ストライダー飛竜、異世界へ行く   作:水漏れ老舗

2 / 5


 

 

 

 

 

 森を抜けると、そこには小さな町があった。活気はなく、どこか寂れた雰囲気が漂っている。町を歩いてみると、通りの人々が珍しいものを見るみたいに、飛竜を横目にひそひそとささやいていた。

 

 その張本人は気にも留めず、悠然と通りを歩く。

 

 「おっす、お兄さん!」

 

 すると、店の主人に話しかけられた。

 

 「ここらで見ない顔だね。あんた、どっから来たんだい?」

 「地球だ」

 「地球? 聞いたことないな。どこの村だい?」

 「…」

 「いや待てよ。そのチキュウっての、どこかで聞いた気ぃするよ」

 「なに?」

 

 飛竜は一ミリほど目を見開いた。

 

 「確かにそうだ。聞いたことあるよ、絶対!」

 「誰からだ?」

 「誰だったかな…? えーと…確か、町長のペリカンさんが言っていたな」

 「そいつは何処にいる?」

 「案内するよ。ついてきな」

 

 主人が手招きするので、飛竜は無言でその後をついていった。

 

 

 言われるがまま進んでいくと、道は次第に狭く、薄暗くなっていく。地面にはゴミや吐瀉物が点々と落ちており、湿った腐臭があたりを漂っていた。

 

 「ここだよ」

 

 

 主人がそう言ってたどり着いた先には、柄の悪そうな男たちが数人、刃物を携えながら群れていた。

 

 「おーっす、今日のカモはそいつか? よく連れてきたな、報酬だな」

 「へい。これで何ゼニーでしょうかい?」

 「500ってところか」

 「それはあんまりですぜ…。もう少しだけ。連れてくるのだって苦労するんですぜぇ…」

 「調子乗んなよ。町の商人が盗人と裏で繋がってるって分かりゃあどうなると思う?」

 

 男の一人は、刃物を遊び道具のように空中に投げながら、店の主人を睨み付けた。威嚇しているように見えた。

 

 「わ、分かりましたよ…。500にしときます」

 「利口だ」

 

 茶色い袋がジャリンと音を立てて、主人の胸元に放られた。

 

 「おっし、待たせたな。赤マフラー君」

 

 薄暗い路地で男たちは刃物を手に、一斉に飛竜を取り囲み、にやつきながらナイフを突き立てた。

 

 「ぐへへ…命までは取らねーよ?」

 「あんたが大人しくすれば…な。それだけで助かる命があるんだぜ」

 「上等な服着てんじゃんかよ。おい見ろよ、この布地。もしかしたら結構高値で売れんじゃねーの」

 「こいつの持ってる剣(?)もかなり高………………え?」

 

 

 サイファーに手を伸ばした男の一人が、急にすっとんきょうな声を上げた。

 

 「おいどうした?」

 「手が……感覚が……」

 「お前ぇ手が切れてるじゃねぇか!?」

 

 青ざめた声が闇に響き渡り、にわかに男たちは騒がしくなる。

 

 男の腕は肘から先が失くなっており、血がどくどくと石畳に流れ落ちていた。

 

 「…」

 

 飛竜は一歩も動かず、頬に血を浴び、冷ややかに盗人たちを捉えていた。

 

 「お前ぇがやったのか!? 命が惜しくねぇのか…………がっ」

 

 言葉が途切れる。

 

 仲間の一人が首を撥ね飛ばされ、血を噴水のように流した後、すぐに絶命した。

 

 「お、おめーらナイフ出せ! 突き付けろ!」

 「お、おうよ…!」

 「手が痛ぇよ…………痛ぇよっ」

 

 慌てた盗人たちはやっとナイフを構える。状況の深刻さにやっと気付いた。

 だがもう遅い。

 飛竜はサイファーを振り終えており、もう既に全員、一人残らず全員がこの世から旅立っていた。

 

 「…かっ」

 

 ボトボトと肉片が鮮血とともに石畳に降り注いだ。

 血の雨が降った。

 

 「ひぃっ!」

 

 腰を抜かした主人が飛竜を恐ろしそうな目で見る。血の雨を浴びた飛竜の顔は赤く染まり、その奥にある瞳が淡く光っていた。

 

 「ペリカンは何処だ?」

 「……え?」

 

 飛竜が訊ねる。

 

 「ペリカンは何処だ?」

 「あ、さ、さっきの話ですかい? あれは嘘なんですよ。嘘。ご、ごめんなさい!」

 

 主人は震えながら、全力で土下座をする。

 だが、飛竜は無言でサイファーを握りしめ、彼の頭部をじっと眺めていた。

 

 「…」

 

 サイファーを掲げる。

 

 「って許してくれませんよねー…!」

 「死の前では誰もが平等だ」

 「ひぃーっ!」

 

 主人の悲鳴があたりに響くと

 

 「ちょい待ちな!」

 

 という幼げな声が聞こえてきた。

 奥からバンダナを巻いた一人の少年が、彼らの前に現れた。飛竜はサイファーを振り下ろす手を止め、その少年を冷たい目で見た。

 

 「お兄さん、ストップだよ」

 

 少年はそう言って、飛竜をいさめた。

 年若く見えるが、目には場慣れした光が宿っている。

 

 「そいつは町の商人だ。殺したら商会に目を付けられるかもしれない。安易に殺すのは承服できねぇな、俺っちは」  

 「そ、そうだ! 殺すと面倒だぜ!」  

 「だから殺すなら、人目の付かない場所がいいと思う」

 「結局殺されるの!?」  

 

 主人は叫んだ。

 

 「…」  

 

 飛竜は無言でサイファーを腰に戻す。

 殺すのが面倒になったようだ。

 

 「それがいいね」

 「…貴様、何か知っているか?」  

 「あ? ああ、まあ一応ね。じゃあ情報が欲しいなら、俺っちのところに来なよ。お兄さんの必要としている情報があるかもしれない」  

 「……」  

 「ああ、怪しい者じゃないさ。俺っちはズライ。ただの情報屋さ」

 

 

 飛竜はその少年──ズライについていくことにした。

 

 

 

 「た、助かった…」

 

 

 

  主人はホッと安心しながら、股ぐらを尿で濡らした。

 

 

 

 

 

 






たぶん需要はありません
ストライダー飛竜の世界観めっちゃすこ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。