元Sランク冒険者、弟子を取る〜引退後の生活は、おしかけ弟子のせいで滅茶苦茶です〜   作:サラダよりは肉が好き

22 / 25
今回短め。


第22話 元Sランク冒険者と、弟子の話。

 弟子たちが出かけてからそこそこ時間が経ったので、こちらから迎えに行くことにした。一体どこで油を売っているのか。

 俺、タビト、そして背中に張り付いたラソラ婆さん……もう定位置っぽくなってるよなコレ。

 

「つーかタビト。弟子取ったんだな」

 

「それはこっちのセリフだよ。あんなに可愛い子、どこで引っ掛けたんだい?」

 

「言い方が不名誉すぎるだろ……別に、成り行きだよ成り行き」

 

「ボクは……ある意味スカウトしたんだよ。旅の途中でこの街に立ち寄ってね……領主のラソラさんに挨拶しに行ったときに知り合ったんだよ」

 

「領主に挨拶って……真面目だなオイ」

 

「テツロウ……Sランク冒険者の影響力軽んじすぎじゃない?昔からあんまり気にしてなかったみたいだけど……」

 

 失礼な、結構気にしてるんだがな……まぁ、政治的な意味合いとかそういうのは全く気にしてないけど。

 

「スーザンは魔道具に詳しくてね。ボクの持っている魔道具に興味があったみたいなんだ。そうやって話をしているうちに……彼女の才能を磨いてみたくなったのさ」

 

「スーザンは天才だぇ~。ドワーフの血を引いているからか、道具全般の扱いが上手い上に、エルフの血を引いているから、自分で魔道具も作れるぇ~」

 

 ドワーフは、道具や武器、防具を作成し、扱い反映してきた種族だ。鍛冶を生業としているドワーフが多い印象だが、陶芸などの生活用品に凝ってる場合もある。ものづくりが隙な奴が、種族単位で多いのだ。だが、“魔道具”作りだと話が変わってくる。

 魔道具とは、文字通り魔法の力を内包した道具のことだ。特殊な技法を使い、既存の魔法を付与するのが一般的な魔道具。俺が所持しているアイテム袋もその一種だ。空間魔法を付与されているから、見た目以上にモノが入る。

 一見、魔法を扱えない者の為の道具に見えるし、世間一般の見方はそうだが……実はそうではない。

 適正の無い魔法を扱える上、素材、形、魔法……これらを工夫すれば“魔法を普通に扱うより強力だったり、利便性の高い”効果が見込める。

 そんなことをしようとするなら、もちろん莫大な魔力が必要なわけで……魔道具を作成するのは、エルフなどの魔力量が高い種族が行う場合が多い。ドワーフは腕力はあるが、魔力量はそれほどではない。

 ……が、スーザンはその限りではないようだな。

 

「エルフとドワーフの血を……?珍しいな」

 

「エルフとドワーフって仲悪いからね……でも、スーザンの両親はとても仲が良いそうなんだ。今は仕事の関係で王都へ呼ばれているんだって」

 

「ほーん……というかラソラ婆さん。今の話から考えるなら……ドワーフなのか。小柄だとは思ったけどよ」

 

「ワシ、ドワーフの中でも デカいからぇ~」

 

「ドワーフは男じゃないと違いが分かりにくいな……」

 

 ……仮に、スーザンがドワーフとエルフの良い所を全て受け継いでいたとしたら……ドワーフの腕力と器用さ。エルフの頭脳と魔力量を引き継いでいることになるが……。

 

「……まぁ、お前が弟子に取るくらいだ。優秀なんだろうな」

 

「今から将来が楽しみだよ。……ミャゲルちゃんはどうなんだい?」

 

「どうもこうも……見たまんまだよ。猫の獣人で、騒がしい。……が、“俺がBランクの頃やってたトレーニング”に、逃げずについてくるポテンシャルはある」

 

「え゛……相当だね」

 

「根性がありすぎて怖い……このまま死なずに成長したら、届くかもな。Sランク冒険者まで」

 

「……テツロウがそこまで言うなんて……普段人のことなんてほとんど褒めないのに」

 

 ミャゲルのバトルセンスは本物だ。簡単に言うならば、本番に強いタイプ。強くなるための努力を惜しまない。心も強い……だから、折れた時が心配でもあるけどな。

 

「現時点でも、Bランクの魔物なら何とか対処できるだろうし……対人なら、余程のことが無い限り負けねぇよ。多分」

 

「なるほどね……でも、スーザンも負けてないよ」

 

 なんて弟子の話をしていると……スーザンを見つけることができた。どうやら、カフェで休憩しているようだが……向かいに、誰か座ってるな。

 

「やっと見つけた……どうしたんだいスーザン。買い出しにこんなに時間がかかるの珍し……ね……?」

 

「あ、お師様~」

 

「……ねぇ、スーザン……その、向かいに座っているのは……」

 

 ……スーザンの向かいに座っているのは、こう……爆発に巻き込まれた後のギャグマンガみたいな……簡単に言えば、アフロ的な髪型になった……。

 

「あ、師匠!聞いてください!私、勝ちましたよ!」

 

「何にだよ。どっちかっていうと負け側の恰好だろソレ……」

 

 ミャゲルだった。所々服も焦げてるし……買い出しで何やってたんだよ。……大体予想はつくけど。

 

「ミャゲルさんと少し手合わせを……悔しいですが、やられてしまいました~……」

 

「へぇ……スーザンに勝ったんだ。すごいねミャゲルちゃん」

 

「本当にギリギリでした……!色んな魔道具だけでも大変なのに、スーザンちゃんがパワフルで……!何とか全てを駆使して勝ちました!」

 

「ミャゲルちゃんは……こう、残像が見えてました~……これでDランクは嘘ですよもう~……」

 

 ……残像?

 

「……おい、ミャゲル。重り外したのか?」

 

「みゃい!?……えーっと……ごめんなさいぃぃぃぃぃ!!!」

 

「よいしょ」

 

「師匠!?どこからともなくいつもの2倍の重りをつけないで……!あぁっ鍵もついてる……!」

 

 まったく……負けず嫌いなのは良いことだが、重りを外しちゃ意味ないじゃあないか。はっはっは。

 

「スーザンも、勝手に模擬戦はしちゃいけないよ?」

 

「ごめんなさい~……どうしても、実力を知りたかったんです。……文句なしの合格でしたけど~」

 

 ひと悶着あったらしいが、どうやら問題なくダンジョンへは行けそうだな。

 ……あとは、ラソラ婆さんの願いをどうするかだが。……ダンジョン攻略してから考えるかね。

 




慣れないジャンルだと、毎日投稿はやはり難しい……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。