Black Safety   作:芋砂

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第5話 予兆

シャーリーとの戦闘の後の夜、本社の駐車場には

ボコボコになった軽装甲機動車が止められており

社内では第二偵察班が

ミーティングを行っていた。

 

 

「えー、それでは解析班から

今回の能力者のPSI解析結果を報告します。」

 

一人のザコチュラが第二偵察班の前でそう告げる。

というのも班長であるイチゴウがシャーリーとの

戦闘で得たシャーリーの情報を解析班に渡し

解析を要請したのだ。

 

「まず始めに、

彼女の能力は[PK(サイコキネシス)]である事が

判明しました。彼女が飛行していたのはPKで

身体の周りの空間を曲げてその空間の弾性で

飛んでいたと推測されます。」

 

「弾性?ゴムが引っ張られてパチンってなる奴?」

イチゴウが不思議そうに尋ねる。

 

「はい。それに空間による弾性で飛行するとなると

能力においてかなり高いスキルが要求されますし

空間の弾性で飛ぶというアイデアにも

能力の応用力が高い事を感じます。

もし、彼女相手に新鋭兵器が揃っている本社の本隊で挑んだとしても必勝できるという確証はありません。」

前のザコチュラがそう説明する。

 

「はあ、今度会ったらリベンジしようと

思ってたんだけどなぁ……」

 

「どっちにせよ今のお前らじゃ

どうあがいても勝てねぇよ。」

横から教官のデスダが第二偵察班にそう言った。

 

「それと、続きですが」

解析班のザコチュラが話を進める。

 

「空間の弾性で飛べるという事は

相当高いPKエネルギーを操れるという所に

繋がります。」

 

「それがどうしたのさ?」

イチゴウが解析班のザコチュラに問う。

 

「つまり、PKを使用した

強力な攻撃も出来るという事です。」

解析班のザコチュラがそう言うと

 

「ちょっと待ってよ、ボク達との戦闘では

そんなの使ってこなかったよ?

手持ちのマシンガンオンリーだったし。」

イチゴウが不思議そうに答える。

しかし

その問いにはデスダが答えた

 

「簡単な話だ。

お前らが弱すぎるから舐められただけだ。」

デスダがそう言い捨てると

 

「それは……」

イチゴウの脳裏にはシャーリーの

あの明るい笑顔が思い浮かぶ。

「………完全に舐められてたなぁ…」

イチゴウが失望したように呟く。

 

「あっ、それと」

解析班のザコチュラが思い出したように話を始める。

 

「彼女の手持ちの衝撃波マシンガンについてですが

かの有名なH&K社のMP5という武器を

改造して作られたものと推測されます。

この武器は特殊な気体を高速射出しその際に発生する

衝撃波で目標を破壊するというものかと。」

 

「にしてもあの衝撃波凄かったよ?

軽装甲機動車がひっくり返るし。」

イチゴウがそう言うと

 

「ええ、こちらで計算してみた所

大気圏再突入時の人工衛星による衝撃波をも凌駕するエネルギーを持っている事がわかりました。

第3世代の主力戦車にすら

ダメージを与える事が出来ます。」

 

「威力ヤバイな。」

イチゴウはあり得ないような物を

見ているような感じで呟く。

 

「因みにブラックバード幹部によりますと

この武器は

Shock-Wave-Machine-Gun、

[SWMG]と呼称するそうです。」

 

「ブラックバード幹部好きだもんなー、

そういうの。」

イチゴウが呆れたように答える。

 

「それと」

イチゴウが不意に尋ねる

 

「このSWMGだっけ?

そういえば赤く塗装されてたけど何で?」

 

「知らなかったんですか?

国際法で弾丸以外を射出する特殊な銃器は

赤く塗装する事が義務付けられているんですよ。」

 

「はあ。」

イチゴウは納得したように頷く。

すると

 

「お前ら!さっさと訓練を開始するぞ!」

デスダが第二偵察班の隊員達に怒鳴ると

しぶしぶ第二偵察班は移動を開始する。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー金星 アテナ海域洋上

 

 

アテナという海域に

一隻の大型貨物船が航行していた。

甲板上には大量のコンテナが積み重ねられており

一目でコンテナ船というのがわかる。

それに加えBlack Safetyのロゴが書かれているため

Black Safety所属というのも見て取れる。

 

そしてそのコンテナ船の甲板上では

CTAR-21カービンを装備した

ザコチュラや人間男性の隊員達が

警備に当たっている。

 

「暇だなー。」

甲板上で男性隊員が横のザコチュラに呟く。

 

「まあ、俺達にはコーヒー飲むこと

くらいしかねえからな。」

ザコチュラも愚痴りだす。

 

「でも銃持って甲板をウロウロしてるだけで

金貰えるんだから得っちゃ得なんだがな。」

そのザコチュラは頭上を通り過ぎるカモメの群れを

眺めながら呟く。

 

「だけどよー、せっかく銃を持ってるんだぜ?

早く妖魔相手にぶっ放してみてえよ。」

男性隊員が物足りなさそうに言うと

 

「さては、お前新入りだな?

そういう子供みたいな考えは持つな。

いざ戦いになったらお前みたいなのが

真っ先に死ぬんだ。」

ザコチュラが男性隊員に教えるように警告する。

 

「わ、わかったよ…

だけどあんたも言った通り

俺は入社して1年にも満たねえんだ

少しくらい夢は持っていいだろ。」

男性隊員はなけなしの反論を行う

 

「まあ、好きにしろ。」

ザコチュラの隊員は

その反論をあっさりとスルーした。

 

すると

 

 

 

 

「全隊員へ、警戒体勢を取れ。繰り返す、

全隊員へ、警戒体勢を取れ。」

 

 

 

 

サイレンと共に

甲板上のスピーカーから警告の音声が流れてくる。

そして甲板上の隊員達が

一斉に銃を構え警戒体勢を取る。

 

「一体何だ?」

一人のザコチュラの隊員が辺りを見渡す。

 

「おい!!あれを見ろ!」

一人の男が東の空を指差す。

すると甲板にいたほとんどの隊員が

東の空を見る。

 

「嘘だろ…」

 

東の空からは真っ黒に見えるほどの大規模な

ハーピーの群れが接近していた。

 

「おい!こっちに向かってくるぞ!!」

ザコチュラの隊員がそう叫んだ。

 

「オープンファイア!撃て!」

甲板上の隊員達は一斉に射撃を開始する。

乾いた発砲音と薬莢が鉄の地面に落ちる音が

あちこちから聞こえてくる。

すると

 

「つーかまえた♪」

可愛いらしい声が聞こえてくる。

「助けてくれ!!」

そこにはハーピーに捕まっている男性隊員がいた!

 

「そいつを離せ!クソ鳥が!!」

ザコチュラの隊員が男性隊員を捕まえている

ハーピーに向けて発砲する。

しかし

 

「危ない♪危ない♪」

そのハーピーは男性隊員を捕まえたまま

空へと飛び上がりそのまま巣に向けて飛び去っていく

 

「カムバーーック!!」

拉致された男性隊員を見ながら

ザコチュラの隊員が叫ぶ。

 

似たような形で甲板上の男性隊員が

次々とハーピーによってさらわれていく。

 

「畜生!誰か対空ミサイル持ってないか!?」

一人のザコチュラがそう叫ぶも

 

「無理だ!こんな数、対空砲でもないと

相手できねえよ!!」

コンテナの影に隠れて

リロードをしているザコチュラが叫ぶように答える。

 

 

そのころ操艦室では

 

「本社へは連絡したか!?」

艦長が慌ただしく尋ねる

 

「いえ!無線の不調でまだです!」

副官のザコチュラも慌ただしく答える。

操艦室のガラスからはハーピーと戦闘中の

ザコチュラ達が一望出来る。

 

「早く無線を直してくれ!!」

艦長が副官に叫ぶようにそう言った瞬間

突然船体が大きく揺れる!

 

丁度その時、艦内電話がかかってくる。

「こちら艦長!どうした!?」

艦長は大急ぎで電話に出た。

 

「こちらバラストタンク!!

不具合で開いた入水口から多数のマーメイドが

浸入してきてます!!

「絞め殺してあげる♪」

うわあぁ!!助けて!助けてぇぇ!!」

マーメイドと思われる可愛い声と

ザコチュラの悲鳴が聞こえた瞬間に電話が切れる。

 

「クソ……どうすりゃいいんだ…?」

艦長は絶望したかのように立ちすくむ。

 

 

甲板では

 

「クソ!いくら撃っても数が減らねぇ!

こっちのマガジンが尽きるだけだ!」

 

リロードしながらザコチュラの隊員が呟く。

 

隊員達の射撃によって何十体もハーピーを

撃ち落としてはいるが数が圧倒的に多く

減っているようには感じない。

そして最悪な事に

 

「左舷からマーメイドが登ってきたぞ!」

隊員であるザコチュラの一人が叫ぶ。

 

「あぁ、クソ!」

甲板のサイドか多数のマーメイドが登ってくる。

空にはハーピー、海からはマーメイド

正に地獄絵図だ。

そのとき

 

 

「あなた達は罪人です、

ここで罪を償ってください。」

 

 

透き通るような美しい声が

甲板上のザコチュラの隊員達にそう告げる。

 

隊員達が一斉に声のした方向を向くと

そこにはほかのマーメイドより一回り大きい

とても美しく神秘的な雰囲気を纏ったマーメイドが

ハープを手に持って佇んでいた。

 

「ふざけやがって!!」

3人のザコチュラが銃を構え発砲しようとする!

 

「なんと愚かな……」

そのマーメイドは正に愚か者を見つめるような目で

3人のザコチュラにそう言うと

手持ちのハープで美しい旋律を奏でる。

 

すると

発砲しようとした3人のザコチュラが

シャボン玉のようなものに包まれ宙に浮いていく

 

「なっ、何だこれは!?」

そのシャボン玉は

大海原の真上まで来ると

 

パチン。

 

「うわああああ!!」

3人のザコチュラを包んでいたシャボン玉が割れ

3人は海へと落下していく。

 

そして着水して間もなく

 

「うわぁぁぁぁ!助け…」

海へ落下した3人のザコチュラの真下に

数多くの巨大な魚影が現れたと思うと

そのザコチュラ達は海へ引きずり込まれ

周りの海が真っ赤に染まる。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーBlack Safety本社

 

 

「幹部!失礼します!」

 

一人のザコチュラが慌ただしく幹部室へ入る。

 

「どうした?」

 

「プルトニウム239を運搬する我が社の貨物船が

ハーピーとマーメイドの大規模な群れに襲われ、

甲板上では極めて強力な個体も

確認されているとの事です。」

 

「仕方がない、本隊を向かわせるか…」

ブラックバードがそう言うと

 

「本気ですか!?幹部!

あの船はプルトニウムを運搬しており

放射線による危険が伴います。

そのような場所に我が社の主力を回すのは

リスクが大きすぎるのでは!?」

 

「ふむ…なら良い案がある。」

ブラックバードが鋭い眼差しでそう答える。

 

「そ…その案とは?」

ザコチュラが恐る恐る尋ねると

 

 

     「第二偵察班に向かわせる。」

 

 

 

              To be continue…

 

 

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