ZZZ×ARMORED CORE 6   作:ジョシュア・オブライエン

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Chapter 1:Where the clouds and mist come to rest ⑪

C4-621こと”独立傭兵レイヴン”とG1ミシガンは不明機体の襲撃を退け、一度ホロウの外に出た。

アキラたちは既に浸蝕症状を起こした患者たちをホロウの外に運んでおり、明日合流することになった。

 

――場所は変わって、レッドガンの臨時拠点。

 

「……すまない、621。野暮用が重なった。」

ようやくウォルターが衛非地区に到着した。

 

「……ったく。わざわざ野良犬の飼い主の護衛にココと六分街往復させやがって……人使いが荒いこった。」

「いいじゃねえか、上手いことサボれたしな。」

G5イグアスとG4ヴォルタがぼやく。

話の筋からしてイグアスとヴォルタがウォルターをここに来るまで護衛したようだ。

感謝だ。後に”お礼”*1をしてやろう。

 

「ア“ー、身体がだりぃ……」

「そりゃそうだだろ、イグアス。俺たち一日中ACで働いてたんだぜ。」

 

――刹那、アキラから連絡が入った。

『大変だ!……街の人達が、一斉に侵蝕症状を起こし始めている!』

 

◇◇◇

 

「……地獄か……?ここは……。」

レッドガンの新入りのG6レッドがそう呟いた。

 

レッドガンの臨時拠点から出てすぐ。

アキラの言っていた通り、死にかけの住民たちでいっぱいの光景だった。

恐らく「解悩水」に含まれていたミアズマのせいだろう。市民達の悲鳴で溢れかえっている。

 

「十中八九、讃頌会の連中の仕業だろうが……奴らは一体何をするつもりだ……?」

ウォルターも怪訝そうに話す。讃頌会は「儀式」に使うと言ったが詳細はわからない。情報源がミンチ肉になったのだ。ウォルターは後悔した。

 

『――ウォルターさん!ミシガンさん!今から儀玄さんが散らばったエーテル同士を”共鳴”によって散逸させる。そうすれば、人々の侵蝕は緩和されるはず……脳にエーテルが注入されている旧世代型強化人間の方は今すぐ離れ――』

 

アキラの通信を遮ったかのように、街の四隅から黄金の光の柱が顕現し、やがて四本の光の柱はそれぞれを繋いだ巨大な光の直方体のようなものへと変わっていく。

 

すると、患者達の身体が宙へと浮いていき、エーテルらしき粒子が軒並み吐き出されていく。

 

……しかし、

『――干渉!?あなたとの同期が――!』

突如として621に発生した酷い頭痛と耳鳴りの裏で、エアが急に慌てる。

 

「クソッ何しやがる……!いつもより……耳鳴りが……!!」

同じ旧世代型強化人間のイグアスも頭を抱えて悶絶していた。

 

侵蝕症状を抱えた住民が地面へと落下した頃には侵食が消えていた。

 

『……はあ、はあ……何とか……持ちこたえました……レイヴン。後で褒めてください……。』

 

「大丈夫か!?621!…………621、異常があるなら今すぐ言え。出来る範囲で”調整”する。」

「G5、貴様も余波でG13と同じくやられたようだな。戦えないなら帰還しろ!」

 

「問題ない。もう治った。」

「チッ、言われるまでもねぇ!野良犬とまとめてくたばってられるか!!」

 

「……ならいいが。……一度、雲嶽山と合流するぞ。話はそれからだ。」

 

◇◇◇

 

――適当観。

「……あなた方は……確かベイラムの……。」

レッドガン一行が向かった先には……以前ラマニアンホロウにてある程度の説明をしてもらった従業員互助会の責任者の男、エリックが既に居た。

 

「やはり、讃頌会は、ポーセルメックスを悪者に仕立て上げようとしている……」

「くそぅ……賠償を勝ち取る為に皆で一丸となってポーセルメックスと戦おうと……そう誓ったのに、まさかただ利用されてただけだったなんて……! 俺がしっかりしていれば、皆が侵蝕事故に巻き込まれる事も……」

 

エリック曰く、互助会の構成員は、自身をを除いて、すべてロア側の人間だったのかもしれないらしい。

 

「今夜、互助会は皆をホロウに集めて大規模な抗議デモについて話し合うらしい。今回も人々を生贄に捧げるつもりなのかもしれない。…………お前たちもそれを阻止するのを手伝ってくれないか?」

 

「……ミシガン、どうする?もとは讃頌会を追い詰める為にここに来たが……」

「いいだろう。我々レッドガンは貴様に協力する。それでいいな?」

 

その時、傍に居たアキラのスマホから電話が鳴る。

 

『雲嶽山の皆様、お久しぶりでございます』

TOPS傘下の特殊開発企業「ポーセルメックス」……その衛非地区における最高責任者ダミアン・ブラックウッドからだった。

 

「あれぇ、ダミアンさんじゃないですか?」

『ええ、件の侵蝕事故についてです。事の詳細については聞き及んでおります。今回の件が讃頌会がらみだとお聞きし、急ぎご連絡した次第です』

 

『ここまで事が大きくなった以上、私のみの力では風説の流布を止める事は不可能です。それに今しがた、ホロウ内の侵蝕緩和剤の供給地点が何者かにより破壊されたとの情報が入りました。』

 

「讃頌会のやりそうなことだ。予め薬の供給を断ったのは、今夜みんなが集まるタイミングで彼らを、解悩水”漬け”にするためだろう。」

市民を全員ドーザーにする計画。なんとも、大胆すぎてカーラが爆笑しそうな計画だ。

 

『大変ぶしつけなお願いなのですが……我々ポーセルメックスの緩和剤の供給地点を、適当観のそばに設けさせていただくことは可能でしょうか?少なくとも、それで悪意ある破壊活動からは守られるはずですから。』

ダミアン曰く、新エリー都市政から供給されるものを市民全員に無償で提供し、生じるコストや損失は、すべてポーセルメックスが全額負担するとのこと。

 

「侵蝕緩和剤を無料で!?すっごい大盤振る舞いですね……!でもこれなら、みんなあたしたちの話を聞いてくれるかもしれません!」

「じゃあ決まりだ。また街で騒ぎが起きないよう、今夜は僕たちが緩和剤の供給地点を見張る。それと、ホロウの集会も阻止する方法をなるべく早く考えよう。」

福福とアキラが、ダミアンの提案を承諾した。

*1
地獄の組み手

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