ZZZ×ARMORED CORE 6 作:ジョシュア・オブライエン
現在の居場所が分かっているホロウ用知能重工業機械を回収したC4-621こと”独立傭兵レイヴン”は
依頼主の白祇重工からの新しい連絡が来るまで拠点のガレージで待機していたが、
新しく情報がきたようで、621は六分街の街角にある、パエトーン兄妹の隠れ蓑の拠点のビデオ屋「Random Play」に向かった。
◇◇◇
「お兄ちゃん、レイヴン。白祇重工から連絡が来たよ。いまスピーカーをオンにするね」
リンが電話のボリュームを上げる。
”――聞こえているか?今すぐ依頼の詳細を伝える。
探してほしいのは、我が社が独自開発したⅢ型ホロウ用パイルドライバーだ。
行方不明になる前は他の2台 と同じようにホロウの中で真面目に働いてくれてた。
グレースによると、あいつは前からホロウの悪路に強く、移動速度も他の重機より早かったらしい。
そのせいかホロウの深部まで逃げ込んでしまったみたいで、探すのに苦労したんだ…
待たせて悪かったな”
”だが、いい知らせもある。信号の位置を見る限り、あいつは発見された場所から微動だにしないんだ!今、データを転送する”
ベンが少々不思議に思いながら話す。
「見た感じ、パイルドライバーはどっかで止まってるみたいだよね。移動されちゃう前に1番近い入り口からホロウに入ろっか。FAIRY、できるよね?」
◇◇◇
ホロウ内部。
C4-621らはエーテリアスの邪魔もあったが、無事に指定された座標までたどり着いた。
「おお…この辺り前のホロウより随分さびれてねえか?エーテル濃度もバカに高えしよ」
「ホロウと化して何年も経つからな。それにここはただ危険な場所というだけじゃなく旧都にも近いんだ。長居するとロクな目に合わないだろう…」
アンドーが軽口を叩き、ベンもそれを肯定する。
「いたぞ!Ⅲ型ホロウ用パイルドライバー――”フライデー”。」
「――気づかれたぞ!どんな性格になってるか知らんが…」
パイルドライバーは、こちらを知覚した途端に驚異的な速度で逃げ出した。
「よお――!今度こそは逃がさねえからな!」
「なんの!もう問題児を2台説得してんだ!こいつの話も聞いてやらァ!」
『目標が逃走した。マーカーを設置してある。621追いかけろ。』
◇◇◇
一同はようやく、逃げ回るパイルドライバーを袋小路に追い詰めた。
「諦めろフライデー。もう逃げ場はねぇぞ」
《……!》
「……コイツ、さっきから一言も喋らねぇが……言語モジュールがぶっ壊れてんじゃねぇだろうな」
「それはねぇな。明らかに、うちらの言葉を理解してやがる。おい、もう小芝居はやめろ。お互い腹を割って話そうぜ。逃走した重機のうち、一台は自己実現にお熱なカタブツ。もう一台は恋する乙女……お前は何モンだ?何が目的だ」
アンドーが疑問に思うが、クレタがそれを否定する。
《喝ッ!!無礼者ッ!!》
《キャラだと?笑止千万ッ!凡俗の徒ごときが無礼にも口を挟み、我が使命を阻むとは!!我こそは”明星の断罪者”!!”我が師”の名を受け、この地の”封印”を固めに参ったのだ!控えろ!》
「……プッ、『明星の断罪者』? おまけに『封印』だぁ?なるほどな、こういうの……中二病って言うんだろ?」
「妄想も大概にしろってんだ! ホロウの中を走り回ったら危ねぇだろうが!」
《お主らこそ、かような戯言を! 封印がひとたび破れた暁には、この地に破滅が訪れるのだぞ!我が師よ、今馳せ参じます!!》
パイルドライバー”フライデー”が再び跳ぼうとした瞬間――
スタンニードルランチャーのニードル部分が着弾し大規模な放電を起こした。
《ぐっ…雷光の一撃…だがこんな所d……ア―――――ッ!!》
さらに電撃によってパイルドライバーの内部から強制放電のダメ押しの一撃が入る。
「ふふ……お姉さん、想像力の豊かな子は嫌いじゃないわ?でも、続きから帰ってからにしよっか?」
《よさぬか! 封印が危ういと言うのに、何故我を阻むのだ──―ま、待て!話せば分かるって!!聞いてくれ!嘘はついてないんだって!!》
グレースにビビりながらまだパイルドライバーは動けないものの、まだ反抗を続ける。
《――本当に我が師ホルスの声が聞こえたんだ!彼の期待に背くわけにはいかないんだよ!!》
「……どういうことだ? なんでそいつの名前が出てきやがる…」
白祇重工の面々は言葉を失った。
白祇重工前社長ホルスことホルス・ベロボーグ。
現社長のクレタ・ベロボーグの実の親であり、
ホロウ用知能重工業機械の発案者。
旧都陥落の前日に、白祇重工の口座から大金を引き出し、行方をくらませた。
表向きでは会社の経営悪化、当時請け負っていた記念広場の完成の遅れが原因とされていたようだった――が?