男が少なすぎるこの世界で、自分を負けヒロインだと思い込んでいる幼馴染と俺の【遺伝的相性】が最高だと判明してしまったんだが   作:メソポ・たみあ

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第3話 ベッドの上で相性チェック

 

 なのかは襟元に備えられたリボンを取り、ブラウスのボタンを一つ、また一つと外していく。

 

「ちょっ、なのか!? なにやって……!」

 

「こ、この方が嗅ぎやすいでしょ!?」

 

「いやそうじゃなくて、み、見え……!」

 

 ――なのかは胸が大きい。

 

 なのでブラウスのボタンを二つ三つも外せば、その渓谷が如き深い肌色の谷間(・・・・・)が簡単に露わになる。

 

 しかもブラウスの下にシャツを着ていないようで、谷間と同時に白い下着がチラリと見え隠れする。

 

 俺は反射的に自分の手の平で視界を隠そうとするが、

 

「い、いいから、ほら!」

 

 なのかは一度ベッドから立ち上がると、逃げ道を奪うように自らの足で俺の足を挟み込み、ベッドの上で膝立ちする。

 

 ……まるで対面座位みたいな体勢だ。

 

 目の逃げ場がないほどの彼女の巨乳が眼前に押し付けられ、嫌でも凝視させられる。

 

 ――もう、ほとんど、お互いが密着する距離感。

 

 なのかの体温も、息遣いも、これでもかと伝わってくる。

 

 このままでも、充分彼女の香り(・・)は感じ取れるけど――

 

「……か、嗅いで」

 

 なのかはさらに密着し、匂いを嗅いでくるよう促してくる。

 

 ――俺は、なのかの谷間に顔を埋める。

 

 そして鼻で深く息を吸い、彼女のもっとも濃い香りを確かめる。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 ……甘い、匂いがする。

 女性の、なのかの匂い。

 

 シャンプーの匂いか香水の匂いかわからないけど、甘くて爽やかな香り。

 

 だけどその中に、ほのかに汗ばんだような湿度のある匂いが混じる。

 

 むしろこっちの匂いの方が自然な人の香りのような気がして――俺にはいい匂い(・・・・)のように感じられた。

 

 ……谷間に顔を埋めたことで、なのかの体温や心臓の鼓動がハッキリと伝わってくる。

 

 彼女の体温がどんどん高くなっていくのがわかり、心臓はドクドクと激しく脈打っている。

 

 それに身体全体が強張って、僅かに震えているのもわかる。

 

 彼女も緊張しているんだ。

 

「…………ど、どう? 私の匂い……」

 

「……甘い匂いがする」

 

「それって、いい匂い……?」

 

「うん……いつまでも嗅いでいたい」

 

「ダ――ダメ!」

 

 なのかは突然、バッと俺の顔を胸元から引き離す。

 

「こ……今度は、私の番(・・・)!」

 

「へ……?」

 

「わ、私もハジメの匂いを確かめないと! お互いにいい匂いじゃないと、遺伝的相性がいいかわからないでしょ!?」

 

 なのかはそう言うと、俺をベッドの上に押し倒す。

 

 そしておもむろに、俺が着ているスクールシャツのボタンを外し始めた。

 

「ちょ……!? な、なのか!?」

 

「いいから! ……嗅がせて」

 

 彼女はスクールシャツの第一ボタン、第二ボタン、そして第三ボタンを外すと――俺の胸部に顔を埋めてくる。

 

 さっきとまるっきり逆の状態だ。

 

 もっとも俺はスクールシャツの下に半袖のTシャツを着込んでいるので、彼女と違い素肌が露わになったりはしないが――

 

「スン……スン……」

 

 Tシャツ越しであるにも関わらず、一心不乱に俺の匂いを嗅いでくるなのか。

 

 顔は紅葉を散らしたかのように真っ赤になって、額は僅かに汗ばみ、それでもピッタリと鼻を胸に押し付けてくる。

 

 きった彼女にも、今俺がどれほどドキドキしているか、ハッキリと心音でバレてしまっていることだろう。

 

「ハジメ、いい匂い……男の人の香り……」

 

 我を忘れたかのように、なのかは無我夢中でスンスンと鼻を鳴らす。

 

 ――彼女の行為は、徐々にエスカレートし始める。

 

 スクールシャツの第四ボタンを外し、第五ボタンを外し……しまいには全てのボタンを外してスクールシャツをはだけさせる。

 

 さらに下に着込んでいたTシャツの内側に手を滑り込ませ、細い指先で直に俺の肌に触れてきた。

 

「な、なのか……!?」

 

「ハジメ……いいよね(・・・・)?」

 

 ――なのかの目が据わっている。

 

 こんなに積極的な幼馴染(なのか)の姿、見たことない。

 

 俺の緊張と興奮も、もはや最高潮。

 

 ドキドキという心音はバクッバクッという太鼓を叩くような強さの音に代わり、心臓が破けてしまうんじゃないかと錯覚すら覚える。

 

 もう俺はほとんどなすがままで、なのかに身を委ねることしかできない。

 

 ――ベルトのバックルに、彼女が手を掛ける。

 

 カチャカチャ、と音を立てて外されていく。

 

 そして、いよいよなのかの指先がズボンの中に滑り込もうとした――まさにその時だった。

 

 

 

『お兄ちゃーん?』

 

 

 

 ――ドアの向こうから、突然声が聞こえてくる。

 

 俺の妹の、光永(みつなが)一二三(ひふみ)の声だ。

 

 どうやら学校から帰ってきたらしい。

 

「「――ッ!!!」」

 

 俺となのかの身体が、反射的にガチッと硬直する。

 

〝ドキーンッ!〟と心臓が跳ね上がったのは、たぶんなのかも同じだろう。

 

『玄関に靴あったけど、なのかお姉ちゃん来てるの~?』

 

 一二三はまだ中学一年生。

 

 俺とは歳が離れてるし情緒も幼いため、割と断りもなく勝手に部屋に入ってきたりする。

 

 これは――ヤバい。

 

「……ど、どうしよう、なのか……?」

 

「どうしようって……と、とにかく適当に誤魔化して!」

 

 危険を察知し、ヒソヒソ声で俺たちは相談。

 

 もし今の状況を見られでもしたら、流石に言い逃れできない。

 

「あ、ああ! でもちょっと体調が悪いみたいでな……?」

 

『大丈夫~? お薬持ってこようか?』

 

 俺となのかが幼馴染であるのと同じように、一二三にとってもなのかは幼馴染。

 

 年上のお姉ちゃんといった感じで、本当の姉のようによく懐いている。

 

 だから一二三としてもなのかと顔を合わせたいだろうが――

 

「いっ、いや大丈夫! すぐ帰るって言ってるからさ!」

 

『……? そうなの? お姉ちゃんもお大事に~』

 

「え、ええっ! ありがとう一二三ちゃん!」

 

 トタトタ、とドアの前から去っていく足音。

 

 どうやら危機は去ったらしい。

 

「「…………ハァ~~~~……っ」」

 

 一気に緊張が解れ、同時に安堵の息を漏らす俺となのか。

 

 でも……残念ながら、いい雰囲気は台無しになっちゃったな。

 




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次話は明日の12:03に投稿します。
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