恐竜大絶唱シンフォギア   作:あーくこさいん

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第1話 私の恐竜(トモダチ)!名前はガブ!
前編


2つの流れ星がリディアン音楽院生徒寮近くの裏山に落ちたのを見た響と未来は、無線機で弦十郎に知らせる。

直様捜索隊が編成され、発見者である響と未来の他に同じ生徒寮に住んでいる雪音クリス、暁切歌、月読調の5人で裏山へと向かった。

 

「確かここだよね…」

 

「うん、部屋から見たから詳しい場所は分からないけど…」

 

響と未来は立ち止まり辺りを見渡す。

すると響のポケットから着信音が鳴った。

 

『こちら弦十郎。何か手掛かりは見つかったか?』

 

「こちら響。何も見当たりません。」

 

『こちらクリス。こっちも似た状況だ。』

 

それぞれの報告が全員に伝わる。

現在、響と未来、クリスと切歌と調の二手に分かれて捜索していた。

 

『そうか…引き続き調査を頼む。』

 

「「了解。」」

 

通信を終えると響達は調査を再開した。

 

 

 

 

 

それから数分後、響と未来は森の中を捜索していた。

 

「何処だろう……ん?」

 

その時、未来が何かを発見する。

 

「響、ちょっとこれ見て!」

 

「え⁉︎何これ⁉︎」

 

そこには数本の木が斜めに切断され、一本の少し大きい木の真ん中に大きな穴が空いているという異様な光景だ。

見るからに自然に出来たものではない。

 

「さっきの流れ星、ここに落ちたんだ!」

 

「…ん?あそこにも…」

 

響は穴の中を覗き、未来は少し離れた所に何かが落ちた痕跡を発見し向かう。

穴の中には変わった形の石が落ちていた。

 

「何だろう、これ…?」

 

「「おーい、響!」」

 

響が首を傾げていると2つの声が聞こえ、振り向くとクリスと切歌と調、そしてこちらに駆けてくる未来がいた。

 

「未来!クリスちゃん!」

 

「報告にあった流れ星、こんな場所に落ちたのか…」

 

「およ?響さん、未来さん、それなんデスか?」

 

「ああ、これ?あそこの木の穴の中に入ってたんだけど、未来は?」

 

「そこから少し離れたところに窪みがあって、探したらこれが…」

 

「何だ、これ?」

 

響が発見したのは掌サイズの石で、扇のような形状に雷の絵が彫られており、側面にチップらしきものが埋め込まれている。

 

未来が発見したものは掌サイズにチップの形は響のものと一緒だが、形状は菱形で何も彫られていない上に、チップは石の裏面に埋め込まれている。

 

「雷の絵が彫られた扇形の石に、何も描かれていない菱形の石…?」

 

「これが流れ星として落ちたのか?」

 

次の瞬間、響が持っていた石が光を放ち、響の身体が黄色の光に包まれる。

 

「うわっ!」

 

「きゃっ!」

 

「な、何だ⁉︎」

 

「響さんの身体が…」

 

「光ってる⁉︎」

 

響を包んでいた光はやがて収まった。

 

「おい!大丈夫か⁉︎」

 

「響、大丈夫⁉︎身体に異常は無い⁉︎」

 

「何ともないけど…あれ?」

 

身体に異常が無い事を確認した響は、近くに卵型のカプセルを発見する。

それを拾って開けると、2枚のカードが入っていた。

 

「…カプセル?」

 

「ダチョウの卵みたいデース。」

 

「カプセルの中にカードが…」

 

「これって…恐竜?裏面は私が持っている石と同じマークだけど、何か関係があるのかな…?」

 

そう言いながら響は石をカードに近づけ、奥から手前へスライドさせた。

 

するとカードが光りだし、木がいくつか爆散すると中から光の物体が現れた。

光の物体は徐々に形を変え、光が収まるとそこには………

 

9mの大きさを誇り、頭部の3本の角と大きなフリルが特徴的な黄色い草食恐竜………

 

 

【暴君の好敵手】

トリケラトプス

 

ゴオォォォォォォ‼︎

 

 

そう、()()のトリケラトプスが雄叫びを上げて響達の目の前に現れた。

突然の状況に数秒は固まっていた響達だったが…

 

「「「「「きゃぁぁぁぁ(デェェェェェス)⁉︎」」」」」

 

悲鳴を上げ、急いで木のある方に身を隠した。

恐る恐る顔を出してトリケラトプスを見ると、ジッと響達を見つめゆっくりと近づく。

 

「こ、こっちを見てるデス…!」

 

「こっちに来るよ。」

 

「おいバカ!何とかしろ!」

 

「何とかしろって言われても…」

 

「落ち着いて、響!その石とカードで召喚したから、その2つで何かすれば…」

 

「あっ、そうか!」

 

「「キャァァ(デェェス)‼︎」」

 

調と切歌は悲鳴を上げ、逃げる。

クリスも恐竜がすぐ近くにいることに気づき、逃げる。

だが、未来に言われ思い出した響は石とカードを弄るも何も起きず、その間にもトリケラトプスは2人のすぐ近くにやって来た。

未来が顔を真っ青にして響を揺さぶる。

 

「響、逃げて!恐竜が‼︎」

 

「え?うわぁぁ‼︎」

 

襲われると思った2人は最後の手段として腕でカードしたが、そのタイミングでトリケラトプスが再び光りだし、カードに戻る。

 

「あ、あれ…?」

 

「消えた…のか?」

 

「消えたんじゃない…カードに戻ったんだよ!」

 

「今のはホログラムか何かデスか?」

 

「見て切ちゃん。木が倒れてるし、足跡もしっかり残ってるからホログラムの可能性は無いと思うよ。」

 

「それじゃあ…今のは本物の恐竜ってこと⁉︎」

 

「恐らく、そうだと思う。」

 

調の発言で先程のトリケラトプスが本物であると結論付けられた。

その証拠に木が爆散した跡も足跡も健在だった。

 

「いやいやいや、まさかそんな…」

 

「じゃあ、もう一度出してみようよ!」

 

「…ん?オイやめろ!また出すつもりか!」

 

響はもう一度恐竜を出そうとスライドするが、今度は手前から奥にスライドしたことにより3回ほどカードが点滅し、小さな光として地面に舞い降りる。

 

『ガブッ?』

 

「えっ?」

 

「はぁ?」

 

「嘘…!」

 

「小ちゃくなったデス!」

 

「…可愛い。」

 

再び現れたトリケラトプスはゆいぐるみサイズの小ささで、あれだけ立派だった三本角は今のサイズに合わせてとても小さい。

 

「どうなってるの……『ガブッ』痛たた⁉︎噛まないで!」

 

『ガブゥッ♪』

 

「うわあっ!な、何ぃ…?」

 

響がトリケラトプス(チビ)に近づくが、なんと彼女の鼻を噛んだ。

噛まれた響は抗議するが、今度は飛び掛かり彼女の顔を舐め始めた。

 

「響に懐いてる…」

 

「まるで猫と飼い主のやり取りだな。」

 

「あははっ、くすぐったい……痛たた⁉︎だから噛まないでって!」

 

「食べたいぐらいお前のことが好きなんだよw」

 

また噛まれた響を揶揄うようにクリスは言う。

 

「…とにかく、弦十郎さんにこの事を報告しよう。」

 

「そうだな。」

 

「賛成デース。」

 

こうして響達はチビ恐竜になったトリケラトプスを連れて本部へと向かうのであった………

 

『ガブガブッ♪』

 

「痛たた⁉︎頼むから噛むのをやめてぇぇぇ‼︎」

 

「まだやってた…」

 

「あはは…」

 

因みにチビ恐竜は響のことを気に入ったのか、未来が助けに入るまで噛み続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太平洋の何処かの海域…

そこの海底に巨大円盤パンゲア号が鎮座していた。

応急修理ロボットを総動員して対処した結果、今では船体の外壁が元通りになり船内に入った海水も全て排水した。

 

パンゲア号の司令室では、白髪にサングラスをかけた白衣の男…【アダムス・D・ソーノイダ】、またの名を天災科学者【Dr.ソーノイダ】が現在の状況をモニターで確認していた。

 

「う〜む、適切な応急修理のおかげでパンゲア号の被害は最低限に留まり、修理も完了した。だが…」

 

そう言って彼はモニターの映像を切り替える。

そこは7つの欠片が置かれた円形の台座があった区画だが、先程の事故により欠片は全て消失し区画も爆発により跡形もなく破壊された。

 

「肝心の石板が全て消失……パンゲア号はあれをエネルギー源としてたから今は補助動力のモノポールエンジンで賄う他ないし、直径6kmもあるパンゲア号の反重力装置を動かすにはモノポールエンジンだけじゃ足りない……折角フェルマータ島が恐竜の楽園に相応しいように環境を改変したというのに……ハァ…」

 

彼はため息を吐く。

 

「…まぁ石板についてはまた探せばいいし、発掘された石板を元に第7の属性【秘】の力を宿した【秘属性の石板】に大量生産し易くエネルギー共振・増幅装置として機能する【無属性の石板】、そして2つの属性を掛け合わせた【融合型の石板】が開発したから問題は無い……だが、こればかりは許容できん!先の爆発によって我輩の恐竜カードが世界中に散らばってしまったではないか!折角恐竜キングになるというのに、この体たらくじゃキング失格だァ‼︎」

 

訳の分からない理由を述べながら彼は憤慨し、さらに捲し立てる。

 

「しかもこうしてる間にも何処の馬の骨とも分からん奴らがフェルマータ島を横取りしようと目論んでいる!こうしちゃあおれん、直様フェルマータ島に乗り込んで……」

 

そう言った次の瞬間、彼が携帯している拳銃型恐竜召喚用ガジェット【ダイナラウザー】から甲高い音が鳴る。

慌ててダイナラウザーを取り出すと、撃鉄部位から立体映像が飛び出す。

その映像には日本列島が映されており、関東の部分に1つの赤い点が点滅している。

 

「な、なんと⁉︎ダイナサーチが点滅してる⁉︎」

 

そう言い彼はコンソールを操作する。

すると世界地図が映され、徐々に日本列島、関東地方、そして東京都へと拡大していき、リディアン音楽院生徒寮近くの裏山に赤い点が点滅しているのを確認した。

 

「おおっ‼︎遂に恐竜が現れたぞ!場所は…リディアン音楽院生徒寮近くの裏山か!ゼウス!ゼウスはいるか⁉︎」

 

彼が呼び掛けると司令室に1人の男と1匹のチビ恐竜が入ってくる。

男は金髪碧眼の整った顔立ち、白を基調とした軍服風の服を身に纏い、服越しでも分かる程鍛え上げられた肉体を有している。

そして、紫色と青灰色のチビ恐竜…【ギガンティス】が唐揚げを貪りながら一緒に現れた。

 

「お呼びですかな、Dr.ソーノイダ?」

 

「我らがDE(恐竜優生思想)が誇る特殊工作員【主神三柱】ゼウスよ、早速だが恐竜が現れた!場所はお前の好きな日本!直様お前のパートナー恐竜を連れて捕獲に出!撃!だァァ‼︎」

 

「フッ、了解!」

 

男は直様ギガンティスを伴い司令室の壁の一部が開き、その穴に入り滑り込む。

長いスロープを滑っていき、やがて格納庫に辿り着く。

格納庫には丸い車体に4本のシリンダーを内蔵した六輪駆動型万能戦車1号機【コープ号】と2号機【マーシュ号】が鎮座している。

ゼウスとギガンティスはコープ号を選び、側面のハッチから乗り込む。

するとコープ号が大型アームで固定され、床が左右に開きエレベーターのように真下に落ちる。

 

そのまま降下していき小型ドックに辿り着く。

アームが外されると、ドックから海水が入っていく。

その間にコープ号は六輪の車輪をハイドロニューマチック・サスペンションで車体に格納し、後部シリンダーを展開する。

やがてドックの中が海水で満たされると、前方のハッチが開く。

 

「万能戦車コープ号、発進‼︎」

 

ゼウスの掛け声と共にコープ号は発進する。

後部シリンダーからの水流推進(ポンプ・ジェット)と車体の電磁コイルによる電磁推進(キャタピラー・ドライブ)の併用で瞬く間に巡航速度である200ノットに達する。

ゼウスとギガンティスを乗せたコープ号は進路を日本に定め、進んでいく。

 

 

 

 

 

ゼウスの出撃を見届けたソーノイダは次の行動に移る。

 

「…さて、ゼウスが出撃してる間にフェルマータ島占領を済ませちゃおっか♪」

 

そう言うと彼はコンソールを操作する。

映像には南米アマゾンの熱帯雨林とマリアナ海溝が映っていた………

 

 

 

 

 

南米アマゾン熱帯雨林…

 

広大なジャングルに覆われたこの熱帯雨林にDr.ソーノイダが地下の巨大鍾乳洞を利用して建設した地下基地【ジャブロー】が存在する。

そしてジャングルにカモフラージュした超大型ゲートが左右に開き、2隻の空中戦艦が反重力装置で浮遊する。

 

全長750mの空母のような空中戦艦…巡航戦闘母艦【ローラシア号】

全長800mの重厚な空中戦艦…重装工作戦艦【ゴンドワナ号】

 

超大陸パンゲアから分離して誕生したかつての大陸の名を冠した2隻の空中戦艦はフェルマータ島に向けて前進する………

 

 

 

 

マリアナ海溝…

 

世界で最も深い海溝にもDr.ソーノイダによって海底基地が造られ、そこから一隻の潜水艦が浮上する。

全長1500mの黒鉄の船体、潜水艦というより潜水空母といった方が正しい超巨大潜水母艦【パンサラッサ号】が水流推進(ポンプ・ジェット)電磁推進(キャタピラー・ドライブ)を用いて120ノットまで増速、フェルマータ島に向けて突き進む………

 

 

 

 

 

地下基地ジャブローから出撃したローラシア号とゴンドワナ号、マリアナ海底基地から出撃したパンサラッサ号を映像で確認した彼は益々上機嫌になる。

 

「キタキタキタァァー‼︎我が崇高な設計思想に基づいて建造された巡航戦闘母艦ローラシア号、重装工作戦艦ゴンドワナ号、そして超巨大潜水母艦パンサラッサ号‼︎こんな事もあろうかと造っておいた甲斐があったァ‼︎まさに、備えあれば憂いなし‼︎このまま何処の馬の骨かも分からん奴に横取りされる前にフェルマータ島を占領するのだァァ‼︎」

 

Dr.ソーノイダの笑い声が司令室に木霊する………

 


 

《恐竜図鑑》File.01

【暴君の好敵手】 トリケラトプス

 

 名前の由来:3本の角を持つ顔

 分類:鳥盤目 角竜類 ケラトプス科

 全長:約9m

 時代:白亜紀後期

 生息地(発見地):北米(アメリカ・カナダ)

 

《Dr.ソーノイダの解説コーナー》

角竜類の中で最大級の大きさを誇り、恐竜が絶滅するまで生き抜いた最も有名な恐竜!

頑丈なフリルに3本の強大な角で敵に立ち向かい、かの暴君竜ティラノサウルスと鎬を削った、ま!さ!に!【暴君の好敵手】に相応しい恐竜だ‼︎




※各話前編と後編に分け、その間に恐竜図鑑コーナーを挟む形にしました。
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