イージス護衛艦「はぐろ」、がんばります。   作:gotsu

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前回、前々回に比べたら短いです。
知らないうちにお気に入りがまた、大量に増えていて驚きました。ありがとうございます。


魚雷を探します。

「すいません...私の魚雷、知りませんか?」

 魚雷?撃った魚雷が当たったかどうか知りたいのだろうか?それにしては困ったような声で聞いてきたの。

「魚雷ならイクに当たったの、命中なの。」

 相手が求めていた答えかどうかはわからないけど、とりあえず答えてみるの。

「あ、あの、そのあと魚雷はどこに行きましたか?」

 その後?当たったあとの事を気にしているの?変なヤツなの。

「イクに当たって浮いていったの、その後は知らないの。」

 そう言うと、さっき艦橋の中に入っていった女の子が、また外に出てきて海を真剣な顔で見つめ始めたの、見張り妖精にも何か言っているみたいなの。

「いったいどうしたの?」

 その様子を不思議に思ったイー19は聞いてみる。

「あ、あの、すいません......私の魚雷、一緒に探していただけませんか?」

 魚雷を探す?ずいぶん変な事を言っているの、いくら新型魚雷と言っても、こんな大海原で魚雷1本探すなんて、砂漠の中の針を探すのと同じなの、ほおっておけばいいと思うの。

「どうして探すの?無くしたらそんなに困るの?」

 思った疑問をそのまま口にする。

「いいえ、無くしても大丈夫なんですが......ちょっと高価な魚雷なんです、できれば拾って帰りたいんです。」

 確かに魚雷は高価なものなの、でも無くすのは当たり前なの。

 イー19は、そこでさっき自分に当たった魚雷を思い出す。

 

...さっきの新型の魚雷なら、普通の魚雷より高価で、もしかしたら司令から無くさないように言われているのかもしれないの。

 そう思って少し気になった事を聞いてみる。

「高価って、いくらの魚雷なの?」

「えっと、私も詳しい値段はわかりませんが......だいたい1億円と聞いています。」

 値段を聞いて、イー19は固まった、1億という単位を考えるのに少し時間がかかってしまったのだ。

「いちおく、1おく、一億円......」

 通信機を片手にぶつぶつ唱える、そして、しだいに冷静になってきた頭で声を上げた。

「「「「「1億円!?」」」」」

 イー19とはぐろのやりとりを聞いていた第11駆逐隊の4人も同時に驚きの声を上げる。

 

 

「いち、じゅう、ひゃく、……ひゃくまん、いっせんまん、おく、なんだ、0が8つか……8っつ!!!」

 深雪はゼロの数を指折り数える。

「大和さんの建造費がだいたい、1億三千万円ですから…」

 戦艦大和の建造費を参考に価値を考える白雪。

「3分の2、大和......」

 軍艦の建造費で換算することで、1億円がどのくらいの価値なのか、大いに誤解し始めた、艦娘たちであった。

 

「・・・・・・・・・」

「ちょっと、吹雪ちゃん、だいじょうぶ?」

 さっきから言葉を発しない吹雪を心配して白雪が声をかける。

「はっ!白雪ちゃん!ど、どうしよう!1億円も無くしたら、私たち!」

 我に返った吹雪は慌てる。

「と、とにかく探すの!」

 はぐろ以外の、艦娘の心が一つになった瞬間だった。

 

 

「イー19さん、そこから動かないで下さい。」

 特型駆逐艦の一隻が、魚雷捜索の音頭を取り始めたの、あれは、確か白雪って子なの。

「わかったの、それと、イー19はイクでいいの!」

「わかりました、イクさんの周りをまず探します。皆さん、集まって下さい。」

 そうして、みんなで魚雷の捜索が始まった。

「全く、大変なことになったのね!」

 捜索範囲の真ん中にあたり、動けないイー19は、魚雷を探しながら呟いた。見たことも無い船に、追いかけてくる魚雷で攻撃されたと思ったら、今度はその魚雷が1億円もする代物だと言ったの。

「呉鎮守府経由で横須賀に状況を報告するのね。」

 イー19は通信の妖精さんに声をかける。

「内容はどうしますか?」

 妖精さんがどういう文章を送ればいいか、わからないといった様子で、イクの顔を見るの、内容なんてこっちが聞きたいの。

「しょうがないから、ありのままを話すの、佐世保所属の船が訓練で、1億円の魚雷を撃って、それを探すために帰りが遅れます、以上なの。」

「りょ、了解しました!」

 通信の妖精さんは通信機に向き直り、短波通信で呉鎮守府に連絡を取り始めた。

10分後

「返信が来ました、発、横須賀鎮守府、内容は[バカナコトヲイツテイナイデオワツタナラハヤクカエツテコイ]です。」

「そんなこと言っても本当のことなの、返信、[佐世保鎮守府に確認せよ、これは本当なの。]送れなの、もう返事は聞く必要ないの、通信を切るの!」

 イクの日ごろの行いもあるけど、きっといくら言っても信じてもらえないの、でも高価な魚雷を無くして困っている艦娘を放っておくなんて、艦娘の名がすたるの、そんな事は出来ないの。

 母港横須賀からの通信を切ったイー19は、また再び真剣な眼差しで魚雷を探し始めた。

 

 

「やっぱり、なんだか、申し訳ないですね......」

 イー19を中心に、一緒に探してもらっているみんなを見て、はぐろは呟いた。

 5人は、みんな一生懸命に魚雷を探してくれています、訓練で使ったとは言っても、自分が落とした物を探してもらうのは、やっぱりなんだか悪い気がします。でも、悪い人に拾われたりして悪用されるのも困りますし、何より魚雷は高いんです、再利用できるものはしておかないといけません。

 1億円と言った時に皆さん驚かれていましたが、皆さんの魚雷も昔の値段で4万円もします、私が作られた時の値段で考えると、1億円と少しです、そう考えると、私の魚雷が特別高価なもの、という訳でもありません。

「2時間探して、見つからなかったらあきらめましょう、この後の訓練もありますし......」

 対潜訓練は、潜水艦を探し出して攻撃するだけではありません。潜水艦と模擬戦をすることもあれば、見張り妖精を鍛えるために、潜望鏡を見つける訓練もしますし、水測妖精を鍛えるために、音を聞く訓練もします。1回戦ってそれで終わり、という訳ではありません、あんまり長い間探してしまうと、次の訓練に差し支えます。

 

 

 結果的に、魚雷は1時間後に見つかった。イー19に命中したことと、イー19が、魚雷が命中した後にほとんど移動せずに浮上してきたのが幸いだった。波間に漂うオレンジ色の頭の魚雷がぷかぷか浮いているのを見て、イー19と吹雪たちはホッと胸を撫で下ろした。

「はぁ、見つかってよかったです。」

 吹雪は安堵の声をもらした。1億円もする魚雷なのだ、無くしたらどうなるか分かったものではない。あまりに集中して探していたせいか、双眼鏡を握る手には汗が滲んでいた。戦闘訓練以外でこんなに疲れたのは初めてかもしれない。

「皆さん、本当にありがとうございます。」

 はぐろさんから通信が入ります。港に帰ったら魚雷を使う時は言うようにって、言っておかなければいけません。

「無事に見つかりました、引き上げるのに少し時間がかかってしまうので、皆さんは先に訓練の続きをやっていて下さい。」

……忘れてた、まだ訓練の途中だ、魚雷探しで疲れたなんて言えない、でも、私も妖精さんも疲れて、すぐに訓練に移れそうにありません。

「あ、いえ、はぐろさんが魚雷を引き揚げてから、みんなでまたやりましょう!そうしましょう!」

「賛成なの!」

 一番にイクさんが私の意見に賛成して、程なくしてすぐにみんなが賛成してくれました。

 

 誰も口には出さなかったが、5人の心は一つ「魚雷探しで疲れたなんて言えない。」だった。

 

 

 はぐろさんが魚雷を引き揚げてから、訓練が再開されます、イクさんは、夕方には呉に向かう予定だったのですが、訓練を途中で止めるのはよくないと言って、最後まで訓練に付き合ってくれるそうです。

 夜に狭い海峡を通って帰るのは気乗りしない、ということで、明日の朝に帰るとも言っていました。潜水艦の艦娘がまだまだ少ない今では、貴重な訓練できる時間です、頑張らないと。

 

 吹雪は時計を見る。

 もうすぐイクさんが潜望鏡を上げる時間です、見張り妖精が潜望鏡を早く、より多く見つけた船が勝ちです。負けられません。

 海面を眺めていると、3本の棒が出てきました。

 「左20度、距離400メートル!」

 たまたま見ていた方向に出てきたので、素早く反応できました。他の船も次々に発見の通報をします。

 一回目はすぐに見つかりました。他の船もほとんど同じタイミングで見つけたみたいです。

「よくできたのね、今のは吹雪ちゃんの勝ちなのね、でも今のは初級問題、どんどん難しくするのね。」

 そう言ってイクさんは、また潜望鏡をしまって、次の場所に移動します。

 イクさんの言ったとおり、問題はだんだん難しくなっていって、遠くに行ってみたり、水面ギリギリに出してみたり、出す物が、アンテナだけだったり、小さい潜望鏡だったりで、いろんな工夫をこらしてきます。日が暮れてしまうと、イクさんに場所を教えてもらっても、見つける事が出来ない時もあります。イクさんの訓練は夜遅くまで続きました。潜水艦を探すのって、本当に大変です。

 




最近自分の豆腐メンタルに気づきました。
感想などお待ちしております。
後書きに脈略がなくてすいません。
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