目が覚めるとプレ先世界で、セリカに宿ってた元人間   作:歯茎king

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迷宮に入った黒見とハク。その先にあるのものは一体何なのか…
アトムの狙いは何なのか、名探偵でもなければわかりません
しかし、その一歩は少なくとも戦況が傾いていく







◆◆◆◆◆
すぐに会えます。そのときはたくさん話したいですね
あなたは私の問にどう答えてくれるのか、楽しみです

それに私も教えますよ。どうしてあなたがこの世界に来れたのか…とかですね



15話 狙い

1つ下の階層に降りてからも特に雰囲気は変わらなかった

と言っても、通路は学校の廊下とか病院とか…別々の建物の中が混ざっているけど

それに【CHIMERA】の数も増えてなさそうだ

 

 

『誰かいた様子あるか?』

 

「なさそうね、【CHIMERA】の数もさっきと変わらないし、数減らしておくのもありよ?」

 

『だーかーらー!やめとけって!』

 

「なんでよ!別にハクに代わろうって言ってるわけじゃないわ!」

 

『二式の反動が残ってるでしょうが!』

 

「ちょっと痺れてただけ。今はもうなんともないんだけど」

 

『それでも、体力の温存は大事だ。【CHIMERA】の数がわかってないから無理して減らす意味がない』

 

「……わかった」

 

『隠密行動苦手すぎだろ』

 

「ハクもでしょ〜」

 

『否定はしない』

 

 

そこから進んでいくのもなるべく戦闘を避けて移動する

もちろんどうしようもない時は一瞬で終わらせるようにする

黒見だけじゃなく俺も闘うときもあったけど、できるだけ一式で闘うようにした

 

 

「ん?ここから広くなってる」

 

『だな。【CHIMERA】の気配もあるぞ』

 

「何体?」

 

『2体。それと…』

 

「私のことも気づいてるようね」

 

「っ!!」

 

「そんな顔しないで。と言ってもこの体はただの機械だから、私自身は最下層にいるけどね」

 

「なんの用?」

 

『【CHIMERA】が動き出したら伝える』

 

「お願い」

 

「用ね。ただ、今回の目的を果たしに来ただけよ」

 

「目的?」

 

「そう、この迷宮はこの目的を果たすためだけに用意したの。本気で闘うならもっといい場所にするわ」

 

「じゃあ、目的ってやつ教えてくれる?」

 

「ダメよ。それはお楽しみね」

 

『黒見!交代!』

 

「っ!?」

 

 

黒見と交代した瞬間に拳がぶつかりあった

目の前には今まで見たものよりも一回り大きい【CHIMERA】がいた

咄嗟に二式で反撃したが、硬さも重さも全く違い逆に自分が後ろにのけぞる

 

 

『硬すぎるだろ!』

 

「出てきたわね。器の所持者……いえ、ハクさん?」

 

『キッショ。名前も知ってるのかよ』

 

「その【CHIMERA】は別物よ。戦闘用に作ったの」

 

『そーかよ。気合入りすぎだろ』

 

「ハク!無茶しないでよ」

 

『もち!』

 

 

脚に力を入れ、距離を詰める。本当なら相手の動きとか見たほうが良いんだろうけど、今はそんなことできない。

あの大人が次の手を打ってるだろうし、無理にでも近接戦で離れる隙を作りたい

 

戦っていてわかったこと、この【CHIMERA】はマジで怪物だ

今までのものが可愛いレベルで……いや、可愛くはないんだけどね

殴っても少しもよろけないで反撃をしてくる。その反撃も速く重たい。

 

 

『二式使って五分五分だもんな…』

 

「三式使ったらいいじゃない!」

 

『無理。反動で動けなくなる、というか今の神秘量だと全力一発で戦えなくなる』

 

「そうなの…って!前見て!!」

 

『やっば!』

 

 

腕をクロスして攻撃を受けるが勢いを相殺できず、後ろに大きく飛ばされる

そのまま壁にぶつかり、砂埃で視界が悪くなる

 

相手から距離を詰めてくるが、反応できない…本当に見えない

カウンター狙いの一撃も読まれているのかフェイントをいれてくる

 

 

『戦い慣れしすぎだろ』

 

「そうでしょ?今まで見てきた世界で多くのデータを手に入れてるからね」

 

『勝ち誇ってんな…』

 

「当然よ。あなたの攻撃は確かに強いけど私の兵器には届かない」

 

『舐めんな。2人で一人前なんだよ』

 

「じゃあ倒せるの?」

 

『ぶっ壊す』

 

 

二式で五分なのが唯一の救いだ。

相手の鋭い蹴りも重い拳も受けきれてるし反撃もできる

 

尻尾はついていないから、単純な肉弾戦

腹を重点的に殴り続け、一撃を狙う…黒見もそれをわかっているようだ

 

瓦礫を持ち、投げると同時に地面を割る。その時の砂埃で視界を奪い、相手の裏に回る

それはもちろん反応されて反撃されるがこちらの攻撃で拳をぶつけ合う、ぶつかった衝撃は周囲の瓦礫を吹き飛ばした

続けて回し蹴りを相手のガードの上から打ち込む

 

 

「やるわね…これの装甲にヒビをいれるとはね」

 

『多少は効いただろ』

 

「充分効いてるわ」

 

 

ヒビが入ってるなら終わりも早い。ただ、もう一体の【CHIMERA】が全く動いていないことが不気味だ。それともあの大人を守るためにいるのか…

それはそうと、今すぐにでもこいつを倒す必要がある

 

 

「だから、私が牽制よ!!」

 

「ここで、交代…面白いわね」

 

 

黒見の神秘が込められた銃弾が相手の体に刺さる。やっぱり、銃弾の方がダメージが入ってるな

ここでの牽制は少しタメを作る時間を稼いでくれてる

神秘の弾丸は【CHIMERA】でも苦しいのか、心臓部分を必ず守っている。黒見はそれを見てすぐに脚への攻撃へと変える。

距離を詰められないように銃弾を浴びせ、リロードの時には距離を離す

まさにハメ技。正直俺が敵だったらブチギレてる

 

 

「ハク!相手は動けないから思いっきりね!」

 

『はいよ!!』

 

 

黒見の合図で交代し、ゼロ距離まで近づく

黒見の言う通り、脚が使い物にならないから一歩も動けていない。それに黒見の優しさで腕も使えないようだ

 

 

『ゼロ距離なら俺のほうが強いぞ』

 

 

両手の拳を胸に押し付け、神秘を一点に集める

ヒビ割れてるんだ、内部まで響くだろ

 

 

『終わりだな』

 

 

拳から出される衝撃波が装甲を破壊し、内側にある核を破壊した

今まで技名なんて考えなかった…厨二病っぽいし、なんか恥ずかしい

けど、勇者…アリスさんが考えた技名がある

 

 

『【ツイン・インパクト】………この技名、結構気に入ってるんだよな』

 

「アリスちゃんが考えたやつね」

 

『そう。単純だし、厨二っぽさも薄め……なはず』

 

「なるほどね……それがあの装甲を壊した技。神秘の押し出しによって衝撃波を放つ…その衝撃波は内部に響き内側から破壊する」

 

『解説どうも…次のやつも壊してやるよ』

 

「それはどうかしら?」

 

 

そいつがそう言った瞬間、なぜだか黒見と()()()()()()

意味がわからない。いくらなんでも見た目が同じなだけの機械にそんな力はないはずだ

 

 

「え!?なんで、交代…し、たの……」

 

『勝手に交代した!気をつけろ!!』

 

「わか、って……る」

 

「力が入らないでしょ。それに強制的な交代……不思議よね?」

 

「何、したの…」

 

「簡単よ。さっきの【CHIMERA】にちょっと手を加えたの。あなた達の神秘を断つ薬をね」

 

「何…それ……」

 

「その【CHIMERA】は負けることを前提として作ったの。あなた達は同じ器をそれぞれの神秘()によって交代を可能にしている。ならその流れを止めたら交代はできなくなってしまう……器がもとの神秘を求めるようになる…とね」

 

『だから、強制的に交代したのか。器の中に知らない神秘があったら弾かれる…今までは神秘の繋がりがあったから交代できたけど…』

 

「断たれたから、私が…おもてに出たって、ことね」

 

「そうよ。それに、全身が麻痺する粉も含まれてる。とっても動きにくいでしょ…私の力作よ。ヘイローを持つ生徒にも効くように改良したの」

 

「じっけん……でも、した?」

 

「口が回ってないわね。そうよ、生徒を1人拐ったの。簡単だったわ」

 

 

黒見の動きが遅い、力が入りにくいのも本当なんだろう

交代しようとしても弾かれる…神秘が断たれているから俺じゃどうすることもできない

そう思っていたら、黒見の見ている()()と外の世界の()も消えてしまった

 

 

『は!?おい、黒見!!』

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

ハクの声が遠くにある感じがする

体に力が入らない……薬のせいって言ってたけど、こんなに動かないものなの…

ハク…聞こえないよ。神秘を断たれたら会話もできなくなるの……

 

 

「うっ……あんたの、狙い……は、なに」

 

「話すことはできるのね」

 

 

せめて、神秘がまた繋がればいい。薬には効果時間がある…私達の血液的なものを強制的に止めるのはほんの僅かな時間だけなはず。

時間を稼げれば良い……ハクとも、すぐに話せる

 

 

「私の狙いはね、あなたよ。黒見セリカ」

 

「私?…狙いは、うつわ…じゃないの」

 

「器を手に入れるために必要なの。教えたでしょ?」

 

 

器の奪い方……ああ、そっか…私が死んだら器が奪えるのか……

ハクが消えるのはほぼありえないから、弱い私を狙って

 

 

「迷宮をつくったのも…これのためね」

 

「そう。あなたの器、邪魔なの。でも今から死んでしまうのは弱いのが悪いのよ?弱肉強食っていう言葉、聞いたことあるでしょ」

 

「私が死んでも……ハクが、あんたを……とめる」

 

「はぁ、器が無い魂ってどうなると思う?」

 

 

何を言ってるんだろう…ハクは私の器で生きてる

あ、違う。ここで私の魂も器も壊される…それにハクの器も奪われる…じゃあ、ハクの魂って…

 

 

「そんな魂が行き着くのはね……虚無よ」

 

「……は?」

 

「何も感じないの。死ねなかった存在だからね、これから先…死ぬこともなく、誰からも認知されない時間が永遠に続くの。結局、あなたもハクくんも最後まで一人ぼっちよ」

 

 

一人ぼっち……私はそれを知ってる。ずっと1人だったから

でも、ハクはどうなのか知らない。一人ぼっちのこ感じって知ってるのかな…それも永遠って…大丈夫かな……

ハクと話せなくなるのって、嫌だな……せめて、託さないと………

 

 

「ハク…わたし、が死んだら……私のからだ…あげる。まえにも言ったから覚えて、るよね」

 

『─い!!そん───ってる暇──だ─!』

 

「うば、われる前に……倒してよ」

 

『黒─!!おい───よ!』

 

 

やっぱり聞こえにくい。ハクなら大丈夫……ちゃんと使ってくれる

 

もう一体の【CHIMERA】が近づいてきた…こいつの役割は私のトドメ…いや違う首を掴んできた

このオーラって、神秘だったはず……そっか、神秘を奪って楽にしやすくってことね

 

 

「ふふっ、神秘も奪われ交代もできない……本当に無力ね。どうしてハクくんはこんな子に憑いていたのかしら……すぐに楽にしてあげたいけど、死を直感できるほどの強い痛みで彼が出てきたらこまる…だから、失血死にするわ」

 

「く……そ…」

 

 

アトム(大人)がナイフを取り出す。私の両腕と両足にそれを突き刺す

痛い……痛い…叫ぶほどの力が出ない、神秘がなくなると一気に体が重くなる…

刺された部分は熱く、赤い血が溢れ出てくる……止まる気配なんてない

 

どれくらい血が出ているのかなんてわからない…でもだんだん眠くなってくる

 

 

「ふふっ……あははっ!私の目的はもうすぐ果たされる!ようやく……ようやく始まるの、新世界が!!」

 

「させるわけないでしょ」

 

 

耳に届いたその声は、銃撃の音へと変わった

視界が霞んでいるけど、ほんの少しだけ見えた…白髪が

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

「あなたは……()()()()。遅れての登場ね」

 

「大きな音が聞こえたの。来てみたらあなたがいた……それに彼女は…」

 

「すぐに死んでしまうわ。それとも、あなたは邪魔をしないでくれるの?」

 

「すぐに片付ける……と言いたい所だけど、今は彼女の回収ね。まだ、器は取れていないんでしょ?まだ彼女が死んでいないなら奪えない。そう言ってたはずよね」

 

「覚えてたの…と言っても、このチャンスを渡すわけにはいかないの」

 

「こっちもそんなチャンスを上げるつもりはないわ………私だけじゃないけどね」

 

「何を言って「喰らえ!!」っ!?」

 

 

背後からの銃撃、それに反応して【CHIMERA】がガードしてくる

主を守る忠犬のようね……

 

 

「【C&C】コールサイン『00』……現着だ。てめぇを潰しに来た」

 

「美甘ネル。今はそれが目的じゃないわ。彼女を連れて行くの」

 

「あぁ?そんなことわかってる!……だけどよ、一発撃ち込んでやる!」

 

 

彼女はそう言い距離を詰め、持っているSMGを乱射する

【CHIMERA】がほとんど守っているけど、彼女にも数発当たった……そのはずなのに

 

 

「……なんで、ピンピンしてるんだ」

 

「私はただの機械よ。私自身がそんなに簡単に目の前に出てこないの。と言っても私自身も銃弾……生徒の攻撃は効かないわ」

 

「何言ってんだよ」

 

「あの大人は神秘を自由に扱うことができる。つまり、私達と同じような体にもなれる。ということね」

 

「風紀委員長は頭が良いわね。そのとおり、と言っても私の場合は有限の力だけどね。あなた達とは違い、私はヘイローを持っていない。血液と同じように神秘を持っているあなた達とは違い、私は給油のようなもの」

 

「なるほどな…ってことは神秘がなくなればてめぇにも攻撃は効くわけだ」

 

「そんなに簡単に底を尽きないわ」

 

 

私も美甘ネルもすぐに動いて、黒見セリカを救いたかった…しかし、あの大人も【CHIMERA】も近くにいるせいで、簡単に動けない。もし転移してしまったらそれこそ取り返しのつかないことになる

 

美甘ネルと目が合う………そうね、難しいことを考えずにゴリ押しでいくわ

 

 

「おらぁ!!」

 

 

美甘ネルの乱射…それに合わせて、神秘を込めた弾丸を【CHIMERA】に浴びせる

敵はすぐに膝をついた。アトムが黒見セリカを掴もうとするが、それよりも速く美甘ネルが彼女を回収する

私の乱射が終わると同時に走り始める

 

 

「この道をまっすぐ進めば先生がいる!そこまで走って!」

 

「てめぇも着いてこいよ!」

 

「ええ、後ろは任せて。【CHIMERA】が来るならすぐに片付ける」

 

 

そうして、私達は先生の下へ走る

けれど、気づいてしまった。彼女から流れる血の量…力の入っていない体

そしてなにより………

 

 

 

壊れ始めているヘイローを見てしまった

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

「そんなに急いでも結果は変わらないのよ。すぐに消えてしまう……今から近づいても返り討ちに会ってしまうわね。まぁ今回はこれで充分、黒見セリカの魂、及び器の破壊は完了ね。

次会うときは器は私の手の中にあるわ……ふふっ」

 

その大人は笑いながら【CHIMERA】に指示を出す

 

 

 

 

 




ヒナとネルの共闘を見てみたいと思いました
結局キヴォトス最強って誰なのか気になった時期もありました

最後まで読んでいただきありがとうございました〜
次回もお楽しみに!!
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