ダンジョンに魔軍司令が居るのは間違っているだろうか   作:ナナシの権蔵

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読み返したら最初以外ほぼ日常回…


第7話

 

 少々行儀は悪いが、俺は昼食を食べながらベルにこの後のことを話した。

 新鮮なモツが手に入ったので夕食はモツ煮込みにすること。その準備と調理にかなり時間を取られるため、昼からは遊べないこと。

 何か思うところがあったのか、ベルは残念そうな暗い表情を見せた。すぐに顔を振ってそれを引っ込めたベルは晩御飯楽しみにしてるねと笑いながら言って部屋に戻って行った。

 

 

 

 血腥ちなまぐさいモツを洗いながら、何処かで見た表情をしたベルを思い出す。その危うさに気が付いたのは一通り洗い終えた後だった。アレは原作の『豊穣の女主人』でクソ犬ベート・ローガの言葉に店を飛び出した時の顔だ。その後は感情のままにダンジョンで無茶な戦闘を繰り返しボロボロになった。

 原作にベルの幼少期はほとんど無いし、この頃に悔しさを露わにした描写も無かった。俺と言うイレギュラーのせいで、もうすでに原作はズレている。だが今回のズレはかなりマズイかも知れない。

 

 原作のベルは俊敏が高く、短剣二刀流で大剣も使い魔法も撃てる軽戦士だった。しかもチャージが使えるから砲台も出来て、威力の高い魔法剣アルゴ・ウェスタまである。これにチートと名高い憧憬一途リアリス・フレーゼが搭載されて、半年くらいでLv5になった。

 Lvアップの経緯を聞けば熟練の冒険者でも軽く死ねるような地獄を乗り越え続けたのだから当然か。しかし物語故のご都合主義と言われればそれまでだがどれも本当に紙一重だった。ほんの僅かなズレでも死んでいたのだ。

 一度ゼウスと腹を割って協議するしかない。これは俺とベルの分岐路だ。ベルを原作から切り離すか否か。

 

 それはさておき、煮込みは手間暇が掛かる。

 今夜の協議の結果によってはこの夕食がベルとの今生の別れになる可能性もある。ならば今までの場合せ間に合わせな料理ではなく全力の料理を食べさせよう。

 

 

 

 〔本日の夕食〕

 レイナの平パン

 茸入り熊肉のモツ煮込み香草仕立て

 木の実のシャーベット

 温め直した熊肉の塩串焼き(ゼウスのみ)

 

 

「すっごいモグモグ…お肉がモグモグ…柔らかいっ!」

「うむ、そして美味い」

「自画自賛だが良い出来だ。料理は基礎を押さえての応用と工夫だ。この前のスープも時間を掛けて煮詰め肉と野菜を入れてやればシチューになる。同じ肉を焼くのも肉の厚さ、焼き加減で大きく変わる」

 

 喋りたいけど食べたい。そんな感じのベルについ料理を語ってしまう。

 

「俺は焼く、煮るしか出来んが他にも蒸す、揚げると言うのもある。その辺りはレイナが知っているかもな。料理は本当に奥が深いぞ」

 

 このまま料理人でも目指してくれれば原作から大きく外れる。それが良い事なのか、それとも悪い事なのか俺には判断が付かない。ベルに救われた連中には不幸だろうが、その中にわざわざ助けようと思うほど思い入れのあるキャラは居ない。後のことを考えると面倒が増えるがほぼ全員が嫌いなロキ・フレイヤのファミリアなど潰れてくれて構わない。闇派閥イヴィルスさえ消してしまえばガネーシャ・アストレアの両ファミリアで治安は守れる。

 

 

 

「さて、昨日の話の続きじゃが…」

「状況が変わった。先にこちらの話を聞け」

 

 ベルが寝たのを確認したゼウスと対面する。

 大まかな原作の流れ、現時点での差異、そしてベルの未来の予想と俺が目指す未来の予定。

 

「俺は早急に強さが必要になった。貴様の恩恵ファルナを寄越せ。スキル次第で今後の予定を立てる」

 

 




サイコロの神様の啓示により、原作は崩壊します。
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