ZZZ×ARMORED CORE 6   作:ジョシュア・オブライエン

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Chapter outro:Burying tears and the past ②

新エリー都市長がほんの少しだけ補足する。

『ではこれよりライカン君に君たちのH.D.Dシステムをアップグレードしてもらう。』

『安心してほしい、アップグレードの全工程は君たちにも見てもらう。君たちにもシステム面の知識はあるだろうから、それぞれの作業がどういうものかわかるはずだ。』

 

「……俺は遠慮させてもらう。こんな老いぼれがホロウ内部に侵入すれば真っ先に死ぬだろう。それに俺が支援しているこいつは限りなく強い。感謝するが……俺はいい。」

ウォルターが621を見ながらそう言った。

 

『成程……分かった。ではライカン君、アキラ君とリン君にアップグレードの施術を』

 

◇◇◇

 

「皆様、アップグレードの処置が完了致しました」

『ご苦労だった、ライカン君。さて、体の調子はどうかな?アキラ君、リン君。』

 

「今のところ、良好です。」

「ほんと?私は…なんかちょっときもちわるいかも…」

やっぱこれ強化人間施術だろ。非戦闘特化の。

 

『強化人間とは少し違うようです。強化人間は脳にインプラントどころか全身の器官を代替のものに切り替える仕様ですし、今回のアレは単純に神経辺りに埋め込まれた知能水晶体を少しだけいじくるようです。』

エアが分かりやすく説明してくれたが、結局強化施術みたいなもんだろう。

 

『――体質によるものだろう。君の体が変化を受け入れるのには、ある程度時間がかかるだろう。万一のため、回復するまでは無暗にホロウへ入らない方がいい。』

割と良心的な方だった。強化人間施術と言ってもヴェスパー部隊の連中のような安心設計だった。

 

「なるほどね…大丈夫。私、それまではお兄ちゃんの助手するから!」

リンがそう宣言する。まあ、市長曰くすぐに慣れて回復するそうだが。

 

『いま、アキラ君のエーテル適性は大多数のホロウ調査員と同じレベルに達している。特別なホロウでない限りは入ることができるだろう。』

『ちょうど今、地下鉄のホロウでデータスタンドがいくつかトラブルを起こしている。テストで行ってみるといい。ライカン君、エレン君、付き添ってあげるように。』

 

「レイヴンも行くかい?」

アキラからそう言われたので621も向かうことにした。

 

◇◇◇

 

今回621が同行している、アキラはいつものボンプのイアスと感覚同期せずに、生身でホロウへと侵入する事になる。

 

今回の市長からの依頼の概要は

 

ホロウ内部にある3つのデータスタンドから必要なデータを取得し、このエリアの「キャロット」データを更新すること。

 

初っ端からエアが

『ホロウ内部のデータスタンドからのデータ収集も任せてください。この場でも問題なく終わらせられます。』

エッヘンと自慢しながら割とアウトな発言をするエアを621が止めた。

今回はアキラらのアップグレードの臨床試験だ。下手に干渉しない方がいいだろう。

 

◇◇◇

 

3つのデータスタンドからデータを収集し依頼は難なく達成した。

なお、途中でセキュリティが作動しており通れないポイントがあったがエアがコッソリと障壁を解除していた。

 

「市長閣下、ご依頼は滞りなく完了致しましてございます。「パエトーン」様についても、大変に優れたパフォーマンスを発揮なされました。」

『よろしい。君たちには、やはり天賦の才がある。実のところ、今回君たちに接触を図ったのは、もうひとつ…協力してもらいたい重要事項があるからなのだ。』

 

『君たちに、とあるオークションにて競り落としてもらいたい品がある。』

『単刀直入に言おう。この件は…君たちがかつて遭遇した「サクリファイス」と関係がある。』

 

市長曰く、

治安局が回収し、H.A.N.Dが調査していたサクリファイスはホロウの外でも存在を維持できる力を持っている事、そしてその体内には人間のDNAが組み込まれている事が分かったと言っていた。

 

『本題はここからだ。我々はそのサクリファイスから奇妙なコアを摘出する事に成功した。そのコアも本体同様、特殊な力が働いているらしい。しかしあろう事か、コアはしばらく前に盗まれてしまってね……』

 

「ぼ、僕たちがそれを競り落とすんですか…?」

『サクリファイスはその被害をもたらす力もさることながら、不確定な要素が多すぎる。現時点で、あれのことを知る人間は少ない方がいい。』

 

「……アーキバスとベイラムは大丈夫なのか?割と大多数の人間がサクリファイスを知ってたぞ」

「まあ、ブリンガーの案件からしてアーキバスとベイラムはシロだろうけど。仮にブリンガーとグルなら、当時わざわざ自身が抱える先鋭部隊を出す必要もない。」

 

そう言う621に対して市長は口を開いた。

『ああ、確かに彼らは明確な関係者さ。無論、既に協力関係を結んでいる。利潤の追求が第一のTOPSとは仲が良いとは言えない私相手でも、一応快く許諾してくれたさ。』

 

アーキバスとベイラムはあまりエーテル技術を軍事転用しておらず、基本的に実弾武器かエーテルエネルギーではないEN武器が多く出回っている。

かつて強化人間施術は人間にエーテルを流し込む形で行われたが、現在はエーテル以外を使用するにも拘わらず安定した性能を誇る。

 

――そしてエーテル属性のAC対応武器は零号ホロウ内部で発掘する形で入手するしかない。

 

『それと……オークションは招待制であるが故、TOPS関係の主催者から招待状を手に入れるのは少々骨が折れるが……なるべく早く入手が出来るよう努力する。それでは、頼んだぞ。』

 

市長との音声通話が終了した。

そしてライカンはアキラ達に『お疲れ様でした』と労いの言葉をかけ、エレンと共にこの場を去って行った。

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