新 お母さん無自覚美人過ぎです 高校生編   作:松田義和

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黒い鳥

期末試験が終わった金曜日、健太とゲームセンター帰りに駅前でバスを待ってた。ロータリーのベンチ近く、黒づくめの男が立ってる。黒のレザージャケット、黒のレザーパンツ、黒いサングラス。髪まで黒光りしてて、下着もたぶん黒だろうってくらい、全身黒。無言でキョロキョロ、誰かを待ってるみたい。映画のスパイか、裏社会のボスみたいだ。健太が「〇〇、あのオッサン、怪しくね?」と耳打ち。僕、「…うん、関わるなよ」と小声で返す。胃がキリキリ。男の視線がこっちに来た瞬間、背筋がゾクッ。絡まれたらどうしよう…。

 

「〇〇くん、健太くん、お待たせ!」その声で、駅前が一瞬、静まり返る。お母さんだ。カジュアルなベージュのニットとジーンズ、髪をゆるくおろしてるだけなのに、めっちゃ綺麗。顔がキラキラ、スタイルが際立つ。買い物帰りらしく、エコバッグにキャベツがチラッと覗いてるのが、なんかお母さんらしい。通りすがりのサラリーマンがスマホ落とし、女子高生が「モデル!?」とヒソヒソ。僕、顔真っ赤。「お母さん、目立たないでよ!」と小声で叫ぶけど、誰も聞いてない。

 

 

お母さんが僕と健太に近づこうとした瞬間、黒づくめの男がピタッとこっちを見て動かなくなる。金縛りにあったみたいに、ベンチの前で固まってる。

 

サングラス越しに、…え、涙!? 男、泣いてる!? よく見ると、サングラスの下からキラッと光る雫。僕と健太、目を見合わせる。「〇〇、アイツ、泣いてね?」と健太がボソッ。僕、「…わかんね、ヤバそう」と焦る。お母さん、天然で気づいちゃう。「あの、大丈夫ですか?」と声をかける。駅前の喧騒が、ピンッと静まる。

 

男、ゆっくりサングラスを外す。…オッサンじゃなかった、20歳くらいの、意外とイケメン!? 目が赤くて、涙がポロポロ。「あなたを目にした瞬間、なぜか…涙が出てしまいました」と低く呟く。

お母さん、「大丈夫ですか? 寒いですから、風邪ひかないでくださいね」と笑顔で返す。

 

男、深呼吸して「誰かに呼ばれたような気がして、今日、ここに来ました。その意味がわかったような気がします。」と続ける。駅前の人たちが「何!?」「ドラマ!?」とざわつく。健太、「〇〇、お前のママ、泣かせるパワー持ってんな!」とニカッ。僕、「バカ、黙れ!」と小声でツッコむけど、胃がキリキリ。

 

男、お母さんをじっと見て、「あなたとはまた会う気がします」と頭を下げ、去っていく。カッコいいけど、めっちゃ謎! お母さん、「不思議な方だったね、〇〇くん」と天然で笑うけど、駅前はすでにカオス。サラリーマンが「あの美人、泣かせた!?」とヒソヒソ。女子高生がスマホで撮影、町のグループチャットで「〇〇さんが駅前で黒づくめの男を泣かせた!」とバズる。僕、絶望。「ただバス待ってただけなのに…!」

 

家に帰り、晩ご飯の焼きそば(佐藤さんのおまけ野菜付き)を食べながら、お母さんが「駅、賑やかだったね!」とキラキラ笑う。パジャマでも美貌がやばい。

お母さんが「〇〇くん、あの人の涙、なんか懐かしい感じだったな。」とスケッチブック見せる。

そこには、僕(クマ)と健太(ウサギ)が駅前で笑う絵。

黒づくめの男(鳥)が遠くで微笑むシルエットも。めっちゃ可愛いけど、めっちゃ僕。健太のウサギ、似合いすぎ。鳥、なんかミステリアス。

「…なんで鳥」と、僕、小さく呟く。黒づくめの男の「また会う気がします」が頭に残る。お母さんが知らない誰かの心を動かしたんだ。いつもカオスだけど、いつも僕を少し強くしてくれる。お母さんが「〇〇くんと一緒なら、ママ、どこでも楽しいよ」と笑う。胃のキリキリが、ふわっと和らぐ。駅前の不思議な出会いが、僕の心に小さな謎を残した夜。

 

 

 

 

 

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