方   作:オレ

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ep2.お前そんなんでモテると思ってんのか!

 

 

 さて、思い切って心の内をさらけ出した先日。

 あの日はテンションが上がっていたため思いつかなかったが、今日になりふと思ったのだ。

 

 嫌われてないならなんで俺避けられてんの??? 

 

 と。だってそうじゃない? 昨日のミカの話を信じるとして、それなら、話しかけたりした時に目を逸らされるのは何故か。

 考えに考えて、風呂に入ってる時も、家で飯食ってる時も、今日の授業中も考えて。それで一つ、分かったことがある。

 

 ほんっっとに分からん。マジで、1ミリも分からん。えだって、嫌いじゃないやつ避ける理由ある? 無くね? 少なくとも俺は見当たらなかった。

 

 このままじゃ女の子にモテるのなんて夢のまた夢。そんなのは嫌だ! ならばどうするか! 

 

「と、いう訳なんだが。何故だと思う? 妹よ」

『急に電話してきたと思ったらそんな理由? 怒るよ?』

「ほんますまん。でもお兄ちゃん困ってるんだ」

 

 我が頼れる妹に、救いの手を求めることである。いや分かるよ? そんなん自分で分かれよって言いたいのは分かる。でもさぁ、前世でも今世でも碌に女性経験のない俺が、女の子の気持ち分かるかっての! 

 

 だったら、同性である妹に聞いた方がまだ分かるだろうということで、先程電話をしてみた訳だ。

 

 そのために、態々昼休みに教室抜け出して人気の無い場所まで来たからな。どうにかしてくれ! 妹よ! 

 

「で、どうだ? なんか分かるか?」

『う〜ん。ほんとに分かんないの?』

「分からん。だから電話してる」

『流石というかなんというか。まあ多分だけど、普通に照れちゃってるだけなんじゃない?』

「うん?」

『ほら、お兄ちゃん普通の男の人と全然違うし、経験ない子だったら照れちゃうのも仕方ないと思うよ。大丈夫大丈夫。お兄ちゃんモテてるから』

「今んとこ普通に接してるだけだぞ?」

『その普通がこっちからしたら異常なの』

「ほう。では、今の俺は既にモテていると?」

『だと思うけど』

「バカ野郎! お前そんなんでモテるとと思ってんのか!!!!」

『うわっ!? 急に大きい声出さないでよ!』

 

 黙って聞いていれば、この妹は! モテとはそんな簡単なものじゃない! いくらこの世界の男女比がイカれているとしても、少し優しくされただけでモテる訳がない!!! 

 

 日々の積み重ね。些細な気遣いや、ふとした時に気づく楽しさ等、その優しさの積み重ねこそがモテに繋がる。

 つまり、まだ一週間かそこらしか経っていない現状、モテてると勘違いして気を抜くのはあまりにも愚かな行為!!! 

 

 ああ、まだまだ遠い道のりだな。しかし、諦める訳にはいかない。今を耐え忍び、全力で過ごしてこそ、未来が明るくなるのだ。

 努力、今は努力のみ。ああ、待っていてくれ、俺の玉の輿ライフ……

 

『お兄ちゃん? ちょっとー! 急に叫んで急に黙るのやめてよ! 怖いから!』

「ん? ああ、悪い悪い。それで、既にモテてるとかいう冗談は置いておいて、俺に何か直すべき所はないか?」

『別に冗談じゃないんだけど……。はぁ、もう言っちゃえば? 仲良くしたいんだけどって。絶対通るよ?』

「お前! それがどれだけ難易度の高いことか分かってるのか!? それでまた避けられたら、俺はどうなるか分からん!」

『めんどくさ……。じゃあもう、目を逸らせないようにさせちゃえば? 例えばほら、壁ドンとか』

「壁、ドン……?」

『そうそう。物理的に目逸らせないし、女の子からしたら夢みたいなシチュエーションだし、行けるんじゃない? ま、お兄ちゃんじゃ───』

「それだ!!!!」

『……え?』

 

 そうだ、その手があったか! 目を逸らされるのなら、逸らせないようにすれば良い。単純なことだが、それ故に気づけなかった。流石だ、我が妹よ……! 

 

「そうとなれば、早速練習してくる。助かった! じゃ、またな!」

『えっちょ、お兄ちゃん!? 本気にし───』

 

 興奮冷めやらぬまま電話を切る。ここまで妹の頭が良かったとは、持つべきものは優秀な妹だな。

 

 さて、早速練習に取り掛かるとしよう。しかし、壁ドンという性質上、誰かに手伝ってもらい、修正点などを話し合いたいのだが……。

 

 あそうだ、居る居る。付き合ってくれそうなやつ。電話掛けてみるか。えーっと番号は……、これだな。

 

 今出てくれるかなぁ。忙しくないといい『もしもし!?』えはっや。マジ? 

 

「わ、悪いな、急に電話して。今大丈夫だったか?」

『だ、大丈夫! 電話なんて珍しいけど、どうしたの?』

「ああ、実はちょっと付き合ってほしくてな。今校舎裏来れるか?」

『え??? あ、うん?? 大丈夫だけど???』

「そうか! じゃあちょっと来てくれ」

『わ、わかっ、た。うん』

 

 よーし、なんとかなったな。くくくっ、待ってろよクラスメイトの方達。もうすぐ俺と目を合わせて話してもらうぜ……

 

「き、来たよっ」

「えはっや」

 

 そんなことを考えていたら、先程の電話から数十秒しか経っていないのにミカが来た。いや早すぎん? ちょっと怖いくらい早いんだけど。

 

「それで、その。さっきの電話なんだけど」

「あ、ああ。そう、ちょっと付き合ってほしくてな」

「ほ、本気?」

「? ああ。本気だ。本気でそう思ってる」

「そ、そっか。わ、私も付き合いたいって思ってるから、よ、よろしくね!」

「そうか! それは助かる! いやー、断られたらどうしようかと!」

「え、えへへ」

 

 まさかこんなにやる気とは……。もしや、ミカも俺が避けられていることについて多少なりとも思うことがあったのだろうか? いや、このやる気、そうに違いない! 

 

 ふっ、なんて良い友達を持ったんだ俺は! そうなれば、ここでグズグズしているのは勿体ないな! 

 

「よし! じゃあ早速練習するか!」

「え? 練習?」

「ああ。時間は有限だ。早速やっていこう。これも全て、俺が他の子達と仲良くなるためだ!」

「ちょ、ちょっと待ってね? 紅内くん」

「ん? ああ、それと、今更苗字で呼ばなくていいぞ? トウカって呼んでくれ。もちろんそっちが良ければだけど」

「えっほんとに!? やったー! ……っていや! そうじゃなくてね!?」

「うん?」

「えーっと、付き合うって、どういうつもりで言ってる?」

「え? そりゃ、俺が話してる時に目逸らされたりしてるから、どうにかしてそれを解決したいって話だろ?」

「……あ、あはは。そ、そっか。うん、それはちょっと辛いもんね。うん」

 

 な、なんだ? 急にテンションが。一体何が? はっ! まさか、今一度事実を確認して、心を痛めているのか!? 

 

 なんて良い奴なんだ、ミカ! こういう人間性の人がモテるんだろうな……。確かに、ミカは友達が多い。色んな人と話してるし、他の人も笑顔だ。

 

 ふっ、俺の友人であると同時に、目指すべき場所、ということか。燃える! 燃えるぞミカァ!!! 

 

はぁ、そうだよね。告白なんて変な勘違いした私が悪いよね……。

「よし! じゃあ始めるか!」

「ああ、えっと、練習だっけ? いいよ、付き合う」

「助かる。じゃあ。その壁際に立ってくれ」

「壁? 良いけど、一体何を───ひゃっ!?」

 

 壁魏に立ったことを確認してから、ミカの顔の横、間違っても顔には当たらないよう、細心の注意を払って壁に手をつく。

 

 なるべく顔を見る形にするため、少し屈む必要がある。その関係で、大分顔が近づいてしまうが、仕方ない。

 

 ───そうマジで顔整ってるんだよなぁ……っと、違う違う。あっちが本気で付き合ってくれてるのに、邪念を抱くのは失礼だ。反省反省。

 

「と、トウカくん? これはえっと、何を?」

「何って、壁ドンだよ壁ドン。妹に聞いてな。こうすれば目を逸らせないんじゃないかって」

「う、それは、その。確かに逸らせないけど!」

「おお! じゃあ、妹の言っていたことは正しかったのか!」

「うう、絶対違う……」

 

 よーし! じゃあこれでクラスメイトのみんなと目を見て話せる! 

 

 あーっと、そうだ。喜ぶのいいが、急なことにも付き合ってくれたんだ。まずはミカにお礼をしなくては。礼儀はモテるモテない以前に、人として大事なことだ。そこはしっかりしよう。

 

「よし。ありがとう、助かったよ、ミカ。ほんとに優しいよな、お前」

「っ、そ、そう? た、助けになったなら良かったよ?」

「ああ。そこで、急に呼び出しちゃったし、何かお礼というかお詫びというか。何かないか? 欲しいものとか、してほしいこととか」

「してほしい、こと。じゃ、じゃあさ、さっき言ってたこと、このまま耳元で言ってみてくれない……?」

「うん? 耳元で?」

「あっ。や、やっぱりダメだよね! 大丈夫! うーんと、そうだなぁ」

「いや、そんなことでいいのか?」

「っえ?」

 

 なんというか、もっと大変なこと要求されると思ったから、拍子抜けというか。いや、こんなんでお詫びになるのかは分からないが、他ならぬ本人の頼みだ。やるしかあるまい。

 

 えーっと、耳元な訳だから、もう少し屈んで……あ待ってこの体勢腰やばい。これ長時間やってたらイカれる、そんな予感がする! は、早めに終わらせなくては! 

 

「よし、このくらいか?」

「ぅぁっ……だ、大丈夫。ちょっと擽ったいけどこ、これやばいよ、息も当たってきて、刺激が……!

「ちょ、ちょっと諸々まずいから、もうやるぞ?」

「う、うん!」

「今日はありがとう、助かったよ、ミカ。ほんとに優しいよな、お前」

「ぁっ──」

「えっと、こんなんでいいか? ……ミカ? ちょ、どうした? 大丈夫か!?」

「───はっ! え、あ、何が!?」

「い、いや。大丈夫ならいいんだが」

「うん! 大丈夫大丈夫! っ! ちょ、ちょっと私お花摘みに行ってくるから、ごめん! 教室戻ってて!」

「分かった。転ばないようにな」

「う、うん! じゃ、また後で!」

 

 そう言って走り去っていくミカを、腰をさすりながら見送る。

 

 あ、あの体勢やべぇ。めちゃくちゃ腰に来る。こんなの一人一人に毎回やってたら、いくら腰があっても耐えれねぇぜ。付き合ってくれたミカには悪いが、他のやつを探した方が良さそうだな。

 

 壁ドンは俺の腰の都合上失敗、と。くそ、今度他のやつにも聞いてみるか。

 

 モテへの道は遠いな。だが、俺はやってみせる! 全ては明るい未来のために!! 

 

 






・紅内トウカ
書いててこいつアホじゃね?ってなった。アホだと思う。

・聖園ミカ
書いてて思った。可哀想だなって。勘違いさせられて可哀想。けどチョロいから許しちゃう。うちのミカはチョロかわなの!
ちなみにあの後トイレで何したかはお察しくだはい


【挿絵表示】

↑なんとなくのオリ主。てけとーに描いたから参考程度によろしくお願いします。

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