イージス護衛艦「はぐろ」、がんばります。   作:gotsu

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リアルが少し忙しくなってまいりました。早く戦闘シーンが書きたいです。

1万UAありがとうございます。


入ります。

 みんなを守る決心をした私は、あの後、司令の所へ行って言いました、「私もみんなと戦います!」って。私の言葉を聞いた司令は、表情は髭で隠れていてあまりわかりませんでしたが、私の手を両手で硬く握ってただ一言、「ありがとう。」と言ってくれました。

 その後、司令から、ここでの生活の事や、明日からのことについて、お話がありました。私は明日、新しい艦娘として皆さんに紹介されるようです。明日に備えて今日の所はゆっくり休むようにと言われました。

 

 部屋に帰った私は、4人と一緒にお風呂に行く事になりました。船にあるのは狭いお風呂だけ、陸にはいったいどんなお風呂があるんでしょうか。

 

 制服で行く訳には行きませんから、浴衣に着替えて、いざ参ります。

 浴場は僚から、そんなに遠くない所にありました。今は丁度空いている時間らしく、人の出入りは見当たりません。

「ここが脱衣所です、この中に服を入れます。」そう言って白雪ちゃんが篭を渡してくれました。

 そうして皆さんがお手本を見せるように、服を脱ぎ始めました。私も遅れる訳にはいきません。そう思って手早く服を脱ぎます。制服と違って着替えに手間が掛からないので、すごく楽です。

 服を脱ぎ終わった私を四人がじっと見つめます。どうしたのでしょう?

「み、みなさん、どうしたんですか?」

「いや、格差社会と言うか・・・」

「・・・はぐろさん」

「やっぱり......」

「重巡洋艦だったんですね。」

「?」

 四人がどこか遠い目をして私に言います。私が服を脱いで何か分かったのでしょうか?

 

 扉を開くと、とっても広いお風呂がありました。船のお風呂の10倍以上の大きさはありそうです。まだ人影はなく、私たちが今日の一番風呂のようです。

 さっそく体を洗うためにシャワーの前に座ります。シャワーの使い方くらいわかります。そう思って蛇口をひねると冷たい水が勢いよく出て来ました。驚いてイスから落ちそうになりましたが、何とか頑張りました。すぐにシャワーは温水に変わります。次からは気をつけないといけません。

 体につたうお湯の感触は、何とも言えない心地よさです、浴槽につかったらどんなに気持ちいいんでしょうか。

 一通りお湯で体を流して、四人から女性の体の洗い方や髪の洗い方を教わりました。男性と違って色々と気を使う所が多くて大変です。

 

 いよいよ浴槽に入ります。シャワーの気持ちよさもあってもう我慢出来ません。おそるおそる浴槽に片足からお湯にゆっくりと沈めて行きます。

「はぁ~~」

 体を全部お湯に漬けると、自然とため息が漏れます。

 今日1日の疲れがお湯に溶け出していって、何だかふにゃふにゃになります。

 お風呂の事を命の洗濯とはうまく言ったものです。

「ね、お風呂って気持ちいいでしょ?」吹雪ちゃんに聞かれます。

「はぃ~」

 船は完全に体を洗うにはドック入りするしか方法がありません。でも艦娘になってからは毎日こんな気持ちいい思いができます。それだけでも艦娘になってよかったと思ってしまいました。

「ちょっと遠くに行くと温泉って言うもっと気持ちがいいお風呂があるそうです。私達もまだ行った事はないんですけど。」白雪ちゃんが言います。

「そうそう、海を見ながらお風呂に入れるんだって、また今度行こうぜ」

 これだけでも十分に気持ちいいのに、もっといい所があるそうです。しかも海を見ながら入れるなんて素敵です。

「そうですね、みんなで行けたら素敵ですね。」

 しばらくお湯に浸かっていると、浴場の入り口が開く音がして、湯気でよくわかりませんが、誰か入ってきたようです。

 しばらく体を洗う音がして、一人の女の子が浴槽に入ってきます。

「お疲れ様です、多摩さん。」

四人は入って来た女の子に軽く挨拶します。この子も艦娘のようです。

「お疲れさまにゃ、今日は一番風呂は逃したようだにゃ」

 そう言いながら体をお湯に沈めて行きます。

「ところでにゃ」

 タマさんが私のを見ます。

「見ない顔だにゃ、その娘は新しい艦娘にゃ?」

「はい、つい昨日この鎮守府に来られました。」吹雪ちゃんが言います。

「あの、護衛艦のはぐろです。よろしくお願いします!」

 つい浴槽で立ち上がってしまいました。お湯が周りに飛んでしまいます。

「ウソにゃ、」

「え?」

「多摩の知ってる羽黒は重巡洋艦にゃ。」

 そう言ってタマさんは私に近づいておもむろに両手を伸ばします。

「それに、こんな物が付いているのに護衛艦なんて小さそうな名前の船な訳ないにゃ、間違いなく重巡洋艦クラスにゃ。」

 そう言って両手で私の胸をさわります。

「さすが多摩さん」

「私達の出来なかった事を」

「ためらわずに......」

「やってるっ!」

 四人の驚く声が聞こえます。

「白状するにゃ、戦艦にゃ?重巡洋艦にゃ?」

私は、

 

泣いてしまいました。

 

 

 

 

 

「ごっごめんにゃあ」

 タマさんが謝ります。

「ごめんなさい、私も急に泣いてしまって...」

 あの後、私が泣いてしまったため、皆さん、お風呂から上がって、私を落ち着くまでなぐさめて下さいました。でも、どうして泣いてしまったんでしょう。

「ごめんなさい、私達も止めればよかったです。」

 吹雪ちゃんたちもシュンとしています。

「でも、どうして泣いちゃったのか、わからないんです、痛かった訳でも辛かった訳でもないんです...」

それを聞いてみんな顔を見合わせます。

 

「それははぐろさんが女の子だからです、急に見ず知らずの人に胸を触られればびっくりしますよ。」

白雪ちゃんはそう言ってタマさんの方をみます。

「多摩さんもしっかり反省して下さい。」

「返す言葉もないにゃ、思わす手が出ちゃったにゃあ。」

「思わずじゃありません、猫じゃないんですよ!」

「あ、あの、もう大丈夫ですから、気にしないで下さい。」

 タマさんも小さくなってますし、反省しているようです。これ以上はかわいそうです。

「そうですね・・・。はぐろさんがそう言うなら、もうこの話は終わりにしましょう。」

 

「そうにゃ、これからおっぱいをさわれるくらい仲良くなるにゃ、そうすれば問題ないにゃ。」

 そう言った多摩さんを白雪ちゃんがじろりと睨みます。

「にゃあ...」

 多摩さんはまた小さくなりました。このままじゃタマさんが危ないです。

「お、おっぱいが触れるかどうかは別として、仲良くしましょう、これからよろしくお願いします。」

「おお、羽黒さんは優しいにゃ、危うく白雪に雷撃されるところだったにゃ、そういえば自己紹介がまだだったにゃ。」

 そう言って、もとの大きさに戻って言います。

「球磨型軽巡洋艦、多摩です。猫じゃないにゃ。」

軽巡洋艦さんでしたか、吹雪さんたちよりもかなり大きいです。

「あの、はぐろって言います、海上自衛隊のあたご型護衛艦の6番艦です。よ、よろしくお願いします!」

「それにゃ、護衛艦とか海上自衛隊とか、聞いたことないにゃ、それに愛宕さんは四姉妹にゃ、6人もいるなんてきいたことないにゃ。」

 多摩さんが不思議そうに聞き返します。

「あ、あの、じつは......」

 そう言って今までの事を話しました。

 

多摩さんは時折驚いたような顔をしていましたが、私の話が終わると、

「にゃあ、難しい事はわからないけど、わかったにゃ、多摩たちと一緒に戦ってくれるんだにゃあ?これからよろしくにゃあ。」

 そう言って笑います。

「あ、あの、変に思わないんですか?私の事、二回も生まれ変わって、その上未来から来たなんて。」

 そう私が言うと多摩さんは不思議そうな顔をして首をかしげます。

「どうして変に思うにゃあ?変な事はこの世の中に沢山あるにゃあ、深海艦隊だったり艦娘だったり、いまさら未来の船が来たって驚かないにゃあ。」

 吹雪ちゃんたちもうんうんと頷いています。

「それに、多摩もまた姉妹の球磨たちに会えたにゃあ、それだけで十分にゃあ。」

 

 そうです、難しい事を考えても仕方ありません、生まれ変わってまた仲間に出会えたんですから、それだけで十分じゃないですか。多摩さんの話を聞いてると、未来から来たことなんて些細なことに思えてきました。

「あんまり長くこんな所にいると湯冷めして風邪をひくにゃあ、もう帰るにゃあ。」

「そうですね、もう帰りましょう。」

 私達も帰る準備をします。

 

 

「では、夕食の時間になったら呼びに来ます。」

 皆さんそう言って私を部屋まで送って下さいました。

 

 一人になった部屋で、ベットに横になって今日あった事を考えます。司令から、この世界のお話を聞いた時には不安でいっぱいになりましたが、また守るものが出来ました。守るための力も手に入れました。

「ここでも何とかやっていけそうです。」

 そう独り言を言って、彼女はいつの間にか眠ってしまった。

 

 

トントン

 部屋をノックしますが返事がありません。おそるおそる中を覗いてみると、はぐろさんは眠ってしまったようです。あんまり気持ちよさそうに眠っているので、起こすのも可哀想です。

 吹雪は音を立てないように慎重に部屋に入り、彼女に毛布を被せた。

 

 ドアの方に戻って、もう一度振り返ります。ちょっとおどおどしていて人見知りで、でもどこか頼りになりそうな、はぐろさんは、はそんな女の子でした。

「家に住む人は、家族かぁ...」

 今日言われた事を思い出す、私達には姉妹はいますが親はいません。だからそんな事はあまり考えた事はありませんでした。

 家族が危なかったら守ります。それは普通の事、でも、なぜか、その言葉を考えると少し力が漲ってくる気がします。

「私達だって守られてばっかりじゃ嫌ですよ、だって家族なんだから。」

 未来から来た彼女がどんな力を持っているかは、まだ分からないけど、もし彼女が困ったら、必ず助けよう。心の中でそう決心して、ドアノブに手をかける。

「おやすみなさい、はぐろさん。」

 そう言って吹雪は部屋を出た。

 

 廊下には三人が待っていた。

「はぐろさんは?」

「寝てました。今日はゆっくり寝かせてあげましょう。」

「賛成...」

「じゃあまた明日だな。」

 四人はそう言って食堂に歩いていった。

 




アオシマの多摩は巡洋艦の魅力がいっぱい詰まってます。

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