ZZZ×ARMORED CORE 6   作:ジョシュア・オブライエン

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へーリオス技研 

今は亡き旧都北部の「ミネルヴァ区」7番通りに存在していた研究施設。
十数年前は当時の研究主任カローレ・アルナが所長を務めており、孤児院と専門学校を兼ねた機関も併設運用され、パエトーン兄妹も元々はここの出身だった。
パエトーン兄妹からは「自分たちの暖かな故郷」。
RaDの首領のシンダー・カーラからは「研究に取り憑かれた狂人の集まり」。

今では「技研の遺産」とも呼べる、イカれた特殊兵器やACパーツや武器が数多く生産された。

強化人間施術もここの一部の研究者の中で生まれた。
今では安全性が担保され表舞台に出ているが、ほとんど死者しか出なかった旧世代型が主流だった当時は危険すぎると言われていたらしい。

……しかし十年ほど前、この研究所で起こった「何か」が零号ホロウの大暴走を引き起こしたとされ、そのまま旧都は完全に飲み込まれ崩壊する形で、無数の人命を巻き込み滅亡。本研究所も奥深く飲まれ、誰も近寄れないまま市政に放棄された。


Chapter 1 (ALT):The Priest of the Miasma

「その声は……帥父!?」

V.Ⅳラスティも、突如現れたドルマヤンに驚きを隠せないようだった。

 

「”灰かぶりて、我らあり”」

「新エリー都の脅威よ、ここで朽ちるがいい……!!」

 

彼のAC「ASTGHIK」を中心に、深紅に染まり切ったアサルトアーマーが爆ぜた。

『あれは……技研の……いや、考えるのは後か……。』

 

◇◇◇

 

「ヴェスパーのお前さん、あいつは味方で……いいのだな?」

「ああ、問題ない。帥父──サム・ドルマヤンは悪い奴じゃない。まあ少々頑固で優柔不断だが」

あっけにとられた表情で儀玄はラスティに質問する。

 

「なるほど……帥父ドルマヤンと言ったか?アイツは私がやらなければならない。出来れば譲ってもらえるとありがたい。少しだけ、ラスティと一緒に私の連れを守っていてほしい。」

「……いいだろう。雲嶽山の宗主よ、どちらにせよ新エリー都の脅威を消せればいい。」

ドルマヤンは時計塔のふもとまで蹴り飛ばされた”司教”を見ながらこちらまで歩み寄り、戦線から退いた。

 

『……621、ドルマヤンによって奴を覆っていたミアズマが離散した。畳みかけろ。』

「周りのミアズマ、減った気がしますっ!今のうちにやっつけちゃいましょう!」

C4-621こと”独立傭兵レイヴン”は「私の獲物だ」的な発言をした儀玄を無視して両手のショットガン「ZIMMERMAN」を命中させた。

 

さらに、体制を崩し片膝をつく司教に向かって、アサルトブーストからのブーストキックを叩き込む。

「ごふっ……!」

621は「重要人物は生かして捕らえろ」と、ウォルターから釘を刺されている。パイルバンカーはあまり使えない。

何を隠そう、パイルバンカーの”とっつき”はAC相手でもほぼ一撃必殺。仮に人間に対して突き刺せば確定で死人が出るのだ。

 

「ゲホゲホッ……忌々しい……!!独立傭兵レイヴン……私の仲m……いえ、信徒を何人も殺した報いを受けなさい……!」

『……?621、恐らくお前のことではない。お前の傭兵ライセンスの元の持ち主のことだろう。……無視しろ。』

 

司教は621に向けて剣を構え、突撃するが、621も何も考えていないわけではない。

彼は迎撃目的でアサルトアーマーを発動。緑がかった青白い光が司教を包み込む。

技研製ジェネレータを積んだドルマヤンのアサルトアーマーと異なり威力は劣るがそれなりに高い火力を叩き出すのだ。

 

――さらに、

「先ほどからレイヴンにご執心のようだが?お前さんの相手は私も居る。」

儀玄が隙をついて背後から司教を呪符と墨汁を用いて術法で一気に叩く。

 

『――エーテル反応……危険です。距離を!』

 

「……っ、痴れ者が!!」

しびれを切らした司教が強引にミアズマを纏う剣を大振りに薙ぎ払う。

621も儀玄も避け切れたが、ミアズマで構成された障壁……”ミアズマシールド”が再び張られてしまった。

『……シールドが再生したか。だが確実に押している。』

621と儀玄は早急に引導を渡すべく、621はパイルバンカーの展開、儀玄は大技の準備に取り掛かったが――

 

「雲嶽山に、黒い鳥……まつろわぬ者どもよ……さあ、終わりにしましょう!」

 

司教は高く飛び上がり、さながらソルディオス・オービットの無数のミアズマの塊*1を操り始める。

 

「ここで終わりです……!!」

ミアズマの塊が、休む間もなく儀玄達の元へと襲いかかる。

621やラスティ、ドルマヤンはACの性能で避けられたが、ほかの者はそう易々と避けられない。

儀玄は術法による盾を張り、皆を守る。*2

 

――その最中、

”儀玄……あなたは…私やみんなとは違う”

恐らく、ミアズマの幻聴だろうか。

儀玄は、今は亡き儀玄の実姉、儀降の声を聞き取った。

 

◇◇◇

 

”あなたの才は、みんなを守る武器になる。いずれ、私達より遠くへ──”

 

「姉様の声を真似るな!これはミアズマの見せる幻……惑わされるなよ……儀玄……」

儀玄は自分にそう言って奮い立たせる。全員を守る為に。

 

”見知らぬ人――”

 

”妹に、伝えてほしい……あの子の姉は、偉大でも……ましてや、高潔でさえもなかった”

 

”今夜、悲劇を止めないと……私の儀玄が、エリー都と共に散ってしまう”

 

「…………! 姉、様……」

 

”全ては……儀玄の為に……あの子には、どうか生きて欲しい。──それが、私たちの約束”

 

「…………」

儀玄は手を強く握りしめた。

 

◇◇◇

 

ドーム状に包まれたミアズマに包囲された儀玄たち。

「くっ……どうする?戦友……!」

ラスティや621らは既に脱出していたがこのままでは儀玄たちが危ない。一瞬でもこの障壁を破ろうと、行動に移そうとしたが――

 

――ミアズマは黄金の光とともに全て離散してしまった。

「!? 馬鹿な……!!」

ラスティらの他に、司教もうろたえている。

 

そして、その中心には……

儀玄が無傷で立っていた。

彼女は姉の想いを胸に、青溟鳥の翼を纏い、目の前の司教を見据える。

 

「──姉様、こんな形で貴女を識り、貴女になるとは……」

 

「私こそは雲嶽山第十三代宗主──儀玄!そろそろ……決着の時だ!」

 

「……っ、クソ……!」

司教は再び、ミアズマを集め儀玄へと襲いかかろうとした。しかし――

 

「余所見。」

背後から正面にかけて爆発で加速され一撃必殺級の威力まで達した鉄の杭が、焼けつくような痛みと共に司教の脇腹を貫いた。

 

◇◇◇

 

621のパイルバンカーに貫かれ、落ちた讃頌会の司教は血に伏せていた。

 

「ゴホッ…ッ、ゲホッ…ッ、ハァ…ッ、カハッ……ッ」

咳き込むたび、赤黒い飛沫が仮面の裏から飛び散る。

 

「主よ……再創を……」

やがて司教は動かなくなり、その場で消滅した。

 

「戦友!……これは……死体が……消えたのか?いや、讃頌会のことだ。まだ生きているかもしれない。今後とも警戒した方がいいだろう。」

 

「……ごめんラスティ、アレの心臓狙う気だったけど外した。」

 

「……。ま、まあ、撃退できたことだ。一度戻ろうか、戦友。」

『……。レイヴン。ひとつ質問なのですが……。さっきのやり方はウォルターから教わったのですか?』

――ラスティにもエアにもドン引きされた。解せぬ。

『――621、お前も疲れているだろう。各方面への報告は俺がやっておく。戻って休め。』

 

そして全ての目的を達成すし、ラマニアンホロウから撤収することになった一同。

――しかし。

 

「”レイヴン”……意志の表象……だが全ては……消えゆく余燼に過ぎないのだ……!」

 

621はドルマヤンの呟いた意味なな言葉を聞き逃さなかった。

*1
作者「あんなものを浮かべて喜ぶか、変態どもが!」

*2
「クソッ……効いているのか?」「プライマル・アーマーだ!まずはプライマル・アーマーを減衰させるんだ!!」

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