汚いポケモンがいました。貴方はどうしますか?そりゃもちろん虐─   作:今日和

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 久々に投稿!よろしくお願いします。


第1話

 

 ポケットモンスター。縮めてポケモン。

 

 そんなキャッチフレーズと共に空前の大ヒットゲームとなったポケモンはルビー、サファイア、エメラルドから始まりスカーレット、ヴァイオレットの第9世代作品、約29年間に渡り大人の子どもも魅了する素晴らしい作品だ。

 

 俺は小学生の頃にポケカを親から貰い遊んでいたが、それ以降は縁のないジャンルだった。だが大学生の頃に起こったポケカバブルでポケカに手を出したことをきっかけに思い出補正で大ハマりしてしまった。

 

 そんな俺だったがある日普通に寝て目を覚したら森の中にいた。翌日に出るジムバトルのためのデッキの調整を終え、ベッドに潜り込んだ日のことだった。あたり一面は木々や草木が生い茂っており、所々に可憐な花々が育っている。

 

 そして木々の隙間からはコロホーシ、ミノムッチが珍しいものを見るかのように俺を見つめていた。

 

 初めは夢を見ているのかと思った。そう思わない限り脳内で処理できない事態だったからだ。

 

 だが気付かずに俺の近くを歩いていたビッパが、俺にぶつかった時に感じた感触でこれが夢ではないことに気付いた。

 

 つまり、俺は転生したのだ。ポケモンの世界に。

 

「まじか」

 

 なぜ転生したのか。俺が死んでしまったのか。俺が暮らしていた世界への影響。様々な思考で脳内に埋め尽くされる。

 

「ビ!?」

 

 途端。ビッパの鳴き声で現実に意識を引き戻される。

 

 驚いて逃げ去っていくビッパを尻目に、近くにあった水溜りに見つめた。

 

 少し泥で握っていたが、そこにはいつも変わらない冴えないパジャマ姿の自分が映る。周辺には財布やスマホといった必需品は落ちていない。

 

 どうやら着の身着のままで転生してしまったらしい。

 

 となると必要なのは水、食料、そして当面の生活基盤だ。色々と考えるのは後の俺に任せておけば良い。せっかく転生したというのにこのまま野垂れ死などもってのほかだ。

 

 それにこういう時は前向きに考えれば気持ちが楽だ。どうせなら楽しんでやろうじゃねえの。ポケモンワールドライフってのを。

 

 

 

 

 

 

「今日もやりますか」

 

 あれから数年の時が流れ、俺は手に職をつけた安定した生活を送っていた。

 

 仕事の内容は森の洋館の管理人というもの。俺が転生したとハクタイの森にポツンと存在している洋館の掃除や雑草の手入れが主な仕事。

 

 この仕事を選んだ理由は給料が高いからだ。何故かこの館に幽霊が出るとかなんとやらで誰もやりたがらないのが原因らしい。

 

 だがそれは俺にとって超絶待遇のいい仕事でしかなかった。給料も高く、しかも住み込みでの仕事も可能とのこと。管理の仕事もある程度で済ませれば問題ないし、幽霊が怖いわけでもない。

 

 つまるところこの仕事は俺のために存在するといっても過言ではないほど俺に向いているのだ。

 

 この仕事を始めて1年が経過したが、ゴーストタイプのポケモンはちらほらといるものの、幽霊らしきものとは遭遇した試しがない。特に大きな事故や事件も起こってはいない。幽霊が出るというのも所詮風の噂程度の話なのだろう。

 

「───」

 

「ん?」

 

 1階の清掃をしていると、突如2階の部屋から物音が聞こえてくる。気になり掃除に手を止めて物音がした部屋へ足を運ぶ。場所は2階奥の一番右の部屋だ。

 

「この部屋か?」

 

 錆びついたドアノブの音を響かせながらゆっくりと扉を開ける。そこにはちょっとした家具が置かれたこじんまりとした部屋の風景。

 

 そして───

 

「──ミミッ」

 

 ピカチュウのパーカーを被った影のような少女が座り込んでいた。

 

「……」

 

「……」

 

 お互いに、あまりにも意味のわからない状況になったからか、しばらくの静寂が辺りを包む。

 

「……誰だお前」

 

「……ミミッ」

 

 意を決して話しかけるも意味のわからない言葉で返してくる彼女。

 

 顔つきは人間っぽいが肌の色は墨のように黒く、腕は長くしなだれている。そして何よりも特徴的なピカチュウのパーカーを被っている。

 

 コスプレイヤー……なのか?

 

 そう考えたが普通に考えてミミッキュのコスプレイヤーがこんなオンボロの洋館に迷い込むだろうか。

 

 それにただ迷い込んだにしては彼女の状態は些か悪い。身体中泥まみれで傷もそこらじゅうにある。そして何より──

 

「……ミミッ!!」

 

 俺のことを酷く警戒している様な表上を浮かべている。目付きは鋭く、しなだれた腕をまるで槍のように尖らせて俺に向けてくる。

 

 だが俺は不思議と恐怖を抱かなかった。だが何も感じなかったわけではない。恐怖とは正反対の感情を抱いてしまった。

 

 

 

 ええええええええ!!!!!くっそ可愛いんですけどおおおおお!!!

 

 

 

 何その瀕死ギリギリだけどなんとか生きたい!!けどどうしようもないから絶望して涙を浮かべて!!!けど形だけども屈したくないって感じの生と死の狭間にいる様な表情!!!!

 

 かわええわ!!!!お前さんめんこいわ!!!!ちょっとお兄さんと遊ばない!!!?

 

 多分あれだよね!?君ってポケモンだよね!?そうじゃないにしてもポケモンと人間のハーフみたいなあれだよね!?前にどっかの図書館で読んだことあるよ!!人間とポケモンの愛的な話!!君もそれみたいな感じの存在でしょ!?

 

 それであまりにも珍しいから研究対象にされてボロボロにされてさ!!いるかわからないけど家族と離れ離れにされて絶望してどうにか逃げ切ったけど力付きてるって感じでしょ!?

 

 いいよいいよ!!そういうシチュ僕ちん大好きだよ!!!!

 

 ああもうやめて息を荒くはあはあするの!!こっちが興奮しちゃうじゃん!!辛いんだよね!?多分外見の傷だじゃなくて身体の内側もボロボロなんだよね!?あからさまに栄養不足な感じだしたまに吐血もしちゃってるよ!!ほらほら口から血がたらーって垂れちゃってるよ!?それ舐め取ってもいいかなぁあああ!!!

 

 可愛すぎだよ反則だよ!!抱っこさせてよ!!!思い切り抱きしめておんぶして顔ムニムニムニムニムニさせて!!!!!得体の知れない奴にもみくちゃにされて恐怖に顔を歪めながら!!!

 

 その悶え苦しんでる様な顔で俺に泣きついてきて!!!俺の服をお前さんの涙と鼻水と涎でぐちゃぐちゃにしてくれええええええええ!!!!!

 

 

 

 

 おっと。落ち着け俺。ステイステイ。

 

 体と思考を落ち着かせるために小さく咳払いをする。

 

 急だが俺は転生した際に先程みたいな現象が起きる様になった。ボロボロに弱りきった弱者を虐めたい、見てみたい、そしてそれで興奮したいという衝動が止まらなくなるのだ。

 

 何故そうなってしまったかわからないが、なんかこうなってしまったのだ。

 

 まあそれは今はどうでもいい。とりあえずこいつを虐め倒すという、俺がこれからするべき行動の方針が決まったのだから。

 

「とりあえずこっち来い」

 

 俺はゆっくりと彼女へと歩を進める。

 

「ミミ!!ミミッ!!」

 

 それを見かねたのか、彼女は激しく声を荒げ鋭利な腕で攻撃を仕掛けた。

 

「────」

 

 と、したとこで気絶し顔面からダイブした。

 

 勢いよくぶつけたせいで鼻血が出たのか、まるで死体のように顔を伏せたまま血の水溜りが作り上げられている。

 

 ……何この子。どこまで僕ちんを喜ばせてくれるわけ?

 

 その血黙りは僕にとってカラカラに乾いた砂漠に広がるオアシスに等しいんですよ?それをなんですか?無料提供ですか?サービス精神旺盛すぎませんか?嬉しすぎて逆に落ち着いてますわ。

 

 俺は静かに燃え広がる興奮をなんとか抑え込みながら彼女を肩に背負った。

 

 

 

 

 

 

 泥のように気絶して眠っているこいつを放置したまま浴室へ移動しボタンを押す。すると機械が作動して湯船には透明で湯煙が上がる水がとぽとぽ流れ出し、15分ほどで湯船一杯に溜まり切った。

 

 うーむ、このお湯が沸いた後の独特な匂い。間違いなくポケモン?であるあいつは嫌がるだろう。前世で飼ってた猫も風呂を疑ってたしポケモンも同じ分類に違いない。

 

 そしてそれに加えてこの緑色の容器に入った謎の液体を入れよくかき混ぜる。これはよくわからないがこの洋館の倉庫に眠っていたものだ。容器や液体の色から察するにヤバいものに違いない。

 

 準備を終えた俺は眠っている彼女を背負って移動し、湯船の中に放り込んだ。

 

「?───ッ!?」

 

 途端、目を覚まして勢いよく暴れる彼女。おそらく何が起こっているのか分からずパニックになっているのだろう。

 

 くくく……暴れておる暴れておる!

 

 痛いよね!!だって傷だらけの身体のままやばい液体が入った湯船にドボンだもん!!全身がズキズキヒリヒリして痛いに決まってるよね!!!あ、その前に溺れちゃうか!!だって気付いたら肩いっぱいの湯船にぶち込まれたらそうだよね!!いやごめんね!!わざとだけどごめんね!!

謝ることは大事だから形だけ謝っておくよ!!!

 

「けど、これで終わりじゃないぜ」

 

 俺は隅に置いてあるシャンプーをこれでもかと手に付け彼女の頭をとっ捕まえた。

 

「おらおらおらおら!」

 

「!?」

 

 くくく!!!どうだ!!!!最悪だろう!?得体もしれない野郎に頭を洗われるのは!!!髪は女の命って言うからな!!!それを俺に触られるのはさぞ屈辱だろうよ!!!!

 

 あっ!!!泣いちゃった!!?ごめんねええ!!!口には出さない意味のない謝罪だけど受け取ってくれるよね!!?まあ受け取らなくてもいいんだけど!!!

 

 こんなこと考える僕って天才なのかしら?いや、元々天才だわ。そんなのわかりきってることだったわ。

 

 尚、身体はどうしたかはご想像にお任せする。

 

 

 

 ご想像にお任せする。

 

 

 

 

 

 

 私はミミッキュ。シンオウ地方はハクタイの森にある洋館で働くメイドだ。

 

『貴方は洗濯物をお願いするわ。貴方は……2階の清掃ね』

 

 メイドと言ってもただのメイドじゃない。その他のメイド達への指示も出すメイド長というポジションで今日も働いている。

 

『───』

 

『え?庭の整備は嫌だ?ミノムッチが荒らしてくるって?』

 

 ではそれだけが仕事なのかと言われれば間違いなく違う。メイド長にはメイドが働いているかのチェックや洋館の運営に関する経理、そしてこのようなメイドの不満や相談などを聞きれなければならないからだ。

 

『ではこうしましょう。庭の整備をしてくれた暁には──ご主人様の秘蔵写『────!!!』……相変わらずすごい効果ね』

 

 そんな時はご主人の写真が有効だ。ご主人様はとにかくここのメイドに愛されている。それを引き合いにすればそのメイドも喜んで仕事に取り組む。

 

『さてと……』

 

 私の指示を聞き、すぐに仕事に手をつけるメイド達。それを見届けた後、とある部屋の前へと足を運びノックをする。反応がないことを確認し部屋の中へ入ると、ベッドの中で眠るご主人様の姿があった。

 

『……相変わらず呑気で可愛い寝顔』

 

 過酷なメイド長の仕事の中で一番の楽しみ。それは寝ているご主人様を起こす仕事だ。これはある種メイド長の特権とも言える仕事であり、仮にどんな良い働きをしても、この仕事はメイド長のみが行うことができる。森の洋館の中で最高峰の仕事とも言える。

 

 この仕事をするためにメイド長の座を狙うメイドもいるが、ミミッキュはそんな彼女達からなんとかその座を守り抜いていた。

 

『だって、この寝顔は私だけのものですから』

 

 すっと彼が眠るベッドの中に入り込み、彼の胸の中に顔を埋める。大きく深呼吸をして匂いを堪能するミミッキュ。その頬は僅かに赤み帯びており、口からは吐息が漏れている。

 

『この匂い……最高……』

 

 思い起こせばこの匂いを初めて嗅いだのは初めて彼と解放した日のことだった。

 

 ミミッキュと人間のハーフの私。珍しさもあまり研究対象にされ、家族を失い、命からがら逃げ出し潜んでいたこの洋館で私は彼と出会った。

 

 初めて出会った時、私は彼を見て恐怖しか抱かなかった。私にとって男とは父以外は研究所で見た野蛮で非道な職員のみ。そのせいで男は極悪な生物だと認識していた私は絶望してしまった。ここまで逃げてまたあの最悪な状況に陥ってしまうのかと。

 

 だが、彼は違った。力付き絶望した私を回復の薬を染み込ませたお風呂に入れてくれた。そして私の髪を丁寧に洗ってくれた。

 

 今まで私触れる男の手は下心と欲望で染まりきっていた。だが彼はまるでかつての父のように優しい手つきで洗ってくれたのだ。

 

 彼女は人間の言葉がわからない。だが、不思議と彼の思いは伝わった。

 

 私は思わずそこで涙してしまったのを覚えている。

 

『あれ以来……何回も私の髪を洗ってくれましたね』

 

 大きくなった今でこそないものの、昔はよく髪を洗いドライヤーで乾かしてくれたものだ。

 

『今度は……いつか()()()()関係になった時は……髪以外もなんんて……』

 

 そう言いつつも自分の発言に喉まで真っ赤になり、悶える彼女。その悶えで揺れたせいか、寝ているはずの彼が小さな唸り声をあげる。

 

『……どうやら今日はここまでのようですね』

 

 残念そうにゆっくりとベッドから身体を起こす。そして窓を閉ざすカーテンに手をかけながらゆっくりと笑みを浮かべた。

 

『私をこうしてしまった責任……取ってもらいますから』

 

 そういうと彼女はカーテンを開き、ご主人様の一日を始めた。

 

『おはようございます。ご主人様』

 

 

 

 

 





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