エロRPG世界のED男とドスケベボディ女勇者   作:社畜だったきなこ餅

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10話を大幅に改稿した上での投稿となります。
推奨BGMはクレイジータクシーの主題歌、『All I want』です。


過去改変は計画的に行いましょう

 

 

魔石が弾けたかのような衝撃を感じた次の瞬間、目の前の景色がぐるりと入れ替わる。

自分の身体がまるで自分のモノじゃなくなっていくような錯覚と共に、上下左右の感覚すら失われていく。

 

ともすればこのまま意識が霧散し溶け消えていく、そう感じるほどの濁流めいた時の流れを遡上する。

そして意識を取り戻した時には、俺はリリィの家ではなく……かつて住んでいた村の自室の中でベッドに横たわっていた。

 

 

「戻って、これたのか?」

 

 

窓から差し込む朝陽から大体の現在時刻を推察しつつ目の前に自身の手をかざす。

本来の俺の手には勇者の嬢ちゃんを咄嗟に庇った時に、魔物の攻撃で貫かれた傷跡が残っていた筈だがその痕跡は見受けられなかった。

 

ついでに胸元には手の中で弾けた筈の魔石がへばりついていた、痛みはないが取れそうにねえなコレ。

 

 

「……いや待て、俺があの瞬間を見たのは確か雪が降り始めた頃だ」

 

 

一方窓の外から差し込む光は明らかに冬口どころか秋でもない、生命力に満ちた夏の光だ。

俺が決定的な瞬間を見てしまった季節に比べて明らかに早すぎる。

 

よくよく考えてみれば俺は確かこの頃からクソ村長の指示で、山林に籠って狩猟に集中していた。

その結果リリィに会う回数が減って……。

 

 

「クソが!どうしようもない間抜けじゃねえか!」

 

 

その結論に思い至った瞬間俺はもどかしさすら感じながら寝間着から着替え、外套を羽織って家を飛び出して。

鳥がさえずる朝の時間、村の中を疾走してリリィの家へと向かう。

 

俺の仕事場と呼べる山林は、俺の家から見てリリィが切り盛りしていた雑貨屋の反対側に位置する。

その位置関係が、仕事の忙しさを理由にリリィの様子を頻繁に見に行けなくなった理由だと今なら言える。

 

 

「む、狩人の……お主には狩りにぃ!?」

 

「邪魔だクソ村長!!」

 

 

途中明らかに浮かれた足取りでリリィの雑貨屋へ向かおうとしていたであろうクソ村長に遭遇。

勇者の嬢ちゃんとの旅路による経験か、はたまた胸元に張り付いた魔石の効果か……村長の目的と欲望が可視化される。

 

そして見えた内容を理解した瞬間俺は、速度と勢いのまま飛び上がりクソ村長の顔面に渾身のドロップキックを叩き込んだ。

このカス野郎、今日この日リリィをヤろうとしてやがった……!

 

 

「このまま地面でやすり掛けしてやってもいいが……」

 

「あふんっ?!」

 

 

くるくると回転しながら地面に叩きつけられて昏倒したクソ村長に追い打ちのストンピングをかましつつ、高速で思考を巡らせる。

優先度を間違えちゃいけない、このクソ村長より大事なのはリリィの方だ。

 

俺は一旦クソ村長を適当に脇道へ蹴り転がすと、振り返ることなくリリィの雑貨屋へ向けて駆け出した。

とは言うモノの村は言うほど広くなくすぐに目的地である雑貨屋が見えてくる。

 

そう言えばこの雑貨屋もかつてはリリィのご両親であるおじさんとおばさんが切り盛りしていたが、俺が戻って来たこの年から一年前に流行り病で二人とも亡くなったんだよな……。

おい、考えれば考えるほどリリィの状況が詰んでる上に……リリィの状況に気付かない俺の目が節穴にも程がありゃしないか?節穴過ぎて向こう側の景色見える有様じゃない???

 

俺は彼女の雑貨屋に入る前にふと浮かんだ自身へのツッコミを振り払うと、平常心を気持ち取り戻してから雑貨屋の入口の扉を開ける。

 

 

「リリィ、邪魔するぞ」

 

「……あ、どうしたの? シルクス、この時間に来るなんて珍しいね」

 

 

雑貨屋の扉を開けて入ると、勇者の嬢ちゃんとの旅路の中で幾度か嗅いだ経験のある甘ったるい匂いが鼻をくすぐる。

そしてカウンターの上で頬杖を突きながら頬を紅潮させつつ物憂げな顔をしていたリリィは、俺が入ってきたことに気付くと慌てて笑みを浮かべている。

 

俺は彼女の言葉に軽く手を挙げて反応を返しながら油断なく視線を巡らせ、魔石の疼きが導く先にあの時は知る由も無かったアロマポットを発見した。

 

 

「なぁリリィ、この香瓶って前からあったか?」

 

「あ、それはね。気持ちが落ち着く香瓶らしいの、村長さんがふさぎ込んでる私にくれたんだけどね。頭がふわふわして落ち着くのよ」

 

 

あの時は見落としていた香瓶こと、淫欲を高める的な効果を持つソレを手に取ってリリィへ問いかけるとビンゴだ。

ゲーム的に言うと使うだけで淫乱度が上がるとか、その手の類のアイテムだが……両親を失って気丈に頑張っている彼女に前村長のカスはこうやって付け込んだのだろう。

 

 

「なるほど……そぉい!!」

 

「何してるのー!?」

 

 

だがソレはもうなくなった!と言わんばかりに扉を開けると、全力で振りかぶって山へ向かって放り投げる事でサヨナラバイバイする。

しかし当然届くわけもなく、丁度起きて此方へ向かおうとしていたっぽい村長に香瓶が直撃。村長が再度昏倒した、しょうがないね。

 

ついでに背後からリリィの全力のツッコミと共に勢いよく飛び蹴りが飛んで来るがコラテラルダメージだ。

 

 

「待てリリィ、これには山よりも高く海よりも深い理由があっての行動だから。まずは落ち着いて聞いてほしい」

 

「……まずは言ってみなさい」

 

「あの香瓶は淫乱になる香薬、そんでもって村長は今日お前に股間の欲棒を突き立てようとしていた」

 

「待って、情報量が多すぎる」

 

 

簡潔に説明したつもりだが、言葉が少なすぎたのか頭を押さえて顔をしかめるリリィ。

だがしかし、どこか思い至る節があるのか普段なら俺にツッコミの蹴りの一つも入れてくるのにそうする気配はない。

 

 

「だけど……うん、そうね。コープに仕事押し付けた村長がしょっちゅう店に顔出すし、私のおっぱいやお尻に手を伸ばしてくるのをはたき落として追い出しても。出禁にする気にはなんでかなれなかったし……」

 

「思い至る所しかなさそうじゃん」

 

「そうね、私もほんとどうかしてたわ……ありがとう、シルクス」

 

「いいってことよ」

 

 

俺の凶行ともいえるはっちゃけたムーブが良い気付けになったのか、リリィは大きくため息を吐きながら危ない所だったと小さく呟く。

コレでしばらくは大丈夫そうだな、第一段階クリアーと言ってよいだろう。

 

 

「じゃあ俺ちょっとコープとっ捕まえて、下克上大作戦してくるわ」

 

「少しも安心できる要素ないわよ、というかその……なんで私が危ないって事に気付いたの? ほら、アンタ……ずっと狩りで忙しかったじゃない」

 

 

次の行動に移るべく雑貨屋を出ようとした俺の外套を掴みリリィは問いかけてくる。

クソ、勢いに任せて出ようとしたら失敗した。こうなるとコイツ納得するまで離さない程度には頑固なんだよな……。

 

未来から来たとか説明してもまぁいいのだが、そうすると何故未来から来ないといけなかったのかまで説明しないといけなくなる気がする。

それならばソレっぽい理由を真実織り交ぜてでっちあげるべきだ、俺は刹那の間にそう結論付けるとリリィへ向き直って口を開く。

 

 

「狩りをしている時に不思議な石を見つけてな、願いを言えっていうからリリィが大丈夫か知りたいと願った」

 

「そ、そうなの……? でも、そんな怪しいモノ、大丈夫なの?」

 

 

俺は胸元を広げて張り付いた魔石を見せると、信じられないモノを見るかのような目で彼女は俺を見つつも心配そうに見上げてくる。

明らかに怪しい話だが実際自分が助けられている、その事からリリィは信じる事にしたらしい。 こいつチョロくない?

 

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「何でだろ……力強い言葉なのに、大丈夫じゃない気配しかしないわ」

 

 

しかし俺のEDの原因である過去を取り除いたのにEDが続くとなった場合、どういう因果関係になるんだろうか?

EDが先かEDが後か、もはやEDのゲシュタルト崩壊である。

 

ともあれ多少ぐだったがリリィを納得させた俺は雑貨屋から退出すると、クソ村長と鉢合わせる。

この爺、息子であるコープと祖父と孫ぐらい離れてるのにスケベへの執念が強すぎる。

 

普通顔面ドロップキックからのストンピング、更には薬瓶投擲直撃したら諦めない?

 

 

「小僧、貴様さっきから……おぶぅっ?!」

 

「オラぁ!!」

 

 

村人の目線がある中で声高に俺を糾弾しようとしたクソ村長に先制攻撃ボディブローを叩き込む。

突然の俺の凶行に村人から悲鳴が上がる中、くの字に折れ曲がり悶絶する村長の襟首をつかむと俺は騒ぎに乗ずる形でそのまま村長の屋敷へ向かう。

 

 

 

「おーっす、コープいるかー」

 

「いるけど忙し……父さん! シルクスさん、一体何がどうなってそうなったのですか!?」

 

 

最早取り繕うのも惜しいとばかりに、村長屋敷の扉を蹴り開けると使用人相手に色々と指示を出して忙しそうにしていたコープが振り返り。

引きずってきたことで若干ボロボロになっている村長……自身の父親の姿にコープは狼狽しながら叫ぶ。

 

 

「このクソ爺、淫乱になる香瓶やらなんやら使ってリリィ手籠めにしようとしてやがった」

 

「そ、そんな……いや、確かに父さんは行商人から良く用途もわからない変なものを買っていたけど……!」

 

 

何かおかしいとは気付き始めていた時期のコープは俺の言葉に考え込むと、自身の記憶や帳面と照らし合わせて疑う事無くその言葉を受け入れる。

まさかの自分の息子にすら信じてもらえてなかった事に、村長が何やら喚いているが俺達は全力でスルー。

 

 

「で、どうするよコープ。コイツのせいで新しい村人もすぐ出ていって定着しないし、なんなら村の資産すら欲望で食い潰すぞ」

 

「……こんなのでも、僕の父です。乱暴な真似はしたくない……」

 

「気持ちはわからないまでもないけどな」

 

 

俺の意見としては後腐れなくブチ殺して山に埋めるという事を言外にコープに対して仄めかせ、コープはその言葉に同意を見せながらも命を奪う事にためらいを見せる。

一方クソ村長は自身の意思をガン無視された状態で、自分のこれからが決められかねない事態に喚き立て使用人に色々叫んでいるが無視されている。

 

若い頃ならいざ知らず、ここ数年はコープに仕事を全部押し付けて遊び歩いて傍若無人に振る舞っていたからな。コイツに人望など欠片もない。

まぁ、だからこそリリィが壊された未来で村長が行方不明になっても、誰も本気で捜索しようとしなかったんだけどな。

 

 

「だけどよコープ、ぶっちゃけコイツが強権振るえる状態が続くのは良くないだろ? お前さんも仕事押し付けられてるのに権限がないから苦労してるだろうに」

 

「ソレはその通りです……」

 

「コレは簒奪じゃない。 革命、そう……revolutionだ……!」

 

revolution……!」

 

 

そうしている間に話も進む。

 

 

「よし分かった、俺としては後腐れなく山の養分にしたかったがお前がそれほど言うなら別の手を使おう」

 

「良かった……」

 

「そんなに嬉しがるなんてな、やっぱり父親は大事か?」

 

「それはそうなんだけども、それ以上にシルクスさんが手を汚さなくて済むのが僕は嬉しい」

 

「……そうか」

 

 

コープの言葉に俺は後ろめたさを感じながら頬を掻く。

あの時俺達は、もっと早くから互いに言葉を交わし続けるべきだったんだと思い知らされる。兄貴分だから弟分だからという事を抜きに。

 

 

「よし、村長……じゃなくて前村長を地下室へ連れてくぞ」

 

「待って、この屋敷に地下室なんてあるの?」

 

「知らないのか、このおっさんが女を調教するための地下室があるんだよ」

 

「…………やっぱり、今からでも山の養分にしよう。僕がこの手でけじめをつけるから」

 

「落ち着けコープ」

 

 

俺の言葉にコープの目のハイライトが消え、ゴミ蟲を見るような目で父親である前村長を見下ろす。

息子に明確な殺意を抱かれた前村長は必死に逃げようとするが、前村長の襟首をつかんだ俺の手がほどける事はなく……俺達は使用人の案内で地下室へと向かう。

 

そして俺とコープは阿吽の呼吸で地下にある椅子に前村長を縛り付け固定した上で前村長に猿轡を噛ませると、俺はコープにコレから行う事の説明を始める。

 

 

「コープ、この爺の行動原理は女を自分のモノにして欲望を満たす事だ。ここまではいいな?」

 

「うん、実の父親ながら死んだ方がマシな人間のクズだね」

 

「おっと落ち着け弟分、その鉈で実の父の股間の息子をサヨナラバイバイさせる必要は無いぞ」

 

 

必死に助命を乞うような前村長のくぐもった叫びと泣き声をBGMにしながら俺とコープは言葉を交わす。

地下へ下りる途中でコープが何か拾ったのは見たけど、その鉈は下ろしなさい危ないでしょ。

 

 

「という事はだな、股間の欲望スティックが機能しなくなれば村の安定とリリィの安全とコイツへの制裁は成り立つワケだ」

 

「なるほど、去勢だね」

 

「だから素振りはやめろ、チン〇スレイヤーになろうとするな」

 

 

珍殺とか書かれたメンポを装着し、邪悪チン〇殺すべしとか言い出す弟分は流石に見たくないぞ俺も。

 

 

「物理的に切除も考えなくはないがリスクが大きい、そこで俺は考えた」

 

 

一刻も早い物理的去勢を敢行しかねないコープを宥めながら喋り、コープは俺の言葉の先を促す。

一方前村長は呻き声すら上げずマナーモード化と言わんばかりに全身を震わせていた。

 

 

「そも今回コイツ、前村長の凶行を後一歩で止めれたのはこの願いを叶える不思議な石のおかげなのだが……」

 

「凄いねシルクスさん、そんな胡散臭いモノを使う事に躊躇しないばかりか。そんな風に体に張り付いても落ち着いてるなんて」

 

「まぁ色々あってな、続けるぞ。 この石の力を使って俺は村長に……未来永劫勃起しなくなる呪いをかける!」

 

 

ざっとこうなった経緯を未来から来た事はぼかしつつコープに説明、あんなことになる未来はもうないから感じなくてよい罪悪感何て与える必要もないのだ。

ソレはそれとして俺の行為にコープは軽くドン引きし、俺が呪いをかけると言った瞬間前村長は激しく抵抗するかのように暴れ呻き声を漏らす。

 

 

「おうどうしたよ前村長、喜べ命だけは助けてやるよ」

 

「ぷはっ……こ、殺せ!殺してくれぇ!そんな事になるくらいなら死んだ方がマシだぁ!」

 

 

何か言いたそうなので猿轡を取ってやると、前村長は泣き喚きながらいっそ殺せと叫び出す。

命より股間の欲望が大事とか一周回って尊敬……いやできねえわ、ゴブリンかお前は。

 

俺は魔石に力を借りながら、両手から漆黒の雷光を放ち……黒く輝く呪いの塊を作り出していく。

その様子に前村長は怯え首を必死に横に振りながら、実の息子でアルコープへ助けを求めた。

 

 

「こ、コープ!お父さんを助けてくれ!心を入れ替えるから!!」

 

「……昔は尊敬していたよ、だけど僕に仕事を全部押し付けた上にリリィを毒牙にかけようとしたことは。僕も絶対許せない」

 

 

しかし無惨にもその命乞いは息子の手によって断ち切られた。

村長の仕事をしっかりと行い、欲望を律していればこうはならなかったのだろう。 だがそうはならなかった。

 

 

「死ぬまで後悔し続けろやクソ爺ぃぃぃぃぃ!!」

 

「ぎゃあああぁぁぁっぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 

圧縮凝縮を終えた呪いの弾を俺は振りかぶり、三体合体スーパーロボットの必殺技の勢いで前村長の股間へ叩き込む。

その衝撃と破壊力、そして自身の中の何かが削り取られていく苦痛と衝撃に前村長は白目をむきながら今にも絶命しそうなほどの絶叫を上げるのであった。

 

 

 

そしてそれと同時に、俺の意識が浮遊するようにゆっくりと今の身体から引き剥がされていく。

どうやら、時間遡行のタイムリミットが来たらしい。

願わくば、よりよい(未来)となっている事を願うばかりだ。

 

 

 

 

 

「この道をずっと進んだらシルクスさんの故郷の村なんです」

 

「そうなのでござるか、そう言えば勇者殿は狩人殿の村近辺に出たゴブリン退治が切っ掛けで出会ったと言ってたでござるな」

 

 

次に意識が戻った時には、倒壊した秘密基地の跡地を通り過ぎながら俺は前方で会話する勇者の嬢ちゃんと忍者を眺めていた。

突然の情景の変化に俺は戸惑いつつ、聖女へ視線を向ける。

 

 

「うふふ……上手くいきましたか?」

 

「……お前さんは、認識できたんだな」

 

「ええ、と言ってもつい先ほどですけれどもね。きっと貴方の意識が過去から戻った事が切っ掛けだったのでしょう」

 

 

俺と聖女は前方を進む二人に聞こえない程度の声量で言葉を交わす。

 

 

「どうしたんですかシルクスさん、近くを通ったから故郷の村の様子を見たいって言ったのに」

 

「言い出しっぺなら案内するぐらいの甲斐性見せてほしいでござる」

 

「すまんすまん」

 

 

勇者の嬢ちゃんと忍者がそんな事を話すのを聞きつつ、俺は自身の胸元を軽く触る。

服の下には硬質な感触を感じるから、どうやら変わらず魔石は俺の体にくっついたままらしい。 コストを踏み倒すだけじゃすまなかったようだ。

 

村に続く道すがら、畑へ視線を向ける。

改変する前に見たリリィが作り出した光景程の豊かな畑の情景はないが、それでも俺が勇者の嬢ちゃんにくっついて村を出た時に比べれば豊かな畑が広がっている。

 

その中に俺は畑の中で村人と共に畑仕事に勤しむコープの姿を発見した。

どうやら作業に集中しているのかこちらに気付いておらず、そんな彼を赤子を抱いた見知らぬ女性が愛しそう見つめていた。

ついでに杖を突いた状態のよぼよぼ前村長もいる、なんかもう遠目で見てわかる程枯れ果てていて……多分今までの人生で一番、胸がスカっとした。

 

 

上手くいくか不安だったが、どうやら確かに俺は過去の改変に成功したらしい。

そして、俺達は村へと足を踏み入れ……丁度入口近くで村人と談笑していたリリィが俺の姿に気付くと、満面の笑みを浮かべて駆け寄ってくると……。

 

俺に抱き着く一歩手前で立ち止まり、微妙に警戒心というか威嚇するような雰囲気を醸し出している勇者の嬢ちゃんをちらりと見ると。

頬を赤らめて、どこか躊躇いを見せながら口を開いた。

 

 

「おかえりなさいシルクス、それで、その……あ、アレが勃たない呪いは解除……できたの?」

 

「え、ど、どういう……」

 

「シルクスが言ったんじゃない、前村長に制裁したら呪いが自分にもきて、アレが…………もうナニ言わせるのよ!!」

 

 

突然のリリィの言葉に硬直する俺、思わず問いかければまさかの知らない過去が爆誕していた。

 

止まる思考、凍る空気、バフゥッ!と勢いよく噴き出す忍者。

さび付いた歯車のように俺は、つじつま合わせを頼んだ聖女へと顔を向ける。

 

 

「辻褄合わせには、苦労したんですよ?」

 

 

聖女はただ、うふふと笑ってそう嘯くのであった。

 




シルクスの故郷編、完!
なお過去改変の結果、シルクスは故郷から逃げる為ではなく……EDの呪いを解除するために勇者に同行して旅立った事になった模様。

読者の皆様には大変ご迷惑をおかけしました、ハッピーエンドはやっぱりゲラゲラ笑えてなんぼですよね。
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