ZZZ×ARMORED CORE 6 作:ジョシュア・オブライエン
C4-621こと”独立傭兵レイヴン”らは失踪した3台のホロウ用知能重工業機械を回収し、
白祇重工本社へと戻った。
現場にはアキラ本人も来ており、ボンプを回収しに来たようだ。
◇◇◇
「ちょっとしたハプニングもあったが…行方不明になった知能機械は3台とも見つかった。これで白祇重工として依頼したことは完了だ。お前らのおかげでウチらは土壇場を乗り切れた。」
「”パエトーン”、”独立傭兵レイヴン”、力を貸してくれてありがとな。今、グレースが3台とも点検してる。あいつほどの腕があればすぐに今回の事件の原因が分かるはずだ。」
依頼も完璧に完了したが、空気が重い。
「…なんだよ、何か言いたげだな。」
「実はもう1つ疑問に思っていることがあるんだ。パイルドライバーが言ってた”ホルス”って――」
「お、おっと…!もうこんな時間か…!社長、早いところ依頼料の入金手続きを済まさないと、明日までに降り込めないぞ…」
ベンが焦ったように話に割り込む。
「…ベン、大丈夫だ。そんな風に気を遣わなくていい。今ここで答えなかった所で、ネットで調べりゃすぐに出てくる事だ。それに、プロキシの兄妹とそこの独立傭兵は、ウチらの恩人で、信頼出来るダチだ。はぐらかす必要はねぇよ。……ほら、レイヴンもちょっと来い。」
クレタがベンを止めて、「ホルス」について話し出した。
「お前ら。アンドーがゲストで出たテレビ覚えてるか?あの時司会が前の社長が大金を持ち逃げしたって言ったろ」
「……そいつが当時の白祇重工社長のホルス・ベロボーグ――あたしの父親だ。……アイツの後先考えねぇ行動のせいで、白祇重工はどん底に突き落とされた。残されたうちらはその辛い時期を乗り越えて、ここまで這い上がって来たんだ」
『…成程な。』
「…。」
621もウォルターも依頼という形でアーキバスやベイラムといった、様々な企業と関わってきた。
それ故に金の大切さは良く分かる。
(――どこぞの”借金王ノーザーク”(掛け値なしのクズその2)を思い出してしまったが。*1)
「ま、そんなわけだ。あたしはとっくにホルス・ベロボーグの事を親父だとは思ってねぇ。今の白祇重工だって、あの無責任ヤローとは何の関係もねぇ」
蒸発した父親に対して辛辣な態度のクレタにグレースは強く反論する。
「待つんだクレタ!自分の父親に対してそんな言い方はないよ!」
「当時、会社の口座からお金が無くなったのは事実だけど……それがホルスさんの仕業だと証明できる人はいないじゃないか!治安局の言う所の調査結果も持ち逃げ説も、最初から彼らのぞんざいな推測に過ぎない!」
「父親の不在で君が辛い思いをしたのも分かるし、よくない印象を植え付けられたのも
仕方のないこととは言え…ホルスさんをそこまで恨む必要は――!」
「分かってねぇのはお前の方だろッ!!」
諭すグレースに対して、クレタが怒鳴った
「……あー、その、なんだ……ホルスって名前の説明が出来ればいい訳で、そこまで踏み込んだ話はしなくても良いんじゃないか……?そ、そうだグレース。アンドーと一緒に知能重機の点検をしてたはずだろ?それを放り出して、一体何しに来たんだ?」
これ以上空気が悪くならないよう、ベンが話題を変えた。
◇◇◇
場の空気が少し落ち着いてから、グレースは今回の原因について口を開いた。
「……あの子たちが逃走した原因について、目星がついたって知らせに来たんだよ」
「あの子たちは3台とも失踪する前にホロウの深部から同じ信号を受信していたらしいんだ」
「その信号はうちの知能機械とフォーマットが同じだった。」
「そこから解析出来た文字列は──『BLG Prototype』」
「”プロトタイプ”ってなんだ?」
「ホルス社長が失踪する前に開発していた最初の知能機械だ。完成して、あとは製造の支払いだけという所で旧都陥落事件が起きてしまった。外注先はホロウ災害に巻き込まれて消滅し、プロトタイプも行方不明になった、はずだったが……」
アキラが質問して、ベンが答えた。
「プロトタイプは、消えてなんかいなかった。しかも、未だに一部の機能は生きている。プロトタイプも、それに搭載されている論理コアも、うちの価値ある資産である以上、放置しておく訳には行かない。」
「おチビちゃん……君はどうしたい?プロトタイプを探す?そんな物は始めからなかったことにする?」
グレースがクレタに今後どうするか質問するが…
「まあ、今日中に結論を出すこたあねえ。どんなに強靭なパーツだからって、金属疲労ってのがあんだ。ホロウを走り回った奴なら言うまでもねえ、たっぷり休んどかねえとな。」
「あー…アンドーの言う通りだ。プロキシさんも独立傭兵さんも疲れたろう?今日の所は帰ってもらったほうがいい。ホロウに入ってプロトタイプを探すことを決めたら、必ず連絡する。その時は力を貸してほしい。」
ベンもアンドーも少し考えた方がいいと思ったようだ。
『……了解した。621。今日の仕事は終わりだ。帰還しろ。』
621はアサルトブーストで拠点のガレージまで文字通り飛んで帰っていった。