宍戸丈 LP4000 手札1枚
場 銀河眼の光子竜、黒焔トークン×2
伏せ 一枚
魔法 冥界の宝札
田中ハル LP4000 手札1枚
場 ヴァルキュルスの影霊衣、ユニコールの影霊衣
伏せ 二枚
二体も儀式モンスターが並ぶと流石に壮観である。だがユニコールの影霊衣の
ただヴァルキュルスのドロー加速は面倒だ。デュエルモンスターズの基本はどれだけハンドアドバンテージを稼ぐかどうかといっても過言ではない。出来ることならヴァルキュルスは早々に排除しておきたいところだ。
「俺のターン……ドロー!」
そのためにも先ずは新たなるモンスターを召喚することだ。
「俺は二体の黒焔トークンを生け贄に捧げる! そして可変機獣ガンナードラゴンを召喚ッ!」」
【可変機獣 ガンナードラゴン】
闇属性 ☆7 機械族
攻撃力2800
守備力2000
このカードは生け贄なしで通常召喚する事ができる。
その場合、このカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。
ガンナードラゴンの攻撃力は2800。ヴァルキュルスの2900には届かないが、そこは銀河眼の光子竜に任せればいい。丈がガンナードラゴンを呼び出したのは冥界の宝札のドロー加速のためである。
「……む?」
だが丈が冥界の宝札の効果でドローしようとして気付く。冥界の宝札の効果が発動していない。それどころか冥界の宝札が破壊されている。
「どういうことだ? どうして冥界の宝札が発動しない」
「――――それは私がこのカードを発動していたからだ。罠カード、砂塵の大竜巻。フィールドの魔法・罠を破壊する。これで冥界の宝札は破壊させて貰った」
「!」
冥界の宝札は永続魔法だ。砂塵の大竜巻で破壊されてしまえば効果を発揮することは出来ない。
二枚ドローが出来なくなったせいでハンドアドバンテージが一気に困窮してしまった。冥界の宝札がやられてしまえば、どうしても手札の消費に補充が追い付かなくなる。冥界軸の最大の弱点だ。
「俺はバトルフェイズに移行。銀河眼の光子竜でヴァルキュルスの影霊衣を攻撃、破滅のフォトン・ストリームッ!」
「相手が攻撃宣言したその瞬間。罠発動、次元幽閉。攻撃してきたモンスターを除外する」
【次元幽閉】
通常罠カード
相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
その攻撃モンスター1体をゲームから除外する。
銀河眼の光子竜が吐き出した破壊光線が、空間が裂けて出来た穴に吸い込まれていく。だが次元の裂け目はそれだけには留まらず、銀河眼の光子竜をも呑み込まんと迫ってきた。
冥界の宝札がやられた上に銀河眼の光子竜まで失っては破滅だ。これだけは通すわけにはいかない。
「銀河眼の光子竜のモンスター効果! バトルステップ時、自身とバトルする相手モンスターをゲームより除外する!」
次元の裂け目が銀河眼の光子竜を呑み込む寸前、銀河眼の光子竜とヴァルキュルスの影霊衣が場から消滅する。
対象を失ったことで次元幽閉の効果は不発に終わった。
「まだだ! まだガンナードラゴンの攻撃が残っている! ガンナードラゴンでユニコールを攻撃ッ!」
「罠発動、攻撃の無敵化。フィールド上のモンスターを一体選択する。このバトルフェイズ中、選択したモンスターは戦闘及びカード効果では破壊されなくなる」
「だがダメージは受けて貰う」
田中LP4000→3500
ガンナードラゴンの砲口が無敵のオーラを纏ったユニコールに弾き返された。
次元幽閉と攻撃の無敵化。厄介な二枚のリバースカードを取り除くことはできたが、結局儀式モンスターを一体も倒すことができなかった。
「……バトルフェイズを終了。除外されていた銀河眼の光子竜とヴァルキュルスはフィールドに戻る。ターンを終了だ」
「私のターン、ドロー。強欲な壺で二枚のカードをドローする。センジュ・ゴッドを通常召喚、デッキよりブリューナクの影霊衣を手札に加える。
更にブリューナクの影霊衣を手札より捨ててクラウソラスの影霊衣を手札に。そしてクラウソラスの影霊衣を捨てて影霊衣の降魔鏡をサーチ」
またしても先のターンの同じ流れで連続サーチする。みるみるデッキが圧縮されていくのが見るだけで分かった。
そしてここまで流れが同じとくれば、これから田中ハルがなにをするのかも予想はつく。もっとも予想できても、それを対処できるかどうかは別問題であるが。
「手札より儀式魔法、影霊衣の降魔鏡を発動! 墓地の影霊衣をゲームより除外! 除外したレベル合計と同じレベルの儀式モンスターを降臨させる!
私が墓地より除外するのはブリューナクの影霊衣とクラウソラスの影霊衣!」
【影霊衣の降魔鏡】
儀式魔法カード
「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。
「影霊衣の降魔鏡」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、
自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、
またはリリースの代わりに自分の墓地の「影霊衣」モンスターを除外し、
手札から「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。
レベル6のブリューナクとレベル3のクラウソラスでレベル合計は9。トリシューラとまったく同じ数値だ。
「破壊神より放たれし聖なる槍よ、今こそ魔の都を貫け! 儀式召喚、顕現せよ! トリシューラの影霊衣ッ!」
またしてもあの破壊龍の化身が場に降臨した。
前のターンは『天罰』を伏せていたので、その反則気味の除外効果を防ぐことができたが、今の丈にトリシューラの力を遮る術はない。
「トリシューラのモンスター効果! 相手フィールドのカード、手札、墓地のカードを一枚ずつ選択し除外する!
私が選択するのは銀河眼の光子竜、一番右の手札、墓地の冥界の宝札。悉く消え去るがいい。氷結のフリーズ・アウト」
銀河眼の光子竜と手札と墓地、三枚のカードが除外されてしまう。
丈の手札はハンドレス。対して相手の場には三体の儀式モンスター。絶体絶命の窮地というやつだ。
「バトル。ヴァルキュルスの影霊衣でガンナードラゴンを攻撃、ヴァルキュリア・ブレイカー!」
ヴァルキュルスの放った極大の魔法が、ガンナードラゴンを木端微塵に消し飛ばした。
丈のライフが100ポイント削れ、これで丈を守護するモンスター全てが消える。
「続いてセンジュ・ゴッドで相手プレイヤーに直接攻撃、千手観音!」
「速攻魔法、終焉の焔! 黒焔トークン二体を場に出現させる!」
「ならば攻撃対象を黒焔トークンに変更、黒焔トークンを破壊する。続いてユニコールの影霊衣で黒焔トークンを攻撃。そしてトリシューラの影霊衣で直接攻撃!」
宍戸丈LP4000→1200
二体の黒焔トークンが連続で粉砕され、トリシューラの氷の刃が丈のライフをごっそり抉っていく。
だがどうにか持ち堪えることはできた。ライフさえ保ってくれれば、まだ勝機はある。いつの日だったか三邪神三体が並んだ時と比べればマシな状況だ。
「バトルを終了。ヴァルキュルスの影霊衣のモンスター効果、センジュ・ゴッドとユニコールの影霊衣を生け贄に二枚ドロー。ターンエンドだ」
全ては次のターン。次のターンで逆転の糸口を掴むことができなければ、丈はここで負けることになる。