ダンジョンに魔軍司令が居るのは間違っているだろうか   作:ナナシの権蔵

12 / 14
前半は数行のナレーションで終わるはずの港町メレン。何故こうなった…


第12話

 俺が初めて港町メレンを訪れたのは半年程前だ。

 その時に漁に関する知識や海の魔物退治でニョルズ・ファミリアの眷属たちと仲良くなった。それからニョルズの紹介で宿屋や魚屋、料理人たちとも仲良くなり定期的に氷を卸す関係になった。お陰で魚介類は安く手に入る。

 今日は今まで誰も食べずに捨てていたらしいタコを見つけたので譲ってもらい、苦戦しながらもどうにか作れたタコ焼きをニョルズたちに振る舞うと大絶賛。製法と専売権を純利益の1割で売り渡し、穴開き鉄板(32個焼き)は予備を含めた10枚の内の8枚をプレゼントした。

 コレの本来の使用用途はベルたちのオヤツ、ベビーカステラモドキである。

 

「貴方が私の神かっ!?」

「止めんかド阿呆、俺は魔族で神はお前だニョルズ」

 

 俺に対して片膝を地面に付き仰ぎ見るように両手で祈りのポーズを取るニョルズ。ハリセンが有ったら間違いなくシバいていたぞ。あと元ネタを知らんから周りがドン引きしてるぞ、神の威厳はどこに行った。

 

「はっはっはっ、冗談はさておき地下氷室の2号が完成した。広さは1号の倍はあるが大丈夫か?」

「もう出来たのか、まぁそれくらいなら問題無い。だが広い分だけ維持コストが高くなるのは避けられん。そっちの方こそ大丈夫なのか?」

「この間ウチの眷属が3人も階位昇華ランクアップしたんだよ。1人は魔力の高い子でな、今ならその子1人でも1号を維持出来るようになったんだぜ」

 

 氷室の壁裏や床下には氷結呪文ヒャドの呪文板が仕込んであり、入り口にあるスイッチと繋がっている。此処に魔石を置くか魔力を流すことで呪文が発動し、中を冷凍庫のようにしている。

 この呪文板は俺が開発したアイテムで、魔力を流すだけで呪文が発動する。コレが便利グッズの基であり、タコ焼き鉄板には火炎呪文メラの、水筒には水流呪文ザバの呪文板を仕込んでいる。他にも要求魔力は高くなるが火炎呪文メラ水流呪文ザバを組み合わせた鍋やポット等もある。

 ただし複製防止の手間を加えたせいで効率は悪い。呪文板本体やスイッチまでの導線はミスリルを使っているが、カモフラージュの為に全体を鉄で覆い鍍金メッキを施している。そのせいで魔力伝導が悪くなり効率が悪化した。

 

「さてニョルズよ、すまんが今日は先約があってな。作業が終わればすぐに町を出ることになる」

「随分と急いでるな?」

「それなりの厄介事だ。慌ただしくなるだろうが、ある程度話が進むまで絶対に秘匿しておきたい。いざと言うときには必ずお前にも伝える故、どうか今は口を噤んでもらいたい」

 

 アスフィから聞いた海国デイザーラでやらかした馬鹿2柱はよりにもよってヘルメスとエレボスだった。最初はエレンと名乗っていたそうだが、自白剤を飲ませたら闇派閥イヴィルスとの関係やら【暴食】【静寂】を巻き込んだ踏み台計画やらと色々吐いたそうだ。馬鹿に効く薬もあったんだな…

 ともあれ大抗争の主犯が行動不能になったのでザルドたちを探しに行く必要が出来た。あの2人は放置すれば死ぬまで竜の谷付近で過ごしそうだ。死ぬ間際にゼウスやヘラに今生の別れを告げるような性格じゃ無いからな、ひっそりと勝手にくたばりそうだ。

 ちなみにアスフィが手配済みと言っていたLv5は闘国テルスキュラのアルガナとバーチェで、馬鹿2柱と貿易税の緩和を条件に手を組んだようだ。参加戦力はカリフ姉妹にヒリュテ姉妹でカーリーと世話係も来るらしい。アスフィの外交能力優秀過ぎんか?

 

「では近い内にまた顔を出す。壮健でなニョルズ」

「あぁ、また会おうハドラー」

 

 こちらの機微を察して割とあっさり別れを告げるニョルズ。空気の読める常識のある神は本当にありがたい。過度の贔屓は駄目だが多少の融通は利かせねばならんな。

 

 

 学区へ向かって絨毯で飛びながら今回の件をどうするか、俺はどう動くかを考える。大抗争が未然に防がれたのは喜ぶべき事だが闇派閥イヴィルス共が健在のままなのはよろしく無い。俺の悠々自適な生活と推しキャラの為にも奴等は根絶する必要がある。

 そう考えるとオラリオVS諸国連合はギルド、と言うよりロイマンの横暴と冒険者共の性根を叩き直す良い機会でもある。ゴミ掃除も兼ねて俺が参加するのもアリだろう。

 

「アスフィ嬢、もしバルドルとレオンが参加しなかった場合はどうする予定なのだ?」

「……幾つかプランはありますが最終的にはこちらの負け、最高に良くて引き分けでしょうね。私としてはあちらに爪痕を残し、これからの干渉を少しは妨げられれば御の字です」

「レオン抜きの戦力差で引き分けか。ならばレオンがいればどうなる?」

 

 正直、彼女の策を聞くのが怖い。だが聞かねばもっとヤバい事が起こると俺に無い筈の直感サイド・エフェクトが警鐘を鳴らしている。

 

「最短かつ万事こちらの都合良く動いたならフレイヤ・ファミリアを倒してオラリオ側を降伏させて終わりですね」

「…俺にはさっぱり分からん」

「今のは結果だけで過程を省略しましたから。レオン殿が居れば因縁のある【猛者】が出てきます。ロキがフレイヤに共闘を持ちかけてもギルドが片方は残るように動くでしょう。2大派閥の片方はオラリオに居残りです。ここが第1の賭けですが両方が出てくれば開幕から総力戦、あちらの半数を倒すのが限界でしょうから負けですね」

 

 アスフィは紙に賭け1、分岐と記しその横に敗北と書く。至極あっさりと負けると言い切る辺り、何度も流れをシミュレートしたのだろう。自分でその結果を覆す要素を探して旅する行動力は認めよう。王女の1人旅には少し物申したいがそうせざるを得ない状況なのは理解している。やはり苦労人だ。

 

「【猛者】は1対1に拘るでしょうからレオン殿を囮に【黒猫】【黒拳】カリフ姉妹で囲んで討ち取り、幹部のエルフたちはクロッゾの魔剣で精神を逆撫でして数で潰します。あとは総力戦の流れでフレイヤ・ファミリアを潰せれば勝ちです。ロキ・ファミリアが相手なら経済封鎖を軸にオラリオへの供給を絶っての持久戦ですね。【勇者ブレイバー】が交渉に出て来るでしょうから徹底的に貶めます。弱者にしか威張れない詐欺師に用は無いとね」

 

 ゼウス・ヘラ追放の件か。

 

「レオン殿が居なければ初手経済封鎖で、その内痺れを切らしたこちらの戦力が戦いを挑み各個撃破され、最終的には敗北でしょう。ただこの一件に乗じて闇派閥イヴィルスが動けば引き分けに持ち込める可能性が生まれます」

「アレだけ嫌っているのに闇派閥イヴィルス頼りの策なのか」

「連中を嫌悪しているのは確かですが私はオラリオやギルドも嫌いですから。共倒れして諸共滅べと思う程度ですが…」

 

 そのレベルの殺意は思う程度ではすまんと思うぞ。

 

「動き出したのは最近だろうに、よくもまぁそれだけ手段を講じれるものだ」

「たらればを語ればキリが無いですが、もっと時間があればと思ってしまいます。エレボスが【暴喰】と【静寂】を煽ってオラリオに向かわせられればソレで終わりだったんですが…」

「ブフォッ…!?」

 

 イヤな予感はこれかっ!?

 

「どうされました魔軍司令殿、御顔が優れない様ですが?」

「顔が優れないって不細工だと言いたいのか!?…ってそうじゃない、お前まさか…」

「『ダイの大冒険』。コレで分かりますよね」

 

 コイツ転生者か!!?




知り合いの作家さんから「勢いで書くと話が勝手に膨らんで収拾つかなくなり、続きが書けなくなってエタる。プロでも偶にやっちゃうからプロットは用意しとけ」とありがたい注言を頂きました。

でも実践しようとしたら1文字も書けなくなったorz
なのでエタ率上がってもノリと勢いでテケトーに頑張ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。