Black Safety   作:芋砂

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第6話 強襲

アテナ海域上空で荒れている潮風の中、

第二偵察班を乗せた一機のV-22"オスプレイ"が

海上で孤立している貨物船へ向けて

飛行していた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第二偵察班の装備

 

☆イチゴウ

SVD狙撃銃

トカレフTT-13拳銃

 

○バンダナ

PM-63 RAK短機関銃

RPG-7対戦車ロケットランチャー

 

○隊員C

AK-47突撃銃

トカレフTT-13拳銃

 

○隊員D

AK-47突撃銃

トカレフTT-13拳銃

 

○隊員E

AK-47突撃銃

トカレフTT-13拳銃

 

 

第二偵察班のビークル

 

V-22オスプレイ

 

装備

M134ミニガン(ターレット)

M240機関銃(後部ランプ)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「んで、情報は?」

イチゴウが隊員にそう言う。

 

「はい、今回の貨物船襲撃の件ですが

妖魔の構成はハーピーとマーメイドの初級妖魔、

それに加え上級妖魔クラスのマーメイドも

確認されているという事です。」

 

「上級妖魔!?

そんなのウチじゃなくて本隊出さないと

ダメな奴じゃん。」

 

「それに厄介なのはそれだけではありません。

今回の貨物船は兵器用プルトニウムが

積まれているようです。」

 

「つまり、戦い方を間違えれば

高濃度の放射線で死ぬって訳だね。」

イチゴウは顎に手を当て

何かを考えているように呟いた。

 

「偵察班!貨物船が見えてきたぞ!」

オスプレイのパイロットが

第二偵察班に向けて叫ぶと

イチゴウはコックピットに近づき貨物船を見る。

 

「甲板上に妖魔が腐るほどいるね…

パイロットさん、

これじゃ甲板に降りるのは自殺行為だから

ターレットで掃射してくれる?」

 

「ったく仕方がねえな。」

パイロットがイチゴウの要望を聞くと

貨物船の甲板にオスプレイの機首を向ける。

 

 

 

「何あれ?」

甲板上のハーピーの一体がそう呟くと

すぐに

 

「あいつらの仲間だわ!!」

すぐ横のマーメイドが叫ぶ。

そのマーメイドの言葉と同時に

甲板上の全妖魔が戦闘体勢に入る。

 

 

 

そしてオスプレイが甲板上空まで来ると

オスプレイはミニガンターレットをスピンアップさせ

機銃掃射を開始する。

 

まるで布を裂くような爆音が鳴り響き

甲板が大量の妖魔の返り血を浴びていく。

 

「流石ミニガンだね。

妖魔を文字通り引き裂いていくなー。」

イチゴウが感心したように呟く。

 

すると

突如炸裂音と共にオスプレイが激しく揺れる!

 

「うお!!何だ!!」

バンダナが驚き、声をあげる!

 

「どうなってるのさ!?」

イチゴウが激しい音と振動の中

パイロットに尋ねると

 

「ハーピーだ!

奴ら飛んできてオスプレイにアタックしてやがる!」

パイロットが操縦レバーを必死で握り叫ぶ。

 

オスプレイの周りには

甲板から飛び立った多数のハーピーが舞っており

オスプレイに向けて激しいアタックを繰り返す!

対してオスプレイは着陸のために

ローターを上に向けているので

スピードが出ずこの状況から脱する事が出来ない!

 

「後部ハッチを開けて!」

イチゴウがパイロットにそう叫ぶ。

 

「あ?何する気だ!?」

 

「後部ランプに付いてるM240機関銃で

ハーピー共を撃ち落とす!」

 

「よし、わかった!」

パイロットがスイッチを弾くと

オスプレイの後部ハッチが機械音と共に開き

激しい風が機内を貫通する!

 

「バンダナ!M240を頼んだ!!」

イチゴウが後部ランプに一番近い

バンダナに向けて叫ぶ!

 

「オーケー!!任せとけ!」

バンダナが機内に入ってくる風を前右足で防ぎつつ

後部ランプの機関銃座につくと

ハッチから飛んでいるハーピーに向け掃射を開始する

 

そして機関銃独特の重い射撃音と共に

ハーピーを撃ち落としていく!

 

「よし!この調子だ!」

イチゴウがそう言うと

再び機体が激しく揺れ

今度はコックピットに警報が鳴り響く!

 

「あぁ!クソ!バードストライクだ!

ハーピーが左エンジンに突っ込みやがった!!」

パイロットがそう叫ぶと

間もなくオスプレイはバランスを崩し

回転しながら貨物船の甲板に向けて落下していく!

 

「みんな!!飛びおりろぉ!!」

イチゴウが叫ぶと第二偵察班は

落下中のオスプレイの後部ハッチから

貨物船の甲板に向け一斉に飛び降りる!

 

第二偵察班が甲板に降りたと同時に

オスプレイが第二偵察班の横を掠め

コンテナに直撃し機体が弾け飛び炎上する。

 

「オープンファイア!」

イチゴウがそう叫ぶと第二偵察班の隊員達は

AK-47突撃銃を構え迫り来る妖魔に発砲する!

甲板上に乾いた発砲音が鳴り響き

近づいてくるハーピーとマーメイドを

どんどん撃ち抜いていく。

 

「あぁ!畜生!きりがねえ!!」

バンダナがそう叫ぶのも無理はない、

先程のオスプレイのミニガンによる

機銃掃射があったとはいえ

甲板上には妖魔が多数おり

5人だけの突撃銃による射撃では

数が減っているようには見られない上

数が少ない第二偵察班は広い甲板上で孤立し

妖魔達に囲まれる危険性もあった。

 

するとここでイチゴウが動く。

イチゴウはドラグノフ狙撃銃を構えて

PSO-1スコープを覗く。

狙いは墜落炎上しているオスプレイだ。

 

「どこに狙いを付けてる!?イチゴウ!?」

バンダナが半ば叫びながらイチゴウに尋ねると

 

「オスプレイを見て、燃料が漏れているよね。

オスプレイの燃料タンクを撃ち抜いて爆発させる。

それで目の前の燃料の川に引火させて

妖魔の時間かせぎをするのさ!」

そう言うとイチゴウは露出している

オスプレイの燃料タンクに向けて

3発ほどテンポよく銃弾を放つ。

 

着弾と同時に燃料タンクは爆発し

それによってオスプレイから漏れていた燃料が

勢いよく燃え上がり

甲板はその炎によって2分割される

 

「ああ!炎のせいで近寄れないわ!!」

炎の向こうのハーピーがそう叫ぶと

 

「大丈夫よ!船内にはマーメイド達がいるわ!

奴らの運命は決まっているも同然よ!」

隣のハーピーは炎が近づいているにも関わらず

勝ちを確信したように声をあげる

 

 

「今のうちだ!船内に入るよ!」

イチゴウがそう言うとバンダナが

 

「船内に入るって

甲板上のあいつらはほっとくのかよ!?」

 

「大丈夫さ。さっきの炎で数は減るだろうし

いざとなれば本社の攻撃ヘリを呼べば良いしね。

どうにもならないのは船内だよ。

こればっかりは歩兵であるボク達が何とかしないと」

イチゴウが喋り終えると同時に第二偵察班は

甲板上の階段から船内へと入っていく。

 

 

船内は膝元まで浸水しており

ザコチュラにいたっては

体の半分が水に入ってしまう。

そして何よりも

あちこちにザコチュラの死体が

浮いており

不気味としか言い様のない静寂が

船内を支配していた。

 

そんな中、第二偵察班はパシャパシャと水を進み

船内を歩いている。

 

「何だよ…ここは…?」

バンダナがそう呟く。

バンダナのその声は静寂に吸われていくように

船内に響く。

 

「油断しない方がいいよ。

水があるのと無いのとでは

マーメイドの機動力は段違いさ。

浸水しているこの環境は

まさにマーメイドの庭だよ。」

イチゴウが銃を構えつつそう呟いた

そのとき!

 

 

バシャン!

 

 

すぐ近くで水の跳ねる音がしたのだ。

 

「!?」

第二偵察班はすぐに辺りを見回す。

すると一人の隊員が異変に気づいた。

 

「班長。前から何かが向かってきます。」

前は薄暗くて良くわからないが

確かに何かが水の中を突き進み

第二偵察班に向かってきていた。

 

「撃て!」

イチゴウが指示すると

水の中を進んできている何かに向け

一斉に射撃を開始する。

 

すると水中からマーメイドが

勢いよく飛び出してきた!

 

「やはりか!」

イチゴウがそう呟く。

 

そのマーメイドは水中を突き進んでいる段階で

何発か被弾しており船内の水が少し赤みを帯びる。

そして飛び上がった所を第二偵察班は見逃さず

一斉に銃弾を叩き込む!

 

マーメイドは無惨なまでに撃ち抜かれ

水の中へと沈んでいく。

 

「危なかった。

あともうちょい反応が遅れてたら

誰かが殺されてたな…」

バンダナが恐ろしげに呟く。

 

 

そして第二偵察班は

マーメイドに警戒しつつ通路を進んでいき

プルトニウムの保管庫が目の前に迫る

がしかし

 

「ちぃ!」

イチゴウが舌打ちをする。

 

前方から4体のマーメイドが近づいてきていた。

このまま保管庫に近づくと間違いなく鉢合わせする。

 

「仕方がない。一旦引くかぁ」

イチゴウはそう呟き戻ろうとすると

 

「無理だな。」

今度はバンダナが舌打ちをする。

第二偵察班の前方に加え後方からも

マーメイドが接近していた。

それにここは一本道、

ほぼ積んだといってもおかしくはない。

 

 

「みんな。水に潜って。」

イチゴウがそう命令すると

 

「正気か?マーメイド相手に水中に潜んのかよ!?」

 

「水は濁ってるしザコチュラの死体が浮いてる。

死体を盾にすればやり過ごせると思うよ。」

イチゴウがバンダナの反論に対しそう答える。

 

「のんきに喋ってる時間もねえか、

やるしかねえ!」

 

第二偵察班は一斉に水に潜り

ザコチュラの死体の影に隠れる。

そしてその隠れているすぐ横を

マーメイドが通る。

 

「(早く行ってくれ……!)」

すると

 

「ん?」

一体のマーメイドが立ち止まり

辺りを見渡す。

 

 

「……何もないわね。」

そう呟くとマーメイド達は通りすぎていく。

 

 

「何とかやり過ごせたね。」

イチゴウがそう呟くと第二偵察班は

保管庫の鉄のドアを5人掛かりで開け

内部へと入っていく。

 

内部は縦横25mくらいの広い部屋で

中心には箱が置かれており

それ以外に何も置かれていなかった。

 

「外傷も無いし幸い放射線は出てないみたいだね。」

イチゴウが箱に近づき呟くと

 

「よし、じゃあ早く本社に連絡しようぜ。」

 

「わかったよ。」

バンダナの言葉でイチゴウが無線機を手に取り

本社へ連絡を取ろうとする。

すると

 

 

「あなた方も愚か者の仲間なのですか?」

 

 

透き通るような美しい声が

第二偵察班に向けられる。

 

その言葉に第二偵察班が一斉に振り向くと

そこにはハープを持っている

美しいマーメイドが佇んでいた。

 

「報告にあった上級妖魔か…!」

イチゴウが冷や汗をかきつつそう呟く

 

「班長、どうします?

こちらは残弾が残り少しです。」

隊員はイチゴウに小声でそう話す

すると

 

「君、少し聞いていいかな?」

イチゴウがそのマーメイドに

質問をぶつけた。

 

「いいでしょう、答えてあげますよ。」

 

「君の目的は何?」

イチゴウがそういう風に質問すると

マーメイドは少し間を空けて

 

「……同胞達と共にこの船を沈めに来ました。

同胞達を悪魔の手から守るために…!」

そのマーメイドは静かな怒りを込めながら

冷静に言葉を放つ。

 

「じゃあ、沈めれば?」

マーメイドのその言葉に

イチゴウがいたって普通に返答する

 

「おい!何言ってんだイチゴウ!?」

バンダナが驚き言葉を発するが

イチゴウは構わず話を続ける。

 

「沈めるのは君の勝手だけど

この船には兵器用プルトニウムが積まれている。

そんなもん海に沈めたら海中は

あっという間に核汚染。

そうなれば君の同胞、マーメイドは全滅さ。

君は同胞を守ると言いつつ殺すんだね?」

 

「…っ!」

マーメイドはイチゴウのその言葉に動揺する。

 

「一つ提案があるんだけどさ。」

イチゴウが更に切り出す

 

「ここは一旦引いてくれないかな?

こっちはこれ以上君達の同胞を殺すための弾も無いし

君にとっても種の絶滅がかかっている。

お互い、デメリットしかないよね。

争うならほかの場所でも出来る、

ここは一つお互い引こうじゃないか。」

 

「……わかりました。私達マーメイドは

この船から引き揚げましょう。

しかしこれだけは覚えておいて下さい。

私達は断じてあなた方を許した訳ではありません

いつか必ずあなた方を滅ぼす…と。」

そのマーメイドはその言葉を発し終えると

シャボン玉に包まれ弾けると同時に

この場から消え去る。

 

 

「いやー。危なかったよ、

今のボク達じゃ絶対に勝てなかったからね。」

イチゴウが安心したように呟く。

 

「ホント危ない事するよな。

もう少しでこの船が沈むとこだったんだぜ?」

バンダナもホッとした様子でイチゴウ喋りかける。

 

「まー本当の所を言うと

このプルトニウムは完全に包装されてるから

海中に投げ込んでも核汚染はされないと思うよ。」

イチゴウがそう言うとバンダナが

 

「じゃあ、さっきのマーメイドとのやり取りは」

 

「こっちが助かるために嘘をついただけだよ。

あのマーメイドの言っていた言葉から察するに

彼女は同胞達を命よりも大事に思ってる。

だから"種の絶滅"というナイフを

同胞達の喉元に突きつけてやりゃ

退散していくだろうと思ってね。」

イチゴウは腕を組みながらそう言う。

 

「ですが班長。マーメイドは引きましたが

ハーピーはまだ甲板上にいます。」

隊員がそう言うと

 

「それはさっきも言ったじゃん。

甲板は船内と違って上からも攻撃出来るんだから

これから攻撃ヘリを呼ぶよ。」

イチゴウがそう言うと第二偵察班は

甲板に上がるために階段を目指す。

 

 

「よし、この辺で呼ぶか。」

第二偵察班が階段の足元まで来たときに

イチゴウがそう呟く。

 

「ふぅー。やっと終わりましたねー」

一人の隊員が銃を下ろしリラックスする。

 

「うぃー。疲れたー」

ほかの隊員達もどんどんリラックスを始める。

 

そうこうしていると遠くから

ヘリのローター音が聞こえてくる。

 

「?」

隊員達がはしゃいでいる中

バンダナは何か異変に気づいたようだった。

 

「おい、イチゴウ。ヘリ呼んだか?」

バンダナがイチゴウに問いかけると

 

「いや、それがさ…本社に繋がんないんだよね。

ノイズが走っちゃってさ。

さっきまで繋がってたのに。」

イチゴウが無線機を叩きつつそう答える。

 

「え?じゃこのローター音は…?」

はしゃいでいた隊員の一人がイチゴウに尋ねると

 

「少なくともウチ所属じゃないと思うよ。

おそらくこの無線機もジャミングの影響を受けてるし

最悪の場合も覚悟してくれないと。」

 

「そんなぁ……」

隊員達はヘナヘナと倒れる。

 

「…それにローター音が重低音すぎる。

既存のヘリじゃあんな音は出ないぜ」

バンダナはそう呟く。

 

「どういうこと?」

イチゴウが問いかけると

 

「あんな音を出そうと思えば

化け物並みに巨大なローターを

使わないとダメだろう。

おそらくヘリじゃねえ、

もっと巨大な"何か"が来るぞ。」

バンダナが緊張を走らせる。

 

そしてそのローター音が船の上辺りに来たとき

あまりの重低音に船が細かく振動し出す。

それから数秒後

船の上で連続して爆発が起こり

それによって船が激しく揺さぶられる!

 

「何が起こった!?」

バンダナが叫ぶように言い放つ

 

「とりあえず、甲板上に上がるよ!

全員!武器を持って!」

イチゴウがそう言うと第二偵察班は

階段を勢いよく駆け上がる!

 

 

甲板上では炎があちこちであがっており

焦げ臭い匂いが充満している上

内臓に響き渡るようなローター音が鳴り響き

自然の物とは思えない激しい風が

甲板上に吹き荒れる!

 

そして第二偵察班が甲板上に出たとき

彼らは "ありえないもの" を見た。

 

「何だ…?あれは…?」

イチゴウが聞こえるか聞こえないかの声で呟く

 

甲板上空には巡洋艦規模の船体が

4つの巨大なローターによって浮遊していた。

その船には異質な特長として

甲板から多数の鉄の筒が生えている事が挙げられる。

 

「艦橋の両サイドに超巨大なやつが2つ…

艦首と艦尾に巨大なやつが2つずつ…

左舷と右舷に中程度のやつがたくさんあるね…

あの筒は一体何だ…?」

イチゴウがそう呟く。

 

第二偵察班はローターによって吹き荒れる風と

焦げ臭い匂いの中

巨大な浮遊船を前に立ち竦んでいた。

 

 

            To be continue…

 

 

 

 

 

 

 

 

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