辺りの平原は真っ白に染まるほど猛吹雪に包まれていた。ヒュウオオという風切り音が生物の体に強く突き刺さる。
その風の音しか聞こえないこの平原でサクッサクッという共に4人のザコチュラと1人の人間の影が近づいてくる。
「イチゴウー本当にこんな所に妖魔が住んでんのか?」
その中のバンダナを巻いたザコチュラがダルそうに呟く。よほど寒いのかそのザコチュラが呼吸するたびに
白い息が出ている。
「あいつらは体だけは無駄に頑丈だからね。こんな所の方がザコチュラや人間に見つからないし好都合なんじゃない?」
その問いにイチゴウと呼ばれる少年がそう答える。
その少年はおとなしそうでどこか可愛らしさが漂っている。
「全く…いくらなんでも寒すぎでしょ。本社もビークルのひとつも用意してくれないんだからね。」
イチゴウがそう呟きながら歩き進める。
「仕方ないと思いますよ。どうせ我々は捨て駒なんですから。」
隊員のザコチュラが淡々と答える。
一行が猛吹雪の中を進んでいると
うっすらと建物の影がちらついた。
「集落確認。全員伏せて。」
班長であるイチゴウがそう言うと
他の4人のザコチュラがザッと伏せる。
「隊員は予定通り隠れながら集落に近づいて。
集落へはここから約200m。
この猛吹雪のおかげで幾分か楽な筈だよ。」
「了解。」
隊員はAK-47アサルトライフルを構えゆっくりと集落へと近づいていく。
「さてと。」
イチゴウは背中に背負っていたマークスマンライフル
であるSVDを手に取った。
イチゴウはSVDの二脚を路面に固定し
SVDに取り付けられているPSOスコープを覗く。
ロシア式の特徴的なレティクルと共に集落がイチゴウの視界に広がる。
「全隊員へ。作戦準備完了、しばらく待て。」
イチゴウが無線機にそう呟いた。
少し離れたその集落には竜人達が住んでいた。
やはり妖魔の特徴なのかここに住んでいる竜人は
可愛らしい少女や美しい女性だ。
「お姉ちゃん…この吹雪だと作物が心配だね…」
ある家の中で少女の竜人が心配そうに呟く。
「大丈夫よ。作物はきちんと守ってあるわ。」
姉と思われる美しい竜人が答える。
しかし窓の外ではいっそう吹雪が強くなっていた。
「今からお姉ちゃんは畑の確認をしてくるわ。いい子にしてて待っててね。」
「うん!!」
そう言うと姉は家の外に出て畑へと向かう。
「ふぅ……寒い……早く家に戻らないと」
姉は畑につくと畑のカバーの調整を素早く終わらせる。
姉がふと前方を見たとき
「何かしら?あのちらつく光?」
姉がそう呟いた瞬間!
パンッッという乾いた音が辺り一面に響いた。
それからコンマ数秒遅れてグシャっという音と共に
竜人の姉の胴体から血が飛び出す!
「あっ……あぁっ………」
竜人の姉の声は段々生気を失い、最終的に姉は地面へと倒れる。
「お姉ちゃああん!!」
竜人の妹が窓から姉を確認したのか
外の寒さをもろともせず家から飛び出してきた!
「いやー我ながら綺麗に決まったね。」
イチゴウがPSOスコープを覗きながら
クスクスと笑っていた。
「ん?」
畑では倒れた姉に泣きながら妹が寄り添っていた。
「妖魔の子供か。ま、殺しとくか。」
そう言うとイチゴウはレティクルを
竜人の少女に合わせてトリガーを引く。
パァンという大きな乾いた音と共に
強い反動がイチゴウに伝わる。
そしてスコープの中で竜人の少女が倒れる。
が
「痛いよぉ……お姉ちゃあん…助けてえ……」
SVDの7.62mm弾は竜人の少女の足にヒットしたのだった。
「いやぁあ……!いやぁ……!」
竜人の少女は腕を使い必死に逃げようとする。
「ちっ。外しちゃってたか。」
イチゴウが舌打ちをして悔しそうに呟いた。
「ま、いっか。」
イチゴウは倒れて逃げようとしている竜人の少女に
再び照準をつけてトリガーを引いた。
乾いた音と反動がイチゴウに伝わる。
「おっ。ヘッドショット。」
SVDから放たれた7.62mm弾は
竜人の少女の頭部を粉砕した。
「何!?」
二体の竜人の死亡を皮切りに集落全体が騒ぎだす。
あちこちの家から竜人達が飛び出してきて
中には槍や剣、弓といった武器を
所持している者もいる。
「可愛そうに…あの姉妹……」
ある竜人がそう呟く。
「殺した奴を絶対許さない!!引っ捕らえて皆の前で八つ裂きにしてやる!!」
隣の竜人は剣を構え怒りをあらわにしていた。
「全隊員へ。作戦開始。」
イチゴウがそう無線機に呟いた。
すると集落のすぐ近くへと迫っていた4人のザコチュラはAK-47アサルトライフルの安全装置を解除し、いつでも発砲できる体勢に入った。
平原の猛吹雪はこれから起こる事を暗示するかのようによりいっそう強くなっていった…
To be continue…