S.O.N.G本部にてスピノサウルスの出現を察知した響達はエジプトに向かおうとしたが、弦十郎に止められてしまう。
「おっさん、いつになったら出発するんだよ!」
「もう少し待ってくれ、エルフナイン君が何か作っている様でな…」
そう言って彼が目を向けると、司令室の一角でエルフナインが何か大掛かりな装置を作っていた。
「…一体何を作っているのかしら?」
「そんなことより、早くしないとエジプトが大変な事になるデス!」
「切ちゃん…もう大変な事になってるよ。」
「遅くなりました!」
そこへエルフナインが装置から出てきた。
「エルフナインちゃん!何してたの?」
「ようやく出来たんです…瞬間移動装置が!」
「「「…瞬間移動装置(デスか)?」」」
聞き慣れない単語に首を傾げる一同であった…
一方、エジプトではスピノサウルスに襲われそうになったテレビクルーを緒川が間一髪で助け、観光地で暴れるスピノサウルスを止めるべく翼はシンフォギアを纏う。
「こっちだ、恐竜!」
脚部のブレード型バーニアを駆使してスピノサウルスを翻弄、そして砂漠へと誘導する事に成功。
ある程度観光地から引き離すと、翼はスピノサウルスと相対する。
(観光地から引き離せたが、どう鎮めるか…)
彼女は考えた末、峰打ちで気絶させる事を思い付く。
スピノサウルスが翼目掛けて突進していき、口を大きく開けて噛みつこうとする。
翼はジャンプで回避した上にスピノサウルスの頭部を踏み台にして大きく飛んだ。
「ハァァァァァ‼︎」
落下の勢いのままアームドギアを振り下ろし、スピノサウルスの頭部に刀の峰を当てようとするが、スピノサウルスが驚くべき行動に入る。
なんと振り下ろされたアームドギアを口で噛み、真剣白刃取りの如く峰打ちを防ぐ。
「何⁉︎」
これには翼も驚きを隠せない。
そのままスピノサウルスは頭部を振り回し、翼を大きく吹っ飛ばす。
彼女は難なく着地するものの、スピノサウルスは咆哮を上げ敵意の籠った眼で睨み付ける。
すると上空から大声が轟く。
「ダイナラウズ!焼き尽くせ、ギガノトサウルス!」
上空から赤い光弾が飛んでいき、やがてギガンティスへと成体化し降り立った。
ギャアアアォォォン‼︎
ギガンティスは咆哮を上げ、スピノサウルスに対し威嚇する。
すると前回の時と同様に周囲の時空が歪み始め、バトルフィールドが形成される。
続いてコープ号がシリンダーからジェット噴射しながら着地し、ハッチから既にRN式ケラウノスを纏ったゼウスが出てくる。
「ほう、アフリカを代表する大型肉食恐竜スピノサウルスか!これは相手にとって不足はない!行け、ギガンティス!」
ゼウスが指示すると、ギガンティスはスピノサウルスに肉薄する。
対するスピノサウルスは前脚を振り下ろし、ギガンティスの頭部を引っ掻くも、怯む様子もなく首に噛みつき思いっきり投げ飛ばす。
投げ飛ばされ倒れるものの、スピノサウルスは起き上がり追撃してくるギガンティスに今度は尻尾による反撃を喰らわせる。
ギガンティスとスピノサウルスが一進一退の攻防を繰り広げている中、ゼウスは翼と相対する。
「さて、風鳴翼といったか…ウォーミングアップがてら軽く捻ってやろう!」
「言わせておけば…!」
完全に舐められた翼はゼウスに刀を向け、突貫する。
刀を振るうが、ゼウスは紙一重で避けた。
何度も何度も斬りつけるものの、一向に当たる気配は無い。
まるで翼の動きを予知しているかの様に。
「何故…当たらない⁉︎」
「フッ…人間を含む全ての生き物には生体電気が発せられるのは知っているだろう。そして俺の持つケラウノスは雷霆…つまり電気だ。長年の特訓と鍛錬の末、俺は相手の生体電気を読み取りコンマ5秒先の行動を予測する事が出来るようになった!名付けて、【電視眼】だ‼︎」
そう自慢げに説明するゼウス。
ならばと翼は刀を上に掲げ、空間から大量の剣を具現化し、上空からゼウス目掛けて大量の剣が降り注ぐ。
大量の剣がゼウス目掛けて降り注ぐが、慌てる様子は無く彼は構えを取る。
「フッ、甘い!」
すると彼の身体から紫電が迸ったかと思えば、片手で自分の身体を支え、倒立に近い状態のまま開脚回転し続ける。
回転し続ける内にコマのように回り始め、そこから紫電迸る竜巻を形成する。
「何ッ⁉︎」
彼女が驚くもの束の間、その竜巻は大量の剣をすべて吹き飛ばし、翼に向けてもの凄いスピードで竜巻が接近する。
彼女が間一髪で避けた事で事なきを得たが、もし当たれば一溜まりもないのは明らかであった。
やがて竜巻が収まり、中からゼウス現れたゼウスが続け様に言い放つ。
「どうだッ!これぞ日本の格闘ゲームを参考にして編み出した必殺技…【紫電風神脚】だッ‼︎」
ドヤ顔での説明が終わった後、ゼウスはギガンティスとスピノサウルスの方を向く。
二匹の肉食恐竜は今も戦っていた。
「さて、そろそろスピノサウルスとの戦いに決着を着けるか……ギガンティス!今こそお前の必殺技を喰らわせるのだ!」
ゼウスはダイナラウザーにカードをスラッシュし、トリガーを引く。
するとギガンティスは咆哮を上げながら、スピノサウルスに接近する………
その頃S.O.N.G本部では響とガブが司令室の一角に設置された装置…【瞬間移動装置】に乗せられていた。
その横のコンソール付きデスクでエルフナインは作業している。
「エルフナインちゃん、本当に瞬間移動なんて出来るの?」
「恐竜サーチの機能と移動機能が連動してたんです。後は実践あるのみです!」
「危なくないの?」
「大丈夫です…多分。」
「ええ…」
「多分って…」
エルフナインの言葉に少し不安になる響達。
すると彼女が一言付け加える。
「それと、移動出来るのは石板を持っている人とパートナー恐竜だけと思われます。」
「響さんとガブだけデスか⁉︎」
「仕方ないよ、切ちゃん。」
「…よし、響君。すぐに向かってくれ!」
「はい、師匠!」
「響…気をつけてね!」
「うん、分かった!」
そう言うと響はディノホルダーを操作し、次の瞬間彼女とガブは瞬間移動をした。
「…えっ⁉︎」
「すごい…消えた!」
瞬間移動装置でエジプトの地に降り立った響とガブ。
彼女達の目に飛び込んできたのは……スピノサウルスが宙を舞いながら響とガブの所へ落ちてくる光景だった。
「うわわわわわわッ⁉︎」
突然の光景に思わず響はガブを抱えて身を屈めるが、寸前でスピノサウルスがカードを戻り事なきを得る。
そして周囲の時空も元に戻る。
「危なかった〜…ってカードに戻ってる。」
そう言って響がカードへ手を伸ばそうとすると、カードがまるで磁石に引き寄せられたかの様に飛び出し、ゼウスの手元へと飛んでいく。
そしてそのカードをキャッチしたゼウスは、響を見つけるとこう宣言する。
「ふははははッ!また会えて嬉しいぞ、立花響!スピノサウルスを倒しカードは回収した!後は君の持っているトリケラトプスを倒し回収するだけだ!いざ、尋常に勝負せいッ‼︎」
彼の言葉と共に咆哮を上げるギガンティス。
そこへ翼と緒川が響とガブの元へ走ってくる。
「立花!」
「翼さん、緒川さん!」
「響さん、いつ此処へ?」
「はい、実は…」
響は二人に瞬間移動装置の事を説明する。
「…という訳なんです。」
「瞬間移動装置…そんなものを開発したのか…!」
「はい。ただ、瞬間移動装置を使って移動出来るのは石板を持っている人とパートナー恐竜だけなので私しか来ていません…」
「石板を持っている人…なら翼さんもその装置を使えるのでは⁉︎」
「えっ⁉︎翼さん石板持ってるんですか⁉︎」
「ああ、ついさっき卵型カプセルと共に見つけた物だが…」
そう言って翼は先程拾った石板を見せる。
するとそれを見たゼウスが驚きながらこう述べる。
「ほう!それは【水の石板】!スピノサウルスだけでなく石板も此処にあったとは、ドクターにいい土産が出来たものだ!」
ゼウスとギガンティスは既に戦う気満々のようで、響達の方へと向かう。
「こっちに来ます!」
「立花、行くぞ!」
「はい!」
響は聖詠を口ずさみ、シンフォギアを纏う。
「ガブ、行くよ!」
『ガブーッ!』
続いてディノホルダーを構え、ガブをカードに戻す。
そしてディノホルダーを横向きに持ち、恐竜カードを勢いよくスラッシュする。
「ディノスラッーシュ!轟け!トリケラトプス!」
ゴオォォォォォォ‼︎
響の掛け声と共にガブの手、足、そして全身が本来の姿へと変わり、成体化が完了する。
それと同時に再び時空が歪み始め、バトルフィールドが形成された。
「決まりましたよ、翼さん!」
「立花⁉︎いつの間にその様な掛け声を!」
「ほう、中々いい召喚口上ではないか!尚更負けられん!ギガンティスよ!前回のリベンジを果たすのだ!」
「よーし、行くよガブ!」
ガブとギガンティスは互いに咆哮を上げながら突撃していき、響と翼もゼウスに向かって走り出した。
「うおりゃあァァァァーーーー‼︎」
響はブーストして加速し、渾身の一撃を加える。
対するゼウスは避ける様子も見せず真正面から構えると、響のパンチを片手で受け止めた。
「うそ⁉︎」
「立花の攻撃を防いだ⁉︎」
「ほう…中々いいパンチではないか。では、こちらの番だ!」
ゼウスはお返しとばかりにパンチを繰り出す。
両腕でガードした響だったが、休む間もなくパンチやキックが繰り出される。
響はガードしながら反撃していくが、反撃は予知されたかの様に未然に防がれ、彼の一撃を回避しようにもまるで動きを予知してるかの如く攻撃を受け続ける。
「立花、気をつけろ!奴はコンマ5秒先の行動を予測する能力を持っているぞ!」
「えっ⁉︎」
「フッ、我が電視眼はコンマ5秒先の行動を予測する事で敵の攻撃を避けるばかりでなく、相手の動きを予測して先手を打つ事が出来るのだ!」
戦いがゼウス有利に進んでいる最中、ガブはギガンティスの猛攻に苦戦している。
「ギガンティスよ!そろそろお前の必殺技をトリケラトプスにも味合わせるのだ!」
そう言い彼は技カードをダイナラウザーにスラッシュし、トリガーを引く。
するとギガンティスは咆哮を上げ、ガブに接近する。
「ッ!立花、スピノサウルスを倒した必殺技が発動するぞ!気をつけろ!」
「えっ⁉︎ガブ、避けて!」
響が指示を出すも時既に遅く、ガブに肉薄したギガンティスは自慢の尻尾による往復ビンタを喰らわせる。
往復ビンタを喰らったガブは怯むが、間髪入れずに身体を回転させてその勢いが上乗せされた強力な回転打を浴びせた。
ギガンティスの技を喰らったガブは大きく吹っ飛ばされ、スフィンクスに激突しダウンする。
「ガブ!」
響が叫ぶ中、彼女の持つディノホルダーの液晶画面が赤く点滅している。
このままではピンチだ。
「まずいぞ、ガブがピンチだ!」
「そうだ!この前みたいに技カードを使って…!」
逆転の一手としてディノホルダーから技カードを取り出すが、ゼウスが妨害する。
「させるか!」
ゼウスは両手から電磁エネルギーを貯め、チャージし終わるとそのまま両手を組む。
次の瞬間、組んだ両手から竜巻が発生し二人が巻き込まれる。
「か、身体が…!」
「う、動かない…!」
しかもその竜巻から発せられる強力な磁界により、響と翼は身動きが取れない。
「フハハハハッ!どうだ、身動きが取れまい!そして暴風電磁縛からのコンボ技、受けてみよッ‼︎」
そう言うと彼は組んだ両手を上に向ける事で、拘束された二人を上空へ吹き飛ばす。
「「キャァァァァ‼︎」」
そしてゼウスはジャンプし、吹き飛ばされて身動きが取れなくなった二人目掛けて雷霆の如き連続蹴りを喰らわせる。
「オラオラオラオラオラーーーッ‼︎」
ガードも出来ずモロに喰らった二人は大ダメージを受け、そのまま落下し地面に激突する。
ゼウスが降り立つと響が持っていた技カードがヒラヒラと舞い落ちる。
丁度その頃ガブと戦っていたギガンティスもトドメを刺し、ガブがカードに戻る。
その二枚のカードを磁力で引き寄せ、こう高らかに宣言する。
「フハハハハッ!前回の雪辱は果たせたぞ!…さて、あとは二つの石板を回収するだけだな。」
そう言って彼は倒れている二人の元へと歩いていく。
雷霆剛連脚を喰らった二人は電撃ダメージにより動けない。
最早これまで…その時だった。
「ん…?」
ゼウスの足元に何かが転がってくる。
彼が足元を確認しようとすると、その何かは勢いよく白煙を吐き出す。
あっという間に周囲の景色が真っ白になった。
「な、スモークだと⁉︎小癪な!」
ゼウスは腕を払う事で煙を払い視界を確保しようとするが、気配を察知する。
彼は敵の狙いが煙に乗じて奇襲を仕掛ける事だと感じ、構えを取る。
(なるほど、煙に乗じて奇襲を仕掛ける魂胆か…!だが、この電視眼の前では奇襲など無意味!)
ゼウスは電視眼を発動し、対象の生体電気を頼りに動きを予測する。
「フッ、甘い!」
ゼウスはこう言い放ち、カウンターを浴びせようとする……が、
(な、何ッ⁉︎)
なんと予測とは違う動きで奇襲され、背負い投げされてしまう。
受け身をとった時には煙は晴れ、中から緒川が出てきた。
「緒川さん!」
「これ以上好きにはさせません!」
「クッ…マネージャー風情が小癪な!(バカな…電視眼の予測とは違う動きだと……!)」
ゼウスは電視眼の予測が外れた事に驚きつつも、ターゲットを緒川に定め攻撃を仕掛ける。
しかし、電視眼を使い緒川の行動を予測しているのに、予測とは違う動きでゼウスの攻撃を躱し、逆に攻撃を当てていた。
(生体電気は読み取れるのに……そうか!奴はコンマ5秒の間に違う動きをしてこの俺を翻弄しているのか!なんて奴だ!)
ゼウスが緒川の実力に感心していると、繰り出した体術で彼を大きく吹っ飛ばす。
難なく着地して相対するゼウスは
「…まさか電視眼が効かないとは。ならば、この俺とっておきの切り札を見せてやるまでよッ‼︎」
するとゼウスが
「えっ⁉︎」
「分身した⁉︎」
「これは…!」
「どうだッ!日本の忍者に憧れて編み出した必殺技…【分身の術】だ‼︎」
「えーーッ⁉︎ゼウスさん忍術使えるんですか⁉︎」
「…いや違うぞ!奴は残像が見える程のスピードで疾走しているんだ!」
「その通り!
「なるほど、憧れだけで分身の術を編み出すとは…その熱意と努力は見習うべきですかね……」
「マネージャー緒川よ!俺を本気にさせた礼だ!四体の分身からなる分身殺法……しかとその身で味わうといいッ‼︎」
そう言った次の瞬間、四体の分身は緒川に肉薄し攻撃を仕掛ける。
「ハッ!」
「何ッ⁉︎」
だが、ゼウスの拳が当たる寸前に緒川も分身し躱した。
しかもそれだけでない。
「この俺が何年も掛けて編み出した技を、それも分身の数が俺よりも多いなんて…!」
なんとゼウスの分身よりも多い、12体の分身を生み出していた。
「なんでって忍者ですから。」
「バ、バカな…!本物の忍者だと…!GHQの占領政策によって日本古来の侍や忍者は絶滅したと聞いたが、まだ生き残っていたとは!」
「何を学んだらそんな歴史になるんだ…?」
ゼウスの可笑しな歴史史観に翼がツッコむ中、緒川はゼウスにアドバイスしながら攻撃する。
「ゼウスさん、高速移動による分身を生み出したのは見事ですが、分身の精度がまだまだ荒いです。もっと技の本質を見極めて下さい。」
何処からか取り出したロケットランチャーの集中砲火を喰らい、ゼウスは膝をついた。
緒川の加勢によりピンチの状況を切り抜けた響達。
彼の奮闘に二人も奮起した。
「負けられない…!」
そう言い翼は立ち上がる。
「緒川さんが奮闘しているのに、負けてなるものか!」
「そうです!ガブが奪われたなら、取り返すまでです!」
そう言って響も立ち上がった、その時…
翼の持っていた石板が光を放ち、彼女の身体が青色の光に包まれる。
「うわっ⁉︎」
「翼さんの身体が…」
「光ってる⁉︎」
翼を包んでいた光はやがて収まった。
「この光は…?」
「私の時と同じ…翼さんも石板が使える様になったんです!」
「水の石板と契約したか……だが、肝心の恐竜カードが無ければ何も出来まい!」
ゼウスの言う通り石板と契約しても、恐竜カードが無ければただの石なのだ。
「翼さん、響さん、これを!」
すると緒川が何かを二人に投げ渡す。
翼と響が投げ渡された物をキャッチすると、翼の手にはスピノサウルスのカードと事前に彼に預けたもう一枚のカードが、そして響の手にはガブのカードと技カード【
「これは…!」
「ガブのカード!ありがとうございます!」
「バ、バカな!回収したカードはポケットにしまった筈…!」
そう言ってゼウスがポケットの中を探ると、入っていたのは小滝興産株式会社所属マネージャー緒川慎次の名刺だけだった。
「すり替わってるーーーッ⁉︎」
そう、先の背負い投げの際にすり替えたのだ。
本家本物の忍者の実力にショックを受けているゼウスを他所に、翼は緒川から渡されたスピノサウルスのカードを見る。
その隣で響がレクチャーしていた。
「翼さん、石板のままでも召喚出来ますよ!ただし、大きい恐竜を出したい場合は奥から手前にスラッシュして下さい!」
「分かった…いくぞ!」
翼は石板とカードを構える。
そしてレクチャー通り奥から手前にスラッシュした。
「ディノスラッーシュ!湧き上がれ!スピノサウルス!」
グァギュオオオオッ‼︎
掛け声と共に成体化したスピノサウルスが咆哮を上げながら現れ、再度バトルフィールドが形成される。
スピノサウルスとギガンティスは再び相対した。
「おのれ…なら、もう一度カードに戻すまでだ!ギガンティス!」
ゼウスは技カードをスラッシュし、【テイルスマッシュ】を発動する。
ギガンティスは咆哮を上げ、スピノサウルスに肉薄し尻尾による往復ビンタを浴びせた。
「翼さん!このままじゃ…!」
「大丈夫だ!」
往復ビンタを喰らって怯んだスピノサウルスに、トドメの回転打を浴びせようとした次の瞬間…
「今だ!」
翼の合図で口を大きく開き、ギガンティスの尻尾に噛み付いた。
真剣白刃取りの様に攻撃を防いだ事にゼウスは驚きを隠せない。
「何ッ⁉︎」
「いいぞ、そのまま投げ飛ばせ!」
尻尾に噛み付いたスピノサウルスは身体を回転させながら振り回し、ピラミッド目掛けて投げ飛ばす。
その勢いは凄まじく、ギガンティスの頭がピラミッドの入り口にスッポリとはまってしまった。
ギガンティスは抜こうとしても中々抜けない。
「大丈夫か、ギガンティス⁉︎今助けるぞ!」
すかさずゼウスが駆け寄り、ギガンティスの尻尾を掴んで引っ張ることで抜く手助けをする。
それによって隙が生まれた。
「翼さん、もう一枚のカードは恐らく技カードです!水の石板の同じマークですからそちらに反応する筈!」
「なるほど…いけるか?」
翼の問いにスピノサウルスは頷く。
「いくぞ、スピノサウルス!今こそ雪辱を果たす時‼︎」
そう言い翼はもう一枚のカード…技カードを石板にスラッシュする。
するとスピノサウルスの身体が光出し、口から水が勢いよく湧き上がり水の剣を形成する。
水の剣を装備したスピノサウルスはギガンティス目掛けて走り出し、勢いよくジャンプする。
それと同時にギガンティスがゼウスの助けもあってピラミッドの入り口から抜け出した。
ようやく頭が抜けたギガンティスが振り向くと、スピノサウルスがジャンプしその勢いのまま水の剣を振り下ろしていた。
突然の事に回避する間もなく、ギガンティスは水の剣によって袈裟懸けされた。
斬られたギガンティスは数秒硬直した後、横に倒れカードに戻る。
バトルフィールドが解け、スピノサウルスは勝利の咆哮を上げた。
「やったぁーーー!」
「やりましたね、翼さん!」
「ああ!」
スピノサウルスのリベンジに歓喜する響達。
一方ゼウスはギガンティスが敗れた事にショックを受けつつも、コープ号に乗り響達にこう言い放つ。
「マネージャー緒川よ!まさか立花響と風鳴弦十郎の他に俺のライバルが現れようとは、俺もまだまだ未熟だが鍛錬に鍛錬を重ねてリベンジする!覚えておれ!」
緒川を勝手にライバル視したゼウスはコープ号をジェット噴射で飛ばし、退散した。
「行っちゃった…」
「ゼウスといい、ギガンティスといい恐ろしい相手だった……」
「とにかく本部に連絡を入れましょう。」
後日本部に戻った響達は、先程の戦いについて報告していた。
「ゼウスは電視覚という能力でコンマ5秒先の行動を予測する事が出来る訳か……」
「はい、さらに見たことない技で圧倒され、一度はガブのカードを取られました……」
「マジかよ!」
「それに加えて分身の術まで使えるなんてヤバすぎデス!」
「緒川さんの加勢が無ければ危ういところだった…」
「…しかしどうやらコンマ5秒の間に違う動きをすれば、動きを予測出来ないという弱点があります。」
「それが電視眼に対する突破口か…」
ゼウスの脅威的な戦闘力に改めて戦慄する響達。
「だが、一度奪われたとはいえ恐竜カードを奪い返したのはお手柄だ。」
「はい!改めてありがとうございます、緒川さん!そのお陰で翼さんにもパートナーが出来ましたし。」
「本当にありがとうございます、緒川さん!」
「いえいえ。」
助けられた響と翼は緒川にお礼を言う。
そんな中、エルフナインが司令室に入ってきた。
「お待たせしました。翼さん用のディノホルダーです。」
彼女は翼が使うディノホルダーを制作しており、それが今出来た為翼に渡した。
「ありがとう、エルフナイン。」
「なぁ、先輩。そのパートナー恐竜ってのを見せてくれよ。」
「アタシも見たいデス!」
「分かったから、落ち着け!」
翼は周囲を宥めるとディノホルダーから恐竜カードを取り出し、読み取り部分にカードを手前から奥にスラッシュする。
すると3回ほどカードが点滅し、小さな光が足元に舞い降ると小さな背鰭と若干目つきがキリッとしたチビ恐竜姿のスピノサウルスが現れた。
「紹介しよう、私のパートナー恐竜ムサシだ。先の剣裁きと泳ぎが得意な恐竜だと聞いて、剣豪宮本武蔵と戦艦武蔵をかけて名付けた名だ。」
『ウギャ〜ウ♪』
「古風な名前ね。」
「…名前に反して可愛い。」
そう言って調がムサシの頭を撫でる。
撫でられたムサシは嬉しそうな表情を浮かべた。
「な〜んだ、ワニみたいな顔の割に案外大人しいじゃねえかよ。どれ、アタシも撫でてやる……」
『…ギャウ!(ガブリ)』
「…痛ってーーーッ‼︎」
クリスも撫でようとするが、ムサシに噛みつかれてしまう。
「クリスちゃん、大丈夫⁉︎」
「このやろ、アタシに噛みつくなんて十年早いんだよ!」
「ムサシ!雪音に噛みつくのはやめないか!」
翼に叱られ、ムサシは噛むのをやめた。
「翼さんには従順だね…」
「この野郎…次やったら覚えてろよ!」
『ガブガブゥ!』
『ギャウギャウ!』
当のムサシはガブを見つけ、じゃれあっていた。
「もしかして、ガブやムサシの他にもまだまだ恐竜カードがあるんじゃ?」
「その可能性はあると思います。Dr.ソーノイダが恐竜を改造しカードにしたものの、それらのカードが世界中に散ってしまったのかも知れません。」
「…じゃあ、響が聞いた石板の『助けて』って声はやっぱりDr.ソーノイダから守ってという意味なんじゃ!」
「そう考えた方が妥当かもな。」
(でも、Dr.ソーノイダは恐竜を集めて何をしようとしているんだろう?)
じゃれ合うガブとムサシを見て響は心の中でそう思った。
その頃パンゲア号内部の研究室では、二つのタンクが置かれていた。
タンク内にはそれぞれギガンティスの口から炎が噴き出しているカードとステゴサウルスに似た恐竜が四つの結晶を纏いながら突撃していくカードがあった。
「ククク…遂に技カード【
すると研究室の扉が開き、申し訳なさそうな表情をしたゼウスが入ってくる。
「ドクター、申し訳ございません!スピノサウルスのカードを取られてしまいました!そして風鳴翼という小娘が水の石板と契約し、スピノサウルスを使役しました!」
ゼウスからの報告を聞いたDr.ソーノイダは残念そうにしつつも、切り替えてこう述べる。
「そうか、取られてしまったか……まぁいい、こちらも新しい技カードが完成したし、これからはどんどん技カードを開発して我が恐竜王国を強化していくぞッ!……あっ、それとゼウス。コイツの調整も終わった事だし、次回からコイツも出撃出来るぞ。」
Dr.ソーノイダがそう言うと、ゼウスの元に一匹のチビ恐竜が駆け寄ってくる。
その恐竜は迷彩柄の身体にガブと同じつぶらな瞳、角が取れた背中の棘状突起や尻尾の二対の棘、そして両肩にある一際大きい棘が特徴的な剣竜である。
『キューッ!』
「おお、カタフラクト!元気にしてたか!」
ゼウスは寄ってきたチビ恐竜…カタフラクトを抱えると頭を撫でる。
ゼウスの所持するのは炎属性と土属性を掛け合わせた火山の石板……その為炎属性のギガンティスと土属性のカタフラクトの二匹をパートナーとしている。
因みに火山の石板を始め、雷属性と風属性を掛け合わせた嵐の石板、水属性と草属性を掛け合わせた自然の石板の三種類は、Dr.ソーノイダが石板を解析し二つの属性を掛け合わせる事でオリジナルと同等の力を発揮できる様にした融合型の石板……差し詰め人工聖遺物と呼べる代物であった。
(ククク…一度のみならず二度までも小娘に出し抜かれてしまったが、残り二つの融合型の石板の修復が終わればあんな小娘共などケチョンケチョンのギッタンギッタンにしてやるわい!)
Dr.ソーノイダは技カードが入っているタンクを見ながら、不敵な笑みを浮かべる………
横浜のグルメフェスにて任務に来ていたゼウスと呑気に休暇中のS.O.N.Gの小娘共がバッタリ遭遇!
一触即発と思われた矢先、かの暴君竜ティラノサウルスが出現し大暴れ!
行け、ゼウス!新たなパートナー恐竜カタフラクトと共にティラノサウルスを捕獲してくるのだァァ‼︎
次回、恐竜大絶唱シンフォギア
『燃え上がれ!恐竜グルメフェス!』
さぁ、食べ尽くせ‼︎