昼時、男はハンバーガーを求めていた

※今作はVtuber白兎ねむりのネタを多用しております

用語解説
しらと耳:白兎ねむり様の兎耳
シラート:白兎ねむり様の脂です、そう、脂

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第1話

 夏も過ぎ去ったというのに、まだまだ暑い日々が続く。

 

 鉄板で蒸し焼きにされるような暑さは過ぎ去り、少しはカラリとした空気が入ってきたとはいえ、残暑が厳しい。

 

 炎天下の昼食時、ふらりと足を運んだのは妙なハンバーガー屋だった。

 

 チェーン店の味に飽き、されど口はジャンクフードを求めている。

 

 別に肉を食ってるんだか、ハンバーガーを食ってるんだか分からない程度に肉肉しいバーガーを求めている訳じゃない。

 

 求めているのはお行儀の良いハンバーガーだった。

 

 季節的に月見バーガーを所望したいところだが、昨今の月見バーガーに使われている卵部分は本物の卵ではなく、卵の外見をした加工品、なんちゃって卵だ。気分じゃない。

 

 ジャンクフードなんだから体に悪い物を摂取してるわけだし、お行儀よく、なんて綺麗ごとを、なんて思うかもしれないが、時には品性も必要だ。

 

「ユメノバーガーセットを1つ、ドリンクはコーラで」

 

 見慣れぬ看板、見られぬ店名、しかし、何を提供しているのかを一瞬で理解できた。

 

 その店の名はユメノバーガー、何を胃袋が求めていて、何を注文するかを凡そ決まっている以上、吸い込まれるように店に入り、彼は注文を済ませる。

 

 写真を見た限り、それはもうお上品なハンバーガーだった、故に注文した。

 

 しばらくすると、求めてたハンバーガーが運ばれてくる。

 

 まず、木の平皿に乗せられている部分が好ポイントだ、何せ雰囲気が出る。木の皿と言うだけでおしゃれに見えるし、紙で包むより断然品性を感じる。

 

 添えられているフライドポテトはよくある細長いシューストリングポテトではなく、やや太めのストレートカット、外はカリッと、中はホクホクとしたポテトだ。

 

 ハンバーガーに添えるポテトと言えば、なるほど細長いいつものシューストリングポテトこそ王道だろう。しかし、ハンバーガーのビジュアルを加味すればどうだろうか。

 

 チェーン店のハンバーガーと言えば何というか、平べったい印象がどうしてもある。それに対して、運ばれてきたハンバーガーは背が高い。

 

 恐らく畳むようにして乗せられているレタスは触感重視なのだろう、食べる前でもわかるほどにシャキシャキとした触感を楽しめるはずだ。

 

 そしてトマト、厚切りとまでは言わないが、相応に厚みがある、酸味と甘みを存分に楽しめるはずだ。

 

 そしてベーコン……のような何か。カリカリになるまで焼かれていることは間違いないが、記憶の中にあるカリカリベーコンとややビジュアルが違うような気がする。

 

 そして、溶けたチーズが掛かったパティ。

 

 これらをバンズで挟めば高らかに積まれたハンバーガーの完成だ。こうなると、隣に添えられるポテトが細長く、パッと見のボニュームが欠ける様ではいただけない。こうなると、太めのボリューミーな奴がお似合いだ。

 

 本音を言えば、コーラではなく、気取って瓶ビールなんかも良いのかもしれないが、今は昼だし、そもそも提供していないから、こればかりは仕方がないのだろう。

 

 背の高いハンバーガーという物に憧れていた。

 

 チェーン店では味わえないこの高揚感、ワクワク感は少年心を呼び起こしてくれているからなのかもしれない。

 

 食欲と高揚感を抱えながらハンバーガーを一口、パリリというレタスの音は実に心地良い。

 

 最初にやってきたのはシャキシャキという触感だった。

 

 次に、トマトの酸味、そしてパティのパンチの利いた旨味だ。

 

 チーズの濃厚な旨味に加えて、ベーコンのような物が香ばしさと風味をプラスしてくれている。これを香ばしく焼き上げられたバンズが包み込み、混然一体の旨さとして押し寄せてくる。

 

 しかし、どういう訳か、最高のビジュアル、最高の味、だからこそ、その違和感を覚えてしまった。何かが違う、と。

 

 ピクルスの不在でメリハリが出ない?

 

 いや、もっと肉肉しいのならピクルスだって必要だ。しかし、シャキシャキレタスとトマトが居るんだ。アクセントは十分のようにも感じる。

 

 そこでもう一口、その真相を探るために食を探求する。

 

 そう、味は纏まっている。だというのに、深みのある味わいだ。

 

 そこでベーコンのような何かに行きついた。

 

 ベーコンのように風味と触感、そして旨味を与えてくれている、だが、それだけではない。パティに何か練りこまれているのだろう、それがこのベーコンのような物と親和性があり、橋渡しになっている。だからここまでの一体感が生まれている。

 

 本来、牛肉100%のパティとベーコンでは牛と豚で別物だ。故に、脂も別物になってしまう。だから感じる旨味も別なのだが、このハンバーガーはその部分を克服している。

 

 てっきり、牛肉100%のパティかと思えば、意外なところに驚きが隠されていた。

 

 ポテトもカリ、ホクホクとして美味しい。

 

 コーラもジャンキーな心をさらにジャンキーにしてくれる。

 

 どうして至福の時間はあっという間に過ぎ去ってしまうのだろうか、まさに夢のような食事はあっという間に完食してしまった。

 

 しかし、あのベーコンのような物と、パティに練りこまれた物は一体何だったのだろうか、異物感はなかったので、何かの脂なのだろうか。

 

 食への探求は尽きない物だ……


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