秘密結社holoXの宿敵・ガヴ   作:ボルメテウスさん

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他の小説を書いている時に、ふと流れた秘密結社holoXを見て、思いついたネタです。
秘密結社と敵対する正義のヒーローがいるとしたら、ショウマと思い、書かせて貰いました。


決闘のポッピングミ!

公園に響く高らかな宣言が、まだ夕暮れには早い昼下がりの空気を切り裂いた。

 

「貴様ら、刮目せよ! 吾輩のお名前は……ラプラス・ダークネスだッ!」

 

小さな銀髪の少女――自称・秘密結社holoXの総統が、胸を張って仁王立ちしていた。隣にはため息をつきそうな顔の沙花叉クロヱが付き添っている。

 

「んっ……?」

 

ベンチでアイスを食べていたショウマは、口元についたソースを拭いながら首を傾げた。「……ってことは、また遊びに来たのか?」

 

「ふん! 今日こそ世界征服への第一歩として、貴様を倒す! 覚悟しろ!」

 

ラプラスが小さな体からは想像できないほど威圧的に指差す先にいたショウマがいた。

 

ただし今の彼は変身せず、普段着でグミを片手にのんびりしていた。

 

「えーっと……世界征服って……あ!」

 

ショウマの目が輝いた。

 

「もしかして、何か遊ぶの!俺も遊ぶよ!!」

 

「違うわアホ!」

 

ラプラスが地団太を踏む。

 

「貴様を倒して吾輩の名を上げるんだ!」

 

「そっか……じゃあまずは正々堂々勝負だ!」

 

ショウマが立ち上がり構えると、ラプラスは得意げに腰のポーチを開けた。

 

「フンフフーン♪ まずはこれだ!」

 

取り出したのは……

 

「じゃーん! 吾輩特製『ダークマターバズーカ』だァ!」

 

明らかに工作セットで作った水鉄砲だった。

 

「……へぇ〜♪」

 

ショウマが興味深そうに近づくと、ラプラスは自信満々に引き金を引いた。

 

ピュッ。

 

「…………」

 

放たれた水滴一粒が、ショウマの頬に当たった。

 

「……え?」

 

ラプラスの表情が固まる。

 

「おおっ!」

 

ショウマが感心した声を上げる。

 

「すごいよ! ちゃんと飛ぶじゃん!」

 

「そ……そうだろ!? まだまだ本番はこれからだ!」

 

調子に乗ったラプラスが次々と秘密兵器を取り出し始めた。

 

・手作り爆竹(線香花火並の威力)

→ショウマがキャッチして手の中で消火。

 

・巨大な落とし穴トラップ

→軽々と跳んで、脱出する

 

「ぬぅぉぉぉぉぉ!!! なぜ効かんのだァァァ!!」

 

最後の秘密兵器である紙で折った手裏剣を投げつけられても、ショウマは人差し指で挟んで見せた。

 

「だって……これ全部おもちゃじゃん?」

 

ニカッと笑うショウマに、ラプラスの目尻が少しずつ潤み始める。

 

「だ……だからってこんなに余裕で防ぐとは思わなかった……」

 

「まぁ俺もちょっと鍛えてるしなぁ」

 

「鍛えすぎだバケモノォォォ!!」

 

ラプラスがついに地面に突っ伏して泣き始めると、それまで黙っていたクロヱが溜め息混じりに呟いた。

 

「……ねえショウマさん」

 

「ん?」

 

「もう少し本気出したらどうですか? ほら、総帥のプライドとか色々あるし……」

 

「あ〜うん!つい楽しくて♪だって、こんな風に遊ぶの、俺、初めてだから」

 

「わっ吾輩の攻撃が、全て、遊びって」

 

ショウマが頭を掻きながらラプラスに向き直る。

 

「ほらラプラスちゃん。今度一緒にトレーニングしよう!俺も一緒に頑張るから」

 

「悪の組織と仲良くする正義のヒーローなんているか、バーカ!!」

 

涙目で捨て台詞を吐くラプラス。

 

それを見て、ショウマは苦笑いをする。

 

騒然とする公園に突如、黒い影が忍び寄った。

 

「ぐふふ……騒がしい餌が2人もいるではないか」

 

枯れたような声が響き渡る。振り返った先に立っていたのは、異様な外観の存在だった。体表は硬質化した樹脂のような質感で覆われ、複数の触角が蠢いている。その右手には鋭い爪が生えていた。

 

グラニュート。

 

「へっ……?」

 

「このまま、闇菓子の材料に『ポッピングミ!フィニッシュ!!』ぎゃぁぁぁぁ」

 

グラニュートがラプラス達へ手を伸ばしかけた次の瞬間——世界が静止したかのように感じられた。

 

だからこそ、その行動はあまりにも一瞬だった。

 

ショウマは、瞬時に腹部のジッパーを開く。

 

露わになったガヴ。

 

そのガヴに、ショウマは自身の眷属であるゴチゾウを装填した。

 

そして、同時にラプラスに迫るグラニュートに向けて、その一撃を放っていた。。

 

「————!!」

 

爆発音。

 

空中に舞い上がった煙幕の中心で、ショウマは既に変身を終えていた。

 

鮮やかな紫のスーツに覆われた体躯が、陽光を反射して輝いている。そして、その脚が描いた軌跡の先では——。

 

「——っ!!?」

 

グラニュートの胴体が真っ二つに弾け飛び、散り散りになった破片が粒子となって霧散していった。

 

まさしく、ショウマの蹴りを真横を通り過ぎたのを見ていたラプラスは、何が起きたのか理解できず口を開けて硬直していた。

 

「ひぃっ……」

 

震える声が漏れたラプラスの隣で、クロヱは呆気に取られて唖然としていた。

 

「えっあぁ!?大丈夫!ラプラスちゃん!えっ、どうなっているの!?」

 

ショウマが急いで駆け寄り、変身解除しながら地面に倒れているラプラスを優しく抱き起こす。その顔色は蒼白で額には冷たい汗が浮かんでいる。

 

「もぅ、正義のヒーローなのに、そんなに慌てなくても、ほらほら、その辺で寝かせてっと」

 

そのまま、クロヱは特に気にせずにベンチでそのままぽいっと寝かせる。

 

「あわわゎ!どうしよう!とにかく、何か飲み物を!」

 

慌てた様子と共に、ショウマはそのままラプラスの飲み物を買いに行く。

 

仮面ライダーガヴ。これは、人間を闇菓子の材料にするストマック家との戦いの中で起きたかもしれない。

秘密結社holoXとのちょっとした戦い。




登場人物紹介
井ノ上ショウマ
仮面ライダーガヴの主人公を務める青年。
劇中では、あまり語られなかった所で出会ったラプラスと対決する事が多い。
だが、本人としては、戦いというよりも遊ぶという感覚に近い。
特にラプラスとの対決では、子供の時にはいなかった友達と遊ぶという感覚が強い。

ラプラス・ダークネス
秘密結社holoXの総統。
世界征服を企む際に、偶然出会ったショウマを見て、宿敵と呼ぶ。
数々の作戦で、ショウマに戦いを挑む。
だが、ショウマのグラニュートの身体能力によって、ほとんどが無意味となる。

沙花叉クロヱ
秘密結社holoXの掃除屋。
宿敵という事で、度々会う事はあるが、本人は特に敵対するつもりはない。
かなり緩いショウマの性格もあり、特に気にしていない。
だが、時々出る殺気には、驚きを隠せない所がある。

好評でしたら、続ける予定です。
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