石板の手がかりを求め大英博物館へと赴いたら、そこにサイカニアが現れた。
すぐにマリア達も合流したけど、喧嘩したのかエースがマリアから逃げてしまい残った6人でサイカニアを捜索する事に。
途中サイカニアと同時に土の石板を見つけ私が契約者になったり、切ちゃんと翼さんがオーディンと遭遇して一戦交えたりといろいろあったけど、マリアは主神三柱のリーダーであるヌアザと遭遇。
彼女のパートナー恐竜であるケートスとキュクノスの連携に苦戦するものの、サイカニアもといトゲ丸の活躍で逆転する。
そしてヌアザの正体が8年前に死んだ筈のマリアの妹、セレナだった事が判明した。
前編
ここは一年を通して降水量が非常に多いアマゾン川近くの熱帯雨林。
連日の大雨によって崖の一部が崩れ、岸壁に刺さっていた卵型カプセルが岩諸共増水したアマゾン川に落ちていく。
そのままカプセルは流れていくが、水面から突き出た岩にぶつかり割れる。
中から2枚のカードが出たと同時に青い光を放ち恐竜が実体化した。
その恐竜は約12mの緑色の身体に茶色の頭部、背中の鋲のような鎧が特徴的な竜脚類………
実体化と同時に甲高い咆哮を上げるサルタサウルス。
その様子をすぐ近くの木に留まっていた1匹の小さなトカゲが見ていた………
場面変わってパンゲア島の司令室。
司令室の大型モニターには世界地図が映されており、アマゾン熱帯雨林に赤い点が点滅していた。
「キタキタキターー‼︎北は南の真反対ィ‼︎またしても恐竜が現れたァァ‼︎我らが
Dr.ソーノイダは恐竜が現れた事に狂喜乱舞し、配下の【主神三柱】に出撃命令を下す。
……が、一向に出撃しない3人。
「…ん?どうしたのだ?」
不審に思ったDr.ソーノイダが様子を見に来ると、控室にてヌアザとゼウスがチェスに興じていた。
ゼウスは手に頭を抱えて思案し、ヌアザは勝ち誇った表情で高笑いを上げる。
「オーホッホッホッ‼︎私の勝ちは揺るぎないわ、大人しく降参なさ〜い♪」
「まだだ…まだ逆転の手がある筈……!」
「そうは言うけどさぁ…もう勝ち目ねーぞ?」
横から観戦しているオーディンの指摘通り、ゼウスの手駒はキングとポーン2つしかなくその上チェックメイト寸前の盤面である為、最早逆転の手など無いのである。
「…例えキングが取られてもまだポーンがある!」
「いや、キング取られた時点でどうあがいても負けだから。」
彼の苦し紛れの反論にオーディンが正論を返す。
ぐぬぬ…と唸るゼウスに益々上機嫌になるヌアザ。
そんな2人はドクターがわなわなと震えている事に気付かない。
(尚、観戦していたオーディンだけ気付き、2人からしれっと距離を取っている。)
そんな体たらくに激怒したドクターは何処からか取り出したロケットランチャー(お仕置き用)を構え、呑気にチェスに興じている2人目掛けて放った。
チェスに興じているせいで気付くのが遅れた2人はロケットランチャーをモロに喰らった。
爆煙が晴れると2人が呆気に取られた表情でゲホゲホ咳き込んでいた。
何よりチェスも盤面諸共粉々に吹き飛んだ。
ヌアザは自分の勝利が揺るぎない場面にも関わらず、ドクターの横槍によっておじゃんになったこの惨状に驚愕しドクターに抗議する。
「ちょ…⁉︎何するんですか、ドクター⁉︎」
「何するんですか、だと……バカタレェェ‼︎我輩が!恐竜が現れたからと!出撃!命令を!出しているのに!呑気に!チェスに!興じているとは!どういう了見だァァ‼︎」
抗議するヌアザに対しドクターは木刀を取り出して彼女をしばきながら激怒していた。
ヌアザがしばかれているのを他所にゼウスはダイナラウザーを取り出し、撃鉄部分から映し出された立体映像にてアマゾン熱帯雨林に恐竜が現れたのを確認する。
「…そういえばチェスに集中する為にダイナラウザーをマナーモードにしてたな……」
「何ィィーーーッ⁉︎ようやく7話目にて本格的な出撃シーンに入るというのに、何という体たらくだァァ‼︎と!に!か!く!さっさと出撃せんかい!」
「は、はい!ヌアザ以下3名直ちに出撃します!……ほら、さっさと行くわよ!」
「やれやれ…ま、行くか。」
「全く…俺も人のこと言えたものでは無いが……」
ドクターの出撃命令を受け3人は急ぎ格納庫へと向かう。
そのまま格納庫内の万能戦車コープ号に乗り込み、ゼウスは右側の操縦席に、オーディンは左側の助手席に、ヌアザは中央の車長席に座る。
するとコープ号は台座ごと発射台へ移動される。
その頃、パンゲア島の中央部ではカモフラージュされたゲートが左右に開き、電磁カタパルトが迫り上がる。
コープ号が発射台に辿り着くと、車輪を格納しカタパルトにセットされた。
後部シリンダーが展開され、発射準備が整うとコープ号は電磁加速によって勢いよく射出される。
ある程度飛び上がったコープ号は後部シリンダーからジェットを噴射し、アマゾンへ向けて飛んでいく。
主神三柱が出撃したのを映像で確認したドクターだが、控室を見渡してため息をつく。
「さて、この惨状をアテナに見られたら我輩がどやされるし、不本意ながら片付けるか……」
そう言うとドクターは清掃ロボットなどを使い控室の掃除・修繕に取り掛かった………
一方、リディアン音楽院の学生寮では買い物から帰ってきた未来とお邪魔している切歌と調(2人の傍らにはパラパラとトゲ丸がいる)は何かを探しているガブを見つける。
「あら、どうしたのガブ?」
「探し物デスか?」
ガブはトイレの前に近づき、ドアの前をクンクンと嗅いでから角でコンコンと叩いた。
すると中から響が出てきてガブを抱きしめる。
「よく見つけたね、ガブ!」
「響、何やってたの?」
「今からガブをテストしてたの。」
「「「テスト?」」」
「うん!嗅覚で私を探し当てるかどうかを…うぉっと!」
突如抱かれていたガブが抜け出して未来達の方へと向かい、未来が持っている買い物袋に目をやる。
「どうしたの?」
「もしかして…コレ?」
未来は買い物袋の中からペットフードの袋を取り出す。
するとガブは勢いよく袋に噛み付いた。
「ちょっと、何してるのガブ⁉︎」
響がガブが咥えているペットフードの袋を持ち左右に振るが、ガブは中々離さない。
「ほら、離してガブ…」
「飼い主に似て、ガブは食いしん坊ね。」
「全くデース。」
響とガブを見ながら2人が話していると、ディノホルダーから発信音が鳴り響く。
「あっ、恐竜が現れたデス!」
「場所は…アマゾンの熱帯雨林ね。」
「未来、行ってくるね!」
「うん、気を付けて!」
そう言って3人はS.O.N.G本部へと急行した。
3人がS.O.N.G本部に着く頃には残りの装者も集合しており、司令官の弦十郎が出現場所を話していた。
「今回の恐竜はアマゾンの熱帯雨林に出現している。ここは連日の大雨で川が増水しているから十分注意して捜索し、恐竜を保護してくれ!」
「「「了解(デース)!」」」
その後装者一行は瞬間移動装置に乗り込み、テレポート準備が完了する。
「それじゃあ、行ってきます。」
「おう、気を付けてな!」
そう言うと装者達はディノホルダーを操作し、アマゾンへとテレポートした。
彼女達のテレポートを見届けた弦十郎はそのままエルフナインの研究室へと赴く。
現在エルフナインは研究室にて【無属性の石板】の解析作業に勤しんでいた。
「あっ、司令。」
「エルフナインくん、無属性の石板について新たな発見があったと聞いたが…」
「はい。響さん達の持つ石板が変化・最適化する現象を受けて無属性の石板を解析し直したら、こちらもシリコン構造体に同様の変化が起きている事が分かりました。元々無属性の石板はオリジナルの石板から発せられるエネルギーを共振・増幅する機能を持つ事から推測するに、6つのオリジナルの石板からのエネルギーと共に変化時における情報…つまりデータを受け取って、そのデータを元に無属性の石板も変化していると思います。」
「ふむ、つまり無属性の石板もオリジナルのように変化するという事か?」
「分かりません……ただ一つ言える事は石板の変化にナノマシンの制御が追いついていない…いえ、石板自体がナノマシンを逆に制御下に置いているといった方が正しいでしょう。」
エルフナインの説明に弦十郎は改めて石板という存在に驚愕する。
その頃、響達はアマゾン熱帯雨林に到着する。
先程まで大雨が降っていたが、今は止んでおり太陽も少し顔を出している。
だが辺りに霧が立ち込めており、見通しはあまり良くない状態であった。
「うわっ、霧まみれだな!」
「恐竜は何処にいるんだろう…?」
「この近くの筈だが…これは探すのは大変だな。」
「パラパラ、何か聞こえるデスか?」
『…クゥン?』
「いきなり飛び出して来なければいいけど…」
「とにかく気を付けてさが……ってうわあああ⁉︎」
そう言って探そうとした響自身が坂がある事に気付かず足を滑らせてしまい、頭から水溜りに落ちてしまう。
そのせいか服が泥で少し汚れてしまった。
それを見た5人と5匹は坂に気を付けながら響の元へと降り、彼女を起こした。
「痛てて…」
「大丈夫?」
「ったく、お前が気を付けろよな。」
「えへへ、ごめん……あれ?ガブは?」
「変ね……ここに着いた時にはいた筈だけど…?」
「ガブー!何処ー⁉︎」
響が呼ぶも、反応は無い。
一方、ガブの方はアマゾンに生息する蝶を追いかけていたが、当然響達は知る由も無い。
チビ恐竜を含む全員でしばらく歩いて探したものの、一向にガブの姿は見当たらない。
「何処に行ったんだろう、ガブったら…」
「…もしかして響さんの真似をしてるんじゃない?」
「私の?……あっ!」
調の言葉に響は寮のトイレに隠れた事を思い出す。
「そうデス!あの時響さんが隠れてるのを見ていたから…」
「かくれんぼしてるって事か?」
「こんな事してる場合じゃないのに…」
「とにかく手分けして探しましょう!」
響達は手分けしてガブ探しを再開する。
「ガブったらこんな所で迷子になったら……そうだ!ディノホルダーを使えば…(カチッ…カチッ…カチッ…)あれ?動かない…もしかして、壊れた⁉︎」
ディノホルダーで一度カードに戻せばいいと思い付いた響だったが、肝心のディノホルダーは先程落ちた水溜りでショートしてしまい、いくら弄ってもうんともすんとも動かない。
「ガブー!何処なのー!出てきてー!」
彼女の叫びがジャングルに虚しく響き渡る。
残りの5人もガブを探している最中、一度合流した。
「いたか?」
「ううん。あら?響は?」
「一緒ではないのか⁉︎」
「って事は…」
「響さんも迷子になった。」
ガブに続いて響まで迷子になってしまった状況に、翼達はため息を漏らした。
「立花ー!」
「響さーん!」
「アイツまで迷子かよ…」
「パラパラ達もはぐれないようにしないとデス…」
「そうね。ひとまずカードに戻しましょう!」
マリアの提案でパートナー恐竜達をカードに戻し、ディノホルダーに収納した。
丁度その時、翼のディノホルダーから通信が入った。
『こちら弦十郎。状況はどうだ?』
「こちら翼。それが問題が起きまして…」
そう言うと翼は先程の状況を説明する。
状況を聞いた弦十郎は間を置いてある事を打ち明ける。
『そうか…実はこっちでも問題が起きてだな、先程響くんのディノホルダーの反応が消えた。』
「反応が、消えた⁉︎」
「どう言う事だよ、おっさん⁉︎」
『…先の戦いでジャミングによる通信妨害を受けて、君達のディノホルダーに通信機としての機能を一体化した。エルフナインの調査の結果、石板にはジャミングを中和する機能がある事が分かった為、急遽改造する事にしたのだ。加えてGPSや現地からの情報を本部にモニタリングする機能などを追加する事でディノホルダーを万能ツールにする事に成功したが……先程から響くんのディノホルダーの反応が途絶してしまい、今現在響くんがどんな状態なのか把握が出来ない。』
「そんな…!」
「どうして……あっ!」
その時調は思い出す。
テレポートした直後に坂に足を滑らせて、水溜りに落ちた事に。
「もしかしてさっき水溜りに落ちた時に…」
「ディノホルダーが濡れてショートしたデスか⁉︎」
「いやいや、まさか…」
『いえ、あり得ると思います。』
そこへエルフナインが割って入ってくる。
『実は急拵えの改造だった故、耐久性や防水性に課題が残る結果になりました。恐らく水溜りに落ちた事で内部に水が入り電子部品がショートしたものかと…』
『幸いにもギアの反応はキャッチしているから無事なのは確かだ。とにかくお前達はディノホルダーを壊さないように細心の注意を払いながら捜索を続けろ!』
そこで通信は終わる。
響の無事が分かって一同は安堵するものの、恐竜に加えて響とガブの捜索が増えた事に頭を悩ませていたその時…
ゴォォォォォォン‼︎
恐竜の鳴き声がジャングルに響き渡る。
「今のって…!」
「こっちだ!」
翼達は鳴き声のした方へと走り出した。
一方、コープ号にてアマゾン熱帯雨林に到着した主神三柱は上空から恐竜を探していた。
「ダイナサーチによればこの辺にいる筈だが…」
「おっ、いたぞ!」
オーディンが指差す先には林冠からサルタサウルスの首が突き出ていた。
「どうやらこっちが先に見つけたようね!ゼウス、さっさと着陸するわよ!」
「だがこの辺りは木々が生い茂っていてタイヤ走行では移動しにくい。ならば…」
そう言うとゼウスはコンソールを操作し、そして叫ぶ。
「チェーーンジッ‼︎歩行モーードッ‼︎」
彼の叫びと共にコープ号のシリンダーが下を向き、伸びた。
そのままゆっくりと降下していき、四つのシリンダーの先端部が地面に着く。
4本のシリンダーで器用に立っているこの形態は【歩行モード】。
4本のシリンダーを使い文字通り歩行する形態で、移動速度はタイヤ走行に劣るもののあらゆる地形を踏破するのにうってつけの形態である。
「…毎度思うんだが、形態変化の際に態々叫ぶ必要あんのか?」
「何を言うか、こういうマシンのモードチェンジ時に叫びを入れるのはマシンを駆る上での礼儀作法だろう。」
「ま〜たアニメに影響されてる…」
そんなやり取りをしつつ、コープ号は4本のシリンダーでジャングルを移動する。
その頃、翼達は遥か遠くにサルタサウルスがいるのを目の当たりにしていた。
「いたぞ!」
「ケートスより小さいデスけど、ここからよく見える感じ結構大きいデス!」
「背中の鋲みたいな鎧……あれはサルタサウルスだわ!」
5人で話していると、サルタサウルスがこちらを向いて歩き出した。
「よしネロ、お前の出番だ…」
「く、クリス先輩…!」
「ん?……ッ⁉︎」
青褪める調にクリスは振り返ると、サルタサウルスがこちらに迫って来ている。
「危ないッ⁉︎」
「避けろッ!」
翼の指示でその場から離れる為に走る。
さっきまで5人がいた場所をサルタサウルスは木々を薙ぎ倒しながら走っていくと、突然目の前に青い光が現れ成体化したケートスが出現した。
プオオオオォォォォォォン…‼︎
それと同時にバトルフィールドが形成される。
「あれは…ケートス⁉︎」
「という事は……⁉︎」
ケートスが召喚された事に主神三柱がこの場にいる事を翼は察した。
次の瞬間、林冠からシリンダーを伸ばして歩行するコープ号が現れ、スピーカーからヌアザの高笑いが響き渡る。
「オーホッホホホ!悪いわね貴女達、獲物は私達主神三柱が頂きよ!」
「セレナ!」
「やっぱり現れたデース!」
「セレナじゃないわ、ヌアザよ!…まぁいいわ、ケートスちゃん!思う存分やっておしまい!」
ヌアザの命令を受けたケートスはサルタサウルスに対し尻尾攻撃を仕掛ける。
それに対しサルタサウルスは背中の装甲を駆使して防ぎ、双方睨み合いの態勢に入った。
「水属性のケートスには雷属性が有効だけど…」
「今はガブが居ないデス…」
「こんな時にあのバカは何処にいるんだよ…」
「仕方ない、ここは同じ水属性のムサシの出番だ!」
そう言うと翼はムサシのカードを取り出し、ディノホルダーにスラッシュする。
「ディノスラッーシュ!湧き上がれ!スピノサウルス!」
グァギュオオオオッ‼︎
ムサシが成体化すると飛び掛かり、体当たりでケートスを吹っ飛ばす。
そのままサルタサウルスを守るようにケートスに立ち塞がるが、当のサルタサウルスはムサシを見据えるといきなり尻尾攻撃を浴びせた。
突然の事に翼達は困惑した。
「なっ⁉︎」
「サルタサウルスがムサシを攻撃したデス⁉︎」
「どういうこと⁉︎」
「やめろよ、こっちは助けに来たんだぞ!」
この状況に困惑したのは主神三柱も同じであった。
「…どうなってんだ?」
「恐らくだが目の前に肉食恐竜であるスピノサウルスが現れた事に対し、サルタサウルスは自分を捕食しに来たと勘違いしたのだろう。」
ゼウスの推測通りサルタサウルスは自身がピンチだと勘違いしており、ムサシに対し執拗に尻尾攻撃を浴びせている。
「…まっ、何がともあれこれはチャンスよ!ケートスちゃん、まずはスピノサウルスを倒してしまいなさい!」
ヌアザの命令通りムサシに狙いを定めると、尻尾による渾身の殴打を喰らわせようとする。
だがムサシはその攻撃を察知し、しゃがむ事で回避する。
空振った尻尾はそのままサルタサウルスの頭部に命中した。
突然の攻撃にサルタサウルスはケートスを睨むと、怒りのまま突進しタックルで突き飛ばした。
完全にムサシとケートスを敵と判断し、まとめて相手するようだ。
「当てが外れたな。完全に2匹を敵と見てるぞ。」
「フンッ、なら2匹とも叩きのめすまでよ!」
ヌアザが2匹を攻撃するよう指示した事でケートスはムサシとサルタサウルス相手に攻撃を仕掛ける。
ムサシはサルタサウルスの攻撃をいなしながら、ケートスに狙いを定め攻撃する。
「こちらも恐竜を出したいデスけど…」
「下手に加勢したら状況が悪化しかねないな…」
「しばらくは様子見ね…」
三つ巴の混戦にもつれ込んだこの状況に、しばらくはムサシのみを出し翼達は木々に隠れながら様子見に徹する。
そんな状況になっているなどつゆ知らず、響は未だにガブを見つけられず絶賛迷子中であった。
「ガブも新しい恐竜も見つからない……コレさえ動けば…(カチッ…カチッ…)やっぱりダメか〜」
何とかディノホルダーを再起動させようとするも、ディノホルダーは起動しない。
そんな中響は倒木に座ってため息を吐くと同時に腹の虫が鳴る。
「お腹空いたな〜…ガブも今頃お腹減ってるのかな……?」
ガブの方は水辺で出会ったワニと睨み合いをしていたが、当然響は知る由も無い。
無論ショートしたディノホルダー内部にある雷の石板がほんの少し発光した事にも………
一方、S.O.N.G本部では響のディノホルダーに対し通信を試みているものの、結果は依然芳しく無い。
弦十郎達に焦りの表情が浮かんだ。
「駄目です、依然響ちゃんのディノホルダーの反応をキャッチ出来ません……」
「ギアの反応は変わらずキャッチしていることから、恐らく無事だと思うのですが…」
ギアペンダントの内部に特殊な構造の発信機を埋め込んでおり、基底状態の聖遺物の反応をリアルタイムで送信し、その結果本部のモニターには響の大まかな位置が表示されている。
だが通信機については前述の通りディノホルダーに集約した為、ディノホルダーが使えなくなると通信も出来なくなってしまう。
「くっ、こんな事なら予備の通信機を持たせるべきだったか……!」
苦虫を噛み潰した表情でモニターを見る弦十郎。
そんな中、エルフナインが何やら慌てた様子で司令室に入ってくる。
「司令、大変です!」
「どうした!」
「無属性の石板の解析作業の最中にエネルギーゲインが急上昇した後、石板が光出しました!そして……」
エルフナインが一瞬言い淀んだ後、衝撃的な事を報告する。
「光が収まったと同時に、石板が消失しました!」
その頃リディアン音楽院の生徒寮では、未来が買ってきた材料を元に夕食のハンバーグを作っていた。
丁度ハンバーグが出来上がり、大皿に乗せラップを掛けていつでも食べられるようにする。
白米の方も炊飯器で炊いており、あと少しで炊き上がる。
炊き上がるまで未来は洗い物と片付けをさっさと済ませ、あとは響が帰ってくるのを待つばかりだ。
「さて、晩御飯の準備はほとんど済ませた事だし、あとは響とガブが帰ってくるのを待つだけ……」
なんて呟き響とガブの帰りを待つ未来。
すると……
バチッ…!バチッ…!
変な音が聞こえた為、音が聞こえた方を見ると光る物体が空中に漂っている。
やがて光が収まると物体……無属性の石板が床に落ちた。
「これって、無属性の石板⁉︎何でこんな所に……」
そう言って彼女は石板を拾う。
その時だった。
「…ッ⁉︎」
石板を拾った瞬間、彼女の脳内に直接映像が流れ込んでくる。
倒木に座り寂しそうな表情でため息を吐く響……
水辺でワニと睨み合いをしているガブ……
これらの映像から分かるように、現在響とガブがピンチである。
「今のは、一体…?」
突然の光景に困惑する未来。
すると彼女が持っていた石板が点滅する。
「…もしかして響とガブがピンチなの?」
そう聞いた瞬間、石板が肯定するかのように光が一段と強まり点滅した。
「…分かった。私をアマゾンに連れて行ってくれる?」
未来の意思に応えるように石板が発光し、大きくなる。
やがて未来を包み込み、光が収まったと同時に未来の姿は消えた………
《恐竜図鑑》File.15
【煌めく装甲】 サルタサウルス
名前の由来:サルタのトカゲ
分類:竜盤目 竜脚類 サルタサウルス科
全長:約12m
時代:白亜紀後期
生息地(発見地):南米(アルゼンチン)
《Dr.ソーノイダの恐竜解説コーナー》
アルゼンチンの地名であるサルタにて発見された小型の竜脚類!
小型でどっしりとした幅の広い胴体とやや短めの四肢を持っており、一番の特徴は背中を覆う皮骨板の装甲である!
背中の装甲は同じ南米に生息していたカルノタウルスなどの肉食恐竜から身を守ったと考えられているが、近年では乾季などの気候変化に備えたミネラルやカルシウムの貯蔵庫であり、身を守る物ではないという説もある!