目が覚めるとプレ先世界で、セリカに宿ってた元人間   作:歯茎king

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これから投稿頻度がかなり落ちてしまうことがあると思うので予めご了承ください
本当にすみません。
と言っても、完結までそう長くはないので頑張って投稿していきます!




17話 迷いの先

「あなたが弱いからハクくんが消えてしまったのよ」

 

 

私が弱いから…

 

 

「そう、あなたのせいよ」

 

 

私のせい…

 

 

「あなたは守ってもらうことしかできない。自分で大切な存在を守れない」

 

 

違う、そんなことない

 

 

「違わない。現実から逃れても無駄。あなたはただの足枷」

 

 

違う……違う 違う 違う 違う 違う 違う 違う 違う 違う 違う 違う

 

 

 

 

 

 

 

「違う!!…………夢か…」

 

 

最悪な目覚めだ。夢でもあいつの声を聞くことになるなんて

辺りはまだ暗い、スマホで時間を見てみるとまだ3時だった

 

私はアトムの作った迷宮から出てきた後に出血と疲労によって気絶してしまった

先生とトリニティのセリナさんによって治療されて、今も入院中だ

 

 

「ハク…返事して」

 

 

あれから1週間ずっとハクに話しかけてみるけど返事どころか魂の気配も感じない

自分の口から出した声が暗い部屋の中で消える

その静寂は自分が1人だと示しているようで目を背けたい

 

 

「やっぱりダメか……ハクはもう…」

 

 

そこまで言って口を閉じる。それ以上自分の口で言うと立ち直れない気がしたから

結局、夢で言われたように現実から逃れようとしているだけ…でもそれが自分の弱さを見せているようで自分の事が嫌になる

 

 

「ハク…私、これからどうすればいいの…」

 

 

迷う必要がない問いを出してしまう。答えなんて1つしかない…アトムを止める。それだけだ

私の中にあるハクの器を奪われないようにしないといけない

 

 

「……私1人で?」

 

 

無理だ。今まではハクが一番近くで一緒に戦ってくれたから大丈夫だった

でも今の私は1人だ。シロコ先輩や先生、アビドスのみんなもいるのに…こんなにも弱気になってしまう

 

 

「ねぇ…どうしてハクは私を助けたの…なんで……1人にしないって約束してくれたじゃん…」

 

 

その約束は元の世界に居た時にしたものだ。ハクは約束してくれた…それなのに、今私は1人だ

 

 

「ハクのことだから、シロコ先輩とかいっぱいいるから1人じゃないって言いそう……そうじゃないのに」

 

「クックックッ、ここまで弱りきっていましたか」

 

「誰!!」

 

 

突然暗い部屋の隅から声がした、その声は聞いたことのあるもので…でも私がそいつと話したわけじゃなかった

 

 

「……黒服」

 

「覚えていましたか。黒見セリカ」

 

「なんの用」

 

「クックックッ、あなたの中にいるもう1人に会いに来たのですが…」

 

「…っ。嘘つくな」

 

「やはり、消えてしまいましたか…惜しいものですね」

 

「あんたは知ってたはずでしょ、どうして今会いに来たの」

 

「どうしてか…ですか。確かに先程のものは嘘です。ちょっとしたジョークですよ…ただ、私はあなたともお話をしに来たのですよ」

 

「私?」

 

 

目の前の大人は私が目的らしい。ずっとハクに興味があると思っていたのに…どうして今更

 

そう考えていても先生やホシノ先輩から言われていたので、全く信用していない

神秘…そうか、私の今の神秘に興味があるのね

 

 

「それでなんなの?」

 

「あなたを調べさせてほしいのです」

 

「いいわけないでしょ」

 

「手厳しいですね」

 

「なんであんたなんかに協力しないといけないの」

 

「……彼と会える。と言ったらどうしますか」

 

「…は?何ふざけたこと言ってるの。今すぐにでもその口を塞いで」

 

「冗談ではないですよ?ただ、可能性がある。というだけです」

 

 

本当になにを言ってるのかわからなかった。ただ、私をバカにしていると思ったのに…

どうしてか、ハクに会える。という言葉が頭に残る

そういえば、アトムも「私のところに来たらハクくんに会える」みたいなこと言ってたっけ

 

 

「そして、会いたいのなら神秘を調べて知らなければいけないのですよ」

 

「だからって、はいそうですかって行けるわけないわ」

 

「……でしたら、もう彼に心残りはない。ということですか?」

 

「そんなわけないでしょ!!これ以上私を怒らせないで!」

 

「これは失礼しました。でしたら、何か案があると考えてよろしいのですね」

 

「それはっ………」

 

 

結局、案なんてない。ハクに会えるならすぐに会いたいし話したい

ハクに対してもアトムの目的に対しても…私は中途半端だ

こういうときは…どうすればいいんだろう

 

 

「ないのでしたら、私に着いてきてください。そのほうが得がありますよ」

 

「私は………私は…」

 

「あなたがどうやっても私達の下へ来ないとわかってしまいました。でしたら、ヒントをあげます。と言っても私の予想となってしまいますが」

 

 

黒服は突然話し始めた。別に求めてないのに話してる…あいつが何がしたいのかわからない

だけど、話している内容は私を驚かせた

 

 

「おそらくですが、あなたの魂にはハクさんの魂のエネルギーが込められています。きっとあなたを救うために生命エネルギーとして変換したのでしょう…そして、魂は神秘と密接にリンクしていることはご存知でしょう。2つの魂のエネルギーがある……それはつまり…」

 

「もしかして…ハクの神秘が私にもあって使える……ハクの神秘は【繋がり】。でも、これだけじゃ何かが足りない。ハクを連れ戻すにはどうしたら……でも、アトムの目的も止めないと…」

 

 

ここでも迷ってしまう自分が憎い。自分がするべきことが決めれなくて、その場に立ち止まってしまう…そんな自分が

 

気がついたら黒服はいなくなってた

一枚のメモを残して、姿はなかった

 

 

「”協力する気になりましたらこの場所へ、今回は彼の命が関係しているので特別です”…ね。行くわけないっての」

 

 

ただヒントを貰って私が悩んでいただけ。それだけだ

そこから一睡もできないまま、朝日が昇り始めた

 

 

 

 

 

 


 

 

「はぁ…」

 

「ん、セリカまたため息」

 

「だね。ずっとため息してる」

 

「そんなにしてる?」

 

 

昼を過ぎてから先生とシロコ先輩がお見舞いに来てくれた

シロコ先輩はほぼ毎日来てくれてるし、先生だって時間があれば来てくれてる…そんなに暇じゃないはずなのに…

 

 

「悩み事は私達が聞くよ?」

 

「ん、ハクがいなくなってから…セリカは前よりもずっと顔が暗い。やっぱり原因はハク?」

 

「……はい。どうしたらいいのかわからなくて」

 

「セリカは何に迷ってるの?」

 

「ハクのことはもちろんだけど…アトムのことも、私が奪われたらダメだから変に動けない。どちらかを選ぶこともできないで、どちらも何か策があるわけじゃない…中途半端だなって」

 

「ん、アトムことなら私に任せていい。今セリカが気にするのはハクのこと」

 

「だね。異変のことを考えるなら、まずはセリカが万全にならないと」

 

「どうやって…そんなふうに決めれるの?」

 

「そうだな…セリカは今の自分に足りないものがわかってるでしょ?私だって、今の自分ができる最善手を決めたいけど、それよりも先に今自分に必要なものを最初に考えてるだけ」

 

「ん、セリカは焦ってる。大事なのは1つずつ考えること。全部まとめてはしんどい、今をちゃんと受け入れて動くの」

 

 

自分に必要なもの、今を受け入れる……それなら、私だって決まってる

アトムのことより自分が望んでる、それにアトムを止めるために必要なんだ

 

 

「私はハクを()()()()……その、ありがと…相談のってくれて」

 

「生徒の悩みだからね、先生として当然のことだよ」

 

「ん、先輩として当然のこと」

 

 

だけど、アトムが次いつ動き出すのかわかってないからそこまで時間はかけれない

やるならなるべく早く…ヒントならあいつから貰った

私にあるもう一つの神秘…ハクの神秘と器

 

 

「でも…どうやって……」

 

 

何かを忘れてる。ハクを連れ戻す?虚無に還るとか言ってたのに、どうして存在はあるってわかったんだろ……

 

 

「私の魂……いや、私の中にあるハクの神秘がそう言ってるように思う、のかも」

 

 

感覚的なものだけど…そうだと信じれる

あとは連れ戻す方法を考える。今の私は迷ってない、考えがまとまりやすい

先生とシロコ先輩にはちゃんとお礼を伝えないと

 

 

「アトムが動き出したら先生が教えてくれるって言ってたし…今は心配しなくていい」

 

 

連れ戻す方法はきっと神秘と器が関係してる。私とハクには()()()がある

一緒にいた時間は短かっただろうけど、絶対にある

方法を考えろ、神秘と器だけじゃなくてもっと具体的に…

 

 

───『多分…器が目印になってるんだろうな。ほら、俺の神秘に反応して器がわかる〜的な?』

 

 

「目印…もし、ハクが自分の居場所を見失ってたら…迷っていたら」

 

 

そこに行くための目印があればいい

そのために必要なものは揃ってる

 

 

「もしかしたらこれでいけるかも……でも、私にあるハクの神秘は限られてる。もうすでに自分の魂は修復されてて神秘が流れてる、つまり有限の力ってことね…チャンスは少ない、ハクの器に神秘を流すにはどうすれば…」

 

 

どんどん案が出てくる。1つわかるともう1つ、パズルのピースが当てはまるように…

彼に近づいてる。それだけで今は自分の心が保たれる

 

 

「あはは、考えたくなかったけど私って結構ハクに依存してたんだなぁ」

 

 

まぁ、仕方がないか。ハクが約束を守ってないのが悪いんだし……

 

ハクの力はアトムを止めるために必要な力だ。神秘をあるべき場所に還す…()()()()()()()()

 

 

「今はハクの器に神秘を流す方法を考えないと」

 

 

それから考えて、考えて、考え続けた。たまに病院の人から「ちゃんと寝てください!」って怒られたけど、唯一の可能性だから時間が惜しかった

いくら先生にアトムのことを任せてるって言っても流石に私も重要人だし、戦闘になった時に数に入れられる。完全に無視はできない

 

そして私がわかったことは、”ハクの器の気配はわかっても干渉はできない”ということだ

自分の神秘で試してみた。ハクも私の器にやってたからできると思ったから…でもハクの器には神秘が流れる様子は全くなかった

 

 

「色彩の影響のせい?」

 

 

ハクの器は【恐怖】に染まってる。って言ってたし、神秘が流れないようになってるのかも…シロコ先輩と同じような感じで

 

 

「でもアトムはハクの器に神秘を流すって言ってた…つまり、私の中にあるから流れない?」

 

 

そもそも、ハクの器に入ることができれば問題はないのに…器が縛られてて入れる気がしないから無理なんだ

 

 

「………うん。やっぱりこの方法が一番な気がする」

 

 

私は決心し、退院の日を待つことにした

先生とシロコ先輩にも伝えないといけない…ちゃんと説得できれば良いんだけど

 

 

 

 

 

 

 

「────と、言う感じの方法なんですけど…」

 

 

次の日、先生とシロコ先輩、アビドスのみんなが来てくれたタイミングでハクを連れ戻す方法を話した。みんなの顔には驚きでいっぱいだ

 

 

「ん、それはセリカが危ない」

 

「ん、デカシロコの言う通り。それに仮に成功したとしてセリカは無事に帰ってこれるの?」

 

「もともとハクの器だし…」

 

「みんなセリカちゃんが心配なんだよ。もちろんおじさんもね」

 

「私もだよ。生徒が1人で危険な目にあうのは見過ごせない」

 

「……私しかできないの。それに成功したらかなり有利になる」

 

「そうかもしれないけど、アトムのところに1人で行くなんて危険だよ」

 

 

私の考えた方法。それは、アトムに器を奪わせること

器がどんな見た目をしているのかはわからないけど、私の外に出た器にハクの神秘を流す

私とハクを繋げる神秘、それならきっとハクは戻ってこれる。そういう神秘だから

 

危険なのは1人で行くこと。もし、アトムに用済みと言われて襲われたら器もハクも消えてしまう

それが最悪のケース。それをみんなは危険視してる…私も不安だけど、これしかないと思う

 

 

「あのね、セリカ。ホシノ達が言ってるのは…」

 

「わかってる。失敗したらそれこそ終わりなんでしょ」

 

「違うよ。ハクだけじゃなくセリカもいなくなってほしくないだけなんだ」

 

「……」

 

 

それもわかってる。今だってシロコ先輩が不安な顔をしてる

私だってもう死にそうな思いはしたくない…でもだからと言って簡単にハクのことを諦めれない

 

 

「先生、私は死なないわ」

 

「セリカ…でも…」

 

「先生…私を信じて。それに敵が油断するのは勝利を確信したときよ」

 

「確かにセリカちゃんの言う通りですね〜」

 

「そうですね。どんな人間でも自分の目的が果たされるとわかれば気が抜けてしまいます」

 

「なるほどね〜そこを皆で叩けばいいってことか〜でもすぐに気づかれちゃうと思うけど?」

 

「シロコ先輩を頼ります」

 

「ん!?」

 

「ゲートですよ。明確な座標さえわかればシロコ先輩のゲートで全員が入れる」

 

「ちょ、ちょっと待って!みんなは、セリカのこと心配じゃないの?」

 

「先生、それは愚問ってやつだよ〜。セリカちゃんもアビドスの生徒なんだよ?おじさん達が信頼してないわけがないじゃん」

 

 

ホシノ先輩の言葉に他のみんなが頷く。もしかして、案出して不安になってたの私と先生だけ!?

あの驚きの顔って「セリカがこの案を考えたの!?」っていう顔!?

 

なんか恥ずかしくなってきたんだけど……先生も呆気にとられてるし…

 

 

「そうだったね。私も生徒を信じないと先生と名乗れないね……セリカ、君を信じるよ。ハクも連れ戻してね」

 

「もちろん!!私もあいつに怒らないと気がすまないし!」

 

 

先生は他の学校の代表者にだけこのことを伝えて、病室をあとにした

というか、全然退院できないな〜って思ってたけど勘違いじゃなくて

シロコ先輩が「退院させるのはダメ」ってお医者さんに言い聞かせてたらしい……さすがに外には出たいですよ。シロコ先輩………すぐに退院させてもらいました

 

 

「ハク……ちゃんと待ってなさいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「……んぁ?……いや、なんで?」

 

 

目を開ける。そこは電車の中だった

乗った記憶はない…っていうか自分は電車に乗れるはずがない

確かに自分は消えたのだから

 

 

「しかもどこの電車だよ……見たことない……ぞ?」

 

 

あれ?なんか見た気がするな…なんだろ

電車の中から見れるこの景色、近代的で幻想的な……これも前に感じた気がする

 

 

「……3両先?」

 

 

どうしてかそう思った

なんか心がそっちに引き寄せられてる…感覚的なもの

とりあえず進もう。今の自分は進むしかない

 

 

 

3両先に人がいた………そうだな、この人も見たことがある

 

 

「……来ましたね」

 

「…そうですね。二度目まして?」

 

「覚えてたんですか?」

 

「なんとなくですよ…そう感じた」

 

「そうですか……少し、お話しませんか?」

 

「自分も話したいですね」

 

 

そうして自分はその()()()の前に座った

 

 

 




投稿をもう少し早めにするつもりが、保存できてなくて書き直してたらこんなに遅くなってしまいました……気をつけます……

最後まで読んでいただきありがとうございました!
次回もお楽しみ〜!!
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