秘密結社holoXの宿敵・ガヴ   作:ボルメテウスさん

2 / 14
こちらの方で話の募集を行っています。興味がある方はぜひ
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=331347&uid=45956


脱出のチョコドン

彼、辛木田絆斗がここに来たのは、数少ないグラニュートの事情を知る者の研究者がいる為。

 

彼ら、グラニュートの身体に関して、事情を知る者は現状少なく、さらには治療を行えるのはさらに少ない。

 

以前まで、治療を行ってくれていた人もいなくなった為、絆斗はその日、治療の為にその場所に訪れていた。

 

こよりは白衣の袖を捲りながら目をキラキラさせている。

 

「あのねぇ、私どうしても気になることがあってさ!」

 

「待て待て待て。俺の体調なんてお前が一番よく知ってるだろ?検査ならもう十分……」

 

「それが違うんです!あなたの中に眠るグラニュート因子の活性率を測定したいの!」

 

「はぁ!?」

 

思わず大声が出た。

 

「ほら見てよ絆斗さん、この最新機器!昨日徹夜で組み立てたんだから!」

 

彼女が指差す先には禍々しい形状の装置が鎮座している。配線があちこち剥き出しになっていて、何より不気味なのは中央にある拘束具のようなベルトだ。

 

「おいおい……まさかそこに俺を縛り付けるつもりじゃないだろうな」

 

「ご名答っ!」

 

「喜ぶなバカ野郎!」

 

俺が詰め寄るとこよりは平然と肩を竦めた。

 

「冗談ですよ。最近のデータによればあなたの身体能力は一般的成人男性の平均値を超えています。これはもう実験せざるを得ないでしょう?」

 

「誰が平均値超えて喜ぶんだよ!毎回実験台にされる身にもなってくれ!」

 

「そこをなんとかお願いします!」

 

こよりは突然両手を合わせて拝み始める。

 

「もちろん報酬はありますよ!成功したら新開発した栄養バーをご馳走します!」

 

「いらねーよ!大体その栄養バーってなんだ!成分怪しすぎて食える気がしない!」

 

「栄養満点ですよ〜!脳細胞の増殖を促進するα波を放出するパイナップル果汁入り!」

 

「余計怪しいだろ!というか聞いていて、まるで人体実験をされているみたいな……」

 

そこで言葉を切って俺は眉をひそめる。

 

「……いや待て。その言い方だとまるで本当に人体実験してるみたいじゃねーか」

 

「あらまぁ」

 

こよりは舌をぺろりと出した。

 

「でも絆斗さんだって好きで参加してくれてますよね?だって私の実験楽しいですし!」

 

「楽しんでねえ!!」

 

俺が怒鳴ると彼女は残念そうな顔をしながら腕時計を見た。

 

「あら残念。でもね絆斗さん?今回は本当に大事な検証なんです!」

 

「何がだよ」

 

「あなたの中に眠るグラニュートの力が暴走した場合の抑制メカニズムについて。つまりあなたを守るためでもあるんですよ」

 

「そりゃありがたい話だが、なんで俺だけを対象にしてるんだ?」

 

「だって絆斗さんは最高のサンプルですから!」

 

「嬉しくねぇ!!」

 

こよりは突然机の上のモニターに映像を投影した。そこには俺の血液検査結果らしき数値が表示されている。

 

「ほら見てください!この赤血球濃度の異常な高さ!通常の人間の1.8倍ですよ!?」

 

「だからなんだよ!俺が健康体なのか不健康体なのかハッキリしろ!」

 

「どちらとも言えますね!」

 

「どっちだよ!」

 

こよりは心底楽しそうに笑いながら注射器を取り出した。

 

「ああでも安心してください!今日は採血だけですから!」

 

「おい待てその注射針太すぎないか!?」

 

「安心してください。私が特別開発した痛覚遮断薬入りですよ〜」

 

「もっと怖いわ!!」

 

それと共に絆斗は速攻でその場から逃げた。

 

「あー!絆斗さんが逃げたー!」

 

こよりはモニターに向かって叫んだ。しかし画面の中の絆斗はすでに部屋の扉へ駆け出している。

 

「待ってください〜!せめて採血だけでもさせてくださいよ〜!」

 

彼女の悲痛な声が廊下に虚しく響いた。

 

しかし絆斗は足を止めない。それどころか加速しているようにすら見える。

 

「来るなよバカ女!」

 

「酷い!私これでも博士号持ってるんですけど〜!」

 

「どうでもいい!とりあえず俺を解放しろ!」

 

「ダメです!今日中にデータが欲しいんです〜!」

 

二人の追いかけっこは続いた。研究所内の廊下を全力疾走する絆斗。それを追いかけるこより。その様子はまさに実験動物と研究者の攻防だった。

 

「待って絆斗さん!あとちょっとだけですから〜!」

 

「断る!」

 

それと共に、眼前にある鉄製の扉を見ると、すぐに懐からヴァレンバスターを取り出す。

 

「変身!」『チョコドン パキパキ!』

 

絆斗の姿は、仮面ライダーヴァレンへと変身した。

 

「じゃあな!このマッドサイエンティストめ!」

 

「あっ……ちょっと……!」

 

ヴァレンとなった絆斗がジャンプして天井に着地し、そのまま逃走していく。

 

残されたこよりは呆然と立ち尽くしていたが、すぐに我に返り叫んだ。

 

「もう〜!絆斗さんのケチ〜!せっかく準備したのに〜!」

 

怒った様子で足踏みするこよりだが、しばらくすると仕方なさそうに溜め息をついた。

 

「ま、仕方ないです。次の機会にしましょう」

 

そう言って彼女は新しい計画書に取り掛かるべくデスクに戻った。

 

「それにしても、ショウマ君にこの前、食べて貰った栄養バーで生まれたゴチゾウもなかなかに興味深いですねぇ」

 

そう、こよりは机の上で震えているゴチゾウをみて笑みを浮かべた。

 

ゴチゾウが震えながら出てくる。

 

「うふふ!さぁーてと、実験再開です!」

 

こよりは嬉しそうに笑みを浮かべて言う。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。