目が覚めるとプレ先世界で、セリカに宿ってた元人間   作:歯茎king

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互いの神秘の繋がりが断たれた黒見とハク
合流したヒナとネルによって器は奪われなかったが、黒見の時間が過ぎていく…





◆◆◆◆◆
あなたは自分のした行動が間違いだとは思っていないようですね。
もちろん、それが正解なのかは私にはわかりません。ですが、あなたはその行動に満足しているようですね。

自分がその瞬間を待っていたように、在り方がそれであるように……そう見えます。


16話 救いと代償

 

あぁ、頭がふわふわする…今何してるんだっけ…

……そうだ。交代できなくて、神秘も奪われて、血がいっぱい出てたんだった

ハクは大丈夫かな………何一つ聞こえなかった……でも、ハクなら心配しなくても大丈夫

 

 

 

 

ここってどこだろ。真っ白な空間で、少しだけ浮遊感がある

三途の川……的な?

 

 

 

私、死ぬのかな……多分死んじゃうかも

シロコ先輩には申し訳ないな……それに、あの髪の毛は空崎ヒナだったと思うし、変に気を使っちゃいそうだな〜

………ハクは、あの時言ったこと聞いてくれるかな

 

 

────「ハク…わたし、が死んだら……私のからだ…あげる。まえにも言ったから覚えて、るよね」

 

ちゃんと言ったんだけど、ハクは流してたのよね〜。前の世界に居たときも受けてくれなかったし

でも、ハクならちゃんと使ってくれるはずよね、私の相棒だし

私の願いはちゃんと聞いてくれるし

 

………はぁ、やらかしちゃったな〜すごく痛かったし、ちょっと気を抜いてたかも

 

 

────「ん。セリカ、一緒にご飯食べよう。もちろん、ちびシロコも一緒に」「ん!デカシロコよりも私と一緒に食べるべき!」

 

 

もっとうまくできてたらな。ハクにも心配かけなくて済んだのに

 

 

────「セリカちゃーんおじさんとお昼寝しない〜?」

 

────「セリカちゃん!!ノノミ先輩がドローン壊したんです!」「わざとじゃないんですよ〜」

 

 

やっぱり、みんなに迷惑かけちゃうよね

 

 

────「ねぇ、柴関ラーメンの割引券あげるわ…いや、なんかあんたのせいで私がバイト掛け持ちしてる大変な子って思われてるのよ!」

 

 

あぁ………

 

 

────「セリカ。最近どう?シロコとハクと楽しめてる?」

 

 

考えないようにしたのに……

 

 

────『俺がお前を1人にしない。相棒だからな』

 

 

ダメだ……やっぱり…

 

 

 

 

 

「死にたく…ないよぉ…」

 

 

なんで、こんなに理不尽なんだろう

1人でいたけど、やっと幸せを噛み締めれたのに、救われたのに、どうして…今なの?

 

走馬灯ってやつなのかな……そのせいで、どうしても生きていたいと思っちゃう

強がってた、あの時死にたいとも思ってたのに今は……今は……

 

 

「みんなと……一緒に…いたいよ」

 

 

私もみんなの力になれるって思ったのに…ハクも私を信頼して着いてきてくれたのに…

どうして、私はこんなに弱いんだろう……

 

悲しくて、辛くて、私自身が気絶してるはずなのに

とっても痛い。胸の中が空っぽになってる

 

 

こんなときにも願ってしまうのは良くない。私は終わりが近い、それを知っているからこそ

また私はあのときに戻るように言ってしまうんだ…

 

 

「助けてよ………ハク………私、死にたくないよ……」

 

 

私の放った声は、何かに反射することもなくすぐに消えてしまった

何も無いことを示すように思い、いつも周りに人がいたからこそ

()()1()()()()()()()には充分だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『黒見』

 

「………」

 

『黒見!!返事をしなさい!!』

 

「はい!!………って、え?」

 

 

ハクの声が聞こえた。どうして?今まではこんなことなかった。

寝てる間もハクと会話なんてできなかった……それに今は神秘が断たれているはずなのに

 

でも、これが幻聴だったとしても

ハクの声、いつも聞いてたのに今聞いたらすごく安心しちゃった

 

 

「あは、これだったらもう死んじゃってもさみしくないや」

 

 

私はなんとなくそう呟いた。返事があるなんて思ってなかったから……だけど、違った

 

 

『バカタレ!死なないし生きるわ!』

 

 

ハクが私の声に答えてくれてる。それがわかってとても嬉しい

また、泣きそうになるけどハクの前では泣きたくない

 

でも、生きるなんて……ハクもわかってるだろうに…

 

 

「……無理よ。私とは交代できないし、神秘も使えない。最後に会話できただけで十分」

 

『会話は無理やり()()()。だからすぐ聞こえなくなる』

 

「そっか………しかたが『だから!』……っ!?」

 

『だから1回しか言えない。ちゃんと聞け、()()()生きるためには()()()動けや』

 

「わ、わかった。え?助かるの?」

 

 

信じれない。もう無理だと思ってたのに、まだ希望があるの

 

 

『当たり前だろ?とにかく説明!今のお前はヘイローが割れ始めてる』

 

「それって……ヤバいんじゃないの!?」

 

『めっちゃヤバい。でも、あのカス野郎が神秘の流れを止めたおかげで、壊れ欠けてる器が溜め込んでた神秘によって修復され始めてる』

 

「今の私って、器が壊れ始めてるの?ヘイローは神秘によってあるんじゃ…」

 

『その肝心の神秘の流れが止まってて魂が器から落ちてるんだ。それに俺も器に入れない。魂が入ってないと神秘は体に流れない…そのせいでヘイローも壊れてる』

 

「……難しいってことがわかった。続けて」

 

『とにかく、お前の器はお前の神秘によって修復されてる。あとは、黒見が起きたら良いんだ』

 

「どうやって起きればいいの…私、たぶん今何もできないけど」

 

『俺の神秘を黒見に流す。その時の拒絶反応があれば、器は正常な魂を求めるようになる。そうすれば起きれる』

 

「ハクの神秘ね…わかったけど、何か反動がありそうなんだけど?」

 

『良いところに気づいたね……まぁ、簡単に言うと…起きたら体の内側が痛いんだと思う。それに、黒見が神秘を使えるまでラグは発生するだろうな。変な起こし方だし』

 

「なるほどね、つまり目が覚めたら闘うことはできないってことね」

 

『話が早くて助かるよ。変に被弾するなよ?神秘が流れてるか怪しいんだから、当たると痛いぞ〜?それに俺も神秘の反動があるだろうし……あと!反動のせいで俺とも会話できないかもだから!』

 

「わかった。…って!銃弾には当たらないから!………ハク、ありがと。助けてくれて」

 

 

ハクへの感謝。それは当然なんだろうけど、ちょっとむず痒いものだった

ハクがいなかったら、すぐに諦めてた……ハクが繋いでくれたおかげで諦めないですむ

 

 

『あ〜?言っただろ?俺がお前を守るって、ちゃんと生かすよ』

 

 

ハクがずっと言ってたことだったな…『俺がお前を守る』

……なんか、ここまで助けられるとは思わなかったけどね

 

 

「そっか。うん……本当にありがとね」

 

『気にすんな。これが俺の役目だからな……………黒見』

 

「なに?」

 

『…あのさ』

 

「なによ?」

 

 

珍しくハクが何かを言うのをためらってた

いつもすぐに言うだろうに…何か問題でもあったのかな?

 

そう思ってた時期が私にもあった

 

 

『……お前、顔グチャグチャだし声もめっちゃ震えてるぞw』

 

「はぁ!?最低!!なんかお礼言って損した!!」

 

『損は無いだろ!もっと感謝しろよ!』

 

前言撤回。本当に失礼なやつだった。

別に泣くでしょ……なにがダメなのよ…なんか恥ずかしくなってきたな

 

ハクと話している間に視界が明るくなっていく、目が覚めるんだ

帰れるんだ、生きれるんだ……ハクにはもう少しだけ感謝してあげてもいいけど、デリカシーという言葉を知ってほしいな

 

……あの時あった胸の中に空いたはずの穴はもう埋まってる

そうだ、集中しないと!起きたらちゃんと逃げろ!って言われてるんだった

 

 

『そうだぞ、黒見。これからは今まで以上にしっかりしろよ』

 

 

ハクはこんな時まで一言余計なんだから

いきなり心を読んでくるのもやめてほしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『        』

 

 

 

 


 

目を開けると、視界がなんだか揺れている…あ、これ担がれてるんだ

 

そして私を担いでいる人物を見ると…驚いた

 

 

「え、ネル…さん?」

 

「な!?お前、起きたのかよ!」

 

「出血が多いから無理して動かないで。美甘ネルが運んでるから」

 

「ヒナさんも……確かに、腕の感覚無いかも…」

 

「それにヘイローも……って、治ってる!?」

 

「それは……ハクが…してくれたの」

 

「そう、今は先生の所に向かってる。そこにはあなたの先輩もいたわ。私は先生と合流してからあなたを見つけた、だから間違いないわ」

 

 

そっか…シロコ先輩に先生も無事なんだ…

それにしても、ハクの言ってたとおり体の内側が痛いし、神秘をちゃんと感じれない

それに、ハクの声も聞こえない……反動って意外とキツイ…

 

そういえば、目が覚める前にハクが何か言ってたんだけど…なんだっけ?

思い出せないな…絶対に言ってたんだけどな…

 

 

 

しばらく進んだところで先生とシロコ先輩。それに、合流したであろう他の生徒も多くいた

 

 

「セリカ!大丈夫かい?」

 

「先生…さすがにキツイ…血がないせいか体もだるいわ」

 

「ん、セリカは私が守る。何があっても守る」

 

「はは、頼もしいね。セリカは今はちゃんと治療を受けて。もしものことがあればすぐに撤退するから」

 

「わかったわ」

 

 

私を守る、ハクも言ってたな

まさか本当に助けてくれるとは思わなかったけど

 

治療を受けて、とりあえず出血は止まったけど無理して動かないように!

とキツく言われた

 

ふとハクの言っていた言葉が気になった。私の神秘はすでに感じれるくらいには回復した

つまり反動は一時的なもの

だったら、なんて言ったのか今聞けばいいじゃない

 

 

「ねぇ、ハク〜」

 

 

呼んでみても返事がない

ハクにはまだ、反動が続いているのかな?

 

 

「ハク〜返事して〜」

 

 

何度も呼びかけてみる。それでも、返事はない

反動も治まってるはず…私だけが治ってハクだけ治っていないなんてありえない

 

 

「ねぇハク、返事してーそろそろ大声出すわよ?」

 

「ん、セリカ?どうしたの?」

 

「シロコ先輩…ハクが返事しないんです。なんでだろ…」

 

「ん、寝てるのかも」

 

「確かに、ハクがセリカに返事しないなんておかしいよね」

 

「先生も……うん、寝てるにしても魂の気配はあるはずなのに……」

 

 

魂の気配?

確かに寝てる時とかは、魂の色はついてないけどそこにあることはわかる

電気が通っていない電球みたいなイメージ…だけど……

 

あれ?ハクって最後になんて言ったんだっけ?ちゃんと思い出して…

そこまで長くはない言葉だったな、しばらく寝る。的なことだっけ?

 

 

それよりも、どうして……なんで……

 

 

 

 

 

ハクの魂の気配が無いんだろう

 

 

 

「ハァ…ハァ…なんで………でも、そんなはず…」

 

「セリカ?」

 

「セリカ、どうしたの?何かわかったのかい?」

 

 

シロコ先輩と先生の声が聞こえる。聞こえてるのに、遠い

呼吸が浅い気がする…でもそれを感じてる余裕がない…

 

魂の気配がない?今までそんなことは一度もなかった

 

───じゃあどうしてハクは返事をしないの?

───あの時言った言葉は?一体何があったの?

 

あの時言った言葉……守る?……誰を………私自身を?違う、そんなことを言ったんじゃない

ハクがあの時言った言葉は

 

 

 

 

 

 

思い出した

 

 

 

「うそ………違う、違う違う違う!絶対に違う!!」

 

「セリカ!どうしたの…落ち着いて」

 

「シロコの言う通りだよ。セリカ、落ち着いて」

 

 

シロコ先輩と先生の声なんて聞けなかった

それよりも大事なことだったから

 

 

「ねぇハク!早く返事してよ!!どうして黙ってるの!!……どうして……ハク、声聞きたいよ」

 

 

 

 

 

 

あの時の言葉は

 

 

「やだよ……返事、してよ…」

 

 

 

 

 

覚えてる。ちゃんと聞いたから、覚えてる

あの時、ハクは確実にこう言ったんだ

 

 

 

 

 

 

『じゃあな、セリカ』

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

セリカが何かを知ったのか、現実を受け入れてないような表情になってる

こんな時に私は……先生なら何を言えば良いのか…

 

セリカは叫んで、泣いて、ずっと「うそに決まってる…そんなはずない」と繰り返してる

私は、何も力になれない……こんなとき、ハクならなんて言うんだろうか…

 

とにかく、セリカに声をかけようとしていた……だけど、風紀委員会の生徒が私を呼んだ

シロコにセリカを任せて呼ばれた子について行く

 

 

「あら?あなたが先生ね」

 

「お前は……アトム」

 

 

目の前には黒幕のアトムがいた。でも、ネルとヒナが言うにはあいつは本人ではなく、機械らしい

 

 

「何をしに来たんだ」

 

「怖いわね。ただ、この迷宮から出ていってもらうだけよ?」

 

「出ていく?」

 

「私の目的は一旦達成したの。だから、もうあなた達がここにいる理由は何もないの」

 

「何を言ってるんだ。お前を捕まえるまで、出ていくなんて選択肢はないぞ」

 

「あのね?私はさっき言った狙いを達成するためにこの迷宮を作ったの。今は、無理やりでも外に行ってもらうわ。もし、私を止めたいのならもう一度来ることね」

 

 

そう言うと、地面に例の魔法陣が出てきた

そうか、無理やり外に出すと言うのは転移によって追い出すということか…

これはどうすることもできないな…

 

アトムを見ていると後ろから声が聞こえてきた

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

「待て!!」

 

 

私は叫んだ。シロコ先輩の制止を無視して、その大人に言う

 

 

「あんたの目的は私じゃなかったのか!!」

 

「どうしてあなたが生きているの?……なるほどね。()()()()()()()()()()()()()

 

「黙れ!」

 

 

あいつの目でもハクが消えている…やっぱり、私の中には()()()()()()()()

怒りが湧いてくる。目の前の大人に明確な殺意が湧く

 

 

「そんなに怖い顔をしないの。あのね、私の目的はあなたを殺すこと…正確にはあなたの器を壊すこと。でも、ハクくんが消えたことによって簡単に奪うことができる……結果オーライってやつだね」

 

「あんたの狙いは私かハクがいなくなることだった…」

 

「そうよ。でも、ハクくんもかわいそうね…」

 

「あんたに何がわかるの」

 

「あなたが弱いからハクくんが消えてしまったのよ」

 

「……は?」

 

 

何を言ってるの……私のせいでハクが消えた?

私が弱いから?…なんで…

 

 

「あなたが弱く、ヘイローが一瞬でも壊れてしまった。だから、ハクくんは居場所を失ったの。自分自身の器には入れず、あなたの器もなくなった…居場所のない魂は…」

 

「そんな……嘘よ」

 

「嘘じゃないわ。あなたのせいで彼は虚無へ行ってしまった

 

「違う……違う!!ハクは……まだ、生きてる…」

 

「どうして言い切れるの?あなたにも、わかるはずよね?彼の気配が微塵も感じない。彼は完全に消えてしまった……とね」

 

「いや……いやだ……なんで…」

 

「セリカ!大丈夫。ハクなら大丈夫」

 

「あなたも罪な子ね。根拠が無いのに大丈夫なんて」

 

「アトム。私はお前を許さない…生徒をここまで傷つけて、覚悟はできてるな」

 

「まぁ、ゆっくり待っておくわ。それと、黒見セリカちゃん?彼の器を渡してくれれば、もう一度彼と会えるかもしれないわ」

 

「……」

 

「あの空間で待っているわ。いつでも来てね」

 

 

それを最後に、私達は外に出ていた

雨が降っていて、まるで私の感情を表しているみたい…

 

ハク……ごめんなさい

 

頭の中がグチャグチャで動くことすらできない…

なのに、涙は止まることを知らないようだった

 

ごめんなさい…

 

私はただ、そこにはいないハクに謝ることしかできなかった

 

 

◇◇◇◇◇

「なるほど…彼自身が消えてしまいましたか……生き方を決めていると言っていましたね。今あるこれがあなたの生き方ですか……クックックッ……面白いことをしましたね。ハクさん」

 

 

大人の男は笑い、大人の女は満足げな表情を浮かべる

それとは対称的に、少女の心はただ1つ、後悔で埋め尽くされていた




次回の話は、黒見が気絶しているときのハク視点の話なので、物語的には進みません
予めご了承ください

最後まで読んでいただきありがとうございました
次回もお楽しみに〜
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