秘密結社holoXの宿敵・ガヴ   作:ボルメテウスさん

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ライブ会場のガヴ Ⅳ

ライブホールが紫と銀の光に染まった。スクリーンにはオープニング映像が流れ、ファンの歓声が天井を突き刺す。

 

「これが、ライブ」

 

そう、ライブスタッフとして、働いているショウマにとって、それは新鮮だった。

 

会場に、一度、入った事はあったが、その時は戦いの為に入った為、実際にどんなライブが行われるのかは分からなかった。

 

スタッフ室を後にし、ショウマは搬入口の扉に手をかけた。その時、ふと視界の端に黒い影が動いた。照明区画の死角で、誰かが荷物を下ろしたまま佇んでいる。

 

「あの人は……スタッフさんかな?」

 

好奇心からではない。長く戦っていた勘が警鐘を鳴らしていた。ショウマはゆっくりと足音を忍ばせ、非常階段を一段ずつ上がっていく。

 

照明ブースの天板から降り注ぐ青いスポットライトの下。黒いジャケットを羽織った若い男が立っていた。

 

その様子を陰から見ていたショウマは、その男の行動を見ていた。

 

そして。

 

「っ」

 

服を捲り、それを取りだした。

 

同時に、男の姿は人間からグラニュートの姿へと変わっていた。

 

「へへっ、やっぱりこういうライブならば盛り上がっていて、上質な闇菓子の材料が大量にあるじゃないか」

 

そう、動物の狐を思わせるグラニュートは、そのままライブ会場の客達を吟味している。

 

それが分かった瞬間、ショウマはすぐに立ち上がる。

 

「待て」

 

ショウマは、そのまま声を出し、グラニュートを睨む。

 

「ちっ、まさかっ人間がここに紛れ込んでいたとはな」

 

「・・・お前、ここの人達を闇菓子のスパイスにするつもりか」

 

「何だ?それを知っているという事はお前も同じバイトか?だったら、どっか行け!ここは俺の縄張りだ!それ以上やるんだったら「させないよ」あぁ?」

 

グラニュートの言葉。

 

それを聞いただけで、既にショウマの行動は決まっていた。

 

服のジッパーを開き、剥き出しになったガヴ。

 

それは、ショウマが普通の人間ではない証。

 

そして、グラニュート達にとって、そのガヴは。

 

「てめぇまさか赤ガヴ!」

 

「ここは、ラプラスちゃん達の舞台だ!貴様なんかに邪魔させない」

 

同時にショウマは、ゴチゾウの一体を手に取る。

 

『グミ!EATグミ! EATグミ!ガヴ……ガヴ……』

 

ショウマがゴチゾウを装填すると共にレバーを回し、ゆっくりと構える。

 

それと共に溢れるグミは、ショウマの周囲を舞うと。

 

「……………変身!」『ポッピングミ! ジューシー!』

 

鳴り響く音声。

 

同時にショウマは仮面ライダーの姿へと変わる。

 

「ちっ、邪魔をしやがって!」

 

それと共に、グラニュートは瞬時に剣を出現させる。

 

そのまま赤ガヴへと斬り掛かる。

 

同時に赤ガヴもガヴブレイドを鞘から抜き放つ。

 

「ふんっ!」

 

赤ガヴは片手で弧を描くように刃を滑らせた。その動きは流水のように淀みがない。

 

刃同士がぶつかる刹那、白銀の閃光が閃いた。

 

甲高い金属音と共に火花が噴き上がり、両者は弾かれるように後退する。

 

「ぬぁっ!」

 

グラニュートが唸る。だがその傷は浅い。即座に再度踏み込み、乱撃を繰り出した。

 

鋭い斬撃が雨のように降り注ぐ。赤ガヴはガヴブレイドを盾代わりに使いながら受ける。鍔迫り合いが十数回続いた末に──

 

ガキンッ!

 

「絶対にライブを中止させない!」

 

激しい火花が舞い散る。赤ガヴが振り下ろす刀がグラニュートの肩を掠めた。

 

「くっ!この野郎!」

 

グラニュートが返す刀で胴を薙ぎ払う。赤ガヴは身を捩って回避するが、わずかに装甲に傷が入った。

 

互いの呼吸が荒くなり、戦いは佳境を迎えていた。

 

次の瞬間——

 

「えっ」「なっ」

 

足場となっていた鉄骨が悲鳴を上げる。戦闘の衝撃で脆くなっていたのだろう。ミシミシと軋む音を立てながら折れ落ちていく。

 

それと共に、俺達はライブ会場に落ちてしまう。

 

「あっしっしまった?!」

 

それと共に俺は顔を青くしてしまう。

 

当然だ。

 

ここで変身している所を目撃すれば。

 

「どうしようどうしようどうしよう!」

 

俺は内心で叫ぶ。

 

(あわあわあわあわあわ)

 

内心で叫ぶだけだ。

 

変身をしている以上は声に出すことすらできない。

 

俺は焦ってしまう。

 

「おいおい!あいつ!突然現れたぞ」

 

「えっえっ?あれって?」

 

周囲にザワザワと声が広がる。

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