《恐竜図鑑》File.09
【究極の角竜】 パキリノサウルス
名前の由来:分厚い鼻を持つトカゲ
分類:鳥盤目 角竜類 ケラトプス科
全長:約6m
時代:白亜紀後期
生息地(発見地):北米(アメリカ・カナダ)
《Dr.ソーノイダの恐竜解説コーナー》
北米に生息していた中型の角竜で、一番の特徴は何と言っても鼻先のコブ!
一般的な角竜とは異なり平べったい形状の鼻角を持つ為、“分厚い鼻を持つトカゲ”と命名された!
だが、今回出てきた個体は違う。
それはコブというにはあまりにも鋭過ぎた……大きく、分厚く、鋭く、そして大雑把過ぎた……それは正に角だった。
《恐竜図鑑》File.10
【究極のプレデター】 アロサウルス
名前の由来:異なるトカゲ
分類:竜盤目 獣脚類 アロサウルス科
全長:約8m
時代:ジュラ紀後期
生息地(発見地):北米・ヨーロッパ
(アメリカ・ポルトガル)
《Dr.ソーノイダの恐竜解説コーナー》
ジュラ紀を代表する大型肉食恐竜であり、発見された椎骨が当時それまで発見されたどの恐竜のものとも異なっていた事から“異なるトカゲ”と命名されたが、実のところ他の肉食恐竜と比べても特段変わり種という訳では無い!
最大トップスピード35〜55km/hに達する脚力を持ち、同じ時期に生息していたステゴサウルスとは捕食者と獲物の関係で発見された化石にはステゴサウルスの骨板が食いちぎられていたり、アロサウルスの尾椎にサゴマイザーが貫通してたりと死闘を繰り広げていた!
「…か、な…で……⁉︎」
「奏…さん……⁉︎」
翼と響は呆然と呟く事しか出来ない。
S.O.N.G本部……特に旧二課の面々も驚愕していた。
パキリノサウルスのライデン、アロサウルスのレップウと共にこの地に舞い降りたのは、ガングニールのギアを纏い赤い長髪が特徴的な女性……撃槍のオーディンこと天羽奏であった。
「ねぇ、あれって…」
「ツヴァイウィングの天羽奏⁉︎」
「4年前に亡くなった筈では…⁉︎」
まさかの人物の登場に創世、弓美、詩織も驚いていた。
「…ふーん、コイツらがアタシ達の相手か、ゼウス?」
「そうだ。幾多の敵を退けた世界最強の拳士、立花響を筆頭とするS.O.N.Gの装者達だ。」
オーディンは響達を見渡すとゼウスに尋ね、彼が説明する。
当のオーディンはかつての前向きで明るく姉御肌な印象は無くなり、ダウナーで気怠げ、しかし瞳には苛烈さを宿している。
「…嘘よ。だって奏はあの時…」
『絶唱の反動で死んだ…とでも言いたいのだろう?』
翼の言葉を遮るように上空から声が割り込んでくる。
上を向くと、4枚の羽を駆使して
新たに現れたビークルに皆驚く中、先程の声にマリアが反応する。
「その声…まさか、エイジ・アクティス⁉︎」
『ほぅ、マリアか。久しぶりだな。』
声の主は元F.I.Sの科学者にして、今はDr.ソーノイダの助手であるエイジ・アクティスだった。
「何で貴方がここに…⁉︎」
『オーディンの持つ【嵐の石板】が修復できたのでな、ドクターがコープ号で時間を稼いでいる間に彼女と使役恐竜2匹をメガネウラにて輸送した。これで4対5…かなりマシになっただろう、ゼウス。』
「…それについては礼を言うぞ、エイジ。」
援軍にゼウスは感謝するものの、エイジとの関係が良くないのかあまり良い表情とは言えない。
それに気にも留める事もなく、エイジは装者達…特に翼に語りかける。
『…さて、風鳴翼。お前の認識では4年前の【ネフシュタンの鎧】の起動実験も兼ねたライブにて襲撃してきたノイズの大群から逃げ遅れ瀕死の重傷を負った小娘…立花響を守る為にLiNKER無しで絶唱を放った結果、その
「…そ、そうよ!あの時現場に灰が……!」
取り乱す様に翼は答える。
あの時の事は鮮明に覚えていた。
絶唱発動時の荒れ狂うエネルギーの奔流により吹き飛ばされ、起きた時には奏の姿は無かった。
二課の調査の結果、奏が最後に立っていた箇所の周りに灰があった事から、絶唱の後に灰となって消滅したのではと推測された。
奏が死んだ事を理解した翼の当時の荒れようは凄まじく、しばらくの間塞ぎ込む有様であった。
「…そうかそうか。」
その事を聞いたエイジはコンソールを操作し、メガネウラから翼達に見える様に映像を出す。
「映像?」
「どこの…?」
「ッ!これって…!」
「まさか…!」
突然出された映像に彼女達は困惑するが、響と翼は心当たりがある。
そう、4年前のライブ会場を映した映像であった。
恐らく監視カメラに映された映像には胸から血の流して倒れている少女…立花響とノイズの大群を前にしてアームドギアを構えながら近づく天羽奏の姿があった。
今まさに絶唱を放とうとしているのである。
「確かあれって…⁉︎」
「絶唱を放つつもりデス!」
まさかの映像に皆驚く中、映像では天羽奏を中心に膨大なエネルギーが解放され、荒れ狂うエネルギーの奔流によってノイズの大群が一掃されていく。
余程凄まじいエネルギーなのか、映像も乱れ傾く。
LiNKERを投与していない状態で絶唱を使えばただでさえ適合率が低い奏に助かる術はない………その筈であった。
「「「………え?」」」
翼や響をはじめ彼女達はこの後の展開に唖然とする。
絶唱を歌い終わった奏の後ろから誰かが現れ、彼女を羽交締めにして拘束、そのまま首筋に何かを打ち込んでいた。
薬みたいな物を打ち込まれた奏は意識を失い、倒れ込む。
倒れた奏を肩に担いだ男は周囲に何かをばら撒く。
「あれって……灰⁉︎」
男は灰をばら撒き、しばらくしてカメラの方を見る。
男がカメラの方を向いた事でその正体が明らかになった。
「え…⁉︎」
「エイジ・アクティス⁉︎」
そう、エイジ・アクティスだ。
カメラを見つけた彼はそのカメラに向けて手を翳すと、一瞬光った後映像が砂嵐となる。
恐らく破壊されたのだろう、映像はそこで終わった。
衝撃的過ぎる映像に皆呆然とする中、エイジが畳み掛ける様に話す。
『今映したのは当時唯一残っていた監視カメラの映像だ。映像から見てわかる通り天羽奏は絶唱を歌い終わったタイミングで俺が強制回復薬を投与して応急処置を施し、その後アジトに連れ帰ってメディカルポットに入れた事により一命を取り留めた。この頃まだパンゲア号が完成してない為追われたら面倒なんでな、監視カメラを破壊し灰をばら撒く事で死を偽装した……それが真実だ。』
彼から明かされた衝撃の真実に皆愕然とする。
特にショックが大きかったのは翼と響であった。
それもその筈、4年前死んだと思われた奏がエイジの手によってとは言え一命を取り留めたのは2人にとって嬉しかった……が、現れた奏もといオーディンにかつての前向きで明るい感じは無い。
瞳に苛烈さを宿した彼女に翼は心当たりがある。
それは奏がシンフォギア装者になったばかりの頃、家族を殺したノイズに憎しみを抱き、狂気的と言える程苛烈さを宿したあの目……あの時と同じ目をしていた。
「奏に…奏に何をした⁉︎エイジ・アクティス‼︎」
『フン…何をしたか?彼女を俺の求める
彼の口から語られた単語に皆首を傾げる中、心当たりのあるマリアが反応する。
「ヒューマノイド…ウェポン⁉︎」
「知っているのですか、マリアさん?」
「…彼がF.I.Sにいた頃から考案していた装者の強化プランよ。シンフォギアの力に目をつけた彼はそれを扱う装者をさらに強化するべく、遺伝子操作等の生体改造、より戦闘に特化した人格を形成する人格矯正などを施し、装者を純粋な兵器として改造する……悪魔の計画よ。」
マリアの口から語られた非人道的な計画に皆驚愕する。
生体改造や人格矯正などで装者を兵器に改造するなど、非人道的にも程がある所業であった。
「けど、技術的に課題があったのと、何より私達レセプターチルドレンを観察する立場だったマムの猛反発を受けその計画は破棄されたわ。その後彼はDr.ソーノイダの助手になって計画は立ち消えになった……」
マリアが説明すると、エイジは付け加える様に語る。
『立ち消えになっただと?バカ言え、技術的に課題があったからドクターに師事して技術を飛躍的に発展させた。その結果、俺達がF.I.Sを抜けるまでに
「ヌアザって…主神三柱の⁉︎」
『そうだ。俺が連れてきたヌアザは元々適合率が高い優秀な逸材だ。それを改造しただけあって、俺が開発した無線誘導式遠隔操作端末【ビット】を難なく使いこなせたのだよ。唯一の欠点が性格が戦闘向きでは無かった点だが、人格矯正により好戦的な人格を植え付ける事で事なきを得た。』
「テメェ…!」
「酷い…!」
彼の鬼畜の所業に彼女達は憤るが、当の本人は何処吹く風の様に話を続ける。
『…さて、ヌアザが誕生してから3年が経ったある日、私は日本で見つけたのだ……
「それって…!」
「まさか…⁉︎」
『そう、天羽奏だ。彼女は家族を殺したノイズへの復讐心から自ら装者に志願。適合率が低いにも関わらず自らに過度な訓練と薬物投与を課し、文字通り血反吐に塗れながらも遂にガングニールの装者となった。そしてノイズに対して狂気的と言える程苛烈な戦いを披露した……当時ドローン越しに見ていたが改めて感心したよ。適合率が低いとは言えこれ程の逸材が居ようとは!』
余程奏が自身の求める
『…だが、時が経つに連れて奏は腑抜けた。復讐の為に己の身を顧みず力を振るったにも関わらず、いつしか人々をノイズから護るなどという下だらん理由に置き換わり、挙げ句の果てには取るに足らん小娘を護る為に自身を犠牲に絶唱を放つという愚行を犯した。』
「ッ!愚行…⁉︎」
「エイジさん!いくら何でもそれは聞き捨てなりません!」
翼と響は奏の命を賭した絶唱を愚行と断言された事に憤慨する。
それは他の装者はもちろんのこと、ゼウスも憤りを覚えた。
『…まぁ当時取るに足らないと思っていた小娘が融合症例となりガングニールの装者になったのは想定外だった。装者になってからはメキメキと力をつけ、数多の敵と対峙し倒してきた……が、俺から言わせてみれば情に絆される脆弱な小娘に過ぎん。特に
エイジは響をそう酷評する。
『だが、俺の作り出した
「記憶を…消去⁉︎」
エイジが放った衝撃の事実に翼は驚愕する。
『俺の一族は曾祖父の代から
自身の所業を得意げに言うエイジに、装者達は憤りと共に戦慄する。
そんな中、響がワナワナ震えながらエイジに訴える。
「どうして…どうしてこんな事が出来るんですか⁉︎人でなし‼︎」
『俺は科学の力で持って、装者に秘められた可能性を開花させてやっただけだ。何も咎められる筋合いは無い!それにだ立花響、風鳴翼。あの時犬死にしそうになった天羽奏を俺の介入によって助け出し、オーディンに改造し君達に合わせた…謂わば命の恩人だ。少しばかり感謝したらどうだ?』
響の糾弾すら彼はバッサリ言い捨てる。
それが決定打となり、2人の堪忍袋の緒が切れた。
「貴様ァァ‼︎」
「貴方だけは絶対に許さない‼︎」
『…フン、脆弱故に敵の操り人形になった防人と情に絆され神を殺せない小娘が何をほざくか……まあいい。オーディンよ、お前の力をかつての戦友と小娘にたっぷりと味合わせてやれ!』
「…ったく、コイツらの事なんて知らねーし、正直面倒だが……やってやるか。」
オーディンが獰猛な笑みを浮かべ両手を組むと、両腕部の装甲が変化し巨大な槍型のアームドギアを形成する。
そのアームドギアを掴み一通り振り回すと、刃先を装者達に向ける。
「さぁ、行きな!ライデン!レップウ!」
ギュッアアアア‼︎
グゥガアァァァァ‼︎
オーディンの掛け声と共に2匹は咆哮を上げ、ライデンはガブに、レップウはムサシに向かいガブとムサシも応戦する。
ガブとライデンは角竜故の強力な突進でぶつかり合うが、体格差で劣っているはずのライデンがガブに競り勝ち、大きくぶっ飛ばす。
ムサシも噛みつきで応戦するが、エース程では無いにしろ素早いレップウに翻弄され、カウンターを喰らってしまう。
そしてオーディンも翼を見据えるとアームドギアを構え突撃する。
対する翼は一瞬反応が遅れたものの、こちらもアームドギアを構えガードした。
鍔迫り合いによって火花が散っていく中、翼は説得を試みる。
「奏!私だよ、貴女と一緒に戦った風鳴翼!忘れたの⁉︎」
「……知らねぇな。そんな奴。」
オーディンは翼の説得を一蹴すると、アームドギアを大きく振い翼を仰け反らせる。
その隙を付いてオーディンは槍による怒涛の連続突きをお見舞いする。
翼は何とかガードするものの、反撃する事が出来ない。
オーディンの槍捌きが凄まじいのもあるが、一緒に戦ってきた彼女にとって奏はかけがえのない存在であり、たとえオーディンとなったとしても、かつての奏の事が頭をよぎり反撃が出来ないのだ。
しかし当のオーディンは攻撃の手を緩めず、遂にガードを崩した。
そのまま翼目掛けて槍を突こうとするが、間一髪で響が間に割って入りガードする。
「奏さん、目を覚まして下さい!私です!4年前貴女に助けてもらった立花響です!正気に戻って下さい‼︎」
響が必死に呼び掛けるが……
「……知らねぇって言ってんだろ。アタシは撃槍のオーディン。それ以上でもそれ以下でもない。アタシの使命はアンタらを倒しドクターの恐竜カードを回収する事…それだけだ。」
オーディンは冷たく言い放つ。
完全に天羽奏としての記憶を失っていた。
2人がショックを受ける中、エイジが嘲笑する。
『無駄だ。天羽奏としての記憶はマインドコントロール時に消去した。最早彼女は天羽奏ではない。俺が手塩をかけて作った
「貴様…!」
「…許さない!」
エイジの言葉に2人は憤慨する。
一方、オーディンは翼と響が反撃を仕掛けない事、また2人の実力がゼウスから聞いていたのよりも低い事に拍子抜けしていた。
「おいおい、これがゼウスの言ってた
そう言うとオーディンはダイナラウザーを取り出し、技カードを2枚スキャンした後トリガーを引くとライデンとレップウの身体が光り出した。
ライデンの頭部から雷の斧が形成され、勢いよく飛び上がる。
回転しながらそのままの勢いで落ちていき、ガブを雷の斧で叩き斬った。
落雷まで生じた斬撃によりガブはダメージを受け倒れてしまう。
レップウはバク転し、それによって風を生じさせ渦を巻く。
その渦はやがて手裏剣の様な形となり、ムサシに向けて次々と飛んでいく。
本来ならムサシの必殺技
「ガブ!」
「ムサシ!」
ガブとムサシに大ダメージを与えた事を確信したオーディンは上空に槍を投擲する。
すると投擲された槍は大量に複製され、ガブとムサシ、響と翼目掛けて降り注ぐ。
「まとめて串刺しになっちまいな!」
「ッ!しま…!」
「ガブ、逃げてッ!」
回避が間に合わず、あわや喰らいそうになったその時、複数のビームが全ての槍を破壊した。
「何ッ⁉︎」
オーディンが驚くのも束の間ビームが彼女目掛けて降り注ぎ、回避する為距離を取る。
響と翼の前に現れたのは、
「響、翼さん!大丈夫ですか⁉︎」
「未来!」
「かたじけない、助かった!」
2人は感謝を述べるが、依然不利な状況に変わりはない。
一方、ゼウスはクリス・マリア・切歌・調の波状攻撃を
またネロとギガンティス、エースとカタフラクトの戦いも一進一退の攻防を繰り広げており、装者・恐竜共に膠着状態に陥っている。
「まだ響達が本調子ではないとはいえ圧倒するとは、流石は我が相棒オーディン。こちらも負けられん!」
そう言うとゼウスはダイナラウザーから技カードを2枚取り出し、スキャンした後トリガーを引く。
するとギガンティスとカタフラクトは咆哮を上げる。
ギガンティスは地面を蹴り、ネロの頭部に砂埃を浴びせた。
それによって目に砂が入ったネロは怯んでしまう。
その隙を見逃さず飛び掛かり、ネロの首に噛みついてそのまま地面に叩きつけた。
カタフラクトはエースの突進を軽快なステップで回避し、腹部に潜り込む。
そのまま後転飛びで掬い上げ、地面に落ちたエースを両足で力一杯踏みつけ地面に埋め込んだ。
「ネロ!」
「エース!」
ギガンティスとカタフラクトの新しい技によってネロとエースは大ダメージを負ってしまう。
それに加えてガブとムサシもダメージを負ってしまいダウンしている。
響達のディノホルダーの液晶画面が赤く点滅し出しており、圧倒的にS.O.N.G側が不利な状況になってしまった。
「このままじゃ…!」
「ヤバいデス!」
「悪いがトドメを刺させてもらおう!カタフラクト!」
ゼウスの命に従い、カタフラクトはエースにサゴマイザーを突き刺そうとしたその時、パラサウロロフスが突進しカタフラクトを突き飛ばした。
「何ッ⁉︎」
「デス⁉︎」
パラサウロロフスはエースの前に立ち、ギガンティスとカタフラクトに対して威嚇するように鳴く。
「もしかして…加勢してくれるデス?」
切歌の問いにパラサウロロフスは頷くと、身体が緑色の光に包まれた。
するとパラサウロロフスの口から葉っぱの様なエフェクトを纏わせたブレスを吐き、それがガブ・ムサシ・ネロ・エースに降り注ぐとみるみるうちに傷が癒えていき、完全に回復した4匹は目を見開き立ち上がった。
「すごい…!」
「ガブ達が元気になった!」
「やったデス!」
「まさかあれ…
「回復技か…カタフラクト!まずはパラサウロロフスから仕留めるぞ!」
そう言うとゼウスは技カード【
すると地面から紫色の結晶を自身の周りに浮かせて身に纏うと、パラサウロロフス目掛けて走り出した。
「あれは…
「パラサウロロフスが狙われているわ!」
「大丈夫デス!パラサウロロフスの技はまだあるデス!」
切歌の言葉に肯定するかの様にパラサウロロフスが咆哮を上げると、身体が光出し上空から翼長6mの青い体躯に頭部の鶏冠が特徴的な翼竜………
そう、プテラノドンが3匹上空から飛来した。
「あれって…!」
「翼竜の一種、プテラノドン⁉︎」
「もう一枚技カードがあったのね!」
「違うデス、
切歌が意味深な事を言う中、プテラノドン3匹はカタフラクト目掛けて飛んでいき、翼で斬りつける。
1羽目で身体に纏った結晶を破壊し、2羽目の斬撃で怯ませる。
そして3羽目の斬撃でカタフラクトは倒れた。
それが決め手となりカタフラクトはカードに戻った。
「
ゼウスが驚くのも束の間、3匹のプテラノドンがギガンティスに殺到する。
ギガンティスも負けじと噛みつき等で応戦するが、尽くを躱された挙句プテラノドンは空高く舞い上がった。
そしてそこから3匹が同時に翼を折り畳み、一つの弾丸の様になってギガンティスに突進する。
「おのれ…!だが、ただではやられん!ギガンティス、今こそ格闘ゲームを参考にして編み出したお前の必殺技……
ゼウスの命令に従いギガンティスは構え、迫り来るプテラノドンに対し後ろ回し蹴りを仕掛けた。
…が、プテラノドン3匹は蹴りの直前に散開してしまい、ギガンティス渾身の蹴りは虚しく空を切った。
「やっぱりダメだったか…!」
落胆するゼウスだが、ギガンティスは蹴りが外れた影響でバランスを崩してしまった。
何とか体勢を立て直そうと片足でケンケンしながら跳ねるギガンティスへ、無慈悲にもプテラノドン達の追撃が入り大きく吹っ飛ばされる。
しかも、吹っ飛ばされた先にはネロが待ち構えていた。
「今デス、クリス先輩!」
「サンキュー切歌!いっけえ、ネロ!」
そのチャンスを逃さずクリスはディノホルダーに技カードをスラッシュする。
するとネロの口から炎が吹き出し、飛んできたギガンティスの首筋に噛み付く。
そしてそのまま身体を回転して振り回し、回転によって炎の勢いが増した事で炎上したギガンティスを投げ飛ばした。
投げ飛ばされたギガンティスは地面を焦がしながら激突し、カードに戻った。
「やったデース‼︎」
「パラサウロロフスのお陰だな!」
「残るは2匹!」
「けど、油断は出来ないわ。」
ゼウスの恐竜2匹を撃破した事に喜ぶ装者達だが、マリアの言う通り油断は出来ない。
一方、回復したガブとムサシはライデンとレップウ相手に互角に戦う。
しかし、響と翼はオーディン相手に全力で戦えない。
今の奏が
「奏…お願い、目を覚まして…!」
「奏さん!」
2人が必死に呼び掛けるが、奏もといオーディンの反応は冷たいものだった。
「…しつけぇな。アタシはオーディンだって言ってるだろ。何度も言わせんじゃねぇ!」
そう冷たく言い捨てると、ダイナラウザーから技カード【
するとレップウの身体が光出し、バク転と同時に風の手裏剣を作り出すとムサシ目掛けて飛ばした。
迫り来る手裏剣に対し、翼はまたもや奏の事が頭によぎりムサシに的確な指示が出来なかった。
このまま手裏剣が命中しそうになった次の瞬間、一陣の風が吹き抜け全ての手裏剣を破壊した。
「何ッ⁉︎」
「翼!」
現れたのは
「しっかりしなさい!元は天羽奏でも今は
マリアの叱咤激励により、翼は覚悟を決める。
彼女はアームドギアを構え直し、オーディンに相対する。
「…たとえ奏としての記憶を失ったとしても、私にとって大切な人だ。戦わなければならないのなら、辛く苦しくても…戦う!いくぞ、撃槍のオーディン……いや、天羽奏‼︎」
そう言い翼はオーディンに肉薄する。
その剣捌きは先程までとは違い、キレがある。
「ほう、さっきまでとは打って変わってキレのある動きになったじゃねぇか。なら…!」
対するオーディンも槍による連続突きをお見舞いし、一進一退の攻防を繰り広げる。
その攻防戦の後、両者のアームドギアがせめぎ合った結果弾かれ、双方共にその勢いで距離を取る。
その後翼はディノホルダーを、オーディンはダイナラウザーを取り出してほぼ同時に技カードをスラッシュする。
レップウが再びバク転し、風の渦と共に無数の手裏剣を作り出す。
対するムサシは口から水が勢いよく湧き出し、水の剣を作り出した。
技の発動準備が整った2匹は互いを見据え、ムサシは走り出しレップウはムサシ目掛けて手裏剣を飛ばした。
レップウの手裏剣がムサシに迫るが、ムサシは水の剣の刀身を大型化し、その勢いのまま振り下ろす。
その斬撃は手裏剣諸共レップウを袈裟懸けした。
ムサシの必殺技を喰らったレップウは数秒硬直した後、横に倒れカードに戻った。
残りはライデンのみとなる。
「…マリアさんと翼さんの言う通りです。オーディンさんとなって奏さんとしての記憶が無いのでしたら、ぶん殴ってでも思い出させてあげます!」
翼に触発され響も戦う覚悟を決めると、ディノホルダーから技カードをスラッシュする。
すると雷雲が現れ、落雷がガブに直撃するとそれを身に纏いビリビリと電流が迸る。
対するオーディンも技カードをスラッシュし、頭部から雷の斧を作り出す。
技の発動準備が整うと、ガブは走り出しライデンは飛び上がった。
「いっけぇぇぇ‼︎」
「叩き斬ってやれ、ライデン!」
走り出すガブと回転しながら落下するライデンが徐々に迫り、とうとうガブの蓄電された角とライデンの雷の斧がぶつかった。
ガブとライデンの必殺技同士がぶつかり、せめぎ合う。
数秒の拮抗の末に勝ったのは……ガブであった。
雷の斧を破壊し、さらに蓄電された角をライデンにぶつけた。
これによってライデンは大きく吹っ飛ばされ、地面に激突しカードに戻った。
これでDE側の恐竜は全滅した。
装者達がゼウスとオーディンを包囲する。
「奏さん、ゼウスさん、大人しく降参して下さい。」
「奏、本部に帰ったら貴女を元に戻す。だから…」
「…ハッ、何を言うかと思えばそれか……甘えな。アタシら
オーディンは投降の提案を一蹴し、アームドギアを構える。
そんな中、ゼウスが前に出る。
「待てオーディン。俺も戦おう。」
「ゼウスさん…!」
「言っておくが、俺はエイジの事が嫌いだ。特に彼女の命を賭した絶唱を愚行と吐き捨てた奴の事など好きにはなれん……だが、主神三柱の一員…【轟拳のゼウス】の名において戦わずに降伏するという選択肢は無い!ギガンティスとカタフラクトがやられようと、俺にはまだこの拳がある!」
そう言うとゼウスは両腕部の装甲を変形させ、メリケンサック型のアームドギアを構える。
「…どうやら向こうは戦う気ね。」
「なら、やるっきゃねぇな!」
「奏さん、ゼウスさん、覚悟して下さい!」
「奏…いくよ!」
ゼウスとオーディンの徹底抗戦の構えに、響達も臨戦態勢を整える。
こうして装者同士の戦いが始まる……その時だった。
キィィィィィン……
突如としてメガネウラの4枚の羽が小刻みに振動し、それによって怪音波が鳴り響く。
それは聞く者に不快感を与えるものであったが、それよりも深刻な問題が起きた。
「な、何…⁉︎」
「か、身体が…動かない……!」
「ギアの調子がおかしい…!」
「これってフロンティア事変の際の…!」
この怪音波によってギアがおかしくなり、動く事すらままならない。
この現象は、かつてAnti_LiNKERによってギアの適合率が下がった時に酷似していた。
『…ふむ、対装者用音響兵器【ノイズ・ストーム】の威力は申し分ないな。』
「何のつもりだ、エイジ・アクティス⁉︎」
ゼウスはこれを仕掛けた下手人たるエイジ・アクティスを問い詰める。
『何って、君達の恐竜が全滅した以上この戦いは無意味だ。ここでオーディンを失う訳にはいかないのでな、手を打たせてもらった。』
「卑劣な…!そんな事しなくても正々堂々、真正面から叩き潰す!」
『いや、ここは撤退しろ。』
「ドクター⁉︎」
『既にパラサウロロフスを巡る戦いはこちらの負けだ。これ以上貴重な戦力を失う訳にはいかん。お前にとって納得出来ないかもしれんが、ここはエイジの言う通り撤退するべきだろう。』
「くっ……了解…」
「まっ、しゃーねーか。撤退する。」
流石のゼウスもドクターの命令には逆らえず、渋々撤退する。
ゼウスとオーディンは大きく飛んでメガネウラに乗り込み、大破したコープ号はトラクタービームで引き寄せられた後、脚のアームで固定される。
『では、装者諸君。もうじき
そう言うとメガネウラは急上昇し、そのまま飛び立った。
そのスピードは凄まじく、あっという間に見えなくなるまで飛んでいく。
「奏…」
「奏さん…」
悠々と飛び去っていくメガネウラを響達はただ見ることしか出来ない。
「……オーディンの正体が奏だったとは…!」
S.O.N.G本部に戻った一同は情報を整理する。
その結果オーディンが纏っていたシンフォギアの反応がかつての奏に酷似している事が分かり、オーディンが天羽奏である事は確定した。
この事実にS.O.N.Gの面々……特に旧二課の人々はショックを受けていた。
「…確かに戦い方は奏さんの時と同じです。」
「でも…洗脳されているといっても敵だなんて信じられない……」
「しかし、あの様子だと翼ちゃんや響ちゃんの事も覚えてないようです。」
「…響、大丈夫?」
そんな中、未来が響を心配する。
響は一瞬悲しげな表情になるが、すぐに真剣な表情になって答える。
「…大丈夫だよ、未来。平気、へっちゃら………とは流石に言えないけど、くよくよしてばかりじゃ駄目だから。それに私決めました。オーディンさんとなった奏さんを元に戻す為に、奏さんをぶん殴ります!洗脳されてるとしても、たくさん心配かけた分、一発殴ります!」
フン!と意気込む響に、周囲はポカンとしていたがやがて笑顔になっていく。
「……ったく、この大バカやろうが…でも、らしいっちゃらしいな。」
「フフッ、立花………その、顔は殴らないでほしい。さっきも言ったが私にとって奏は大切な人だ。辛く苦しくても戦わなければ奏を取り戻せない……だから、私が折れそうになったら支えてくれないか?」
響の決意を聞いた翼も自身の決意を語る。
すると響が翼に抱きつく。
「立花…」
「翼さん、私も同じです。奏さんが大好きです。大好きだから…頑張ります!」
「……立花より、私の方が奏を大好きと思っているぞ。」
「いやいや、私の方が大好きですよ!」
「いやいや、私の方が…」
「いえいえ、私の方が…」
「はいストップしやがれ!………ま、2人が大丈夫なら問題ねぇな。」
「本当に心強く感じるわ。」
「「そうそう(デス)!」」
いつの間にか奏の好き好き合戦になったのを諫めたのを皮切りに、皆笑顔が戻った。
するとエルフナインが切歌にディノホルダーを渡す。
「…さて、切歌さん。貴女のディノホルダーです。」
「ありがとうデス!」
切歌はお礼を言うと、ディノホルダーから恐竜カードを取り出し、読み取り部分にカードを手前から奥にスラッシュする。
すると3回ほどカードが点滅し、小さな光が足元に舞い降ると鮮やかな緑色の身体にガブと同じつぶらな瞳、そしてガブより身長が少し大きいパラサウロロフスのチビ恐竜が現れた。
『クゥン…』
「「か、可愛い…!」」
「ご紹介しますデス!私のパートナー恐竜のパラパラデース!」
「パラパラ?」
「この子は音楽に合わせて踊るんデス!」
そう言いながらディノホルダーを操作すると音楽が流れ、それに合わせてパラパラが踊り始めた。
「ほう、上手だな。」
『ガゥブ!』
『ギャウ!』
弦十郎が褒めているとガブとネロがパラパラの元へ行き、一緒に踊り出した。
「おおっ!2人とも上手い!」
「2人というか、2匹な。」
こうして切歌のパートナー恐竜の紹介が終わり、装者達は改めて
一方、ここはパンゲア号内部の特殊研究室。
そこにはDr.ソーノイダが円柱状のタンクの前に立ち、コンソールを操作していた。
そのタンクの内部には広大な海に緑豊かな自然の絵が彫られた円形の石板…【自然の石板】があった。
ヒビも無くなりほぼ修復された状態の石板を眺めながら修復作業をしていると、特殊研究室に誰かが入ってくる。
それは長い髪をバレッタでポニーテールにまとめ、身体ぴったりに密着したボディスーツに身を包みマントを羽織った女性……
彼女こそ
さらに彼女の後ろから灰色の身体に白い模様、ガブ同様のつぶらな瞳のチビ恐竜【ケートス】と黒色の身体に白い模様、赤い鶏冠が特徴的なチビ恐竜【キュクノス】がついてくる。
「おお、ヌアザか。」
「あらドクター。ゼウスとオーディンは?」
「うむ、残念ながらパラサウロロフスを巡る戦いに負けピンチに陥ったが、エイジの機転によって撤退に成功した。多分もうすぐ戻るぞ。」
その事を聞いたヌアザはパッと顔が明るくなる。
「流石エイジ様!私の命の恩人にしてドクターに匹敵する程の偉大な科学者!
エイジを慕っている彼女は彼を絶賛し、ついでにゼウスを貶す。
するとDr.ソーノイダがこう切り出した。
「…そういえば、お前の姉…
「私の姉?知らないわね。私はエイジ様によって生まれ変わった
彼女はそう言い捨てた。
(…うむ、あれほど優しかったアイツがこんな有様か……改めて
そう考えながら、自然の石板の修復作業を続けた………
イギリスの大英博物館にてサイカニアが出現!
し!か!も!マリアとエースがケンカでなんか揉めているようだ…
主神三柱のリーダー、妖光のヌアザよ!
その隙を突き、サイカニアとエースを捕獲せよ!
次回、恐竜大絶唱シンフォギア
『主神三柱
大英博物館での争奪戦!』
つ!い!に!主神三柱が揃ったァァ‼︎