元Sランク冒険者、弟子を取る〜引退後の生活は、おしかけ弟子のせいで滅茶苦茶です〜   作:サラダよりは肉が好き

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短め投稿。キリの良いところで区切ってるので実はあまり文字数を気にしていなかったり、ラジバンダリ。


第7話 元Sランク冒険者と、弟子同士の模擬戦。

 ミャゲルの声が聞こえたので、俺は全力でその場を離れようとした。これ以上の厄介事はごめんだ!俺は帰らせてもらう!

 しかし、俺の身体を囲うように淡く光る白色の輪が現れ、俺を拘束する。

 クソッ!無属性の拘束魔法だ!しかも俺を拘束する程とは……まさか!

 

「やれやれ……待たんか」

 

「やっぱりお前かミランダ……!何しやがる!」

 

「どうやら、お主の事で揉めているようじゃぞ?行ってやらんのか?“師匠”?プクク……」

 

 こいつにミャゲルの話はしていなかった筈……!

 

「どうして知っているのか、という顔をしておるの?何、その答えはすぐにわかるわい」

 

「やめろ!俺を引きずるな!目立つだろうが!」

 

「案ずるな。ここら一体に認識阻害の魔法はかけておるわい。目立つことはありはせん。あそこの獣人の娘と、我が弟子以外にはのう?」

 

 騒ぎの渦中だった場所の近くへ引きずられる。そこにはミャゲルと、ヒューマン……現代で言うところの人間の少女が凄い剣幕で向かい合っていた。

 

「師匠……まさか、あなた拳王テツロウの弟子なの?」

 

「えぇそうですよ!私は師匠の一番弟子なんですから!」

 

「そう……なら、アタシの見込み違いだったのね。あんな臆病者の弟子が優秀な筈ないわ!」

 

「その臆病者っていうのは取り消して下さい!!!」

 

「い・や・よ!」

 

「シャーっ!」

 

「ぐぬぬ!」

 

 なんか言い合いしている。ミャゲルが猫みたいにシャーって言っている。というかミャゲルお前!俺が居ることは秘密だって言ってるだろうが……!

 

「あそこで言い争ってる片方は、儂の弟子じゃ」

 

「はぁ!?……ってまさかお前」

 

「うむ。面白そうな会話をしていると思ってな。魔法で気配を消して聞いていたのじゃ」

 

「この性悪ババア!」

 

「誰がババアか!四捨五入すればまだ500歳じゃ!」

 

「充分ババアだろうが!」

 

 一体なにがあったかは知らないが、ミランダが認識阻害の魔法をかけておかなければ俺の存在が明るみになるところだった……!変なところで気を利かせてないで、言い合いになる前に止めてやればよかったものを!めんどくさい匂いがプンプンする!

 

「しかし……ふむ、それもまた良しじゃな」

 

「何がだよ!いたずらを思いついた子供のような顔をするな、オイ!」

 

「というわけで……」

 

「わけもクソもないから、俺を引きずってアイツらのとこへ行くな!!」

 

 ミランダは、俺を引きずってとうとうアイツらの目の前へ近づいて行く。何をしようとしているか知らないが、こういう時のミランダはロクなことを考えない。

 冒険者時代、同じような顔したミランダは……思い付きの新魔法を試してパーティーの性別を逆転させたことがあった。あのときは阿鼻叫喚も良いところで、しばらくは気まずい雰囲気が流れて酷い目にあったのだ。

 クソ!拘束が解けねぇ!どんだけ魔力込めたんだコイツ!

 

「これこれ……子供のような喧嘩はやめんか。サリーナ」

 

「なによ!……って、み、ミランダ先生!」

 

「えぇ!?ミランダ様!?……って、師匠!?どうして引きずられてるんですか!?」

 

「俺が聞きたいわ!……はぁ、何してんだお前」

 

「それは……そのう……」

 

 バツが悪そうに両手の人差し指を合わせるミャゲル。俺のことバラしたんだし、まぁ心中は穏やかではないよな。俺もだよ。

 

「あ!ど、どうしてミランダ様が……!?……っていうか、もしかして、サリーナちゃんの師匠って!」

 

 ごまかしやがったコイツ!

 

「……えぇ、ミランダ先生よ。というか、師匠って言ってたわね。もしかして、そこの引きずられてる小汚い男が……」

 

「はい!私の師匠、テツロウ様ですっ!」

 

「誰が小汚いだこの野郎。おいミャゲル、弟子ならまずそこを否定しろよ」

 

「でも土埃まみれですよ?」

 

「俺の本意じゃねぇよ……!」

 

 臆病者っていうのは否定するのに、小汚いのは否定しないんだよな……天然入ってるからか、ミャゲルはたまに言葉の火力が高い。無意識に人の地雷とか踏み抜きそうである。

 

「何ともまぁ気の抜けたやり取りじゃのう……しかし、お主たちよ。言い争いはそこまでにせい。公に話す内容でもないだろうに」

 

「それは……ごめんなさい師匠!」

 

「まぁ……そこの小娘以外にバレてないから……良くないけど良い。どうせ俺がここに居るからって良い触らす奴でもないだろ?」

 

「誰が小娘よ臆病者。……えぇ、別に誰かに言ったりしないわ。逃げ出した奴になんて、誰も見向きもしないだろうし」

 

「だから!それを取り消して下さい!!師匠は、師匠はちゃんと強い人です!!!」

 

「だから!取り消さないって言ってるでしょ!!」

 

「これこれ、言った傍から始めるでない。……これは言い合いでは決着はつかなそうだのう、テツロウ」

 

「決着つける必要ないだろ。平行線なら二度と関わらなければ良いだけの話だし」

 

「……エルフの儂が言うのもなんじゃが、人としてどうかと思うぞ?」

 

 別に、事実を言ってるまでだ。どうしてミャゲルがあそこまでムキになっているのかは知らないが、他人と深く関わるとロクなことにはならない。合わない奴とは線を引くべきだ。

 

「若き女性冒険者同士じゃ。この縁を口喧嘩で失わせてしまうのは惜しい。そこでじゃ。その勝負。儂が預かろう」

 

「ミランダ先生……一体どういうおつもりですか?預かるとは……」

 

 そうだそうだ言ってやれ小娘。そしてとっととミランダと消えてくれ。

 

「冒険者ならば……その力にて主張を通す時も訪れる。どうじゃお前達、いっそのこと模擬戦で白黒つけるというのは」

 

「「……へ?」」

 

 ポカンとした顔した2人。俺も同様に間抜けな顔をしていたと思う。……ミランダの奴め、一体どういうつもりだ?

 




弟子VS弟子。結果は果たして……。
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