ZZZ×ARMORED CORE 6 作:ジョシュア・オブライエン
大きなアクシデントによって大規模な戦闘が勃発し、争うC4-621と”独立傭兵レイヴン”。
”独立傭兵レイヴン”が引っ掛けてきた”レイヴン”の名を巡るこの戦いは遂に終盤に向かっていた。
これまでの衝撃値をリセットし、形勢を立て直す為に一度、距離を取る”猟犬”と”鴉”。
駆け引きによって、両者共にリペアキット残数が0になった二人の間に緊迫した空気が流れる。
――今度は621が先制を取った。
レーザータレットを設置し、豆鉄砲だがバカにならない威力のレーザーでレイヴンの「Nightfall」の始めから既に数少ないENゲージを消費させ、ガス欠に陥った瞬間に両手の重ショットガンを直撃。
「Nightfall」のACS限界までは取れず、スタッガーはならなっかったがブーストキックで衝撃値は稼げると判断し、一気にABで加速――
『――――!621!正面からだ!!』
――621は誤算していた。「Nightfall」は待っていたと言わんばかりにパイルバンカーを展開。それをフルチャージして621を待ち伏せしていた。*1
チャージされ、高速で射出された杭が確かに当たる感覚がした。
レイヴンは勝ち誇った様子でパイルをしまい、土煙は晴れるのを待っていたが、
待っていたのは――
パルスブレードを展開した621の姿だった。
レイヴンは驚愕し、621を観察した。
彼がパイルバンカーで貫き通したのは……621本体ではなく、621のレーザータレットが射出される本体*2だった。
当時621は、レイヴンのパイルを緊急のQBで回避しようとしたが。パイルバンカーには射出後大きな隙ができる。この千載一遇のチャンスを逃さないと621は大きな賭けに出た。
――そして賭けの結果は大勝ち。レーザータレットが大破したのは想定外だったが、甘んじて受け入れる。
そしてパルスブレードの強力な二連撃で621は――”レイヴン”を仕留めた。
◇◇◇
C4-621こと”独立傭兵レイヴン”は、大きなパルスブレードによる傷が出来た「Nightfall」を見つめたままじっと立っていた。
『……レイヴン。少し、調べものをしていました。先ほどあなたが戦った――”レイヴン”についてです。』
エア曰く、
そもそも”レイヴン”とは特定個人ではなく、その名を冠した者たちが定義する”自由意志”の象徴として傭兵たちが受け継いできた称号であって、それを背負う業でもあるという。
『自ら戦う理由を選び、強く羽ばたき続けること。それが、彼らの――“レイヴン”の証明だと言うのなら…………。』
『私はあなたを変わらず、”レイヴン”と……そう呼びたいと思います。――そしてあなたが生きていて良かったです。さっきのレーザータレットにパイルバンカーが刺さったとき本当に怖かったです。レイヴン、私を怖がらせた責任を取って今すぐ結こ――』
『――!?621!退避しろ!まだ息がある!!』
ヘラったエアをスルーしているとウォルターが警告して来た。
咄嗟に後方QBを連続で吹かし、”レイヴン”から距離を取ると……
撃破されたはずの「Nightfall」を中心にパルス爆発――アサルトアーマーが発動。視界を覆う青白いパルス系攻撃特有の光が消え去った頃には「Nightfall」の姿は既に無かった。
『……機体反応消失……。撤退したようです。』
力んでいたものが一気に抜けて行くような感覚がする。荒い呼吸を整えて行く。仕事はまだ続いている。”レイヴン”との戦闘で始めに居た所と大きく離れてしまった。
武器も損傷も大きく、ショットガンの弾薬も尽きかけているが……今すぐにアキラとビビアンの所に向かわなければ。
621はABを吹かしてアキラたちの反応がする方へと向かった。
◇◇◇
621がアキラとビビアンのいる所へと合流した時には既にディナが変貌したエーテリアスは倒されていた。
「私は……ディナ、貴女を救ってあげたかった。でも、それは私の思い上がりで……。ごめんなさい。そして……ありがとう。」
満身創痍ながら悲しそうにそう語るビビアン。彼女にとって初めての友人。救おうとしたが、結局己の手で殺すこととなった”彼女”に一筋の涙を流すビビアン。”彼女”に踵を返した――その時。
『――!!構えろ!まだ終わってはいない!!』
『後ろです!!』
彼らは大きく油断してしまった。
エーテリアスは一定のダメージを与えればコアが崩壊して活動停止・消滅する。
今回の”ディナだったもの”は、単純にダウンしただけで、全くコアに異常が起きていなかった。
”ディナだったもの”はこちらの隙を突いて即座にエーテルビームを発射。
ビビアンは開いた傘を盾代わりに何とかやり過ごし、621はエーテリアスに突撃し重ショットガンを叩き込もうとしたが――
”レイヴン”との戦闘で弾薬はほとんど無くなり、道中の雑魚エーテリアスで全ての弾薬を切らしてしまったようだ。ビビアンの方も傘で受け止めるにはいつか限界が来る。
――万策尽きた。
そう察して撤退を促そうとした621とウォルターだったが、
「アキラ──」
ビビアンは思い切り声を張り上げ、道中で拾ったのだろうか、隠し持っていた失敗作のサクリファイス化の薬剤を己の腕へと突き刺した。
その瞬間、ビビアンを中心に地面から大量の巨大なエーテル結晶を生やし、一瞬にして”ディナだったもの”を串刺しにした。
◇◇◇
エーテルの奔流が落ち着いた後、
621はアキラと共にビビアンの所へと駆け寄った。
――そしてビビアンは倒れ、深刻なエーテル侵食が取り返しのつかないレベルまで達していた。
恐らく、サクリファイス化の薬でエーテル適性を無理やり引き上げた結果、こうなったのだろう。
「お見苦しい、ですよね……。」
「ビビアン、ビビアン!体が……。」
「けれど……これで”不幸を呼ぶ”のも終わり……」
『アキラ。621と彼女から離れろ。こいつは直ぐにアレと同じになる。621がアサルトアーマーで成り果てる前に消し飛ばす。――このままでは最悪の結果になる。選べ。』
「だけど――!」
『…………仕方ない、621。アキラを落とせ。』
「騙して悪いけど………。ごめん。」
621がアキラの意識を断ちビビアンを介錯する為にゆっくり近づこうとする。
「――こんな結末……間違っている!」
耳をつんざくような叫びを上げもう一度アキラがビビアンを強く抱きしめると――
二人の身体から凄まじい光が溢れ出した。アサルトアーマーを超える光量。621もとっさに目を背ける。
――そして、二人とも気を失ってしまった。
……一度スキャンすると、ビビアンのエーテル侵食がまるで無かったかのように消えていた。
621とウォルターは少し相談して、アキラとビビアンを担いでホロウの外へと運んで行った。
――ポート・エルピスの共生ホロウのどこか。
そこには以前戦った特殊MTである「IA-27:GHOST」が一体これまで状況をジッと見ていたが、サクリファイス化の薬を打ち込まれたディナやビビアンの状況を見て何か失望したような雰囲気で去っていった。
◇◇◇
???《讃頌会と言えど、統率を欠けばこの程度。ブランチを呼んで正解でした。人による組織はやはり脆弱なものです。讃頌会も含めて……。》
??? 《……それにしても面白い物を見せていただきました。リリース計画のトリガーではないにしろ、エーテルエネルギーを操るあの力。取り込めば、リリース計画がスムーズに進めることができるでしょう。》
??? 《……それにしても、讃頌会ですか。”失敗作”ばかりでパッとしない癖に厄介なものです。我々も裏で根回しを――》