ZZZ×ARMORED CORE 6   作:ジョシュア・オブライエン

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エアについて分かったことは少ないが確実な事がある。

・彼女は自身の脳波と同調する事で交信を行なっており、その”声”は他の誰にも知覚されない。
・本人は「多少の心得がある」程度にしか言わないが凄まじいハッキング技術を所持しており、その気になれば知能機械人どころか新エリー都そのものを確実に掌握できる。――絶対にやらないが。

・そして下手したらパエトーン兄妹やウォルター並みのプロキシとしての実力がある。

今後、「彼女」が吉と出るか凶と出るか、まだわからない。
C4-621、”独立傭兵レイヴン”の手記



Chapter outro:Burying tears and the past
Chapter outro:Burying tears and the past ①


短いようで長かった2日間の休日を終えたC4‐621こと”独立傭兵レイヴン”

朝から急にウォルターから呼び出され、アキラとリンこと、「パエトーン」の居るレンタルビデオ店「Random Play」に朝から向かうことになった。

 

621とウォルターが「Random Play」に着いた時、アキラとリン以外にも、

バレエツインズや、ブリンガーの一件でも世話になった、「フォン・ライカン」と「エレン・ジョー」が待っていた。

 

「おや、お初にお目にかかります。ハンドラー・ウォルター殿。改めて我々はヴィクトリア家政でございます。」

「――これは丁寧に……感謝しよう。」

何気にウォルターは621のACを通じて他人と話す事が多く、初対面が多い。

 

「皆様方、この度は重要な件についてご相談したく参りました。しかしその前に、まずはお伝えしなければならないことがございます。

――ヴィクトリア家政がお仕えするご主人様について。」

「そ。たぶんまだ知らないでしょ。」

ライカンのそばでエレンがそうダルそうに話す。

 

「確かに知らないけど……ライカンさんたちの謎めいたご主人様って……ってやつ?」

リンが興味を持ち出した。

「左様でございます。私共が現在お仕えしているのは、メイフラワー家の現当主──そして、新エリー都の市長閣下であらせられるお方でございます」

 

『メイフラワー家……かつての旧都陥落の悲劇よりももっと昔、通称”エリー都”の創設者の一族です。何故彼が少なくとも犯罪者である私たちにコンタクトを取ろうとしたのでしょうか?レイヴン、もう少し話を聞いてみましょう。』

 

「実のところ、皆様方とお話しをしたいというのは、市長閣下のご意向でございまして。なにせ皆様方はブリンガーとサクリファイスの件に、深く関与されておりますから。」

 

「……どうやら派手にやり過ぎたようだ。企業も俺たちも。」

ウォルターの意見もごもっともである。

ブリンガーの一件であやふやになっているが”独立傭兵レイヴン”もアーキバスもベイラムも正当防衛とは言え公権力の「H.A.N.D」の所属の「対ホロウ6課」を叩き潰したのだから。

 

「ご安心ください。私めの名誉にかけて申し上げますが、市長閣下にはいかなる悪意の類もなく、お二方にいかなる責任を問うこともございません。また、物理的な対面ではないこともお伝えしておきましょう。」

ライカンの言葉によってウォルターの心配は杞憂に終わった。

 

「うーん、そこまで言うなら……分かった、話してみよう」

「感謝いたします」

ライカンはアキラの許可を取って、音声通話の準備を済ませてからマイクをオンにした。

 

◇◇◇

 

「市長閣下、彼らをお連れしました。」

『ありがとう、ライカン君──さて、親愛なる君たちよ……君達と言葉を交わせて嬉しい限りだ。ヘーリオス研究所は、暖かな場所だった。』

 

「「「――!?」」」

 

「――エア。」

『……新エリー都防衛軍及び反乱軍の保有する兵器を掌握、新エリー都中枢に向かわせます。』

めちゃくちゃ小さい声で物凄く物騒な発言をする621とエア。倫理観はどうした。

 

『――警戒しなくていい。私は決して、君達に危害を加える事は無い。今回君たちに連絡を取るに至ったのは、君達の「H.D.Dシステムの弊害」についてだ。』

 

「――やっぱストップ。」

『ですが……。――分かりました。掌握を解除。証拠となるアクセス履歴も消去します。』

新エリー都の表面的な平和は、何も知らない市長によって守られた。

 

「ご存知なんですか?…あの場所のことを!」

アキラが驚いたように言う。

『もちろんだとも、君たちの先生のこともね。カローレ君は…素敵な人だったな。旧都陥落の責が彼女にあると聞かされたときは、なんとも残念に思ったものだ。』

 

「ああ、そうだな。だがその話はそいつらの前ではしないでやってくれ。」

「――ウォルターさん!!先生は無実です!あのことには、確実に何か裏がある…!!」

冷静にそう言うウォルターに対して、珍しくアキラが怒った。

 

『ああ、そうであればどれだけいいか。ただ…旧都の陥落がもたらしたものは、あまりに大きかった。君たちが、その不当な余波を受けていることについても…カローレ君の子供たちよ、この数年の苦労は大変なものだったろう。』

「いつか……いつか僕たちが先生の潔白を証明する証拠を、見つけてみせます。」

『ああ、君たちの成功を祈っているよ。』

 

◇◇◇

 

『さて、本題に入ろう。』

市長曰く、簡潔に言えば「H.D.Dシステム用の目から脳にかけてのインプラントのアップグレード版が完成したとのこと。」

この施術を施せば、長年H.D.Dシステムのデメリットであった、「エーテル適正が激減し生身でホロウ内部に入れなくなる」を踏み倒すことができるようになるらしい。

そしてこの構想はアキラやリンの親代わりでもあった「カローレ・アルナ」が残したデータから完成させたらしい。

 

「先生は…ずっと僕たちのことを気にかけてくれていたんだな。」

アキラがそう呟く。

『その通りだ。ゆえに私は、これが彼女の遺志に他ならないと考えている。かつての友として、彼女の課題を全うする手助けをしたい。』

 

『君たちの体内には、新エリー都全土に影響を与えかねないものが隠されているかもしれない。力とは、よく研がれた刃物のようなもの。その刃が正しい方向に向けられるか、それが肝要なのだ。

新エリー都市長として、私にはすべての市民の安全に対する義務がある。』

 

『まあ、そういうことだな。では始めよう。』




言い方ァ!!
ナニカサレルのはそうだけど……
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