一方その頃、ムサシ・ケートス・サルタサウルスによる三つ巴の戦いは熾烈を極めていた。
ケートスがサルタサウルスの首に噛み付くが、長い首を振り回す事でケートスを叩きつけそのまま引きずり回す。
その勢いは凄まじく、ムサシも巻き込む程であった。
「す、凄い戦いデス!」
「ケートスとムサシ相手に互角に戦っているわ!」
2匹相手に暴れ回るサルタサウルスに驚きを隠せない切歌とマリア。
それは主神三柱も同様であった。
「中々やるな、あのサルタサウルス…」
「あのパワーとタフネスっぷり…流石だな!」
「感心している場合じゃないでしょ!こうなったらケートスちゃん、ドクターから新しく作ってもらった技カードの出番よ!その威力をサルタサウルスとスピノサウルスにたっぷりと味合わせてあげなさい!」
ヌアザがそう言うとダイナラウザーに技カードをスラッシュし、トリガーを引く。
するとケートスの身体が青い光に包まれたと同時に前方から水が地面を突き破って勢いよく湧き出し、地面に突き刺さると先端が尖った水柱が3つ吹き出してサルタサウルスとムサシに突き刺さった。
ケートスの新しい技を喰らいサルタサウルスとムサシはダウンしてしまった。
「ムサシ!」
「サルタサウルスまで…!」
「このままだとやられるぞ!」
「上出来だわ!さぁ最後の一撃をかましておやり、ケートスちゃん!」
トドメを刺そうとケートスが近づくが、突如としてサルタサウルスの身体が青い光に包まれた。
「あの光…技カードを使うつもりか!」
翼の言う通り技を発動したサルタサウルスの口から激流が放たれ、ケートスを捕縛する。
そのまま首を振ると縛り上げたケートスは持ち上がり、首を振り下ろすと地面に叩き落とされる。
続け様に首を振り回した事で、まるで鞭のようにしならせた激流によってケートスは何度も何度も地面に叩きつけられる。
そしてトドメとばかりに上半身を使ってケートスを持ち上げた後、その勢いのまま振り下ろす事で力一杯地面に叩きつけようとする。
しかもその先にはムサシがいた。
「まずい…!戻れ、ムサシ!」
間一髪で翼がディノホルダーを操作しカードに戻したおかげで、ムサシは下敷きにならずに済んだ。
反対にケートスは地面に叩きつけられた為、力尽きカードに戻ってしまう。
「ああッ!ケートスちゃん!」
「まさか
ムサシがカードに戻りケートスが倒された事でバトルフィールドは解除され、サルタサウルスは何処かへと歩き出した。
「あっ、サルタサウルスが!」
「追いかけるぞ!」
翼達はサルタサウルスの跡を追いかける。
「もーッ、何でこうなるのよ!」
「だから言ったじゃねぇか、水属性には雷属性のライデンが相性がいいって……」
「まぁまぁ、今はサルタサウルスを追うぞ!」
ケートスがやられ憤るヌアザと彼女の判断に不満を漏らすオーディン、2人を宥めるゼウスと一悶着ありながら主神三柱もサルタサウルスと翼達の跡を追いかける。
一方、絶賛迷子中の響はというと………
「ガブー!何処ー!なんで戻ってこないのー⁉︎……もう会えないのかな…?」
中々ガブが見つからず、もう会えないのかもしれないと思うと少し寂しげな気分になる響。
すると近くの草むらからガサガサと音がした。
「ガブ⁉︎良かった、心配したんだよ……うわぁ⁉︎」
だが、草むらから出てきたのは緑色のトカゲだった。
「何だトカゲか…(ザパーン!ザパーン!)…っ!何⁉︎」
落胆する響だったが、何かが水を掻き分けて近づいてくる音が聞こえる。
響が音のする方を振り向くと、そこには激流をものともせずサルタサウルスがこちらに向かって来ていた。
「え、もしかして…こっちに来てる⁉︎」
響は慌てて逃げ出すものの、サルタサウルスは彼女を追い掛ける。
その頃、サルタサウルスの跡を追っていた翼達は…
「何処へ行く気だよ、アイツ!」
「何かを追いかけているみたいだけど……」
ジャングルを抜けて、増水し凄まじい音を立てながら流れている河に出た。
その時、彼女らの耳に聞き慣れた声が聞こえてきた。
「助けてーーッ‼︎」
響の悲鳴を聞いた5人が対岸の方を見ると、そこにはサルタサウルスに追いかけられている響を発見した。
「響さんデス!」
「何でサルタサウルスに追いかけられてんだ⁉︎」
「とにかく、何とかして向こう側へ行かねば……」
「だけど、どうすれば……」
「ん?あれは……!」
マリアが河の方を見ると、増水している河をものともせず歩行モードで渡河しているコープ号がいた。
激しい流れにも関わらず安定した歩行で順調に渡河していき、車内も大きな揺れは無く快適そのものであった。
「…しっかし、こんだけ激しい流れだってんのによく転倒しないな、この戦車……」
「何せ竜脚類の骨格を参考にして開発した形態だからな、安定性は折り紙つきだ。」
「まっ、何であれ私達だけが向こうへと行けるから邪魔されずに済むわね……あら?」
すると搭載されたレーダーからアウフヴァッヘン波形が5つ観測される。
どうやらシンフォギアが起動したようだ。
「アウフヴァッヘン波形…S.O.N.Gの装者達だな。」
「だがあっちは6人の筈だろ?もう1人は…(ガンッ!ゴンッ!)…ん?」
「何かしら…?」
オーディンが疑問に思ったものの車外から音が聞こえた為、不審に思ったヌアザがハッチを開けて確認すると、目の前にシンフォギアを纏ったマリアがいた。
否、マリアだけでなく他の4人も同様にシンフォギアを纏いコープ号の上に飛び乗っていた。
「…ちょっとアンタ達!何勝手に乗り込んでんのよ!無賃乗車よ、無賃乗車!」
「ごめんなさい、セレナ!すぐ降りるから!それッ!」
「今回ばかりはお礼を言うぜ!」
ヌアザの抗議を聞き流したマリア達は向こう側へと飛び移り、そのまま響とサルタサウルスの跡を追った。
「全く、あの子達ったら碌な大人にならないわよ……って先越されたじゃない!ゼウス、もっと早く渡れないの⁉︎」
「無茶言うな!ただでさえ激しい流れの中慎重に踏み締めて渡河してるから、無闇に早く動けば激流に足を取られて流されかねんぞ!」
「…しゃーねーな。こうなりゃアタシらもシンフォギア纏って跡を追うぞ。」
オーディンの案に従い、歩行モード故早く移動出来ないコープ号を自動運転に切り替え、主神三柱はシンフォギアを纏ってマリア達を追いかけた。
場面変わってサルタサウルスから逃げ続けた響だが、逃げた先が崖であり逃げ道はもう無い。
しかもサルタサウルスは進路を変えずに響の方に向かっている。
そしてガブの方も先程のワニに道を阻まれており、まさに絶体絶命の危機である。
「ガブーーーッ‼︎」
『…!ガブガブガブガブ‼︎』
響の叫び声がジャングルに響き渡り、ガブに届く。
その声を聞いたガブは奮起し、ワニに立ち向かう。
ワニが口を開いて飛び掛かるが、ガブは避けてワニのお腹に自身の角で持ち上げて投げ飛ばした。
こうしてワニを撃退したガブは一目散に響の元へと急ぐ。
丁度その時、何もない空間から光が現れたと同時に大きくなりそこから石板と共に未来が現れた。
無属性の石板によって未来がアマゾンの地へと転送されたのだ。
「ここは…アマゾンの熱帯雨林?響とガブは何処に…?」
未来が辺りを見渡すと、一目散に目の前を走り抜けるガブを見つけた。
「ガブ⁉︎という事は、この先に響が…?急がないと!」
そう判断した未来はファウストローブを纏い、ガブの跡を追う。
その頃、響に追いついた翼達は今にもサルタサウルスに襲われそうになっている現場に直面した。
「あのままじゃ響さんが危ないデス!」
「助けないと!」
「皆、お願い!」
響を助ける為に5人がディノホルダーを構えたその時、草むらからガブが飛び出して来た。
「「「えっ⁉︎」」」
「ガブ⁉︎」
飛び出して来たガブはそのまま響の元へ駆けつける。
「ガブ、良かった…!お願い!動いて!」
ガブと再会出来た事に安堵し涙目になるも、サルタサウルスはお構いなしに突進する。
響がディノホルダーを取り出すも未だに再起動しない。
絶体絶命の状況は変わらない………その時だった。
「響ーーーッ‼︎」
「み、未来ぅ⁉︎」
「小日向だと⁉︎」
「どうなってんだ⁉︎」
なんとファウストローブを纏った未来が文字通り飛んできた。
未来は状況を把握すると円形状のビットを複数展開し、サルタサウルスに向けてビームを放つ。
牽制の為当たりはしなかったが、サルタサウルスは驚き数歩後退りする。
「響、良かった…!ガブも無事で…!」
「未来、何でここに⁉︎」
「説明は後だよ!とにかくディノホルダーは動かせる?」
「え…あ、ちょっと待ってね…(カチッ…カチッ…ブォン!)あ、動いた!」
響はアマゾンにやって来た未来に驚きながらも、ディノホルダーの再起動を試みると液晶画面が点灯し再起動に成功する。
「よし、行くよガブ!ディノスラッーシュ!轟け!トリケラトプス!」
ゴオォォォォォォ‼︎
響は直様ガブをカードに戻しスラッシュする。
成体化したガブが現れるとバトルフィールドが形成され、先手を取ったガブはサルタサウルスに突進する。
サルタサウルスの方もガブの突進を背中の装甲で防ぎ、お返しとばかりにガブの頭に噛み付く。
「負けないで、ガブ!」
ガブは懸命に攻撃を仕掛けるが、背中の装甲に阻まれて効いていない。
「駄目デス!全然効いてないデス!」
「あの背中じゃ歯が立たない…!」
サルタサウルスの防御に手をこまねいていると、乱入者が現れた。
「ダイナラウズ!穿て、パキリノサウルス!
吹き荒れろ、アロサウルス!」
ギュッアアアア‼︎
グゥガアァァァァ‼︎
黄色と白の光弾からライデンとレップウが成体化し、ライデンがサルタサウルスに、レップウがガブに襲い掛かる。
光弾が飛んできた方を見ると、そこにはダイナラウザーを構えたオーディンとその隣にヌアザとゼウスがいた。
「やっと追いついたわ…!オーディン、さっさとあのサルタサウルスをカードに戻してやりなさい!」
「言われなくても……悪いが、そのサルタサウルスはアタシらが貰う!」
「奏さん!」
「野郎、来やがったか!」
「マリア!私達も加勢するぞ!」
「ええ!」
そう言うと翼とマリアはカードを取り出してディノホルダーにスラッシュする。
「「ディノスラッーシュ!」」
「湧き上がれ!スピノサウルス!」
「吹き抜けなさい!カルノタウルス!」
グァギュオオオオッ‼︎
グォォォォォン‼︎
ムサシとエースが成体化し、ムサシがライデンに、エースがレップウに体当たりを仕掛ける。
ライデンとレップウもそれぞれ応戦した為、再びガブはサルタサウルスとの戦いに集中する事が出来た。
「あーもう、邪魔ばっかり!こうなったら私達も残りの恐竜を出すわよ、ゼウス!」
「総力戦という訳か……いいだろう!」
翼とマリアの加勢に対し残りの恐竜も投入する事を決めたヌアザとゼウスは、恐竜カードをダイナラウザーにスラッシュしトリガーを引く。
「「ダイナラウズ!」」
「咲き誇れ、オロロティタン!」
「焼き尽くせ、ギガノトサウルス!
突き崩せ、ギガントスピノサウルス!」
オォオオオォォォォォォ…‼︎
ギャアアアォォォン‼︎
グヴォォォォォォ‼︎
続いてキュクノス・ギガンティス・カタフラクトが現れ、現在戦っている恐竜達の元へ駆け寄ろうとする。
「セレナとゼウスの恐竜まで現れたデス!」
「アタシらも恐竜を出すぞ!」
「うん!」
更なる加勢にクリスと切歌と調はカードを取り出しディノホルダーにスラッシュする。
「「「ディノスラッーシュ!」」」
「燃え上がれ!ティラノサウルス!」
「芽生えるデス!パラサウロロフス!」
「揺るがせ!サイカニア!」
ガアアアアアアッ‼︎
キュオォォォォォン‼︎
ウオォォォォォ‼︎
ネロ・パラパラ・トゲ丸が成体化し、3匹の前に立ち塞がる。
対する3匹も応戦し3対3の恐竜バトルが勃発した最中、RN式ケラウノスを纏ったゼウスが響と未来の前に降り立った。
「伝説の
「真正面から来るのなら、受けて立ちます!ゼウスさん!」
「行こう、響!」
ゼウスからの挑戦に受けて立つ響は聖詠を口ずさむ。
響もシンフォギアを纏い構え、未来もビットを周囲に展開する。
翼とマリアはオーディンを、クリス・切歌・調はヌアザを相手取り、かくして装者VS装者と恐竜VS恐竜の大バトルの火蓋が切って落とされた。
まずゼウスが先手とばかりに攻撃を仕掛ける。
「行くぞ、立花響!小日向未来!日本のある漫画の技を参考にして編み出した必殺技を受けてみよ!」
そう言うとゼウスは両手を嘴の様な形に取り、腰の辺りに構える。
すると両手から電撃エネルギーがチャージされ、それはやがて光球を形作る。
そしてチャージが終わると腰に構えていた両手を勢いよく突き出し、その勢いのまま光弾を放った。
「雷・光・波ァ‼︎」
かめ◯め波……もとい雷光波は勢いよく射出され、真っ直ぐ響と未来の元へ飛んでくる。
対する響と未来はビットを6つ程前方に出し、バリアを形成して雷光波を防ぐ。
お返しとばかりにゼウス目掛けてビームを放つが、彼自身が電磁コイルの様に電撃を纏う事でビームの軌道を歪曲し無力化した。
「遠距離戦では決定打にならない……ならばッ!」
「真正面からの殴り合いですね!」
遠距離戦では決着が付かないと判断した双方は近接戦に移る。
ゼウスと響双方の腕部のギアが変形し、バーニアを噴かしながら突貫する。
「フンッ!」
「ハァァ‼︎」
ゼウスと響の拳がぶつかり合い、辺り一面を吹き飛ばす程の衝撃波と同時に地面にはクレーターが発生する。
続け様に殴打とガードの応酬が繰り広げられ、再び拳と拳がぶつかり合い双方共に距離を取る。
(流石は歴戦の英雄…!やはり俺のライバルに相応しい……!)
(凄い…!今まで戦ってきた中でも一番強いかも……!)
ゼウスと響は互いの強さに感嘆しつつも、再び真正面からの殴り合いに洒落込む。
続いて翼&マリアVSオーディンの戦いでは後者が先手を取る。
「喰らいな!」
そう言うとオーディンは槍を大きく振い、そこからエネルギー刃を放つ。
エネルギー刃は真っ直ぐ2人の元に飛んでくるものの、翼は大型化したアームドギアを振るう事で巨大な青いエネルギー刃を放った。
双方のエネルギー刃はぶつかり合い相殺された。
ならばとオーディンは穂先を回転する事により竜巻を発生させ、2人の元に飛ばした。
この攻撃に対しマリアは左腕の籠手から複数の短剣を取り出し、円状に展開し高速回転するとそこから竜巻を発生させる。
発生させた竜巻をその身に纏い、オーディンが放った竜巻目掛けて突撃した。
やがて2つの竜巻がぶつかりせめぎ合うが、マリアの竜巻の方が勝り突破。
そのままオーディン目掛けて突撃するが、当のオーディンはアームドギアを構え直し頃合いを見計らって突き出す。
その瞬間オーディンとマリアのアームドギアがぶつかり合い、それと同時に竜巻も止む。
数秒間の鍔迫り合いの後、パワーで勝るオーディンの薙ぎ払いによってマリアを弾き飛ばす。
続け様に翼が肉薄し斬りつけオーディンがそれを迎え撃ち、さらにマリアの攻撃にも迎え撃った事でこの戦いは一進一退の攻防へともつれ込んだ。
そしてクリス&切歌&調VSヌアザの戦いにおいてヌアザは、マントの裏から複数のビットを出して周囲に展開する。
「あらあら、貴女達が私のお相手で?それにしても左右の
「テメェ…!仮にも元いた組織で過ごした仲だろ!」
切歌と調を馬鹿にするヌアザに対し2人の先輩であるクリスは激怒し、腰部アーマーを展開すると小型ミサイルの雨霰をお見舞いする。
迫り来る小型ミサイルに対しヌアザは焦る様子も無く、複数のビットを前方に配置すると一斉にビームを放つ。
瞬く間にミサイルを全て撃墜すると、左手に持っているビームダガーを
彼女の指揮により統制の取れたビット群は狙いを3人に定め、一斉に襲い掛かる。
ビット群は3人の周囲に群がり、ビーム攻撃やビーム刃を展開しての近接戦など隙のないオールレンジ攻撃で3人を翻弄する。
「オ〜ホッホッホッ!さぁ、思う存分踊りなさ〜い!」
「…いや、踊るのはテメェだ!」
ヌアザの煽りにクリスがそう返すと、リボルバー型のアームドギアを両手に構えビットの攻撃を回避しながら発砲する。
放たれた弾丸は形状が変化し薔薇のようなエフェクトを発生させながら、変幻自在の軌道で複数のビットを破壊していく。
複数のビットを破壊した弾丸はヌアザに狙いを定め飛んでいく。
ヌアザは軽快な身のこなしで回避したり、マントを駆使して弾丸を弾いたりするが、それによって他のビットの制御が疎かになり動作が鈍る。
その隙を2人は見逃さない。
「今デス、調!」
「分かった!」
切歌の方は肩アーマーからバーニア噴射を行い、コマの様に高速回転する事で周囲のビットを次々切り裂いていく。
調の方もヘッドギアに備えられた4本のアームから4つの丸鋸を出し、周囲のビットを切り刻む。
周囲を取り囲んでいたビット群をある程度減らした切歌と調は、ビットの包囲を突破しヌアザを取り囲む。
「…セレナ、ごめん!」
「ちょっと痛いデスが、我慢してほしいデス!」
2人はそう言うとヌアザに攻撃を仕掛ける。
切歌は2本の鎌を融合させ、三日月型の刃が左右に付いた鎌を形成し切り掛かる。
調は両手からヨーヨーを取り出して融合し、それを頭上で巨大化させて叩きつける。
前方と後方から迫り来る攻撃にヌアザは余裕の表情を崩さない。
マントの裏からビットを2つ新たに出し、前方と後方にそれぞれ1つずつ配置すると同時に2人の攻撃が命中する………筈だった。
「なッ⁉︎」
「デス⁉︎」
2人が驚くのも無理はない。
そのビットはダガー型ではなく円形の盾…丸盾型であった。
2つの丸盾型ビットによって切歌と調の攻撃が防がれたばかりか、丸盾型ビット中央の宝玉が赤く発光した途端、そこから強力なビームが放たれた。
離れていた調は巨大ヨーヨーを破壊されただけで済んだが、接近していた切歌はビームをモロに喰らい吹っ飛ばされる。
「切ちゃん!」
「大丈夫か⁉︎」
調とクリスが慌てて駆け寄る中、ヌアザが勝ち誇った表情で自慢する。
「ホーホッホッホッ‼︎まさかエイジ様が開発したビットがダガー型だけだと本気で思ってたのかしら〜?これこそ攻撃を防ぐ上にエネルギーを吸収しビームとして撃ち出す攻防一体の丸盾型ビット【ヴェンジェンス・バックラー】よ!」
そう自慢する傍で、2つの丸盾型ビットは主を守る様に展開した。
防御のみならず攻撃まで出来る万能型ビットに3人は驚愕する。
一方、恐竜バトルの方も熾烈を極めていた。
ネロとギガンティス、パラパラとキュクノス、トゲ丸とカタフラクトの戦いは互いが攻撃を与えたり受けたりして文字通り一進一退の攻防を繰り広げていた。
スピードで勝るエースとパワーで軍配が上がるレップウの戦いでは、エース自慢のスピードで翻弄しすれ違いざまに攻撃を仕掛けるものの、レップウも迎え撃ちカウンターでエースにダメージを与える。
ムサシとライデンの戦いではパワーの方はムサシに軍配が上がるが、小柄なライデンの動きに翻弄され攻撃を受けており、ライデンの方が有利である。
そんな中、ガブと戦っているサルタサウルスの身体が青く光出した。
「ッ!響、あのサルタサウルス技を出すつもりよ!」
「あっ、本当だ!ガブ、避けて!」
未来のアドバイスで技の発動に気付き指示を出すが、一歩遅かった。
サルタサウルスの口から激流が湧き出し、鞭となってガブを捕縛する。
飛ばされまいとガブは踏ん張るものの、サルタサウルスは上半身を使ってガブを思いっきり持ち上げた。
「ああッ、ガブ!」
「あのまま叩きつけられたら、ケートスの二の舞デス!」
「…ッ!ムサシ、ガブを助けろ!」
ガブのピンチに翼が何かを決意するとムサシに指示を出す。
翼の意図を読み取ったムサシはライデンとの戦いを中断し、ガブの元へ急行する。
その間にもサルタサウルスは上半身を勢いよく振り下ろし、ガブを地面に叩きつけようとする。
だが、ガブが地面に叩きつけられる寸前にムサシが割り込み、ガブを受け止めた。
そのおかげでガブはダメージを受けたものの、カードに戻ることは無かった。
その反対にムサシは今までの戦いのダメージが蓄積していることに加えて、ガブを受け止めたことでムサシはカードに戻ってしまった。
「ムサシ…!」
「ガブの代わりに…!」
「ムサシに翼さん、ありがとうございます!」
「礼には及ばん。ガブが無事で良かった。」
ガブが無事なことに安堵する一同だが、この状況をオーディンは見逃さなかった。
「今がチャンスだ!行け、ライデン!」
そう言うとオーディンは技カードをダイナラウザーにスラッシュしてトリガーを引く。
するとライデンの身体が黄色の光に包まれ、頭部に雷の斧が形成される。
勢いよく飛び上がると回転しながら落ちていき、サルタサウルスを叩き斬ろうとする。
だがサルタサウルスが尻尾を振いライデンを弾き飛ばす。
突然の事に驚いたのも束の間、飛ばされた先にはエースとレップウが戦っており、エースは咄嗟に回避したもののレップウはライデンの攻撃に巻き込まれてしまい、2匹共カードに戻ってしまった。
「嘘だろ、オイ⁉︎」
「2匹同時にやっつけた⁉︎」
「見て、また技を発動するつもりよ!」
マリアの言う通りサルタサウルスは再び技を発動する。
口から激流を湧き出し、今度はエースを捕える。
首を振り回してエースを持ち上げると、今度は外野で戦っている6匹に狙いを定める。
1回目の振り下ろしでパラパラとキュクノスをまとめて叩き潰し、続く薙ぎ払いでネロとギガンティスを弾き飛ばし、その巻き添えを喰う形でトゲ丸とカタフラクトが巻き込まれひっくり返る。
そして渾身の振り下ろしで動けないトゲ丸とカタフラクトをまとめて叩き潰し、エース諸共カードに戻ってしまった。
「そんな…!」
「マジかよ…!」
「まとめてやられちゃった…」
「あーッ⁉︎キュクノスちゃんまで!」
「技を駆使して多数の恐竜を倒したか……最早天晴れ!」
多数の恐竜を倒したサルタサウルスにS.O.N.G一同や主神三柱は驚愕する。
「あのサルタサウルス、強い……だとしても、絶対に負けない!」
響の言葉に応えるようにガブはサルタサウルスに突進する。
丁度意識が他の恐竜に向いていたサルタサウルスは慌てて技を発動しようとするも、ガブの方が先に到達し先程のワニ同様自身の角を腹の下に差し込み投げ飛ばした。
「え⁉︎」
「投げ飛ばしたデース⁉︎」
「すげー!」
「背中を装甲で固めている分、お腹が弱点の筈よ!決めて!」
「はい!ガブ、
響が技カードをディノホルダーにスラッシュすると、雷雲と共に雷が落ちてガブに力を与える。
そのまま飛び上がり自由落下中のサルタサウルスの腹に角から生成した雷のエネルギーボールをぶつけた。
弱点属性である雷を受け激しく痙攣したサルタサウルスはそのまま河に落ちていきカードに戻る。
それを見届けたガブもカードに戻った。
「やったデース!」
「サルタサウルスを倒した…!」
「見事だ、立花!」
「背中に装甲を持つ生物はお腹が弱点と相場が決まっているからな!見事だったぞ、立花響!」
「アンタどっちの味方よ!とにかくサルタサウルスかあの子達の恐竜カードを回収しなさい!」
「あ〜…もう遅いみてぇだぞ?」
「えっ?」
オーディンが指差す方を見ると、未来が両腕部の鞭を駆使して丁度サルタサウルスのカードと【
しかも倒されたムサシ・ネロ・エース・パラパラ・トゲ丸のカードも既に翼達が回収し、響と未来に合流する。
無論ガブのカードも響の足元に落ちていた為、彼女がすぐに拾った。
「…どうやらアタシ達の負けのようだな。」
「ぐぬぬ…!アンタ達!今日の所はこれくらいにしといてあげる!でも次会う時はこうはいかないんだから!」
「その通り、恐竜バトルはまだ始まったばかりだ!次会う時を楽しみにしてるがいい、立花響と小日向未来!」
そう言うと3人はようやく到着したコープ号に乗り込み、シリンダーからのジェット噴射にて退散した。
「行っちゃった…」
「確か世界中に恐竜カードがばら撒かれたんだよな…?」
「ああ、奴の言う通り戦いは始まったばかりだろう。」
「ガブ、カードになるまでよく戦ったね……」
そんな中、頑張ってくれたガブに感謝しながらチビ恐竜姿でガブを召喚する。
『ガブ〜………ガブッ!』
「ごめんねガブ?もう2度と離さないよ!」
響とガブは互いに熱い抱擁を交わし、笑い合う。
そこへサルタサウルスのカードと【
「はい、これは響とガブのお手柄。」
「うん…(ぐぅぅぅ……)……お腹空いた〜」
「あはは…もう晩御飯出来てるから、帰ったらご飯にしよっか。」
「本当⁉︎ありがとう、未来!」
帰ったらご飯にありつける為、響は大喜びで未来に抱きつく。
そんな中、ふとマリアは気になる事を聞く。
「そういえば、何で貴女がここに?」
「マリアさん、実は…」
未来はこれまでの経緯を皆に説明した。
「…という訳なんです。」
「そんなことが…」
「無属性の石板が小日向をここに連れて来たのか…」
「…あれ?響さん、そのトカゲは?」
調が響の足元にいるトカゲを指差す。
「あ、このトカゲさっきも……」
「さっきもって?」
「あの恐竜から必死に逃げ回っていたんです。」
「「ええッ⁉︎」」
「それじゃあ……」
「サルタサウルスが追いかけてたのが……」
「トカゲだったのか……」
「そう言えばサルタサウルスも舌をチョロチョロ出したような気がするけど、そういうこと?」
ガブと追いかけっこを始めたトカゲを見ながら6人がそう言っていると、響のディノホルダーから発信音が鳴る。
『響くん、やっと繋がったか!ディノホルダーの反応が復活したから、その様子だとディノホルダーは直ったようだな。』
「はい!あと、今回現れた恐竜を無事保護する事が出来ました!」
『そうか。ところで現地に
「あ、はい。無属性の石板によって響の元へ来ました。」
『何だと⁉︎』
「…ただ、アマゾンに来たのはいいのですが、どうやって本部に帰るかが……」
「あ、本当だ!」
「ディノホルダーが無いから瞬間移動装置で帰れないデス!」
『いえ、その心配はありません。』
未来が本部に帰れない懸念にエルフナインが語る。
「どういう事?」
『未来さんが石板によってアマゾンに移動した際、その時検知したエネルギー波を解析し、無属性の石板も瞬間移動装置の移動機能に連動する事が出来ました。ですので、未来さんも本部に転送出来ますよ。』
「本当に⁉︎良かったー!」
「じゃあ帰ろっか、響。」
「うん!」
こうして響達は本部へと帰還した。
本部へと戻った響達は、今回のトカゲの事を話した。
「恐竜がトカゲを⁉︎」
「そうなんデス。」
「何だってアイツはトカゲなんかを追いかけたんだ?」
「恐らくそれはサルタサウルスの名前に関係があると思われます。」
「名前?」
「サルタサウルスの“サルタ”は化石が発掘された南アメリカの町の名前で、名前の由来は“サルタのトカゲ”と言う意味だそうです。」
「サルタのトカゲ?」
「恐らくですが、そのトカゲを仲間と思って追いかけたと思われます。」
「なるほどね…」
エルフナインの解説に翼達は納得した。
彼女は続いて無属性の石板について説明する。
「また今回の現象を受けて改めて無属性の石板を解析した結果、オリジナルの石板同様変化・最適化している事が分かり、転送時のエネルギー波を解析して瞬間移動装置の移動機能に連動させる事が出来ました。このデータを元に未来さんのディノホルダーを作成します。」
「という事は未来も契約者になったって事?」
「いえ、無属性の石板の特性を有効活用するので契約した訳ではありません。無属性の石板は6つ全ての属性の恐竜を召喚出来るので、今回保護したサルタサウルスだけでなく最大6匹の恐竜を使役出来ます。ただ、属性エネルギーの関係上1匹だけしか召喚出来ないのと、成体化は出来ても幼体化は出来ません。」
「いや、それだけでも充分な戦力だ。」
「これで未来さんも一緒に戦えるデス!」
未来も暫定的とはいえ石板を手に入れ、一緒に戦える事を喜ぶ一同。
そんな中オペレーターの友里あおいが、響と未来とガブがこの場にいない事に気付く。
「そういえば響ちゃんとガブと未来ちゃんは?」
「ああ、アイツらなら今頃……」
その頃響達はリディアン音楽院の学生寮に戻り、響と未来の部屋にてお待ちかねの晩御飯の時間に突入した。
当の響はお腹が空いていた為、大皿に乗せられた未来手作りのハンバーグと白飯を無我夢中で食べている。
その下ではガブもペットフードをモリモリ食べていた。
「(ガツガツガツガツ!)…ん〜おいし〜!」
『ガブガブガブガブ!』
「ふふ…本当によく似てるね、2人共。」
「ん、何?」
「ううん、なんでもない。」
その間にも食いまくる響とガブに未来は笑みを浮かべたのであった。
中国4千年の歴史の象徴、万里の長城でカルカロドントサウルスが出現!
捕獲に赴く主神三柱とS.O.N.G一行……なのだが、その最中に軍が乱入し恐竜達が大ピンチに⁉︎
我輩の可愛い恐竜達に機関砲やらミサイルやらぶっ放すとは、許さん‼︎
主神三柱よ!この際S.O.N.Gの装者達と協力して我輩の可愛い恐竜達をクソ共の魔の手から守り抜けェェ‼︎
次回、恐竜大絶唱シンフォギア
『万里の長城で大ピンチ⁉︎S.O.N.GとDEの共同戦線!』
守り抜け!我輩の可愛い恐竜達を!