エンガノ岬に沈んだ零戦乗り   作:爆走!

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前回のあらすじ。
特攻したら縮んでた。


妖精

 

青空と海。俺はあの後しばらく考え続けたが、どうにも考えがまとまらない。

状況を把握しよう。周りには零戦の残骸たち。戦闘があったことは容易に想像できる。だが、風景が違う。レイテでは遠くからでも島を確認できたが…

 

「島はあるが、どうにも。」

 

どう見ても日本軍が捨てて行った基地だろう。一度みたことがった。記憶が正しければの話だが…

 

「戦況が知りたい…。あの後瑞鶴はどうなった?日本は?」

 

米機との交戦はあまり覚えていない。ただ、機体の限界を超えた戦闘を行ったは確かだ。あの、ぐらまん、とかいう機体の最高速度を優に超えていた。零の旋回は低速で真価を発揮する。あのときは高速での旋回を何度もした覚えがあった。

 

「なぜ装甲がもったのか不思議でたまらない…。それに発動機だ。」

 

あの発動機は小爆発を繰り返しながらも最後の最後まで動き続けた。あの機体には何か取り付いていたのかもしれない。俺はそういったことを信じない性格なんだがな。信じざるを得ない。

今はとにかくあの島まで行こう。だがこの体でどうあそこまで行くかだ。波は穏やかだ。ただ俺はこの海域を知らない。フカは、いるだろうな…

 

「それにしても、この体…!」

 

小さい、腕を使い泳ごうとするものの一向に前に進まない。仕方なく零の破片に掴まり小さい木の棒を使い前進を試みる。

そして、数時間が経過した。すると島の全貌が明らかになってきた。やはりというかなんというか…。島にはいくつかの野営装備があった。何よりも目につくのがどでかい滑走路だ。そして

 

「一式戦?ここは陸軍の基地か…」

 

一式戦闘機。隼と呼ばれる陸軍の戦闘機だ。周りには翼が根元からなくなった機体もちらほら見受けられる。しかし、この一式戦…

 

「小さい…。俺が乗って丁度いいくらいじゃないか?」

 

小さい。とにかく小さいのだこの一式。

それにしてもこの島には謎が多そうだ。野営装備一式はきれいだが、非常食などはまったくない。しかし、誰かがいた形跡はある。

とその時…

 

轟音。

 

「!?砲撃!?どこから!」

 

今まで物静かだった島周辺がとたんに騒がしくなる。極めつけはプロペラの音だ。

 

「小さい九六式がいっぱい飛んでる…」

 

そして目の前を小さい影が走り抜ける。

 

「戦闘がはじまりましたー!」

「急いで基地防衛をー!」

 

小さい、俺と同じでかさの小人たち。

いつのまに…。いやそんなことよりも。

 

「この一式戦はどうしますかー!」

「操縦者がいないので動かしても意味がないです!」

「おい!あんたら!」

 

俺はすかさず声をかけた。何がどうなっているのか、状況の確認がしたかった。それと自分と同じ境遇にいる者たちがいたので少し舞い上がっていた。

 

「あ!搭乗者の方ですね!ささ!速く!」

 

青色の髪をしたレンチを持った女の子が俺の手を引き一式戦の前まで誘導する。奥にいる髪をまとめた子は発動機を始動させていた。

 

「ちょ!ま…!」

「作戦は聞きましたか?」

「作戦…?」

 

作戦とはなんだ、まさか子の小人たちがこの島を回しているのか!?

 

「近海に多数の駆逐艦、軽空母を確認しました。私たちはそれを撃滅、もしくは撃退します!」

「近海に!?なぜ今まで迎撃行動を起こさずにいた!それに俺が来た時艦影は確認できなかった!」

 

そこまで言うとレンチを持った子は立ち止り振り向かずに言った。

 

「貴方は、新しくこの島に来た妖精ですか…?」

 

妖精…?妖精とはなんだ。おとぎ話か?もしかして俺らみたいな小人を総じてそう呼ぶのか?

 

轟音。

 

「きゃ!」

 

レンチを持った子は滑走路付近に落ちた爆弾の衝撃によって吹き飛ばされる。俺はとっさに手を伸ばす。

 

「大丈夫か!?しかし今のは…!」

 

俺は上を見上げた、上にはカラスのような物体が旋回しながらこちらを探している。

 

「何だあれは…。米軍の新型か?」

「敵がここまで…。瑞鳳さんたちの航空隊はやられてしまったのですか…!」

「瑞鳳…?」

 

疑問を投げかけようとするも敵に発見されてしまう。

 

「何してるの!早くしないと!!」

「っ!発動機はどうです?」

「問題なく!」

「お、おい…何がどうなって、それに瑞鳳っていえば…」

「話はあと!」

 

再び手をひかれ操縦席に座らせられる。

髪をまとめた子が黄色い物体を渡してくる。

 

「これ、は?」

 

いいにおいがする。ジャガイモとは違うのだろうか?

 

「ボーキサイトです!」

「は?」

 

人間には害があるのですが…。これをどうしろと。

 

「食べてください!」

 

死ねと?今から戦いに行く人間に死ねと?

 

「貴方はもう人間じゃありません。私たちは妖精です。艦載機妖精は鉄礬土を食すことでその真価を発揮します!」

 

認めたくない、が。今はこれを食わなきゃいけないらしいな…。

 

「頂きます…」

 

ガリッ。

 

「う、うまいぞ?」

 

思ったよりもうまかった。味はカレーライスの味がした。不思議だ。

すると、機体が輝き始める。

 

「な、なんだ?」

「ボーキサイトの補給を確認!一式戦闘機動けます!あとは滑走して敵の脅威を取り除いてください!」

 

一式戦は埃をかぶった姿ではなく真新しい作りたての姿に変わった。

どんな手品だ、これは。しかし敵って…。

 

「敵って誰だよ!」

「人間は奴らを総じて、深海棲艦と呼びます。さっ!滑走です!」

 

深海、せいかん?何だそれは…。

 

「っ!佐藤少尉行きます!」

「帽ふれー!」

 

妖精さんたちは腰に備え付けていた帽子を空高々とつきあげ振る。

一式戦は砂利の多い滑走路を静かに動き出す。だがこれでは敵の的だ!ほら、上空の敵がこちらに気付いた!

すると滑走路近くにあった倉庫から銃弾が飛んでくる。銃弾は寸分の狂いもなく敵の後部にあたる。敵は銃弾の飛んできた倉庫へと進路を変え爆撃の態勢に入る。

今のは?あの子たちか!じゃあ今あいつが倉庫にむかったら…?

 

「くっそ!もっと速くとべないのか!陸軍の機体は!!」

 

倉庫に敵を近付けるわけにはいかん!

すると機体が宙に浮く。

速く上昇を!機体が小さいんだすぐに上昇できるはずだ!!

 

「もっと敵をひきつけて!」

「上昇まで持ちこたえるのです!」

 

一式はある程度上昇したのち足を下方ずつしまう。

反転だ!

機体は背面飛行の形を作る。そして敵機に機銃掃射を試みる。

だが。

 

『■■■■!』

 

敵が目標をこちらに向けたはいいが、速い。

敵機の旋回性能に銃弾は空を泳ぐ。

 

「背面撃ち!」

「まだ高度も安定していないのに!無茶です!」

 

しかし応戦しなければ話にならん!一式戦が決して劣っているわけではない。こいつの格闘性能を甘く見るな!

一式は背面から態勢を立て直したのち急上昇をする。

 

「敵を切り離す!ついてこい化け物!」

『■■■■!!』

 

敵機の上昇力はこちらに及ばない。これなら使い慣れていないこの機体でも行ける!

 

「だが敵の装備はなんだ?機銃と呼ぶには難しいぞあの武装。」

 

未知の武装に驚きながらも着実に距離をあけていく。一定の距離をあけた後に旋回を始める。

まず後ろをとる。

 

『■■■■!?』

 

ついてくる敵機だが、速度が上がると著しく旋回性が失われるのだろうこちらの動きに合わせられずにいる。そして一式は敵の真上を取る

 

「とった!」

 

機銃掃射。

 

『■■■!?』

 

見事的中。敵機は火を吹き滑走路付近の森に墜落する。

 

「敵撃墜を確認!次の目標に移ります!指示は?」

 

下を向き次の指示を仰ぐ。すると下では妖精が東の方向を指し直進の合図を出した。

 

「味方の救援にむかってください!」

 

そう言っているのだろう。機体を立て直し進路の確保を急ぐ。

 

「深海棲艦…。一体何者なんだ…。」

 

 

side:瑞鳳

 

 

なんで主力艦隊不在の時に襲撃なんて!

 

「駆逐艦の子たちは大丈夫!?被害の大きい子たちは下がって!」

「暁が中破した。後退するよ。」

「何よ!暁はまだ行けるわ!」

 

軽空母1 駆逐4

 

私と、第六駆逐隊の子たち。

さっきの爆撃で少なからず被害が出てる…。このままじゃ全滅。どうにかして後ろの敵空母を撃破できれば…!

 

「はわわ!?敵の艦載機がまた攻めてきたのです!」

「電!対空迎撃よ!」

 

敵の艦載機は今だ健在!こっちの九六式艦戦じゃ分が悪すぎる…!どうにかしてこの場を切り抜けないと!

 

「数は少なくても、精鋭だから!」

 

艦載機を発艦させ防衛を開始する。しばらくの間続く空戦。だが、隙間をすり抜けて敵の第二次航空隊が姿を現す。

 

「あ!瑞鳳さんの所に爆戦が!?」

「避けて!瑞鳳さん!」

 

っ!避けられない!

避けられてもよくて中破だ…。ごめんね、みんな…。

しかし、

 

爆音。

 

「えっ…?」

 

何が起こったの?今敵が爆発した?

次の瞬間爆散した敵機の横を戦闘機が通り過ぎる。一式戦闘機だ。

 

「隼…?どうしてここに」

「大丈夫!?瑞鳳!」

 

暁が中破した状態で寄ってくる。

理解が追いつかない。どうして陸軍の戦闘機がここに?滑走路に置いてあったぼろぼろの隼がどうして飛んでいるの?それに隼を動かせる妖精さんはいないはず…。

 

「瑞鳳!あの機体どんどん敵を落としているわ!みて!」

 

見上げる空にはこれまで苦戦していた相手が見る影もない。

しっかりそなきゃ、ここでは私が一番お姉さんなのよ!

 

「そうね…」

 

弓に矢をつがえる。そして。

 

「追撃しちゃいますか!」

 

放たれた矢は姿を変え九七式艦攻と九九式艦爆に姿を変える。

さあ!反撃よ!

 

 

輪形陣:輪形陣

 

反航戦

 

 

side:佐藤

 

 

立て直したか。さて、どうやってあの子たちは浮かんでるんだ?敵は水の中を移動できるのか?潜水艦か?しかし敵の空母、あの二周りでかいやつだろう。とてつもない重圧を感じる。一言で表すのであれば憎しみだ。

 

「何が貴様らをそこまで駆りたてる…!」

 

敵機を片づけていると後ろから艦爆と艦攻が現れる。そして左右に九六式が並ぶ。

攻撃隊か、あの陣形は輪形。敵の艦載機はあらかた片づけた。俺は周りの

九六式に指示を出した。

 

「全機攻撃隊に敵を当てるな!敵艦の目をこちらにむけろ!」

 

手をつかい周りに指示を出すが、分かってくれるかどうか。

指示を出した後、俺は機体を傾け駆逐艦にむかい機銃を撃つ。

 

「必ず生きて帰る!これが終わったらいろいろ聞かせてもらうぞ。」

 

一式に続き周りの機体も各自応戦する。

 

「全機!進撃するぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




佐藤少尉貴方陸軍の機体動かせたの!?

ちなみに最初に出てきた妖精は熟練艦載機整備員の子たちです。隼いじってますが…

あと戦闘機のことなどで分からない点などしったかなどがあるのでその時は、テメェ!それ違うわい!と、言ってくれるとありがたいです。

試験機五二型丙の出番はもうないでしょうね…(出す気まんまん)

隼の性能は対空4 火力2くらいでいいんじゃないですかね。
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