思い付きで書き始めたものですが、何年経っても待ってくれている方がいて、嬉しくなりました。
また、次いつエタるかわかりませんが、何とかやっていけたらと思います。
「ふぅ、終わりましたね。」
浮標への係留を終えたので、一息つきます。
ふと、周りを見渡すと、沢山の軍艦が漂泊しています。そして、そのうち、一番近い駆逐艦から、艦娘らしい女の子が手をふってきました。私もその女の子に手を振り返します。
「えっと、あの艦は……」
なんていう名前の軍艦だろうかと、艦名を探してみますが、よく見えません
「おーい、見慣れない艦影だね、アタシは白露型駆逐艦九番艦、改白露型の江風だよ。よろしくな~!」
大きな声が聞こえてきました、私も嬉しくなって返事をします。
「よろしくお願いしま~す!私はまや型2番艦のはぐろです!」
「まや型だって~!、よくわかンないけど、重巡洋艦か~い?重巡洋艦がこんなところに停泊で大丈夫か~?」
「入港の時にここにしろって言われたので~、あと艦種は護衛艦ですよ~!」
「ン?よくわかンねえけど、そっか~、よろしくな~!」
「はい、よろしくお願いしま~す!」
そう言って江風さんは艤装の中に入っていきました。
「えっと、編成表は……あったあった!」
私は艦橋に戻って佐世保でもらった編成表を開きます。
「江風さんは……第24駆逐隊所属で……旗艦はあぶくまさんで……他には山風さんと海風さんと涼風さんですね。」
駆逐艦の皆さんには風というお揃いの名前があります、よくよく見ると、皆さん同じ白露型駆逐艦のようです。
白露型というと、龍鳳さんを呉まで護衛して下さった艦娘さんたちも、白露型でした。
「仲良くなれたらいいなぁ……」
そんなふうに思っていると妖精さんが一人近づいてきました。
「泊地本部から通信です「ニュウコウカンリョウゴ、ダイジュウイチクチクタイハハクチホンブマデ」」
入港したらゆっくり出来ると思っていましたが、先の戦闘のこともあってか、あまりゆっくりはできなかったようです。
「わかりました、泊地本部はちょっと遠いので、艦載ヘリコプターを準備しましょう。」
「了解しました、航空機発艦用意~!」
妖精さんがヘリコプターを準備し始めます。
「皆さん、泊地本部へ行かなければいけないみたいです、私の所に集まって下さい。ヘリコプターで行きましょう。」
「ええ!あの飛行機に乗れるんですか!?」
真っ先に返事が返ってきたのは吹雪ちゃんでした。
「はい、泊地本部は遠そうなので、用事は早く終わらせてしまいましょう。」
「はぐろさん、何人まで乗れるんですか?」
「白雪ちゃん、8人までなら大丈夫です、心配しないで下さい」
「やったぁ、飛行機なんて初めて、楽しみだなぁ」
「じゃあ、準備が出来たら私の艤装まで来て下さい。」
「せっかく終わったと思ったのに……引きこもりたい……」
「だめだよ、初雪ちゃん、もう少し頑張ろうよ!」
相変わらずの調子の初雪ちゃんに思わず笑みが零れます。
「そうですね、帰って来たらSP国で手に入れた南国の果物をみんなで食べましょう、初雪ちゃん、それでどうですか?」
「ん…わかった……」
「そうですね、私も飛行機に乗るのは初めてなので、環礁を少し遊覧飛行して行きましょうか。」
「「「「さんせー!(んっ…)」」」」
「TOWER THIS IS ワイバーン01、READY FOR ROTOR ENGAGE」
「TOWER ROGER」
ゆっくりとローターが回転し始めます。そして、それはしだいに速くなっていって、ものすごい音を響かせます。
「わわっ、はぐろさん、すごくおっきい音がするんですね!!」
お互いの声が聞こえづらくなっているせいで、大きな声で話さないと聞き取れません。
「はい!!私も初めてですが、大きい音ですね!!」
「よおっし、早く飛んじゃおうぜ!!」
「そうですね、妖精さん、お願いします!」
「了解しました、高いところが苦手な方はいませんか?」
「「「「大丈夫です!!(大丈夫…)」」」」
皆さんが、待ちきれないように返事をします。私も飛ぶのは初めてなので、飛ぶのが大丈夫かどうか、わかりません。
「じゃあ、出発します。」
「TOWER THIS IS ワイバーン01 READY FOR TAKE OFF(発艦準備完了)」
「ROGER SHIP HEADING 060°WIND 040°AT10KT ALL TIE DOWN CHAIN ARE REMOVE1、CLEARED FOR TAKE OFF(艦首方位040°風040°から10ノット、離陸を許可)」
ローターの音がひときわ大きくなって次に体がほんの少しの浮遊感に包まれます。
「わわっ!浮きましたよ!!」
「いっけぇ~!」
「ALL CLEAR(離陸異常なし。)」
ヘリコプターが甲板から出て、ぐんぐん高度と速度を上げて行きます。私たちの艤装がだんだん小さくなっていきます。そして……
「わぁ……」
眼下にはエメラルドブルーの海ときれいなサンゴ礁が広がります。
「はぐろさん、戦艦と空母が並んでますよぉ~、すごいです!!」
吹雪ちゃんが声を上げます、見ると遠くに沢山の軍艦が並んでいるのが見えます。太陽の光を反射して、きらきら輝く海にくっきり浮かんでいてとても綺麗に見えます。
「やっぱり……、来てよかった……」
「そうだなぁ深雪ぃ、飛行機の妖精さんはいつもこんな景色をみてたなんてズルいぜ!」
「もう少し回ってみますか?」
後ろの様子を気にしたパイロットの妖精さんが言います、ここはお言葉に甘えましょう。
「はい、お願いします。」
「では、停泊している戦艦群の上を一周して泊地本部に着陸します。」
「わかりました、お願いします。」
私たちの乗るヘリコプターは、泊地本部の建物に一番近い場所に停泊している戦艦群の上を一周して着陸することにしました。
「あっ、あっちに長門さんが、こっちにはこの間すれ違った扶桑さんと山城さんがいますよ!」
「あそこに並んでるのは金剛型のお姉さまみたいですね。」
吹雪ちゃんと深雪ちゃんが興奮気味に言います。泊地内には、今まで見たこともないくらい沢山の船が泊まっていました。
「凄いですね、私のいた未来では、10隻も停泊していれば、多いんですけど、沢山の艦娘さんがいらっしゃるんですね。」
「へへっ、凄いだろ!」
「はい!深雪ちゃん、凄いです!」
そして、停泊地を一周したところで着陸態勢に入ります。
「本機は間もなく泊地本部前に着陸します、お降りの方はシートベルトをお締め下さい。」
「「「は~い!(わかった……)」」」
そうして、私たちの乗ったヘリコプターは、泊地本部のレンガ造りの建物の前にある運動場に着陸しました。
「妖精さん、ありがとうございました!」
「いえいえ、艦娘さんを乗せるのであれば、いつでも使って下さい、帰りはこの無線機で呼び出して下さい。」
そう言って妖精さんは敬礼をした後、無線機を渡してくれました。
「わかりました、帰りもよろしくお願いします。」
私たちは、運動場に降りて、妖精さんが飛び立つのを見送ります。
「帰りも、お願いしますね~!」
「今度は環礁を一周だな!」
「もう、深雪ちゃん、あんまり無理させちゃダメだよ!」
白雪ちゃんが言いますが、妖精さんにお願いしてみるのもいいかもしれません。
「一周、してみたい……」
「そうですね、じゃあ、帰りは用事がないようなら妖精さんにお願いしてみましょう。」
遠くなっていく妖精さんを手を振りながら見送ります。
そうして、妖精さんが見えなくなった所で、泊地本部に向かおうとしますが……
後ろを振り返ると、沢山の艦娘さんが、こちらを見ていました。
「……だいぶ目立っちゃったみたいですね……」
白雪ちゃんが言います、確かに本部前の運動場に降りるのはちょっとマズかったかもしれません。
「すごいぴょん、睦月に聞いた通り、凄い物を見れたぴょん!」
一人の艦娘さんが走って来ます、どうやら睦月ちゃんの知り合いのようです。
「さっきの空飛ぶ乗り物は何ぴょん?うーちゃん感激だぴょん!」
「あっ、あの……」
「あぁ、睦月型駆逐艦四番艦の「卯月」だぴょん。うーちゃんって呼ばれてまっす!」
「あの、私達は第11駆逐隊の旗艦で、はぐろと言います。」
「始めまして、吹雪です。よろしくおねがいいたします!」
「白雪です。よろしくお願いします。」
「初雪・・・・・・です・・・・・・よろしく」
「深雪だよ。よろしくな。」
「姉の睦月から、みんなの事はよくきいてるぴょん、如月が世話になったぴょん、本部に用事があって来たぴょん?案内するぴょん!」
「はい、お願いします!」
卯月ちゃんはぐいぐいと私の服を引っ張って行きます。どうしようか迷っていたので、来てくれて助かりました。
「何を騒いでおるか、まだ昼前だと言うのに、さっきの風で、儂の部屋のカーテンがすっ飛んでいきおったぞ!」
「ご、ごめんなさい!」
遠くから声が聞こえたと思ったら、建物の2階から、この基地の司令官らしき人がこちらを見ています。どうやら降りる場所を失敗してしまったようです。
実際に「はぐろ」が出来てしまったので、あたご型6番艦から艦番号等も直していく予定です。