ZZZ×ARMORED CORE 6   作:ジョシュア・オブライエン

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Chapter outro:Burying tears and the past ⑥(ALT)~SULLA~

「モッキンバード」のヒューゴと、元「モッキンバード」のライカンの争いの中で、ナチュラルにヤバイ発言をして場を凍らせたC4‐621こと”独立傭兵レイヴン”。

 

「……ライカンの言う通りと思う。人のパーツは高く売れるんだからそんな勿体無い真似しないほうがいい。あとそいつらの耐侵食装備もかき集めたら良いものができる」

 

「……ず、随分と物騒な発想だな……。」

「とにかく!ライカン…あれからもうずいぶん経った。にもかかわらず、貴様は何一つ成長していないのだな。目玉と足だけでは、教訓として不十分だったかね?」

621に結構ドン引きしたヒューゴは一度咳払いをしてこう言った。

 

「悪党に罰を与えるのに、なにを躊躇うことがある!こいつらが今まで手にかけた命の数を知っても、同じことが言えるか?俺はただ、この世界に然るべき「公平」を取り戻しているにすぎない。」

 

「その審判を下すのは、俺たちではない。」

堂々と演説するヒューゴにライカンはそう反論した。

 

「これ以上の問答は無駄だ。だが、お前が何度繰り返そうと……そのたびに俺が止めてみせる。」

「やってみろ。何度だって貴様を打ち負かしてやる。」

ヒューゴとライカンが同時に飛び出し、鋼鉄の義足と氷の大鎌が衝突するその瞬間――

 

「――!!ここから離れるんだ!」

アキラが大きく叫び、全員咄嗟にその場から離れた。すると彼らがさっきまで居た地点にプラズマミサイルのプラズマ爆発が発生した。

 

「くっ……品が無いな!背後から狙うとは……!」

ヒューゴも狼狽えており、ヒューゴが逃走するために手引きした増援ではないようだ。

 

「…………。サクリファイスのコアを回収するだけと思っていたが、わざわざこんな所まで来るとは……相変わらずだな、ハンドラー・ウォルター。」

「また犬を飼ったようだが、何度でも殺してやろう。」

積みあがったコンテナの山からこちらを見下ろすのは、独立傭兵スッラことAC「ENTANGLE」であった。

 

◇◇◇

 

AC「ENTANGLE」はアーキバス製フレーム「VPシリーズ」をベースにした機体で、ALLMINDの特殊ミサイルや、タキガワの範囲型パルスガン、VPCLの3連プラズマミサイルで削りつつ回避を誘い、EN切れで足が止まったところにブーストキックとオールマインドの特殊バズーカでの手痛い一撃を狙いに来る堅実な構成。

 

「ハンドラー・ウォルター、それに”パエトーン”。お前には後で消えてもらおう。」

「まずは猟犬からだ。」

そう言って彼は621に向かって一気に加速して来た。

 

スッラを前に621とライカンは戦闘態勢に入る。しかしヒューゴは──

 

「――っ!?待て!!」

 

どさくさに紛れて逃げ出そうとしていた。ライカンは咄嗟に追いかけようとするが、スッラの特殊ミサイル「JVLN BETA」*1によって阻止される。

「こんな時に客人を無視するとは、躾がなってないようだな?ヴィクトリア家政の番犬。」

 

「くっ……こんな時に……」

 

「親愛なる友人であるアキラ君と、新しい友人*2のレイヴン君に忠告しよう──メイフラワー家の人間には気を許すなよ……無論、その飼い犬であるヴィクトリアの番犬も……」

ヒューゴはそう言って姿を消した。

 

「ヒューゴ!!」

「――!ライカンさん!まずはアイツを何とかしよう!」

アキラの視線の先には苛烈な戦闘を繰り広げる621とスッラの姿があった。

 

◇◇◇

 

「――そこの犬、お前には同情するぞ。飼い主が違えばもう少し長生きできたろうに。…… 私が殺ったのは……618だったか?――アレも、アレ以外も悪くはなかったが今度の猟犬はそれ以上だな。」

 

妙にドスの利いた巻き舌気味の嫌味を何かとネチネチ呟いてくるスッラにうんざりしながら、スッラを中心として両手のガトリングを当てながら旋回する621。

スッラも負けじと結構回避の難しい「JVLN BETA」をベースとして徹底的に攻めてくる。

 

「あまり手を煩わせるな。ハンドラー・ウォルター。そこにいるプロキシとヴィクトリアの番犬もそうだが、余計だ。その犬もな……。」

スッラのウォルターに対する言いぐさに苛立ちを覚えた621は両肩の2連グレネードキャノン「SONGBIRDS」を至近距離で不意打ち。

「SONGBIRDS」はグレネードキャノンにしてはヒットしやすく、スムーズにスタッガーまで刈り取り、両腕のガトリング「HU‐BEN」で一気にAPを削っていく。

 

「ぐ……!この感じは第4世代か、上手く育てれば優れた猟犬になる……。だが、お前……危険だな。臭いで分かるぞ。消えてもらうのが上策のようだ。」

スタッガーから回復したスッラがおもむろにALLMIND製、特殊バズーカ「JVLN ALPHA」を発射する。「JVLN ALPHA」は他グレネードキャノンやバズーカと違い直撃補正がやけに高く、スタッガーしていない状態の相手でも割と当たる。

 

「……この犬は死んで正解だ……お前のためにもなハンドラー・ウォルター……。」

さらに踏み込もうとするAC「ENTANGLE」だったが突如横槍が入る。

 

「すみません。増援が遅れました。」

ようやくライカンが合流した。先程、ヒューゴを追う過程でエーテリアスと交戦したようだった。

 

「……。流石にこれは分が悪い。撤退させて貰おう。プロキシにハンドラー・ウォルター………

その猟犬は本当にやめておけ………。これは俺の本心からのアドバイスだ。 」

かなり満身創痍なスッラはそう捨て台詞を吐いて撤退した。

 

621はトドメを刺そうとスッラを追おうとしたが――

『待て、621。追う必要はない。俺の為に行こうとしたのだろう?俺は別に良い。……一度帰還しろ。ミッションは……失敗だ。一度市長に連絡し、情報を共有しろ。……今回はイレギュラーが多すぎた。お前は悪くない。』

『……。今回の案件ではあなたの失態ではないと思います。今回は予想外の出来事が多かったですね。怪盗の参戦に、別の独立傭兵の介入。そう自分を責めないであげてください。』

621たちは一度拘束したホロウレイダーたちを治安局に引き渡してからホロウ内部から出ることにした。

*1
その特殊な挙動から付いたあだ名は爆導索。

*2
新しいご友人!!さあ!楽しみましょう!




パエトーン図鑑

暴徒

独立傭兵スッラ
数十年前から活動していた老境の独立傭兵

彼が受けたとされる第1世代強化手術は成功率が1割にも満たない極めて劣悪なものであって、彼の傍らには常に死の気配が漂っていた
手術を終え、生き残ったスッラは「狩り」だけを請け負うようになり、今では雇い主さえ定かではない。
ハンドラー・ウォルターとその猟犬を執拗に執着し、以前621の先代に当たるC4‐618を殺している。
搭乗ACは「ENTANGLE」。中量2脚でありバランスの整った堅実な構成。相手にすると厄介。
アリーナランキングは15位でCランク。しかし侮ってはいけない。
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