《恐竜図鑑》File.13
【陸上の白鯨】 ケティオサウルス
名前の由来:鯨トカゲ
分類:竜盤目 竜脚類 ケティオサウルス科
全長:約18m
時代:ジュラ紀中期
生息地(発見地):ヨーロッパ(イギリス)
《Dr.ソーノイダの恐竜解説コーナー》
1842年に発見され命名された映えある最初の竜脚類であり、恐竜研究の黎明期だった事もあって発見された脊椎の大きさと特徴が鯨に似ていた事から当初は鯨のような爬虫類だと思われていた!
椎骨が空洞化しておらず首の付け根の突起が二股に分かれてないなど、竜脚類としては原始的な部類である!
尚、記載者は【恐竜】の名付け親であるリチャード・オーウェンだが、当のオーウェンは最後までケティオサウルスを恐竜の一種とは認めなかった………
《恐竜図鑑》File.14
【恐竜貴族】 オロロティタン
名前の由来:巨大な白鳥
分類:鳥盤目 鳥脚類 ハドロサウルス科
全長:約10m
時代:白亜紀後期
生息地(発見地):アジア(ロシア)
《Dr.ソーノイダの恐竜解説コーナー》
ロシアに生息していた斧型の鶏冠が特徴的な大型鳥脚類!
ハドロサウルス科の中でも中空状の鶏冠を持つランベオサウルス亜科の一種で、鶏冠だけで無く18個の頸椎で構成された長い首に支えられているのもオロロティタンの特徴である!
ランベオサウルス亜科は主に北米大陸で見つかっているが、オロロティタンの発見から実はアジア起源であり角竜やティラノサウルス類同様にベーリング海峡を横断して北米大陸に進出したのではないかと考えられている!
「初めまして、
アガートラームのシンフォギアを身に纏い、ケティオサウルスのケートスとオロロティタンのキュクノスを携えて現れたのは主神三柱のリーダーである【妖光のヌアザ】…もといセレナ・カデンツァヴナ・イヴである。
まさかの正体に姉であるマリアは驚きを隠せない。
動揺しながらも彼女はヌアザに対し呼び掛ける。
「セレナ!私よ、貴女の姉であるマリアよ!」
「私の姉?…知らないわね、私は
「え…?」
「当然じゃない。かつての自分……セレナは聞いた話だとシンフォギアを戦いに用いる事に抵抗を感じる程甘っちょろいガキでしょ?私の命の恩人であるエイジ様は私の秘められたポテンシャルはそのままに、シンフォギアを戦いに用いる事に抵抗を覚えないように私を
自身がヌアザに変わった経緯を嬉々として語るヌアザ。
マリアはふと気になった言葉についてヌアザに問う。
「命の…恩人?」
「そうよ!エイジ様は私がネフィリムの暴走を止める為に絶唱を放った時、絶唱のバックファイアによって動けなくなって瓦礫に押し潰されそうになった所を間一髪助けてくれたのよ!その時手の伸ばして叫ぶ事しか出来なかったそこの
「欠陥品…?」
「だってそうでしょ?レセプターチルドレンの中でシンフォギアの適合率が高かった私という存在がいたから、その後行われたパッチテストでマリア・切歌・調の3人が装者として選出されたけど、私と違って
「セ、レナ……!」
マリアはヌアザの言動にショックを受ける。
今のヌアザにかつての穏やかな面影は無く、ゼウスが言ってたように高飛車で傲慢な女王様のような印象であった。
「セレナ!貴女はそんな子じゃない、目を覚まして!」
「あらあら、まだ過去の私に執着してるの?エイジ様の改造によってかつての弱い私は消えたの。今は主神三柱のリーダーにして
そう言うと彼女が羽織っているマントの裏からダガー型の無線誘導式遠隔操作端末…【ビット】を複数出現し、ヌアザの周りに展開する。
そしてビームダガーをマリアに向けて言い放つ。
「さて、サイカニアの前にそのカルノタウルスを頂くわ!」
「…こうなったら戦うしかない、行くわよエースッ!」
立ちはだかるヌアザと2匹の恐竜を前に覚悟を決めたマリアはエースをカードに戻し、ディノホルダーにスラッシュする。
「ディノスラッーシュ!吹き抜けなさい!カルノタウルス!」
グォォォォォン‼︎
マリアの掛け声と共にエースが成体化し、ケートスとキュクノスに対峙する。
「オーホッホッホッ‼︎カルノタウルス1匹で私のケートスちゃんとキュクノスちゃんに勝てると思ってるの〜?」
「そんなのやってみないと分からないわ!」
高笑いを上げながら嘲笑するヌアザに対しマリアは啖呵を切る。
かくして思わぬ形で再会した姉妹の望まぬ戦いが幕を開けた。
マリアとヌアザの邂逅から少し遡り、翼と切歌は地下を捜索していた。
「かなりの数の展示がある分、結構広いな…!」
「本当デス。こんな所で見つけられるデスか?」
そんなやり取りをしながら翼が振り返ると、ムサシしか着いて来てない事に気付く。
「ん?暁、パラパラの姿が見当たらないのだが…?」
「およ?…っデース⁉︎」
翼に言われて切歌も振り返ると、当のパラパラが館内に置かれている観葉植物の葉っぱを食べていた。
「駄目デスよ、パラパラ!」
観葉植物は博物館の備品の為、切歌はパラパラを叱る。
するとパラパラは植木鉢の影に隠れ、怯えるかのように弱々しい声を上げた。
その姿に翼は既視感を覚える。
「…暁、今のパラパラはマリアに叱られているエースに似てないか?」
「確かに…あっ!もしかしてエースも⁉︎」
先程のエースと同じ様子のパラパラを見て2人は何かに気付く。
そんな中、同じ地下階層を捜索していたオーディンが曲がり角から2人を覗き見していた。
「風鳴翼と暁切歌か…ま、サイカニアの前にアイツらの持っている恐竜を頂くとするか。」
そう言うとオーディンはダイナラウザーを取り出して2枚の恐竜カードをスラッシュする。
「ダイナラウズ!穿て、パキリノサウルス!
吹き荒れろ、アロサウルス!」
ギュッアアアア‼︎
グゥガアァァァァ‼︎
召喚口上と共にトリガーを引くと銃口から黄色と白の光弾が発射され、ライデンとレップウが実体化する。
「あれは…奏の恐竜⁉︎」
「一旦逃げるデス!」
突如として現れたライデンとレップウから逃げる為に、翼と切歌はムサシとパラパラを抱いて走り出した。
「って、行き止まりデース⁉︎」
「駄目だ、非常口が開かない!」
2人は何とか逃げ続けたものの、行き止まりまで追い込まれてしまった上に非常口のドアは開く気配が無い。
そうこうしている間にライデンとレップウに追いつかれてしまった。
「ガングニール、メタモルフォーゼ!」
そしてガングニールのシンフォギアを纏ったオーディンもやって来て、2人は完全に追い詰められた。
「こうなったら、やるしかないデス…!」
「それしかあるまい……ムサシ、出陣だ!」
覚悟を決めた翼と切歌はムサシとパラパラをカードに戻し、ディノホルダーにスラッシュする。
「「ディノスラッーシュ!」」
「湧き上がれ!スピノサウルス!」
「芽生えるデス!パラサウロロフス!」
グァギュオオオオッ‼︎
キュオォォォォォン‼︎
2人の掛け声と共にムサシとパラパラは成体化し、ライデンとレップウに対峙する。
それと同時にバトルフィールドが形成される。
「…ははッ、そうこなくっちゃなァ!」
オーディンは獰猛な笑みを浮べ、アームドギアを構える。
ライデンとレップウも咆哮を上げる中、翼は他の皆を呼ぶべく通信機を取り出し応援を要請するが、聞こえてくるのは砂嵐のみである。
「通信機が繋がらない…⁉︎」
「言っておくが、こんな事もあろうかとこの博物館全体に満遍なくジャミングフィールドを張ったから、アタシらのメタモルフォンを除く通信機は一切機能しないぞ。」
「何だと⁉︎」
「調ー!マリアー!響さーん!未来さーん!クリス先輩ー!」
「ハッ、此処は地下階層の中で一番深い場所だ。助けを呼んでも聞こえる訳ねぇだろ。」
声の限り助けを求める切歌をオーディンが馬鹿にすると、パラパラが自身の鶏冠を振動させる事により重低音を発生させ始めた。
「…何だ、この音は?」
「パラパラ?」
3人は不快ではない謎の音を発したパラパラの意図を図りかねていた。
一方、館内を捜索していた響とガブ、未来の元にパラパラの出した重低音が響き渡る。
「何、この音?」
「何処から鳴ってるの?」
『ガァブ!』
謎の音に2人が首を傾げるも、ガブがその音に釣られるように走り出した。
「あ、待ってガブ!」
「何処に行くの⁉︎」
響と未来は突如として走り出したガブを追いかける。
そしてクリスとネロ、サイカニアと戯れている調もパラパラの発した重低音を耳にする。
「どっから聞こえんだ、この音?」
「この音…切ちゃんと一緒に聞いたことがある。パラパラの鶏冠から出る音だよ!」
「てことは、あたしらに居場所を教えてんのか!」
「多分そう。とにかく行ってみよう!」
クリスと調が音のする方へ行こうとしたその時、クリスのディノホルダーと調が持つ土の石板が光出し、石板から一筋の光が出る。
その光は音のする方とは別の方向へと伸びている。
「何だ、この光?音のする方向とは違うが…」
クリスが疑問に思ったその時、調に懐いていたサイカニアが光が伸びている方をじっと見る。
「…もしかして、そこに行きたいの?」
調が尋ねるとサイカニアは肯定するように頷く。
「クリス先輩、音も気になるけどまずはあそこへ行ってみようと思う。」
「そうか…まぁ、あたしも気になるし賛成だ。」
「それじゃあ行こう、トゲ丸。」
「…トゲ丸?」
「このサイカニア、図鑑で見た復元図と比べてトゲトゲしている。だから“トゲ丸”って名付ける事にした。」
「
安直なネーミングセンスに呆れながらも調とサイカニアもといトゲ丸に着いていくクリスとネロ。
2人と2匹は光を道標に駆けて行く………
その頃、地下階層で始まった恐竜バトルはオーディン有利で進んでいく。
現在ムサシとライデン、パラパラとレップウが戦っているが、属性の相性ではライデンとレップウに分がある。
「くッ、このままでは……暁、技カードを使うぞ!」
「了解デス!」
戦局を打開する為翼は水属性の技カード【
ムサシの身体が光出し、パラパラが咆哮を上げ技発動の準備が整う。
「フッ、甘い!」
技が発動するまさにその時、オーディンは素早くカードをスラッシュしトリガーを引く。
するとライデンは黄色の光と電流に包まれながら2本脚で立ち上がり、天に向かって吼えた。
次の瞬間、天から電流が迸り2本の雷がムサシとパラパラを打ち据える。
落雷によってムサシとパラパラは技をキャンセルされた上に、がくりと膝をついた。
「ムサシ!」
「パラパラ!」
「どうだ、ライデンの新しい技カード【
そう言うとオーディンは別の技カードをダイナラウザーにスラッシュし、トリガーを引く。
するとレップウの身体を猛烈な風が渦巻き始め、猛スピードでパラパラの方へと駆け出していく。
迎撃しようと身構えるパラパラだが、レップウの姿は目の前で消えてしまった。
パラパラが困惑したもの束の間、突如として周囲を取り囲むように旋風が巻き起こった次の瞬間、目にも止まらぬ速さで連撃を浴びせてきた。
迎撃の猶予すら与えてくれない電光石火の如き攻撃に、パラパラは成す術もなく倒されカードに戻ってしまった。
レップウの新技とパラパラがやられた事に2人はショックを受けた。
「なんて技だ…!」
「それじゃあ、カードは頂いていくぞ。」
「…ッ!駄目デス!パラパラー!」
我に帰った切歌がパラパラのカードの方へと駆け寄ろうとするが、レップウが彼女の前に立ち塞がりカードの回収を阻止する。
その間にオーディンはカードを回収しようと動き出すが……
「させるか!」
すかさず翼がオーディンに急接近し、刀を振るう。
オーディンも槍で応戦し、鍔迫り合いによってこれ以上の接近を阻止する。
ムサシの方も体格差を活かした噛みつきによる押さえつけで、ライデンの身動きを封じる。
「へぇ、やるじゃねぇか……なら!」
そう言うとオーディンは大きく薙ぎ払い、翼を退けた。
その隙にダイナラウザーから技カードを取り出してスラッシュしようとするも、翼は小刀を取り出しオーディンに向けて投げる。
その小刀はカードをスラッシュしようとしたダイナラウザーに命中し、ダイナラウザーとカードを弾き飛ばした。
「テメェ…!レップウ!」
技発動を邪魔されたオーディンは翼を睨み付けるとレップウに指示を出す。
すると切歌と戦っていたレップウは尻尾で切歌を吹っ飛ばすと、翼の背後に猛スピードで迫る。
レップウは口を大きく開け翼に噛みつこうとしたその時、何処からか声が響く。
「ディノスラッーシュ!轟け!トリケラトプス!」
ゴオォォォォォォ‼︎
響の掛け声と共にガブが成体化して突進し、角を使ってレップウを投げ飛ばす。
それと同時に響と未来が落ちていたパラパラのカードを回収して2人に合流する。
「翼さん!切歌ちゃん!大丈夫⁉︎」
「助けに来ましたよ!切歌ちゃんこれ、パラパラのカード。」
未来が回収したパラパラのカードを切歌に渡した。
「ありがとうデス、未来さん!」
「パラパラが音を出したのはここに居る事を知らせる為だったのか…!」
「ハッ、何人来ようが一緒だ!まとめて捻り潰せ!ライデン、レップウ!」
オーディンの掛け声に応じるかのように、ライデンは自慢の角を駆使して体格差をものともせずムサシを薙ぎ払う。
レップウも自慢のスピードを駆使してガブを翻弄する。
その間にオーディンはダイナラウザーを拾い、技の発動準備が整う。
「奏さんの恐竜、2匹共強い…!」
「それだけじゃない、ライデンには落雷によって相手の技をキャンセル出来る技カード【
「それを何とかしないと、こちらに勝ち目は無いデス…!」
「落雷…もしかして……!」
オーディンの恐竜、特にライデンの新しい技に手をこまねいている中、未来は【
「響、ガブに【
「ええッ⁉︎でも【
「大丈夫、私の考えが正しければ…!」
響が懸念するも、未来には何か考えがあるようだ。
翼と切歌が首を傾げる中、響は未来の表情を見て技カードを使う事を決心する。
「未来がそう言うなら…ガブ、いくよ!」
そうして響は技カードをディノホルダーにスラッシュする。
すると空に雷雲が現れ、落雷がガブに直撃すると全身に雷が纏ったかの様にビリビリと電流が迸る。
「バカか、何度やろうが同じだ!」
オーディンはそのタイミングで技カードをダイナラウザーにスラッシュし、トリガーを引く。
ライデンは2本脚で立ち上がり、天に向かって吼えると天から電流が迸り1本の雷がガブを直撃する。
これによってガブの技はキャンセルされたかと思いきや、逆にガブの身体を纏っている雷は勢いを増したでは無いか。
この光景に未来を除く響達は勿論のこと、オーディンも驚愕していた。
「何ッ⁉︎」
「雷が勢いを増したデース⁉︎」
「どうなってやがる⁉︎」
「予想通りだね。」
「どうなっているの、未来?」
「【
未来の説明に翼と切歌がある事に気付いた。
「そうか!雷属性のエネルギーを蓄積する関係上、雷を落とす【
「だから、ガブの身体を纏っている電流の勢いが増したのデスか⁉︎」
「そう、あくまで仮説の段階だから本当に正しいかどうか分からなかったけど、賭けに勝ったね。」
「未来すごーい!」
「クソッ…!ならレップウ、
オーディンはダイナラウザーに技カードをスラッシュし、トリガーを引く。
その瞬間レップウの身体を猛烈な風が渦巻き始めた。
「気を付けろ!レップウの新技が発動するぞ!」
「目にも止まらぬ連続攻撃でパラパラを倒した技デス!」
「…響、蓄電した雷エネルギーを周囲に放電する事って可能?」
「えっ、今までエネルギーを角に貯めてぶつける方法しか取らなかったけど、多分出来る……なるほど、ガブ!」
響は未来の意図を読み取ると、ガブに指示を出す。
丁度目の前でレップウの姿が消えたタイミングでガブは2本脚で立ち上がり、角に貯めた雷エネルギーを周囲に放電する。
「ッ!まずい、戻れレップウ!」
オーディンが指示するも時すでに遅く、連撃を仕掛けようとしたレップウは周囲に放電された雷エネルギーをモロに喰らいダメージを負った。
さらに感電したのか、痺れて身動きが取れない。
「今です、翼さん!」
「助かったぞ、小日向!ムサシ、お前の剣でトドメを刺せ!」
そう言うと翼はディノホルダーに技カードをスラッシュする。
ムサシの口から勢いよく水が湧き上がり、水の剣を形成すると痺れて動けないレップウに向けて走り出し袈裟懸けする。
袈裟懸けされたレップウは数秒経った後倒れ、カードに戻った。
「やったデス!」
「残るはライデンのみ!」
「なんて奴だ……
「…もしかして私の事?」
「あはは……と、とにかく!
「もう一枚……ん?」
響の言葉にオーディンは疑問を浮かべた。
事前の情報だとS.O.N.G側が持っている雷属性の技カードは1枚しかなかった筈だ。
ふと響の手元を見ると、そこにはオーディンが発動しようとして翼に阻止され落とした技カード…【
「…ってオイ‼︎それはアタシの技カードじゃねぇか!何人の物パクってんだ‼︎」
「ふえぇ⁉︎奏さんの物なんですか⁉︎パラパラのカードの近くに落ちてたからラッキーって思って拾っちゃいました!」
「ええ…」
「どうしよう、返した方がいいのかな…?」
「返さなくていいぞ、立花。むしろ奏に使われるのを未然に防いだから良しとしよう。」
「それに元々恐竜カードや技カードはDr.ソーノイダが作った代物……つまりアタシ達も知らず知らずのうちに人の物をパクっているデス!だから今更気にしなくていいデース!」
「…それもそっか。奏さんには悪いですが、このカード使わせて頂きます!」
そう言って響は技カードをディノホルダーにスラッシュする。
ガブの身体が光出したと同時に稲妻を纏いながらジャンプし、錐揉み回転によって稲妻の勢いが増した状態で弾丸が如くライデンに体当たりした。
稲妻の弾丸をモロに喰らったライデンは大きく吹っ飛ばされた後、壁に激突してカードに戻った。
「クソッ……覚えてろ!」
オーディンは捨て台詞を吐くとその場から退散した。
こうして恐竜バトルは終わりガブとムサシはカードに戻るが、バトルフィールドは展開されたままだ。
「バトルフィールドが解けない…?」
「きっと他の場所でマリア達がまだ見ていないヌアザと戦っているかもしれな……うわッ⁉︎」
翼がそう言った次の瞬間、響達のディノホルダーが光出し、中の石板から一筋の光が出ていた。
「この光は…?」
「向こうに続いているデス⁉︎」
「とにかく行ってみよう!」
そう言って響達4人はマリアの元へ急行する。
一方、マリアとヌアザの戦いは後者有利で進んでいた。
それもその筈でマリアはエース1匹なのに対し、ヌアザの方はケートスとキュクノスの2匹と数で不利なのだ。
現にエースは素早い動きでケートスの股下を潜ったり2匹の周囲を回りながら隙を見てキュクノスを攻撃しようとするも、痺れを切らしたケートスの尻尾攻撃を受け、壁に叩きつけられてしまう。
「エースッ!」
「よそ見をしてる場合かしら?」
マリアが心配そうに声を掛けるも、その隙にヌアザは複数のビットをマリアの周囲を取り囲むように展開する。
その複数のビットからビームを撃ったり、ビーム刃を展開しての近接戦など隙のない攻撃のせいでマリアは回避に専念せざるを得なくなり、ディノホルダーにカードをスラッシュする暇が無いのだ。
「どうかしら、私の実力は?これが
「くっ…!」
ヌアザの言う通り適合係数が高かったセレナを元に改造された事もあって、実力がかなり高く複数のビットを問題なく動かせている。
「…さて、お遊びはこれまでよ。キュクノスちゃん、やっておしまい!」
そう言うとヌアザはダイナラウザーに技カードをスラッシュし、トリガーを引く。
するとキュクノスが咆哮を上げ、エースに近づくと空高く掬い上げてしまう。
そしてキュクノス自身は独楽のように回り、落ちてきたエースの首に強烈な尻尾の一撃を喰らわせた。
強烈な一撃を喰らったエースは吹っ飛び、壁に激突する。
「エースッ‼︎」
マリアが呼び掛けるが、余程ダメージを負ったのかエースは倒れたまま動かない。
その間にもヌアザはビットによる攻撃を繰り出し、マリアを封殺した。
「ホーッホッホッホッ‼︎勝負あったわね!ケートスちゃん、トドメをお刺し!」
ヌアザの命令に従い、ケートスは倒れているエースに近づき竜脚類特有の太い足で踏み潰そうとする。
このままではエースがやられる……その時だった。
ドゴーーーン‼︎
大きい音と共に壁が破壊され、そこからトゲ丸が現れた。
「サイカニア⁉︎」
「あらあら、まさか私の元にサイカニアが現れるなんてラッキーね!ケートスちゃん、まずはサイカニアをカードに戻してやるのよ!」
トゲ丸が現れた事に2人は驚きながらも、ヌアザはトゲ丸を標的に定めケートスに命令する。
ヌアザの命令を受けたケートスはトゲ丸に対し尻尾攻撃を仕掛けるが、トゲ丸はどっしり構え鎧でカードする。
ならばとケートスは連続で尻尾攻撃をお見舞いするが、トゲ丸は動じないどころか身体が紫色の光に包まれる。
トゲ丸の尻尾に結晶の槌を作り出し、大きく飛び上がるとケートスに叩きつけた。
強烈な一撃にケートスは怯んでしまう。
そのタイミングでトゲ丸が開けた穴から調とクリスとネロが出てきた。
「すごい威力…!」
「あんなの喰らったらひとたまりもねぇぜ!」
「くっ、やるわね…!ならこれならどうかしら!」
技の威力に感心する調とクリスだが、ヌアザは別の技カードをダイナラウザーにスラッシュしトリガーを引く。
するとキュクノスの身体が緑色の光に包まれ、トゲ丸の足元にヒビが入る。
次の瞬間、地面から勢いよく棘のついた植物の蔦が生え、それによってトゲ丸はひっくり返ってしまう。
仰向けとなってしまい身動きが取れなくなったトゲ丸目掛けて、蔦がしなると勢いよく振り下ろされトゲ丸の腹部に命中する。
無防備な腹部に対する攻撃にトゲ丸は悶絶するが、それにお構いなしに蔦による腹部の攻撃を連続でお見舞いする。
「その調子よ、キュクノスちゃん!」
「トゲ丸!鎧竜の弱点はお腹だから、このままじゃまずい…!」
「させるか!いくぞ、ネロ!」
そう言うとクリスはネロをカードに戻しディノホルダーにスラッシュする。
「ディノスラッーシュ!燃え上がれ!ティラノサウルス!」
ガアアアアアアッ‼︎
成体化したネロはトゲ丸の元に駆け出し、トドメを刺そうと振り下ろされた蔦を噛みつきで阻止する。
そのまま蔦を引きちぎると、咆哮を上げキュクノスを威嚇する。
「あら、お仲間のご到着?無駄よ!」
ヌアザはダイナラウザーに技カードをスラッシュしトリガーを引くと、ケートスの身体が青色の光に包まれる。
するとケートスの足元から渦潮が現れ、咆哮すると同時に水がネロ目掛けて流れて包み込み、再び渦を巻いて揉まれてしまう。
激流の中で揉まれ、ネロは苦しみ始める。
「ネロ!」
「オーホッホッホッ‼︎ティラノサウルスもケートスちゃんの技の前には手も足も出ないみたいね〜!」
ヌアザがここぞとばかりに馬鹿にするが、事実弱点属性である水の攻撃によってネロはダメージを受け続けている。
このままではネロは倒されてしまう……だが、ヌアザは忘れていた。
ヌアザの意識がトゲ丸とネロに向いている間、エースは立ち上がりケートスを見据える。
それをマリアは見逃さなかった。
「…今よ!」
マリアは技カードをディノホルダーにスラッシュする。
その瞬間エースの身体が光出し、空から現れた竜巻を身に纏いケートスに突進する。
ヌアザが気付くものの時すでに遅く、エースはケートスの尻尾に噛みつき竜巻の勢いを乗せてぶん回す。
ある程度回った所でエースが離すと、風の勢いに乗りケートスが巻き上げられ天井に激突する。
そのまま重力に従って落下し、床に叩きつけられたケートスはダウンした。
それと同時にネロを揉んでいた渦潮は消えた。
「ケートスちゃん!」
「よっしゃ、今だぜネロ!」
クリスも技カードをディノホルダーにスラッシュする。
ネロの身体が光出すと同時に口から炎を吐き、キュクノスを怯ませると首筋に噛みつく。
そのまま身体を回転してぶん回し、回転によって炎の勢いが増し炎上した。
ネロはキュクノスをケートスのいる方向へと投げ飛ばす。
するとダウンしたケートスは起き上がり、どっしり構えて飛んできたキュクノスを受け止めた。
そのおかげでキュクノスは無事だったが、代償にケートスは力尽きカードに戻ってしまう。
「ケートスちゃん…!」
「キュクノスの身代わりに…!」
「あとは1匹だけだ!」
ネロが残ったキュクノス目掛けて突進するが、黙って見ているヌアザでは無い。
「ッ!させない!」
ヌアザはビットを全て動員し、ネロを牽制する。
縦横無尽に飛び回るビットにネロは翻弄され、追撃どころでは無い。
その間にヌアザはキュクノスに駆け寄り、それと同時に響達もこの場に合流する。
「マリアさん!」
「大丈夫か!」
「え、ええ。私は大丈夫よ、でも…」
そう言ってマリアはヌアザの方を見る。
ヌアザは心配そうな面持ちでキュクノスに寄り添い撫でていた。
「キュクノスちゃん、大丈夫…?」
彼女がそう尋ねるとキュクノスは元気そうに鳴く。
その様子にヌアザは穏やかな表情になり、ホッと胸を撫で下ろす。
「良かった…!キュクノスちゃん、カードに戻って。」
そう言うとキュクノスはカードに戻る。
続いてケートスのカードを見て呟く。
「ケートスちゃんもありがとう…」
自身のパートナー恐竜を心配する穏やかな面持ちは、かつてのセレナの様だった。
「セレナ、貴女は…」
「え……⁉︎」
「セレナ…なんデスか⁉︎」
ヌアザの正体を知った調と切歌は驚愕する。
そんな中さっきまでの穏やかな表情は鳴りを潜め、怒気を含んだ表情でこちらを睨む。
「よくも…よくもケートスちゃんとキュクノスちゃんを痛めつけてくれたわね!覚悟なさい!」
激怒した彼女はビットを自身の周囲に展開し、ビームダガーを構える。
対する装者達もそれぞれのアームドギアを構え、迎撃の準備が整う。
まさに一触即発の状況の中、突如として轟音と共に壁が破壊された。
現れたのは万能戦車コープ号だった。
猛スピードで接近し、ヌアザの近くで停車する。
左右側面のハッチからゼウスとオーディンが顔を出す。
「そこまでだ、ヌアザ!乗り込め!」
「何のつもりオーディン!邪魔しないで!」
「ドクターから撤退命令が出た!気持ちは分かるが、今は撤退するべきだ!」
ドクターの撤退命令にヌアザは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、コープ号の上に立つ。
そして装者達の方を向くとこう宣言した。
「今日の所はこれくらいにしてあげる!けど、次会った時はケチョンケチョンのギッタンギッタンにしてやるんだから、覚えてなさい!」
そう言うとヌアザは上部ハッチから乗り込み、コープ号はシリンダーからジェットを噴射し天井を突き破って空に飛び上がった。
そのタイミングでコープ号を追っていた緒川が響達に合流する。
「皆さん、無事でしたか!」
「緒川さん!」
「ゼウスとの戦いはどうなったのですか?」
「それが途中でコープ号が乱入して、ゼウスが誰かと話した後乗り込んで急発進しましたから後を追いました。」
「セレナ…」
そんな中、マリアが悲しそうな表情で呟く。
死んだと思ったセレナが生きていて再会出来たのは嬉しかったが、心優しいセレナではなく
それは同じF.I.Sにいた調と切歌も同様であったが、2人はマリアに声を掛ける。
「マリア、大丈夫。まだセレナとしての面影が残ってると思う。」
「そうデス!あの時ケートスとキュクノスを心配し寄り添ってたデス!ヌアザに改造されてもセレナ本来の人格は消えてないデス!」
「調、切歌…」
2人の言葉にマリアは少し考え、決意する。
「…ありがとう、2人共。例えヌアザに改造されても、あの優しい性格は完全には消えてない。セレナは私達にとってかけがえのない存在、だから戦ってでも彼女を元に戻す。貴女達も手伝ってくれる?」
「うん!」
「はいデス!」
マリアの決意に2人は応える。
そんな中、仰向けのままひっくり返っていたトゲ丸はネロの助けもあって元の体勢に戻った。
調はトゲ丸に寄り添い頭を撫でる。
「トゲ丸、ありがとう。」
撫でられたトゲ丸は嬉しそうに鳴き、4枚のカードに戻った。
カードを拾った調は石板を取り出して恐竜カードを手前から奥へスラッシュするとカードが3回点滅し、小さな紫色の光として地面に舞い降りる。
目つきは若干キリッとしており、紫色の身体に小さくなった棘と尻尾のハンマーが特徴的なチビ恐竜姿のトゲ丸が現れた。
『グワッ?』
「可愛い…!」
「紹介するね。私のパートナー恐竜のトゲ丸。全体的にトゲトゲしている見た目から名付けた。」
「へぇ〜トゲ丸っていうんだ!」
「案外可愛いじゃねぇか。」
チビ恐竜姿のトゲ丸をクリスが撫でようとすると、トゲ丸は身体を丸め棘の付いた紫色のボールになった。
「わっ、丸くなった!」
「アルマジロみたいデース!」
「…なんかウチのネロといいムサシといい、あたしって恐竜との相性悪いんか?」
「あはは…」
トゲ丸に皆和気藹々していると、マリアはエースをカードに戻しチビ恐竜姿で再び召喚した。
「エース、さっきはありがとう……って何で隠れてるの?」
ケートスから助けてくれたエースにお礼を言おうとするも、当のエースはすぐさま翼の後ろに隠れる。
「…マリア。さっき観葉植物を食べたパラパラを叱った時に既視感を覚えたデスけど、もしかしてエースはウンチした事を叱られたから、それを隠そうと食べちゃったと思うデス。」
「そ、そうなの?」
切歌の発言にマリアは少し驚いた顔になりエースの方に目を向けると、エースは恥ずかしそうに顔を隠した。
それを見たマリアはゆっくり近付くと、エースを優しく抱きしめる。
『ギャウ…?』
「ごめんね、エース?私が驚いて大声なんか出したから……もういいのよ、気にしなくて。私も悪かったわ…」
『…ギャウ!』
謝るマリアにエースの顔が明るくなり、元気に鳴いた。
一時はどうなるかと思ったマリアとエースの絆は元通りになった。
「良かった、仲直り出来て!」
「一件落着デース!」
「さて、皆さん。今回も恐竜カードだけでなく石板も手に入れる事が出来ました。」
「そういえば土の石板はネロが見つけてくれたね。」
「お手柄だな、ネロ!」
そう言ってクリスはネロの頭をわしわしと撫でる。
そんな中、翼は疑問に思った事があった。
「…これは偶然なのだろうか?」
「え?」
「翼さん?」
「いや、今まで発見した6つの石板と私達を引きつける何かがあるのかと思ってな。」
「言われてみれば、これまでエース達が現れた場所には必ず石板があったわね。」
「そしてあたしらの誰かが各属性の石板の契約者になった……」
「一体何でだろう……?」
深まる石板の謎に首を傾げる一同。
後にこれが
次の話では第6話と第7話の間の話である幕間を投稿します。
乞うご期待ください。