エロRPG世界のED男とドスケベボディ女勇者 作:社畜だったきなこ餅
唐突な話だが、数の暴力と言うのは重要だ。
囲んで棒で殴るのはどんな状況でも有効な戦術であるし、技術力が離れていても10倍も揃えればよほど隔絶した技術力差がない限りはなんとかなる。
現実でこうなのだ、ましてや表現が誇張されがちなゲームならそれは顕著と言える。
RPGで物語が始まってすぐに仲間になる棒にも箸にもかからないキャラだって序盤は貴重な人手であり肉盾だし、SLGでも序盤の一般モブ兵士ですら救世主に見えた経験はあるだろう。
少し話が脱線したが、まぁとにかく俺が何を言いたいかと言うとだな。
「きゃ、きゃああ?!服が破れちゃうぅ!」
衣装破壊にセクハラ攻撃が横行するエロRPGなんてもの、実際に目の当たりにするとそりゃもう数の暴力を実感するというものだ。
もう何度目かもわからない迂闊でうっかりものな勇者様な女子の姿に俺は重く深い溜息を吐くと、女体に夢中でこっちに注意を欠片も向けないゴブリン共めがけて片っ端から矢を撃ち込む。
笑えるぐらい鴨撃ち状態だ、お前らその股間の欲棒の行く先を見据えるより先に背後と自分の未来を見ろよ、いや見ても殺すけど。
残った最後の一匹のゴブリン、勇者様の小柄な体に馬乗りしながら豊満な乳房を揉むのに夢中なゴブリンを背後から回し蹴りで首から上をホームランして勇者様を助け起こす。
「あ、ありがとうございます。うぅ、ゴブリンめぇ……!」
「お嬢ちゃん悪い事言わんから、家帰りなって」
「帰りません!私には勇者の使命があるんです!」
多分その勇者の使命、エロい神様と魔王のマッチポンプと言う名のエロ絵物語の為だから本気にしなくていいと思うよ。
などとはさすがに頭おかしい狂人扱い待ったなしなので言えないが、哀れなエロ同人スケベRPGの主人公としか思えない女体の勇者様にマントを乱暴に被せる。
「使命は立派だけどねぇ、破られた服を直す魔道具とかないんかね?」
「……そ、その分の旅費を武具に当てちゃって……」
「思った以上にポンコツか、とりあえず予備で持ってたコレを使いな」
エロRPG主人公としてある意味正解だけど冒険者としては不正解な事を抜かす勇者様に、俺は溜息を吐きながら懐から取り出した使い捨て衣装修理ツールを投げ渡す。
男が必要な理由? 良い事を教えよう……アルラウネとかはまだマシで、触手とかスライムは男も襲うんだぜ。
「ありがとうございます、あ。このマントお返し……」
「アホみたいに薄着なんだから森を出るまでは装備しておきな、動き易さを重視したのかわからんがあんな格好ゴブリンが一物いきり立たせるだけだぞ」
「う゛っ」
ぐうの音も出ないと言わんばかりの顔をし、今更恥ずかしくなったのか体の線がぴっちり浮き出るレオタ状の鎧姿を俺のマントで隠す勇者様。
いやまぁうん、俺はその衣装好きよ?前世のエロRPGでは雑に強くて雑にエロ攻撃誘発するし差分多いから大変お世話になったのは事実だし。
でもそれはあくまでゲームとして楽しむのが一番なのであって、現実でゴブリンやら魔物やらの慰み者にされるのを見届けるのは流石にNGなのである。
何の因果か俺が転生したこの世界は、ちょっと裏を覗けば様々なエロイベントのトリガーが地雷のように埋まっているエロRPGの世界なのは今更であるが……。
それはそれとして、この勇者様が魔物に敗北して苗床エンドすると近隣の村や町や世界が雑に壊滅するので、流石に看過はできんのだよ。
いや、うん、今世の初恋の相手で幼馴染な万事屋の娘さんが村長のクソ変態ハゲじじいにファックされてアへ顔浮かべてるの見た時は……転生者なのにガチで凹んだし。
この世界滅んだ方がいーんじゃねえかと思わなくも無かったけどさ。
というか俺自身、本来ならゴブリンが生息する森に勇者を案内してそのまま茂みで襲い掛かる竿役Aだよ本来の流れで言うと!
そんな役得なポジションで簡単にヤレそうなのにヤらないのかって? 悪いが俺はEDだ、残念だったな。
いかん考え事が長引いた、なんか呆けてる勇者様を促してとっとと先へ進もう。
「ほれさっさと奥に行くぞ、日が傾いた状態でゴブリン共の領域での戦いなんてゾっとせんわ」
「は、はい!」
俺が渡したマントが匂うのか、すんすんと臭いを嗅いでいた勇者様に森の奥へ進むよう促しつつ歩き出す。
「臭いだろ? すまんね……独身男だし森に潜ってる事のが多いから洗濯は雑なんよ」
「い、いえ!安心するニオイです!」
「俺から話振っといてなんだけど、変態みたいな事言うね君」
「酷くないですか?!」
そんな軽口を叩き合いつつ森の最奥へ進み、ゴブリンリーダーが率いる群れと相対……せず遠目から共に確認する俺と勇者様。
「確か……魔王の残滓だか、魔石を取り込んでるんだっけか……お、首元にあるヤツがソレか」
「え?な、なんでわかったんですか?!」
「はい静かにー、なんでかって? まぁアレだ、狩人の勘とかそう言うヤツだよ」
ちなみに魔石を取り込むと自身のみならず周囲にも欲望を伝播させる、平たく言うと大体エロくなる。ひでー話だわ。
今回の冒険は言ってみれば原作では最初のチャプターの話だが、基本1対多勢を強いられる関係で大体ここか道中で勇者は処女喪失&異種妊娠のコンボを決める事が多いのは内緒だ。
ボス戦で負けたら? 苗床ボテ腹出産エンド一直線待ったなし、その後神の力でエロ経験と記憶だけ持ってボス戦前まで巻き戻しよ。
改めて考えると尊厳もへったくれもないひでー話極まりない。
「とりあえず魔石……はこの距離から撃ち抜いて破砕は流石に難しそうだな、取り巻きまとめて吹っ飛ばすから後は流れでよろしく」
「え?わ、わかりました!」
俺の言葉に勇者様はきょとん、とした顔を浮かべるとすぐに顔を引き締めて力強く頷く。何で会って間もないただの案内人をそこまで信用するの?アホなの?
「はってさって数はひのふのみの……見える範囲で6匹、それと合わせて巣穴からの増援といった所か」
背嚢から特別製の矢……目標にぶつかると爆炎を撒き散らす宝石を括りつけた特注品を矢じりにした矢を3本ほど取り出すと地面に細心の注意を払いつつ突き刺し。
こちらに相手方が気が付く前に、まずゴブリン達が密集している中心付近めがけて発射。着弾と同時に激しい衝撃と閃光が撒き散らされる。
なお特注品とカッコつけたが何て事はない、少しだけ値段が張る使い捨て範囲攻撃アイテムをせっせこせっせこ加工して作っただけの代物だが割と便利な事この上ない一品だ。
魔法の炎だから森や草に引火する心配もない、RPGで明らかにおかしい火力の魔法をブッパしても地形に影響がない理論の賜物だな!
「あ、ゴブリン達がこっちに気付きました!」
「大丈夫大丈夫、慌てない慌てないっと」
取り巻きが取り巻きだったものにジョブチェンジする中、ゴブリンリーダーが全身を煤に汚しながらこちらを指さして怒号を上げている。
予想通りの動きに口角が吊りあがるのを感じつつ、俺が即座に放った二本目の爆炎矢はゴブリンリーダー……の横を通り過ぎて今にも増援が出てきそうになっていた巣穴の中へ着弾、直後轟音が響く。
「あの、コレ大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫、かもしれない」
「かもぉ!?」
地面を伝ってきた振動に勇者様が振り向いてこちらに問いかけるが、まぁ多分恐らくきっと大丈夫だろう。
魔法って便利だな!!
「そんな事よりリーダーは任せたぞ勇者様、増援は適時こっちで処理するからきっちり仕留めてきてくれ」
「あ……はい!」
なんで任せたぞって言葉にそんなに気合入れるの君、そこはむしろボス戦も手伝えぐらい感じてもいいところだと思うぞ。
ちなみにその後は殆ど消化試合みたいなものだったので割愛する、ゲームの方でも一撃はでかいけど雑魚による拘束が無ければそんなに怖いボスでもなかったしな。
そう言えば敗北無しでボス戦を終わらせると、神が気を利かせて敗北シーンの回想を埋めてくれるって仕様だったけどどんな感じになるんだろうな。
「ぇ、ぅ、ぁ……」
「おーい大丈夫かー?」
「ひぅっ?! へぁ?!は、ひゃい、大丈夫れす!」
「どこからどう見ても大丈夫じゃないだろう、さっさと森を出て今日は宿で休みな」
顔を真っ青にしたり真っ赤にしたり内腿をすり合わせてもじもじしている勇者様の様子に、何度目かもわからない溜息を吐きながら少し離れたところから声をかける。
やっぱ魔王とマッチポンプしている神なんて碌なもんじゃねーわ。
そんなこんなで森を出て変態糞ハゲ村長、の息子である現村長に勇者様と共にゴブリンの駆逐完了を報告する俺と勇者様。
変態糞ハゲ村長? なんか数年前に事故で山の中で野垂れ死んだらしいよ、いやぁ初夜権だの味見だの称して薬使ってまで村の女食い荒らして恨み買ってたからねぇ。
山歩きでも行かないようなところで死体が見つかったそうだけど、一体誰が殺ったのやら。怖いねー。
「あ、あの、シルクスさん。その……」
「おう村長(現)そんな怯えんなよ、お前さんが真っ当な村長やってる限りは俺は何もしないよ?」
なんか勇者様が村長ハウスを出た後呼び止められたけど、なんか村長(現)が必要以上に怯えてるけど俺は別に隔意もなんもありゃせんのよ。
ほんとほんと、狩人嘘つかない。
お前さんは嫁さんと子供幸せにして村守ってりゃそれでいーのよ。
「んじゃ、ゴブリン共も始末付けたし暫く大丈夫だろうから。前から話してた通り俺は村出るわ」
「ま、待ってください!話を!」
「何を話すって言うんだ? お前も父親になったんだ、兄貴分だった俺の背中に縋るのはやめろ」
尚も言い募ろうとする村長(現)に背を向けて家を出る。
ぶっちゃけカッコつけてるけど、惚れた女が変態糞ハゲ村長(故)に寝取られた末にソイツの息子であり弟分だった村長(現)の嫁になってる村にいるのは、その、辛いでござる。
顔合わせ辛いし合わせて何話せばいいかもわからんから、あいつの気配感じたら速攻で身を隠す生活にもすっかり慣れたわ畜生!
そうして生まれ育った村を出る事になった俺なわけであるが。
「今後ともよろしくお願いしますね!」
「お、おう」
なんか成り行きで勇者様の仲間になる事が決定した。
いいのか?俺は良くて序盤の数合わせと雑魚散らしにしか使えない由緒正しい一般通過モブだぞ?!
そしてそんな事よりだ、とても重要で大事な事がある。
「そう言えば勇者様の名前、何だっけ?」
「今更?!」
雑なキャラ解説
『主人公(シルクス)』
エロRPG世界に転生してしまった哀れな一般通過男性。
原作だと数多いる名無し竿役の一人だったが、まさかの名付きキャラに昇格。
ついでに幼馴染が村長に寝取られたショックでEDになったが、前世では特に大きな罪は犯していない模様。
RPGキャラとしては雑魚チラシやら何やらと便利だがボス戦には使い辛い、典型的な中盤以降で戦力外になるキャラである。
次は追放モノだな!!
『勇者様』
エロいRPGのドスケベボディ的女勇者。
世界と神の導きにより冒険と戦いの度にエロ経験値が増加する運命の下で勇者をやっている。
今の所未経験だが潜在的にはエロいしその兆候はすでに出ている模様。
エロRPGのスラム街ってテンション上がるよね。
『変態糞ハゲ村長(故)』
主人公の脳を破壊した何処に出しても恥ずかしくないエロRPGの竿役。
原作では勇者ちゃんをぬっぷぬっぷしたり薬を盛ったりと好き放題ヤリたい放題の所業だったが、今作では勇者ちゃんと出会う前に御山でお亡くなりになった模様。