ダンジョンに魔軍司令が居るのは間違っているだろうか   作:ナナシの権蔵

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次回予告なんてするんじゃなかったorz


第11話

 

 木の陰から出て来たのは日除けを兼ねたフード付きローブに背負った大き目の荷物。見た目は旅人か行商人だが…

 

「貴方はオラリオの冒険者ですか?」

「…尋ねるのなら顔ぐらい見せたらどうだ?」

 

 聞き覚えのある声に動揺して一瞬言葉が詰まったが何とか言葉を返す。高圧的な言い方だが許せ、こっちはすでに混乱してるんだ。

 俺は原作はある程度知っているがアニメは見ていない。だがこの声はどこぞのポンコツクルセイダーや大鎌を振り回すちびっ子と類似した声だ。ならコイツはアニメに出ている原作キャラか?

 

「…失礼、人が空から降って来ると言う非常識に混乱していたようです」

 

 捲られたフードから見えるのは水色で癖のあるショートヘア。幼さの残る美貌は知的な眼鏡で印象が可愛いから美しいに変わっている。鋭い眼光が美しさと相まって強い威圧感を感じさせる、原作でも五指に入る苦労人。

 

「貴様は確か……アスフィ・アル・アンドロメダだったか?」

「…えぇ、そうです。私の事をご存知なのですね。申し訳無いですが私は貴方と会った記憶は無く…」

「知らんで当然だ。配達の依頼で1年程前に海国デイザーラに行った時にパレードで偶然見掛けただけだからな。まぁ俺も顔と名前程度しか分からんが…」

「あぁなるほど。アレは成人の儀を兼ねた私のお披露目でしたからね」

 

 原作開始時点ではヘルメス・ファミリア団長。原作前の暗黒期にて前団長が亡くなり、それを継いでヘルメス・ファミリアの団長になったLv4の冒険者、だった筈だが…

 

「ふむ、お互いに聞きたい事は有るがこんな場所で立ち話も無粋だな。そこの木陰で休憩がてら話したいと思うがどうする?」

「こちらも少々疲れているのでそうしていただけると助かります…えっと…」

「ハドラーだ。バルドルの恩恵を貰っているが冒険者としては活動していない」

 

 念の為に先行して軽く周りを伺う。特に危険は無さそうだが休むのに適した場所は見当たらない。

 

「無いなら作るか…『デルパ』」

「!?」

 

 丁度良い木陰が無かったので仕方無く懐に入れていた[魔法の筒(道具版)]を取り出し、中のアイテムを呼び出す。

 

「…収納の魔道具、ですか?」

「そうだ。中身が全部出るのは欠点だがな」

 

 筒からキャンプ用のテントを出して端を木に括り付けて日除けを作る。テントと一緒に収納しておいた箱からヤカンとグラスを持ち出して海国デイザーラで手に入れたコーヒーを濃い目に淹れる。それに氷を入れて冷ましたコーヒーをグラスに入れてアイスコーヒーの完成させる。

 

「素人の趣味だが温い水よりはマシだろう」

「………」

「どうした?」

「い、いえ、まさかコーヒーを淹れるのに魔法を使うとは思ってもみなかったので…」

 

 そう言えば村では普通に見掛けるが他では魔法は極一部にしかつかえないんだったか。

 

「さて、落ち着ける環境は整った。まずはそちらから話してもらえるか?」

「ありがとうございます。私の目的はオラリオにいる、とある神の眷属に賠償金を支払わせる事です」

「神本神ほんにんでは無く眷属にか?」

「はい、詐欺を働いた2柱は既に捕らえ、欲しがっていた神の元に出荷しました。ただその際に兵士や建物に被害が出ましたので」

 

 何かあればすぐに神威を垂れ流す神を捕らえたのか。これはアスフィや海国デイザーラの評価を改める必要があるな。

 

「それでハドラーさん、貴方は先程神バルドルの恩恵を受けてらっしゃるとおっしゃられてましたよね」

「間違いないがそれがどう繋がる?」

「今回の件、学区の方々に協力願えないかと」

「戦力が目当てか?」

「はい、実は今回の件以外でもオラリオの冒険者が原因の被害が幾つかあるのです。父が何度かギルド長のロイマンに手紙を送りましたがまともな返答は一切無く、とうとう我慢の限界が来てしまいました」

 

 なるほど、オラリオの冒険者は大半が馬鹿かクズが基本だしな。まともなのはガネーシャとアストレアくらいしか残らんか。

 

「私としては望ましくないですが父は剣制都市ゾーリンゲン魔法都市アルテナ、さらにはラキアまで巻き込んで全面戦争を計画しています」

「正面からはやるだけ無駄だな、戦力が違い過ぎる」

「分かっています。数よりも質、私も独自に戦力をかき集めていますが上位はLv4と5が2人ずつでまだ足りません。だからこそ学区に、いえ【ナイト・オブ・ナイト】レオン・ヴァーデンベルグに力を借りたいのです」

 

 おい待て、コイツ今サラッとLv4と5が手配済みと言わなかったか?今の時代にオラリオの外で?そう言えば闇派閥イヴィルスにゼウス・ヘラに近いのが居たが…

 

「まさかとは思うが闇派閥イヴィルスか?」

「あんな連中の手を借りるくらいなら玉砕した方が遥かにマシですっ!」

 

 ヤバいキレた。

 

「そもそも海国デイザーラが捕らえた神の片方が闇派閥イヴィルスの所属、奴らは既に不倶戴天の敵ですっ! 我が国では連中と確定したのなら見つけ次第始末しても良いと王命まで下っているんですっ! それを…」

「待て待て、さっきの不躾な発言は謝罪するからひとまず落ち着け、美しい顔が台無しだ瞳孔を開らくな血管切れるぞ」

 

 取り敢えず鎮静作用が有って胃にも優しいハーブティーを淹れてアスフィの前に出す。

 

「失礼、取り乱しました」

「いや、こちらこそすまなかった」

 

 相当腹に据えかねる何かがあったようだ。流石は原作屈指の苦労人、平穏な時代ならばこうはならなかっただろうに哀れな……

 

「俺はこれから港町メレンで魚を仕入れてから学区に戻る予定だ。アスフィ嬢が良ければ同行しないか?」

「こちらとしてはありがたい話ですが…」

「俺もオラリオに思う所はあるからな。どうせならレオンも巻き込んでオラリオやギルドに思い知らせた方が後の世の為になる。さっきの発言の詫び代わりでは無いが多少の手助けくらいはな」

 

 

 最初はアスフィの手を掴んで飛んで行こうと思ったが少し前に飛翔呪文トベルーラで失敗したのを思い出し、別の手段に切り替える。

 懐に入れていた[魔法の筒(道具版)]から試作型[魔法の絨毯]を出して魔力を注ぐ。フワリと浮かんだ絨毯に軽く汚れを落とした靴のまま上がる。

 

「あ、あのっ、ハドラーさんこれは!?」

「これは[魔法の絨毯]と言う移動用の魔道具だ。移動がてら説明はするからまずは乗ってくれ」

 

 恐る恐る絨毯に乗るアスフィ。立ったままではバランスが悪いので真ん中付近の座布団に座ってもらい、俺は運転席に当たる一番前の座布団に座る。

 更に魔力を込めてイメージすると絨毯が動き出す。同時に防護膜呪文フバーハが展開されて風や砂埃を防ぐ。

 

「凄い⋯」

「さてアスフィ嬢、試作品だが乗り心地はどうだ?」

「不思議な感じです。絨毯で浮いているのに足元の感触はしっかりしていて……何と言うか、言葉では上手く表現出来ませんね。ただこれは私の知る魔道具の中で一番素晴らしい物です」

「まだまだ欠点は多くて試作の域を出んがな」

 

 一定の高さまで浮かせるのに魔力を馬鹿食いするし、防護用の膜にもかなり魔力を取られる。魔力を溜める機構も材料不足でまだだし加速と減速のリミッターも付いていない。現時点ではそれなりに魔力を持つ慣れた者にしか使えない残念な仕上がりになっている。

 

「そう言われると速度の出し過ぎや急に止まったり落ちた時の対策が不十分と言えますね」

「浮いて移動する事を優先した弊害だな。後は一般人が乗る想定をしてなかったことか。自分かレオン辺りにしか使わせる予定は無かったからその辺の考えが足りんかったか…」

 

 作り方を教えればアスフィは稀代の道具製作者アイテムメイカー、もっと良い物を作るだろう。予定には無かったが彼女を勧誘するのもアリか。

 そんな風に考えながら俺はそれなりの速度で港町メレンへ向かった。

 




うん、何故こうなった………
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