ZZZ×ARMORED CORE 6   作:ジョシュア・オブライエン

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Chapter 5:Say hello to...?

サクリファイス・ブリンガーに逃げられたC4-621こと”独立傭兵レイヴン”一行。

 

ウォルター曰くエーテル反応からしてまだ遠くには移動していないようであり、追跡を始めた。

 

彼を追いながら、道を阻む道中のエーテリアスを徹底的に排除していく。

アキラらが協力を要請したのであろう、白祇重工、ヴィクトリア家政、カリュドーンの子、邪兎屋といった様々な陣営からのサポートもあって、ようやくブリンガーの居場所までたどり着いた。

 

◇◇◇

 

ブリンガーは量のエーテルを積んだコンテナなどを取込んでいる真っ最中であった。

ダメージを負った肉体を癒すためか、更なる力を手に入れるためか、どちらともかは分からない。

 

――621について来ていた、対ホロウ6課の隊員である、浅羽悠真の瞳に小さな何かが映った。宙に浮かぶエーテル物質の塊の中に一つだけ、ガソリンの詰まった赤いドラム缶のようだ。

 

「満腹になったらマズイ、止めないと……ゴホッ」

このタイミングで発作が起こった自身の体を恨みつつ、悠真はゆっくりと弓矢の標準を合わせる。

ACは人間と異なり、FCSが自動で標準を合わせる。マニュアルエイムもあるが、そこに関しては生身のほうが精度が高い。

 

精神を統一させ、一気に矢から指を離した。

――見事、命中。エーテルの塊はブリンガーごと大爆発した。

 

しかし……

「クソッ……また耳鳴りが……!畜生!!エーテルの爆発が原因かよ……!」

G5イグアスが頭を抱えている中、

「待ってくれ、戦友の様子がどうもおかしい。」

V.Ⅳラスティが真っ先に気づき、ウォルターも621のバイタルに目を向ける。

遂に621の意識も落ちてしまった。

 

『原因は……致死量に近いエーテル侵食と、高濃度のエーテルの干渉による、脳深部エーテル管理デバイスのオーバーロード……。』

621は旧世代型の強化人間。アンティークもいいところなのだ。

逆にここまで戦えたのが奇跡でもある。

 

「ここまでやったのは褒めてやろう……!だが終わりだ!!」

ブリンガーはまだ倒れていない。態勢を整え、もう一度肥大化した右腕をこちらに向ける。

 

『お前たちは気にせず、奴の相手をしろ。こいつは……俺が何とかする。』

後悔しながらウォルターはラスティたちに指示を飛ばす。

 

「――終わりだ……!!」

エーテルのゲロビームの装填が終わったのだろう、こちらに向けて照射しようとした瞬間――

 

 

 

 

 

ブリンガーのゲロビームは一本の刀によって切り払われた。

 

「皆、待たせた。ここからは私がやる。お前たちは無理はするな。」

窮地に現代を生きる「虚狩り」星見雅が駆け付けた。

 

◇◇◇

 

「星見、雅ぃ……!!」

忌々しく彼女を睨むブリンガー。

その姿はもうすでに”英雄”の面影すらなかった。

人間性のついでに冷静さすら失った彼は、虚空からエーテルで作った妖刀を力任せに振りかざそうとする。

 

一方、雅は呼吸一つ乱さず、自身の因縁の妖刀「骸討ち・無尾」に手を掛け――

 

 

 

 

 

一閃。

ブリンガーは袈裟斬りに真っ二つになり静かに落下した後、爆散した。

 

――そしてその、彼らの姿を何者かがじっと見ており、急に消え去っていった。

 

◇◇◇

 

何も無い虚空を見ていた。

何もかもない真っ黒な変わらない光景。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――小さな赤く光るナニカを見つけた。

 

『あなたは…?第4世代、旧型の強化人間…。あなたには 私の「交信」が届いているのですね…。』

 

『私は新エリー都の市民の一人、”エア”』

 

『目覚めてください。あなたの自己意識が…このエーテルの流れの前に散逸する、その前に……』

 

――エーテルが脳に焼き付く嫌な感覚が走った。

 

◇◇◇

 

数日後、

C4-621こと”独立傭兵レイヴン”はゆっくりと目覚めた。

目覚めたのは……知らない天井――ではなく、見知ったいつもの自分とウォルターの拠点だった。

 

すると――

「――!起きたか。621、体に異常はないか?お前が気絶してから3日経っている。異常があったら俺に言え。直ぐに”調整”する。」

『おはようございます。レイヴン。大丈夫ですか?無断ですがバイタルチェックをしました。』

『私は医療知識はネットしか知らないのですが見た感じ問題はないそうです。』

 

ウォルターが心配してくれる裏で……

なにか聞こえてはいけないタイプのが聞こえた。

 

一度ウォルターに客人を呼んだか聞いても、誰も呼んでないらしい。

正直に「頭の中で妙な声が聞こえる」と報告したが、「旧世代強化人間にありがちな幻聴」「続くようなら調整するから言え」と気にも留めなかった。*1

 

――これが幻聴ならこちらから話しても会話は不可能では?

621は天才的なアイデアを出した。

 

(えーと……誰?)

『自己紹介がまだでしたね。私は新エリー都の市民の”エア”。よろしくお願いします。』

 

強く念じる形で”彼女”と会話できるようだ。

以前、アンビーから教えてもらった「テレパシー」みたいだ。

 

『――レイヴン、迷惑でなければ、私の願いに付き合ってくれませんか?』

 

621はかなり身構えた。個人からの依頼は大体地雷が多いのである。

以前も偽りの依頼で、そのまま袋叩きにされそうになった*2

 

『あ、そういう辛いお願いではないです。』

『無断で見て申し訳ないですが、あなた方は零号ホロウを調査するという目的があるのですよね?……零号ホロウの最深部に到達するまで、あなたとの交信を続けさせてほしいのです。エーテルを巡るこの世界がどこに向かうのか、私は見届けなければならない。ひとりの市民として。』

 

『……レイヴン、貴方しか頼れないのです。どうか……お願いします。長い間独りで――』

 

なんか良心が傷んだので了承した。まあ、定期的に脳に直接話しかけられるのだ。別にデメリットもないだろう。

*1
ウォルターの資料でも旧世代強化人間の弊害は幻聴などがあると丁寧に書かれており、ウォルターは全く噓をついてない様だ。

*2
相手を殲滅して追い返したが。




カーラ『しばらくぶりだねウォルター。中々元気そうじゃないか。あのビジターを最近連れてるようだが…。617たちはどうした?』

ウォルター「…………。仕事をしたさ。おかげでここまでこぎつけた。」

カーラ『……そうかい。今のビジターの様子は?昨日ぶっ倒れたそうじゃないか。』

ウォルター「比較的安定しているようだ。……ただ、ひとつ気になる接触があった。」

カーラ『調べものだね、聞こうか』

ウォルター「ジャスティン・ブリンガーやサラと呼ばれる人間、そして「讃頌会」という組織を洗ってほしい。こいつらを何とかするまで、”俺たちの計画”は延期するべきだ。」

◇◇◇

新エリー都のどこか。

サラ「…実験は完了よ。「Elixir P07」は有効だった。ブリンガーは使命を全うしたわ……。始まりの主が 汝を再創せん…」

◇◇◇

???《変異波形反応を確認。やはり生じています。それにサクリファイスのサンプルも回収できず。……リリース計画にはそれらが不可欠なのです。讃頌会に先を越される前に。》
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