恐竜大絶唱シンフォギア   作:あーくこさいん

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幕間:石板の謎

大規模隠匿装置【幽霊島装置(ファンタズマ・システム)】によって外界から隔絶されたフェルマータ島。

その近くの海域に見慣れない島があった。

緑豊かな森に熱帯の植物が生い茂り、綺麗な砂浜に広い大海原……

さらに島の中央部に研究所のような建物があり、まさに南海の孤島といった感じである。

 

ここはパンゲア島……

その名が示す通り超巨大宇宙船パンゲア号が浮上し、外装周りを土や植物などで偽装した南国風の人工島である。

 

常夏のリゾートのような島の砂浜では、ピーチパラソルの下でビキニ姿でサングラスを掛けたヌアザが寛いでおり、傍にはケートスとキュクノスがスイカの器に乗せられたフルーツを食べていた。

そんなヌアザの元へ水着姿のオーディンと彼女のパートナー恐竜であるライデンとレップウがやって来た。

 

「よぉ、ヌアザ。折角の海なのに泳がねーのか?」

 

「…フン、子供(ガキ)じゃあるまいし。あそこの年甲斐もなくはしゃいでるバカとは違うわよ、バカとは。」

 

「ああ…」

 

そう言うと2人は海の方を見る。

そこにはサーフボードに乗り、波が無いにも関わらず猛スピードで水上を進んでいる海パン姿のゼウスがいた。

 

「ふはははッ!流石はウォータージェット推進付きハイパーサーフボード、もの凄いスピードだァ‼︎」

 

ヌアザの言う通り子供のように大はしゃぎしながらサーフィンを楽しんでいる。

因みにギガンティスとカタフラクトは砂浜で遊んでいた。

 

「確かあのサーフボード、ロトが作った物だよな…」

 

「ええ、他にも【ぬいぐるビーム】やら【やわらかビーム】やらトンチキメカを作ってるっていうね……まっ、折角の南国リゾートなんだし今は優雅に休むわよ。」

 

そう言ってヌアザが寛ごうとしたその時…

 

「おわァァーーー⁉︎」

 

ゼウスの悲鳴が木霊する。

驚いた2人が海の方を見ると、サーフボードに乗っているゼウスの様子がおかしい。

制御不能になったのかサーフボードが縦横無尽に吹っ飛びながら暴走していた。

無論ゼウスを乗せたままである。

 

「おわッ!ぐおッ!こ、この…!なんてじゃじゃ馬だ…!この俺……どわァァーーー⁉︎」

 

ゼウスは突如暴走したハイパーサーフボードを制御しようとするも、あまりの暴れっぷりに悪戦苦闘の有様である。

 

「お兄様、ゼウスさんでも駄目みたいよ?」

 

「あー…ゼウスならあの()()()扱えると思ったけど、やっぱり速すぎるか……オートバランサーや制御回路に改良の余地がありそうだな…」

 

その様子をピンク髪の少女…【ロア・D・ソーノイダ】と飛行帽を被っている少年…【ロト・D・ソーノイダ】が自身の発明品を観察して評価する。

実はゼウスが乗っているハイパーサーフボードはロトが開発した試作品であり、実地試験の為ゼウスを言いくるめて乗せていた。

 

「要は実験体(モルモット)って扱いか、アイツ…」

 

「あのガキンチョ、やる事えげつないわね…」

 

そう言いつつヌアザはバカンスと洒落込む。

ゼウスがどうなろうと知ったことでは無い。

 

「ぬわァ…!ク、クソッ…!制御が効かんッ……!そ、そうだッ!確か何処かに緊急停止用のボタンがあった筈……ぐおォォーーー⁉︎」

 

しかしゼウスの喧騒は止まないどころか、段々と大きくなっていく。

最初は無視を決め込むヌアザであったが、段々と大きくなっていく喧騒と悲鳴にバカンスの気分は台無しである。

 

「ッ〜〜!ああもう、うるさいわよッ‼︎ゼウ…ス⁉︎」

 

我慢の限界を迎え怒鳴ったヌアザの目に飛び込んできたのは、遂に黒煙を吹いたサーフボードに乗り、制御に四苦八苦しながら突っ込んでくるゼウスの姿だった。

その光景にヌアザが唖然としたのも束の間、ゼウスが彼女の元へ突っ込んだ。

 

大きな音と共に勢いよく砂煙が上がり、ゼウスはサーフボードと共に島中央部へと吹っ飛んでいた。

砂煙が収まるとそこに砂まみれになって呆然としているヌアザがいて、直様ケートスとキュクノスが心配そうに駆け寄る。

 

「…大丈夫、ヌアザさん?」

 

「…大丈夫に見える?あ〜もう、折角のバカンスが台無し!」

 

ちゃっかり退避していたロアが声を掛け、ヌアザは憤慨しながら身体についた砂を払う。

そんなやり取りの中、オーディンとロトはゼウスが吹っ飛んでいった方向を見る。

 

「なぁロト。あそこって…」

 

「確か()()()の研究所だった筈。今S.O.N.Gへ宣戦布告するために通信に割り込んでいる最中だよ。」

 

オーディンとロトが目を凝らすとゼウスが建物に突っ込み、爆発音と共に黒煙が上がっていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、S.O.N.G本部の司令室では装者一同が召集されていた。

傍にはチビ恐竜姿のガブ・ムサシ・ネロ・エース・パラパラ・トゲ丸が戯れており、和気藹々とした雰囲気が漂っている。

 

「早速ですが、石板と響さん達の関係について分かった事を報告します。」

 

エルフナインが喋った直後、上に設置された大型モニターに画像が映し出される。

それは各属性の石板と装者別のギアのペンダントの画像と共に様々な数値などが表示されている。

表示されている数値が何を意味するのかちんぷんかんぷんな一同であったが、直様エルフナインが説明を始める。

 

「まず石板について簡単に説明します。6つの石板を解析した結果、地球外由来のシリコン構造体である事、ビックバンと同時に誕生し長い年月を掛けて今のような石板になった事、そして石板には多種多様な生物の情報…所謂【念】を吸収している事、以下の3つが共通している特徴です。」

 

彼女が以前調べて分かった事を聞いた一同は、改めて石板が今までの聖遺物とは一線を画す代物だという事を実感した。

 

「次に翼さんの疑問を聞いて石板について詳しく調べた結果、興味深い事にギアの起動…つまりフォニックゲインの上昇と共に石板のエネルギーゲインが上がっており、しかも響さん達のフォニックゲインと同調した場合そのエネルギーゲインが急上昇してました。」

 

「つまり私達が石板の契約者になったのは偶然では無いと?」

 

「はい。これはあくまで仮説の段階ですが、石板そのものに自由意志……もとい自我が存在する可能性があります。」

 

エルフナインの報告に一同は言葉を失う。

見た目は石のような聖遺物なのに、それ自体が意思を持つ存在だという事に驚きを隠せない。

 

「石板が地球に辿り着いてから様々な生物の念を吸収していく内に、石板自体に自我が芽生えたと考えています。現に響さん達と接触してから石板内のシリコン構造体が活性化している事がデータから見て取れます。さらに最近のデータでは響さん達のフォニックゲインに反応し、それによってシリコン構造体が劇的に変化・最適化する傾向が見られました。」

 

「その変化が進むとどうなるの?」

 

「その事なんですが……どういった変化を遂げるかについては現状分かりません。まだデータ不足な上、石板自体未知の構造体である為、それ以上解明する事が出来ませんでした………」

 

エルフナインは何故か落ち込んだ様子で答えた。

自身に与えられた役目を全う出来なかった事を気にしているだろう。

そんなエルフナインに励ましの言葉を掛ける声がした。

 

『何、天災科学者の我輩ですら石板の全てを解明出来なかったのだ、むしろここまで解析出来た事を我輩自らが褒めてやろう。』

 

「ありがとうございま………えッ⁉︎」

 

励ましの言葉にお礼を言うエルフナインだが、この声はどういうわけかスピーカーから聞こえてきた。

突然の事態に困惑していると、オペレーターの藤尭朔也が慌てた様子で報告する。

 

「司令!何者かがこちらの通信に割り込んで来ます!」

 

「何だと⁉︎」

 

弦十郎が驚くのも束の間、モニターの映像が切り替わりDr.ソーノイダの姿が映った。

 

「Dr.ソーノイダ⁉︎」

 

『久しぶりだな、装者諸君。それに初めまして、S.O.N.Gの諸君。』

 

「貴様がDr.ソーノイダだな⁉︎」

 

『い!か!に!も!恐竜王国にて恐竜達の頂点に君臨する恐竜キングになる男……天災科学者アダムス・D・ソーノイダだァァ‼︎』

 

Dr.ソーノイダはハイテンションな様子で自己紹介する。

やがて高笑いが収まると、彼はエルフナインに尋ねた。

 

『…さて、エルフナインだったか。欠片だけでそこまで解析するとは、改めて君の優秀さに脱帽するわい。そこで君の優秀さに敬意を表してある事を教えよう。君の仮説では石板に自由意志・自我が存在する可能性があると話したが………結論から言おう、石板は一種の珪素生物であるが為、意思は愚かある程度の知性を備えているぞ。』

 

彼から明かされた真実に一同は驚愕する。

石のような聖遺物なのに意思は愚か知性まで備えている生命体だという事を知り、まるで鳩が豆鉄砲を喰らったかのような衝撃に包まれた。

 

「そんな事が…⁉︎」

 

「信じらんねぇ…!」

 

『何も可笑しい事ではあるまい。我輩ら人間や恐竜達を含む地球上の生物を実験によって生み出したアヌンナキは謂わば異星人……つまり広大な宇宙の何処かで生まれ出でた知的生命体だ。その宇宙の何処かで珪素生物が生まれても不思議ではあるまい。現に石板はビックバンと同時に誕生し、地球誕生時に隕石として衝突し定着、そのままアヌンナキによって生み出された多種多様な地球上の生物の念を吸収し続ける内に今のような形になった。その過程で原始的な本能が成熟し知性を獲得したのだと我輩は推測している。それ故に石板の制御が難しく、エネルギーの抽出もスタビライザーで何とか出来た……が、先のフェルマータ島改造にてスタビライザーがオーバーヒートを起こし石板のエネルギーが暴走、その結果パンゲア号が墜落するに至った。』

 

Dr.ソーノイダは先の悲劇を思い出し、少し残念そうな表情になったがすぐに切り替えて装者達を見据える。

 

『…そしてその時消えた石板はそれぞれ6人の装者に引き寄せられ、契約者になった。これは石板自体が珪素生物であると同時に欠片単体でも超次元エネルギー共振体として機能している事から、石板の意思が君達を選び空間跳躍(テレポーテーション)によって飛んで来た……と我輩は考えている。あくまで推測だがな。』

 

「石板にそんな秘密が…!」

 

「改めて聞くとすごい聖遺物デース!」

 

改めて石板の特異性に驚愕する装者達だが、マリアがDr.ソーノイダに問い掛ける。

 

「…ドクター、石板の事を教える為にわざわざ通信に割り込んで来たの?」

 

『まさか!石板もそうだが、恐竜キングの恐竜キングによる恐竜キングの為の王国が完成したから、この際特別にお披露目といこうと思ってな。』

 

彼はそう言うとある映像を出す。

それは南側の小さな島を軸として、全体的に弧を描くような形状の島…【フェルマータ島】である。

局所環境改造装置【ネオ・ユグドラシルシステム】によって北部は山岳地帯、南部は広大なジャングル、中央部は砂漠地帯が形成され、他にはサバンナや湿地帯が存在する自然豊かな楽園となっている。

 

「これって、フェルマータ島⁉︎」

 

『いかにも、我輩の手によって楽園へと変わったフェルマータ島だ!不慮の事故によって入植に僅かな遅延が発生したが、貴様らと【主神三柱】が戦っている間に我輩が現在持っている99.99%の恐竜を入植させる事に成功したのだァァ‼︎』

 

ハイテンションで語るDr.ソーノイダは映像を切り替え、フェルマータ島の各エリアの映像を出した。

そこには自然豊かになったフェルマータ島の各エリアにて、様々な恐竜達が生息している映像であった。

 

山岳地帯・ジャングル・砂漠地帯・サバンナ・湿地帯にそれぞれの環境に適した恐竜達が闊歩している。

まさに一昔前の恐竜映画『プライマル・パーク』のような恐竜島である。

 

映画のような光景に度肝を抜かれる一同を他所に、Dr.ソーノイダは話を続ける。

 

『見たか、驚いたか!我輩がネオ・ユグドラシルシステムを用いることで北海道並の面積に多種多様な環境をコンパクトに詰め込んだ地球上における最後の楽園を!加えて大規模隠匿装置【幽霊島装置(ファンタズマ・システム)】によって衛星に映らないばかりが物理的に干渉する事も阻む!ま!さ!に!フェルマータ島は有象無象のクズ共に犯されない恐竜達の【聖域】となったァァ!』

 

「貴方だって恐竜を好き勝手改造している癖に…!」

 

『…言っておくが、超進化恐竜(スーパーエボルバー)は我輩が恐竜キングとして個人的に楽しむ為に作った物だ!これらを有象無象の愚か者共に見せる訳無いし、ましてや金儲けなど以ての外!第一、我輩の頭脳にかかれば1秒に1億稼ぐ事など造作ないというのに、何が悲しくて我輩の恐竜達を金儲けの道具にしなきゃならんのか!』

 

烈火の如く怒るDr.ソーノイダ。

恐竜を使った金儲けを否定しているあたり、やり方がどうであれ彼なりに恐竜を愛しているようだ。

 

『…さて、話が逸れたがフェルマータ島の入植が完了した今、我輩が恐竜キングになる為に欠けているのが2つある。1つは石板の中でも重要な【トリニティ・ストーン】の回収!赤・青・黄の玉が埋め込まれたこいつは超次元エネルギーの集積回路のような機能を持っており、エネルギーの共振・増幅装置として機能する【無属性の石板】を大量生産して掛け合わせる事でパンゲア号を動かせる程の莫大なエネルギーを生み出す‼︎」

 

「そうなの⁉︎」

 

「確かに石板の中央部分に3つの宝玉が埋め込まれた石があったのは覚えているが…」

 

「それほど重要な石なのか⁉︎」

 

『左様!そのトリニティ・ストーンをパンゲア号のリアクターモジュールにセットする事でパンゲア号は完全復活!超巨大アダムスキー型円形全翼宇宙船としての真価を発揮するのだァァ‼︎』

 

Dr.ソーノイダは興奮した様子で語り、続け様にもう1つの欠けている物について話す。

 

『そしてもう1つは最も重要な事……そう、不慮の事故によって世界中に散らばってしまった残り0.01%の恐竜達だァァ‼︎可哀想な恐竜達、我輩の手元に居ないばかりに人工物で覆われた今の環境に怯え、怖い思いをしているに違いない!お〜いおいおいおい〜ッ‼︎』

 

「ええ…」

 

「恐竜を好き勝手改造しておいてよく言う…」

 

「あいつの根拠のない自信はどっから来るんだ…?」

 

「というか、初めて私達の前に現れた時ウィリアム以外に懐く恐竜は居ないって言ってなかった…?」

 

世界各地に散らばった恐竜達を憂い号泣するDr.ソーノイダに、困惑が止まらないS.O.N.G一同。

そんなソーノイダだが、急遽泣き止むと装者達を見据え言い放つ。

 

『何より許せんのが、奪われた恐竜達がS.O.N.Gの小娘共に懐いているという点だ!身内が恐竜に懐かれているならまだいい!だが赤の他人である貴様らが懐かれて我輩が懐かれないなど、恐竜キングとしての面目丸潰れではないかァァ‼︎許さん、許さんぞーーーッ‼︎』

 

「いや、知らないから…」

 

「そもそも貴方が恐竜を好き勝手に改造するからでしょ!」

 

「そんな体たらくでは嫌われて当然デース!」

 

『何おう〜⁉︎一丁前に説教たれおって、生意気な〜‼︎貴様らがそんな態度を取るというのなら、我輩はDE(恐竜優生思想)の総帥として、何より恐竜キングを目指す者として貴様らをケチョンケチョンのギッタンギッタンにして……』

 

 

ドゴーーーンッ‼︎

 

 

『のわァァーーーッ⁉︎』

 

彼の宣戦布告ともとれる発言の途中で爆発音が鳴り響き、黒煙が映像を覆う。

彼の悲鳴と共に映像が乱れ、砂嵐が映り続けていた。

突然の事態にS.O.N.G側も混乱していた。

 

「えっ⁉︎」

 

「デス⁉︎」

 

「何が起きた⁉︎」

 

「分かりません!突然爆発が起きたとしか……」

 

混乱する一同を他所に映像の砂嵐は徐々に収まっていく。

やがて再度映った映像には、壁に大きな穴が開きそこら中に瓦礫が散乱している有様だった。

そんな光景を他所にDr.ソーノイダが咳き込みながら立ち上がる。

 

『ゴボッ…!ゲホッ…!な、何が起こったのだ⁉︎』

 

『ド、ドクター……!』

 

何が起きたのか困惑するDr.ソーノイダの他に別の声がしたと思えば、瓦礫の山から誰かが這い出てきた。

それは筋骨隆々で金髪碧眼の男性…ゼウスであった。

 

「ゼウスさん⁉︎」

 

「というか何故海パン姿なのだ⁉︎」

 

『ゼ、ゼウス!一体何の騒ぎだ⁉︎』

 

『い、いえ、ロトからウォータージェット推進付きサーフボードの乗り心地を聞かせてくれと頼まれたので……』

 

『何故サーフィンでここまで飛んでくるのだ⁉︎人がカッコよく宣戦布告している時に!大体なんだその格好は⁉︎ここはリゾート地じゃないだろ‼︎』

 

『そうは言いますがドクター、折角の快晴日和ですから少しぐらい羽目を外し(ズルッ)て…も……』

 

ゼウスが弁明している途中で、何かがずり落ちる音がしたと同時に股間がスースーする感覚に見舞われる。

恐る恐る下を向くと、履いていた海パンがずり下ろされ彼の股間が顕になった。

しかも最悪な事に彼の股間はドクターだけでなく、映像越しにS.O.N.G一同にも見えていた。

 

 

「「「キャァァーーー‼︎ゼウスさんのエッチーーー‼︎」」」

 

 

数秒の沈黙の後、女子達の悲鳴と絶叫が木霊する。

自身の惨状に気付いたのか慌てて海パンを履こうとするも、何故か海パンが上がらずその間にも彼の股間は晒され続けている。

 

『何をしとるかゼウス!羽目を外すにしても程があんだろ!さっさと海パンを履かんか!』

 

『ちょ、ちょっと待って下さい!何故か海パンがこれ以上上がりません!』

 

『ハァ⁉︎何馬鹿な事を……ん?』

 

ドクターがふと向こうを見ると、Dr.ソーノイダのパートナー恐竜ウィリアムがこっそりとこちらの様子を伺っていた。

ウィリアムは意地悪な笑みを浮かべながら、虹色のオーラを纏っている。

 

この状況からドクターは察した。

ウィリアムの持つ念動力でゼウスの海パンを下げ、さらに海パンを履こうとしているのを妨害しているのだと。

 

『…こりゃ、ウィリアム!悪い子め!』

 

『グゥア!』

 

ドクターに見つかり叱られたウィリアムは逃げ出そうとするも、ある人物によって阻まれた。

それはメイド服に身を包み黒髪のツインテールが特徴的な女性……【アテナ】だった。

笑顔だが怒りのオーラを纏い仁王立ちする彼女にウィリアムは勿論のこと、ドクターとゼウスも恐れ慄く。

 

どうやら怒っている彼女には、凶暴なウィリアムや天災科学者Dr.ソーノイダであっても頭が上がらないらしい。

 

『ウィリアム、悪戯はやめなさいと何度言えば分かるのです!ゼウスさんもいつまで素っ裸でいるつもりですか!』

 

『あっ……かたじけない、アテナ殿。』

 

そう言いつつゼウスは海パンを履き直す。

そして彼女の怒りの矛先はドクターに向いた。

 

『そしてドクター…何ですかこの部屋の惨状は⁉︎とにかく部屋を片付けて下さい!』

 

『えっ⁉︎い、いや待て!そもそもの元凶はゼウスで…』

 

『言い訳無用です!片付けが終わるまでおやつのチョコバナナパフェは無しです!』

 

『ガーーン‼︎Σ(゚д゚lll)』

 

そう言った彼女は部屋を後にする。

ドクターにとって大好物であるチョコバナナパフェのおあずけをくらい、ショックを受けたが直様カメラの方に向き直る。

 

『トホホ、何故我輩まで……と!に!か!く!我らDE(恐竜優生思想)は世界中に散らばった恐竜カードを回収する!邪魔をするなら容赦はせんし、何より貴様らに奪われている恐竜カードも取り返すからなァァ‼︎』

 

『…フハハハハッ!立花響を筆頭とする装者諸君!我ら【主神三柱】が揃った今、君達に遅れは取らん!世界最強の漢を目指す者として、君達を倒し恐竜カードは我々が回収する!覚えておけ!』

 

「…いや、さっきの惨状だけでなく……」

 

「海パン姿で言われても……」

 

「正直言ってカッコ悪いデース…」

 

Dr.ソーノイダに続きゼウスも装者達にビシッと宣戦布告するが、海パン姿なのに加えて先の醜態でカッコ良さ激減である。

だがそんな事お構い無しに向こうから一方的に通信が切られた。

 

「切られたか……発信位置は特定出来たか?」

 

「駄目です。逆探知を試みたものの、複数の衛星を経由しているのもあって途切れました。」

 

「そうか……つまるところ向こうは【主神三柱】を派遣して世界中に散らばった恐竜カードを回収するつもりだ。」

 

「主神三柱ってことは…」

 

「ゼウスさんだけでなく、オーディンさんとヌアザさん……いや、奏さんとセレナさんも一緒に来るという事ですか。」

 

「奏…」

 

「セレナ…」

 

人間兵器(ヒューマノイドウェポン)として改造された天羽奏とセレナ・カデンツァヴナ・イヴを思い浮かべ悲しそうに呟く翼とマリア。

弦十郎も奏の事を思い浮かべるも、気持ちを切り替え響達に檄を飛ばす。

 

「…奏とセレナの2人については本部に連れ帰れば元に戻す方法が見つかるかもしれん。そしてDE(恐竜優生思想)が敵として立ち向かってくる以上、こちらも行動する必要がある。それは世界中に散らばった恐竜カードを向こうよりも早く回収し、恐竜達を保護する!Dr.ソーノイダの心境がどうであれ、少なくともこれ以上恐竜達を奴に弄ばれてはならん!」

 

「「「了解(デース)‼︎」」」

 

彼女達は弦十郎の激に応え、程なくして解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして、ようやく片付けが終わり念願のチョコバナナパフェにありつけたDr.ソーノイダ。

 

「ふぃ〜、美味かった〜!やはりアテナ特製のチョコバナナパフェは何度食っても美味しいわい!何杯でもいけるが、彼女からパフェは1日一杯までと言われてるのがなぁ……」

 

食べ終わった彼が大好物のアテナ特製チョコバナナパフェに対する感想とそれを1日一杯までしか食べれない事に愚痴りつつ、椅子にもたれかかった。

何回か椅子をクルクルと回転させ、デスクに向き直ると置かれている写真立てに目が移る。

徐に写真立てを手に取ると、その写真に写っている人物を見て名残惜しそうに呟く。

 

「ソフィア……ダイチ……」

 

写真立てには3人写っており、屈託のない笑顔で左右の2人を抱き寄せる冒険家風の衣装の男性…【古代ダイチ】を中心に、右側に若き日のDr.ソーノイダ、左側には後に彼の妻になった金髪の女性…【ソフィア・D・ソーノイダ】がいる。

写真から見てとれるように、和気藹々とした雰囲気から3人は親しい間柄と推察出来る。

 

だが、今この場に2人はいない。

ある日起きた()()をきっかけにソフィアは致命傷を負い、ロトとロアを産んだ後息を引き取った。

そしてダイチも同じ悲劇によって瀕死の重傷を負うも石板によって姿形が変わってしまい、最終的にDr.ソーノイダとは袂を分かち彼の元を去っている。

 

かつて3人と過ごした化石発掘の日々……

化石発掘を通じての交流に彼自身とても充実した日々を過ごし、ソフィアと結婚するに至った……

だがその幸せもある悲劇によって無惨にも引き裂かれてしまい、妻は死に盟友は紆余曲折の末去る事になった……

 

彼は悲劇を思い出して胸が引き裂かれそうな気持ちになるも、やがて気持ちを切り替えて決意を顕にする。

 

「…我が盟友ダイチよ。親友として我輩を止めたいという気持ちは分かる。だが、我輩は止まる訳にはいかない。亡き妻ソフィアと交わした約束を果たす為、我輩必ず恐竜キングになり恐竜達の楽園を完成させるッ‼︎」

 

決意を顕にしたDr.ソーノイダは悲しみを紛らわすかのように高笑いした。

かくして本格的にS.O.N.GとDE(恐竜優生思想)との恐竜を巡る戦いの火蓋が切って落とされる………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは東京都内にある都市【三畳市】

市内の複数ある一軒家の内の一つに【古代家】という家があった。

その家には3人住んでおり内1人は仕事で家に居ない為、今は子供2人が留守番している。

 

子供2人はある部屋にいて、男の子は道具を用いて作業をしており、女の子の方はタブレット端末にてニュース番組を見ていた。

ニュース番組では最近世間を賑わせている恐竜についての特集が組まれており、専門家を交えて討論が行われている。

 

『最近発生している恐竜騒動は世間を賑わせており、先日大英博物館にも恐竜が現れたの事です。』

 

『私には恐竜好きの息子がいて大はしゃぎしているのですが、一部では色合いが派手だったり、火を吹いたりするなど本当に恐竜なのかという疑問が投げかけられていますね。』

 

『突如現代に甦った恐竜達は一体何なのか……恐竜の専門家であり、数多くの本を出版されている【劉向好太(りゅうきょうすきた)】氏にお越し頂きました。よろしくお願いします。』

 

『よろしくお願いします。えー…早速、結論から言わせて頂きますと、今回現れた恐竜達は私の知っている恐竜像からかけ離れているので、私にもサッパリ分かりません。』

 

『帰れ。』

 

画面に映っている茶番に目を通しつつ、女の子は作業中の男の子の方を向く。

男の子の方も作業を止め、女の子の方を向いた。

 

()()、今度は大英博物館にも恐竜が……」

 

「ああ。近くの海沿いの公園から始まりエジプトや横浜の赤レンガ倉庫、お台場のライブ会場にリディアン音楽院、そしてイギリスの大英博物館……アダムスの性格から考えて故意にばら撒いたとは考えにくい。となれば、何かしらの事故によってばら撒かれたといった方が正しい。」

 

「やっぱりアダムスさんは回収しに来るかな…?」

 

「当然だ。アダムスにとって恐竜達は自らの命より大事だと言っても過言では無い。どんな事をしても世界中に散らばった恐竜カードを回収するだろう……袂を分かった以上戦いは避けられない。」

 

「パパ…その時は私も手伝うよ。」

 

男の子の決意に女の子が頷くと、男の子は机を見る。

そこには折りたたみ式の二画面携帯ゲーム機のような機械が組み立て途中の状態で置かれ、その内部に『?』と刻まれた石板…【秘の石板】が組み込まれていた………




アマゾン熱帯雨林にてサルタサウルスが出現!
早速主神三柱に出撃命令を下し意気揚々と出撃……だが、S.O.N.G側ではアマゾンにてパートナー恐竜が1匹迷子になっただと……
バカタレェェーーーッ‼︎小娘が迷子になるのは別に構わんが、我輩の愛しき恐竜がアマゾンで迷子になるなどパートナー失格だァァ‼︎

次回、恐竜大絶唱シンフォギア
『どこ行った⁉︎ジャングルに消えたガブ!』

仮にもパートナーなら手綱を握っとけ!
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