「みんな、準備はいい?」
「はい。」
「よぉし」
「おっけー......」
「「「「せーの、ようこそ佐世保鎮守府へ!!」」」」
「.........」
「あれ、はずしちゃった?」
「ご、ごめんなさい!驚いてしまって、あの、ありがとうございます!」
ドックからの帰りに寄った売店で、私の歓迎会を開いて下さいました。突然だったのでとっても驚きました。私の手には冷たいお茶と羊羹があります。断ろうとしましたが、白雪ちゃんが「それではダメなんですよ。」と言って持たせて下さいました、そういうことだったんですね。
「い…いただきますっ!」
みんなにお礼を言って、羊羹を齧ります。ほんのりとした甘さが口の中いっぱいに広がって、とっても幸せな気持ちになります。司令が「お菓子代を弾む」と言った時に、みんなが元気に返事をした理由が分かりました。
お菓子を食べ終えてから、ちょっと気になってた事を聞きます。
「あの、皆さんはどんなふうにしてここに来たんですか?」
「どんな風、って言っても、」
「ねぇ」
「気がついたらベッドで寝てたとしか」
「みんな...はぐろちゃんと同じ......」
「そ、そうなんですか!」
驚きです、気がついたらみんなベッドで寝ていたそうです。
「あの……じゃあどうしてまた戦おうと思ったんですか?」
唐突にそんな事を質問をしてしまいました。
失敗した、と思っておそるおそる前を見てみると、吹雪ちゃんが困ったように、はにかみながら言いました。
「そう…ですね……守りたい場所があるからだと思います。」
そうして時計を確認して、
「時間もありますし、ちょっと行ってみましょうか、その場所へ。」
そう言って席を立ちました。
4人に案内されたその先は、港が一望できる小さな丘、丁度、夕日が海面を美しく照らしていて、とっても綺麗です。
「きれいです......」
そんな言葉が自然と零れる。
「ちょっと待ってて下さい、もうすぐでもっといい物が見られますから。」
そう言って吹雪ちゃんが時計を確認します。
いったい何を見せてくれるんでしょうか?
「あ、来ました!」
そう言って吹雪ちゃんの指差す先を見てみると、夕焼けに照らされて美しく輝く水面に、これも夕日で美しく染まった巡洋艦が航跡を引きながら今まさに入港しようとしています。後ろには親鳥の後を追う小鳥のように、小さな軍艦が綺麗な列を作って、白波を立てながら進んでいます。
「兵器でも、こんなに綺麗になれるんです、それに、ああして見ると子供を引き連れて帰るお母さんみたいです。」
吹雪ちゃんは振り向いて言います。
「私、思うんです、この港は、私たち沢山の艦娘が帰ろうと思っていた、大切な家なんだって。」
「軍艦は、兵器です、目的は人を殺すことです。でも、そんな軍艦にだって平和な海を走れる権利があると思うんです。深海艦隊がいなくなる日が来たら、みんなと、その海を心ゆくまで走るんです。そして、遊び疲れたら、みんなで家に帰るんです。その日のために、守らないといけないんです。」
「一度別れた仲間と会えたんだから、それぐらいの望みを持ってもいいと思うんです。」
吹雪ちゃんの目が少し赤かったのは夕日のせいなのでしょうか。
そうでした、私もこの港に帰りたかったけど、その思いは届かなかった。戦争に行った多くの船が帰れなかったように。
私が、この港にいた最後の日、あの人は何て言っただろうか。
「あ、あの、えっと、じゃあ、同じ家に住む人は家族ですよね?」
不意ににそんな言葉が零れました。
「え?」
吹雪ちゃんは不思議そうに私を見ます。
私は4人を抱きしめました。
「は、はぐろさん?」
「なっ…な、な、なんですかぁ…」
「んっ…」
「ち、ちょっと!何すんだよー…!」
4人のぬくもりを感じながら、あの人の、そして私の想いを口にします。
「そうです、この家に住む私たち5人は家族じゃないですか、皆で助け合って戦って、いつか、みんなで平和な海を走りましょう、その夢を叶えましょう。」
「私も、あなたたちと平和な海を走りたいです。私も、まだ短い付き合いですけど、同じ家に住んでいる家族です。」
四人と向き合って、私は改めて言います。
「ふ、不束者ですが、よろしくお願いします!」
「「「「それ違う!!」」」」
四人の突っ込みが綺麗に揃って、私たちは自然と笑顔になります。少し涙も混じっているけど、何だか暖かい気持ちです。
私は決めました、これからの未来は分からないけど、もしかしたら悲しい結果が待っているかもしれないけど、今度こそ私はみんなを、家を、家族を守ってみせます。
私は
最強の盾なんだから。
後で書き直すかもしれません、深夜のテンションは怖い。
イージスとはギリシャ神話の最強の盾です。