ZZZ×ARMORED CORE 6   作:ジョシュア・オブライエン

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Chapter 4:Tour of Inferno ④

C4‐621こと”独立傭兵レイヴン”は現在、アキラや”カリュドーンの子”のメンバーやチャティたちと共に新エリー都郊外の荒野を移動していた。

 

『今回僕たちがやるのは、ホロウに入ってのデータ収集。僕たちは各地のポイントにデータスタンドを設置する。――そしてレイヴンとチャティ、君たちにはそのデータスタンドの防衛をお願いしたい。』

《了解だ、任せてくれ。》

「……。」

621は全く言葉を発してないが、ACのヘッドパーツを頷くように動かしている。

 

『よし、じゃあ始めよう。』

 

◇◇◇

 

”カリュドーンの子”たちのホロウでのデータ収集は順調に進み、621たちもデータスタンドに群がるエーテリアスどもを排除し続けていた。

 

――しかし、

《ビジター、エーテリアスではない生体反応を確認した。一度プロキシたちを呼んでから現場に向かうとしよう》

チャティがなにか発見したようで621と共に現場に急行した。

 

◇◇◇

 

《――やはりな。データスタンドを乱暴に取り外した痕跡が残っている。誰かが盗んでいったようだ。》

 

「急げ急げ!」

廃墟の向こうの方からかすかに声がするのを耳にした。

 

『621、多数の生体反応をマークした。マーカーに従って進め。』

マーカーを急いで後を追う。

 

「――!?”独立傭兵レイヴン”!?」

「RaDのチャティ・スティックまでいんぞ!!くそっ…尻尾をつかまれていたか…」

データスタンドを盗んだのは、シーザー達”カリュドーンの子”と同じ走り屋だった。

 

《悪いがそれは”カリュドーンの子”の物資だ。返してもらえば悪いようにはしない。》

 

「くっ……うるせぇ!これは俺らのモンだ!」

いかにも三下なセリフを吐いて、複数の走り屋が襲い掛かるが、

621のショットガンの射撃とチャティのクラスターミサイルの爆撃で難なく撃沈。

数十秒のことだった。

 

◇◇◇

 

「うおっ……本当だな。表面の番号と、オレ様たちのデータスタンドの仕入れ伝票は同じだ…サンキュな!レイヴン!チャティ!」

数分後、プロキシや”カリュドーンの子”が合流し、盗まれたデータスタンドらしきものを見せた。

 

「――さっきから言ってんだろ!?そのデータスタンドは俺たちの――」

走り屋たちは明確な証拠があるにも関わらず、まだ抵抗を続ける。

 

「……ライト。ルーシーがオレ様に”我慢”しろっつーからよ、こいつらを片付けんのは任したぜ。」

「あいよ、大将。チームの一員の”チャンピオン”として、価値を示す時がきたみたいだな。あんたら…”決闘”をご所望なんだろう?」

グラサンをくいっと上げながら歩み寄ってきた。

 

少し補足しておこう。

チャンピオン

新エリー都郊外の走り屋に所属した、輸送の用心棒や派閥間のイザコザ解決などの武力交渉担当に就いている者たちを纏めてそう呼ぶ。

 

「ヘッへ…俺たちは走り屋だ。もめ事ときたら、それで解決するのが公平だわな。」

「こちらの”チャンピオン”はライト!お前もよく知るこのお方だ――!!」

 

「うぉぉぉぉぉっ!!ライトォ!!!」

途端にガスマスクをつけたオラウータンのシリオンが飛び出してきた。

 

「――悪い、誰だ?」

 

「オレっちだ!ベルラム!!地下闘技場「エンバー・アリーナ」でテメェに20連勝を阻止された!」

そう言いながら、”ベルラム”とかいうシリオンが装着していたサングラスやマスクを全て投げ捨てる。

 

「ゴーマンな野郎だ!イケメンで、強くて、人気で、イケメンだからって.....すっとぼけてんじゃねぇ!」

『なぜ、二回もイケメンと…?』

アキラが軽く突っ込む。

 

「ベルラムか....いいぜ、覚えとこう」

――そう言いながら、ライトはベルラムに指を指した。

 

「――ぐぅぅ....馬鹿にしてんのか!!それ聞いたの三回目だぞ!」

「もういいぜ....オレッちらの因縁も――今日限りだからなぁ!」

ベルラムは棘のついた盾のようななにかを装着した電動ノコギリを担いで、襲い掛かってきた。*1

 

◇◇◇

 

「がはぁっ…ま、参った。」

結果はライトの圧勝。

右腕に持った、ブースター付きのガントレットの加速した一撃でベルラムを吹き飛ばし、

ワンパンKOに至った。

 

「ベルラムの兄貴が負けちまうなんて!こ…これからどうすりゃいいんだ?た、たしか俺らは…」

 

「どうもしねぇ!データスタンドのことは諦めろ。何かありゃあ、オレッちが責任を取る!」

「へ...へい、分かりやした。ベルラムの兄貴....」

 

 

そう言いながら、ベルラムがよろよろとライトたちの前に来る。

「ライト。オレっちがここに来たのは、テメエと一戦交えるためだ。テメエが決闘に応じてくれた以上....連盟のルールに従い、潔く負けを認めらぁ。クッソぉー....あれから何年も経つっていうのに未だに歯が立たねぇとは。名誉挽回はならず、か。無念だ....」

 

「そいつはどうかな...ハナから『挽回』する必要もなかったんじゃないか。別に、殊更あんたのことを忘れてたわけじゃない....あの地下闘技場のことは、俺に言わせりゃ何もかも覚えとく価値のないものだったからな」

 

「なな、何だと!?」

ライトの言葉に驚くベルラム。

 

「金のために相手を痛めつけ、金のために痛めつけられるフリをする....そんなものの、どこに『名誉』があった?あのリングに上がってたのは、行くあてを無くした死にぞこないだけだ。今のあんたは実力であの場所を離れ、郊外で走り屋の「チャンピオン」に収まった…そうだろ。ならどうして、あの肥溜めに心を置いてきたフリをする?」

「――!!ラ、ライト....それは....!」

 

 

「郊外に感謝するんだな。ここは決して、あんたの出身や過去を笑わない。実力さえあれば、自分の運命を変えられる場所なんだ。俺と決闘がしたいなら、こんな回りくどいことせずとも相手になってやる。結局のところ、俺にも挑戦したいと願ってやまない相手がいるからな。」

 

「あ....ああ、わかった。ライト、ゴホン....その...礼を言う」

 

「気にするな、ベイラム....じゃなかった、ベルラム」

確かに似ているネーミングだが、確実にここで間違えてはいけないタイミングだろう。

 

「ライト、テメエ…!結局、オレっちの名前を覚えようともしてねぇじゃねぇか!やっぱ適当こいてやがったな!」

「待った、名前はともかく…それ以外は本心だ!」

「何の慰めにもなってねぇよ!」

 

こんなしょうもない終わり方だが、無事にデータスタンドからデータの回収を終えたプロキシたちだった。

*1
RaD所属でアリーナランキング最下位のインビンシブル・ラミーよりも心配な武装だが…




チャティ・スティック

所属:RaD
性別:性別不明。性自認は男
誕生日:不明
身長:165cm
使用武装:「CIRCUS」
属性/タイプ:物理/撃破
備考
RaDのシステム担当。
その正体はRaDのボス、シンダー・カーラによって作られた知能機械。
割と茶目っ気のある行動を取ることもある。
エンブレムとDMアイコンの図案は電球もしくはミサイルを模していると思われる。

「…チャティかい?まあ、無口だが仕事はできる奴ってとこかな」 シンダー・カーラ

シンダー・カーラ

所属:RaD
性別:女
誕生日:不明
身長:174cm
使用武装:「FULL COURSE」
属性/タイプ:物理/撃破
備考
新エリー都郊外にて活動するならず者集団「ドーザー」の一つ、RaDの頭目を務める女性。
ジャンク技師とハッカー集団を引き連れて数年前にRaDに入り、その後わずか半年で組織の実権を乗っ取って成長させた女傑である。

ハンドラー・ウォルターとは旧知の仲であり、たびたび会話を交わしているようだ。
彼女を一言で表すなら「ハード・ソフトの両面で有能な変態技術者」
AC用パーツやMTをはじめ、全てのRaD製品の基礎設計を行っている。
モットーは「”生きてるなら笑え”」である

「ボス、見ててくださいよお この”無敵”のラミーが”客人”を”もてなして”やりますんで』
アリーナランキング最下位、インビンシブル・ラミーの独白
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